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冒険者ギルド

 俺は、門番に教わった通りに道なりを真っ直ぐ歩いていると、右手に大きな看板が目に止まる。

 そこには、盾に剣と杖が交差した絵が描かれていた。

 俺は迷うこと無く、その建物内へと足を踏み入れる。

 すると、何人かが俺の方に視線を向けてきた。

 俺は特に気にもせずに、一つのカウンターへと進んで行った。


「ようこそ!冒険者ギルドアージン支部へ!初めましてですよね?私の名はユノと言います。ご要件は何でしょうか?」


 セミロングで灰色の髪の可愛らしい受付嬢が、笑顔で俺を迎えてくれた。


「ギルドへ登録したいんだが……」

「畏まりました。では、説明はいかが致しますか?」

「一応頼む」


 ゲームでも冒険者ギルドはあったが、先程のを教訓として、ゲームとの相違を知っておく必要もあるだろう。

 そう思い、俺は迷わず説明を求めた。

 ユノはそれを聞くと、一つ頷いてからパンフレットのようなものを取り出すと、俺に見えるようにして懇切丁寧に説明を始めてくれた。


「まず初めに、冒険者にはF・E・D・C・B・A・S・SS・SSSの九段階のランクが存在します。皆さんが最初はFランクからのスタートになります。Fランクには特に年齢制限は無く、主に街中での雑務をこなしてもらう事となります」

「雑務?」

「はい。よくあるのが買い出しとか運搬のお手伝いだとか……まあ、色々ありますが、何でも屋みたいなものですね」

「なるほど」

「そして、Eからは十五歳以上でないと依頼(クエスト)は受けられません。ランクアップには、ギルドPt(ポイント)がありまして、依頼が成功すればそれが加算され、規定に達するとランクアップ出来ます。ですから、Fランクで十五歳未満の方は、例え規定に達していても、Eランク以上に上がる事は出来ません」

「へえ~……」


 やはり、ここら辺はゲームと違うようだ。実に面白い。


「そしてB以降になりますと、Ptプラス試験があります」

「試験?」

「はい。その時々にもよりますけど、最低限の知識があるかどうかの確認の為の筆記試験だったり、或いは実技などを見てランク上げしても問題は無いかどうか……試験管が合否をすることになるでしょう」

「ふむ……」

「そしてSランク以上は、それの更に厳しい審査が待っていますが、Sランクに上がろうとする者は、最近めっきり減ってしまってますね」


 ユノが苦笑する。

 それからSSSランクの冒険者は、更に雲の上の存在らしく、未だに世界でたった六人しか居ないのだとか……。


「次に依頼ですが……あちらを見て下さい」


 俺はユナが指し示した方を見遣る。

 そこには、壁一面に何枚も紙が貼り付けられていた。


「あちらが依頼ボードになります。依頼を受ける際は、あの中からお選び頂き、破らずに私達の元にお持ち下さい。そこで正式に依頼を受理致します。ですが、F~Cランクの方は、自分のランク以上と以下の依頼は受けれません。Bランク以上ですと、一つ上と下のランクまでなら受ける事が可能です。ここまでで質問は?」

「…………依頼失敗はどうなる?」

「ああ!すみません!依頼には、期間限定や無期限のものもありますが、当たり前ですが、期間限定で期間内に依頼が完遂出来なかった場合などは、Ptがその分削られます。他にも何らかの理由で依頼を完遂出来なかった場合も同様となりますので、依頼を選択される時は充分に考えてお決め下さい」

「分かった」


 俺が頷くのを確認すると、ユノは先程までとは打って変わって、神妙な面持ちで声を潜めるように話す。


「それから…………冒険者になりましたら、生死は自己責任でお願いします。ですが、もし道中などで同業者などの死体がありましたら、ギルドカード……或いは、何か本人を証明出来る物をお持ち下さいますと有り難く思います」


 やはり説明を受けて正解だった。

 流石は現実と言った所か……この世界では、当然だが『死』は存在する。

 改めて気を引き締めた瞬間だった。


 ユノはニコリと笑顔に戻ると続けた。


「他にご質問は?」

「そうだな……街中で何か問題を起こした場合はどうなる?」


 ゲーム内では、街中での争いは基本御法度とされている。

 街では能力は制限されるし、もし万が一不正を働いた者が居れば、即座にそれらを取り締まるNPCが現れて排除するのだ。


「そうですね……そちらも基本自己責任になりますね。私達はその事に基本関与しませんし、ですが印象を悪くすれば、ランクアップの妨げになる危険性もあります。依頼には指名依頼と言うのもありまして、そちらはPtが倍近く違います。印象が悪ければ当然指名も減りますし…………ですが、自らの力量を示す為に、敢えて喧嘩を吹っ掛けて来る方も居ますからお気を付け下さいね?」

「なるほど、ね。分かった」


 どうやら街中での制限は、特になさそうだった。


「他は何かありますか?」

「……いや、大丈夫だ」

「そうですか。では、この紙に必要事項をご記入下さいますか?」


 そう言って、ユノが小さな紙切れを俺に手渡して来た。

 そこには、名前・年齢・種族・職業の記入欄だけしかなかった。


「…………これだけでいいのか?」


 何とも簡潔過ぎて、逆に俺は訝しむ。


「はい!ギルドカードに登録される部分ですからね。それに、レベルなどを知ってもあまり意味はありません。ギルドではPtさえあれば誰でも上に行けますし…………何より、自分の力量を見誤って高望みなんてすれば、それだけ死期が早まるだけですから!」

「……それも自己責任ってやつか」


 何とも現実主義の世界か……。

 逆に清々しくて、俺は好感が持てるけどな。


 俺の言葉を聞いて、ユノはただ微笑むだけだった。

 俺は紙に全てを記入すると、それをユノに渡した。

 ユノはそれをざっと見ると、驚愕に大きく目を見開く。


「…………え?あなた【召喚士】なんですか?」

「……そうだが?」


 俺が頷くと、一瞬の静寂がギルド内を包む。

 すると、ギルド内をどっと笑い声が響き渡るのだった。

ギルドの説明が難しかった 涙

話がちゃんと伝わってるか心配です 汗

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