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スライムの不安

累計5話目(っ'ヮ')╮

 イータは踏み潰されたことに不満を持ち、エムマークを捕まえようと追いかけていた。しかし、エムマークの動きはイータの上をいき捕まる様子すら見えない。

 イータは本気で怒っているのではないのだろう。追いかけるスピードはとても早いが、エムマークを倒すという意思は感じられなかった。



 暫くエムマークが逃げ回っているとイータの動きは段々と鈍くなっていった。時間はそこまで経っていなかったが、エムマークの動きはイータを翻弄していたようだ。鈍くなっていった動きは回復すること無く、ついにはイータは動けなくなってしまう。



 「ぜぇ、ぜぇ…。クソジジイの癖になんでそんな動けんだよ…。」



 スライムに心肺機能というのは存在しないのだがそれに近い物はあるらしく、イータの体を大きく膨張と収縮を繰り返す。

 それに対してエムマークは全くその様子を見せなかった。



 「それこそ年季が違うわい。」


 「ああ、クソ…。」


 「これこれ、休むなら端へ行かんか。スライよ少し待っとってくれ。」



 イータは限界に達したようで、その体がバブルの様に溶け始める。

 そしてその様子を見てエムマークは厄介そうにイータを持ち上げ、そして広場の端へと移動させた。



 戦闘では二ランクも格上の存在を一瞬で倒したイータ。そのイータをまるで子供と戯れるように遇っていたエムマークは一体どれほどの実力者なのか。

 私はふと思い出して伸ばしていた体を元に戻し、エムマークが戻ってくるのを待った。



 「それにしてもお主も恐らくユニークなのじゃろう。どのような力を持っておるのかのぅ?」


 「ユニークとは何かしらの能力を持っているものなのか?。」


 「そうじゃ。ユニークとはその種族の能力とは別に何かしらの能力を得ておるはずなのじゃ。しかし、イータから聞いたが、能力の使い方も覚えずに自我を得ておるとは…。それも含めて大変興味を惹かれるのぅ。」


 「私はどうすればいいのだろうか?」



 ふとそんな事を口にしてしまう。

 能力では無く、今の状況に対して私はどうすればいいのだろうか?という意味で呟いた。

 記憶のほとんどが無いとは言え、私はある程度の知識を有している事は分かる。そしてその要因となった主の事も記憶に存在している。



 「そうじゃのう。ひとまずは生き残らねばな。でないと秘められた能力すら無為になってしまう。」



 私の言葉をエムマークは能力について悩んでいると捉えたのだろう。エムマークは優しく、それでいて興味深くこちらを見てくる。



 「そう…だな。」



 生き残ったとして、主にもう一度会えたとして、果たして主は私を私と認識してくれるのだろうか?最弱の生物とは言え、魔物を自分の近くに寄せ付けるのだろうか?

 私はそのような事を考えたが、こればかりは実際に生き残り、そして主に再開してみなければ分からない事なのでエムマークの言葉に同意する。



 「敷いてはイータとバブルが回復したらブルー、レッド達と共に外で狩りをしてきてはいかがかな?戦闘経験を積むことで本能が研ぎ澄まされ、それが起点となり能力が目覚めるやもしれんからのぅ。」


 「ご助力、感謝する。」


 「なになに礼には及ばんよ。ワシらユニークは存在自体が稀なんじゃ。それが一種族に、まして六匹が同時に邂逅する事はそうそう無かろう。じゃからせめて別れても再び会えるように自衛出来るだけの力は付けんとな。」


 「重ねて感謝する。」


 「あ奴らも回復するまで暫し時間が必要じゃろう。お主にはそれまでこのジジイの与太話でも聞いてもらおうかのぅ?カカ。」


 「あぁ、それくらいならお易い御用だ。」



 私の声は震えてはいなかっただろうか?

 不安に押し潰されそうな今の状況で、エムマークの言葉はとてもその雲を晴らしたような気がした。

短くてすまぬ

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