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騎士ウルドの子
ノルドのこれまでの人生は父ウルドの足跡をなぞることだったといってよい。国王より騎士とはかくあるべし、との言葉を貰うほど清廉愚直。加えて多大な武功をあげたのだから当然だ。父を超えよとは言わずとも、同じであれという無言の圧力は付き纏った。
そんなノルドにとって転機はやはりウルドのある言葉がきっかけだった。ウルドが十五になり、あと一年で父と同じ主君を仰ぐ騎士となる。常であれば正しく騎士たる父に教えを受けるべきだというのに、ウルドは子に言った。
「騎士の騎士たるは父にあらず」
そうして父ウルドはノルドに一年旅をさせた。
この時のウルドの言葉と行動はあらゆるものを仰天させた。母やウルドを師と仰ぐ者たち、使用人に果ては主君さえも父のようであれとノルドに言った。というのに父のようになるなと他ならぬ父が言って旅をさせたのだ。やはりなぜだどうしてと多方から聞かれたが、遂に騎士ウルドが答えることはなかった。