teleportation
いつもの二人です。
13話です!
「私teleportationについて学ぼうと思うの」
クリスが何か言い出した。
「テレポーテーション……。何でまた?」
「前に嫌~な男子達に絡まれたじゃない。そこから逃げる為よ」
「いや、それは無理だろ」
「やはり日本のtechnologyでもまだ無理かしら」
「日本の技術力を過信しすぎだろ……」
「まぁそれもそうね。ところで……」
「ん?」
「teleportationって日本語で何て言うのかしら?」
「まぁ、瞬間移動だな」
「瞬間移動……」
「そう」
彼女は何やら考える素振りをする。
「忍者もteleportationしなかったっけ?」
「……まぁ、フィクションの世界とかならな」
「……」
「それがどうかしたか?」
「いえ、別に?」
「?」
こうして不思議な間が空いた後、僕はいつものように放課後の時間に日本語を教えた。
「これは独創で、こっちが独走」
「えぇ、えぇ」
「これは永遠」
「ふむふむ」
今日の彼女はやたら素直に難しい評論とかで出てくる日本語をつまりながらでも読んでくれた。
(どうかしたのか?)
「……さて今日も終わりにしてそろそろ帰るか」
「えぇ」
彼女にしてはいつもより声のトーンが低いような気がした。
(なんかあったか?)
そして僕達はいつもの道を通りながら家に帰るが、彼女はいつにも増して、やたら静かだ。気になりながら彼女の横顔を見ても、少し難しそうな顔をして、前を見ずに少し俯き加減だ。
なんか話しにくい……。そしてしばらく経ってから、
「ねぇ、優司……」
「な、何だ?」
「どうやったら正しい忍者の勉強出来るかしら?」
「へ?」
な、何だ一体?
「ど、どうして?」
「そうしたらどこまで忍者が実際に出来たか分かるじゃない」
「な、なんでそんなこと知りたいんだ……?」
「それは……む、昔いた本当の忍者のroleについて興味がわいたからよ!」
「はぁ……」
な、なんかよく分からんが……。
「図書館にでもあるんじゃないか?」
「そ、そう……」
「……」
「じゃあ、今は?」
「へ? 今はって?」
「忍者よ忍者!」
さっきから何を言って……。
「今は忍者なんている訳ないだろ?」
「え!? 嘘よ!?」
「えっ!?」
「私忍者の格好をした人見たことあるわよっ!」
「まさか!? そんな訳ないだろ!? 今はいないぞ!」
「けどそれは優司が見たことないからでしょ?」
「……まぁ、それはそうだが」
「じゃあそれなら私が正しいわねっ!」
「……」
その自信ありげな顔……。クリスは一体忍者の何を見たというんだ……!?
「ふふっ。そう言えばこの前マンションに帰っていた時クワガタを見かけたわ。まだいるのね」
「はぇ? もう9月なのに何を言って……」
もしかしてクリスのやつ最近勉強に疲れて、何か幻でも見ているのか!?
「なぁ、クリス!」
「何?」
「つらいことや疲れていることがあるなら相談にのるぞ!?」
「?」
「何かあったか!? いつもと様子が変だぞ!」
「へ? いつも通りだけど?」
「いや違う! いつもより物思いに耽っている!」
「え、あぁ……それは……けど別に?」
「どうして隠す!? 何かあったのか!?」
「……」
僕はいてもたってもいられず、彼女の両肩をガッと掴む。
「!」
「僕はお前のことを心配して訊いているんだぞ!」
「……じ、実は」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「何っ!? 忍者の瞬間移動がやっぱりフィクションだと分かって、ショックで今日の勉強をあんまり聞いてなかっただとーーっ!?」
「ゴ、ゴメンなさいっ!」
「……ったく」
何だそんなことだったのか……良かっ……、
「けど忍者は今はもういないんだぞ?」
「嘘よ! 私見たもん!」
「どこでさ?」
「それは、attractionでよ!」
「あぁ、それは……」
僕はその忍者についてしっかりと説明した。
「co……cosplay……」
僕はコクンと頷いた。
「そう言えばWooden board(木の板)を持っていたわね……」
「……」
彼女はため息を着きながら、
「今でも忍者がいるなら、なにかgood methodでも得られると思ったのに~」
「どうしてそこまで忍者にこだわる?」
「やっぱり私も一人で行動する時もあるし、それに日本でspecial ability(特殊能力)があると言えば忍者よ忍者!!」
「……」
「じゃあtelepathyならどうかしら?」
また何か言い始めた。
「どうかしらと言われてもだな、それもSFの世界だろ?」
「それはそうだけど、私と優司ならなんか出来そうじゃない?」
「まさかっ」
「さっきも私のいつもと違う様子に気づいてくれたじゃない?」
「それは……」
「じゃあ次も何か考えてみるから、それを当ててみてっ」
「えー!? そんなの分かりっこないだろっ!?」
「もう、いいからっ!」
そう言って彼女はむすっとした顔になる。しかしどこかしら嬉しそうだ。
「本当はなんか嬉しい気持ち」
「えーー、凄いっ! 正解よ! 何で分かるのーー!?」
「そりゃあ何となくだよっ」
「だから何でなんでー?」
「だから何となくっ!」
「それじゃあ分かんないーー!」
ええいっ! 鬱陶しいー!
調べてみたらどうやら秋にもクワガタはいるようです。
偶々クリスは見かけたようです。
良かった~、別に幻を見た訳じゃなくて。




