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リメイク 03 怪物の生まれた日

八代はもう一度落ちる球を要求した。

それは今まで見たこともない高さから投げ下され、更に球が落下した。

バッターは辛うじてバットに当てたが芯は食わずそれがファーストゴロとなった。

これでスリーアウト。攻守交代でベンチに戻った。

プロテクターを脱ぐと、大男の隣に座った。


「おいお前、名前は?」

「藤大吾です」

「んじゃ大吾、聞きてー事は一杯あるんだが、まずお前本当に三軍なのか?」

「はい」

「ありえなくねーか? そりゃ神原君がいるからエースは無理としても2番手、3番手にはなれんだろ?」

「俺もそう思うんですけど縦浜鱈じゃ一度三軍に行ったらもう取りあってくれないんですよ。一度テストしてくれと直談判したんですが監督はとりあってくれませんでした」

「そ、そうか・・・大変だな」


なんともコメントしづらかった。


「ん、んんん・・・じゃああの落ちる球はなんだ? フォークやスプリットじゃねーよな?」


八代は2球受けて確信していた。フォークやスプリットは数え切れないほど受けてきたがこいつの落ちる球は絶対にそれじゃねぇ。


「ジャイロストレートです」

「ああ? なんだって⁉︎」

「ですから、ジャイロストレートです。変化球じゃありません。落ちるストレートです」

「ジャイロ・・・ねぇ」


名前こそ知っていても、実際に見た事はなかった。


「そりゃ、普通のフォークとどう違うんだ」

「普通のストレートとどう違うのかの方が説明しやすいですね」

「じゃあ、それで」

「わかりました。まず球をライフル回転させるのでバックスピンがかからず落ちる球になります。もうちょっと手を加えると縦スライダーになりますね」

「じゃあ、縦スラでいいんじゃね?」

「それだと手首に負担がかかるんで・・・、それに縦スライダーにすると落ちすぎてストレートと見分けがつきやすいので・・・コンビネーションとして今の形がいいんです」

「あっそう・・・」

「そうなんです。そして最大の特徴はボールがライフル回転しているので、回転を抑えるフォーク系よりもストレートと見分けがつきづらい事と、ライフル回転しているので空気抵抗の影響が少なくフォーク系よりも、下手をするとストレートよりも失速しません」

「なるほどね、伸びながら落ちる球・・か」

「それに俺の感覚では変化球ではなくストレートです。だからフォーク系と違ってガンガン使って下さい。普通のストレートと1対1の割合が理想です。普通のストレートを高めに、ジャイロストレートを低めに組み立ててくれると万全です」

「わかった。にしてもお前変わったピッチャーだな」

「そうですね。普通にやったら三軍だったんで、友達の指示で変則目指しました」


と、そこで八代がネクストサークルに行く番が回ってきた。


「っと、いってくるわ」

「頑張って下さい、先輩」


(まだ、先輩じゃねーよ)

(とはいえ、可能性がないわけでもないのか?)


そんなことを考えながら八代はバットを掴んだ。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


〜甲子園の実況〜


「さあ、今大会ナンバーワンとも囁かれる神原君、ストレートが唸ります」

「いや、スピードといいキレといい文句のつけようがありません」

「やはり、今日の最大の見所といえば強打の深海鮫打線と好男子、神原直樹君の戦いでしょう」

「そうですね。神原君はこれまでの3戦でわずか2点、防御率0、7の快投を見せていますからね。もう女性ファンが大騒ぎですよ」

「いや、全く。その神原君といえば・・・出ました。スプリットです! 3番の鈴木君、空振り三振!深海鮫打線一回表は三者凡退に終わりました!」

「本当に素晴らしいスプリットですね。バッターからは消えて見えるんじゃないですか」

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