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そもそも、あのちょんまげオヤジ達が、俺を助けてくれたんだったら、黙って消えるのはマズいかも知んないし。
でも、未成年を保護したら、フツーは警察か救急車を呼ぶと思うんだけど・・・
漠然とした不安を抱え込んだまま、俺は再び座り直した。
悶々と考え込むうち、ふっと壁を見上げると、建てつけが悪い戸板の隙間から、鳥たちの鳴き声とともに、光の束が木漏れ日のように射し込んでくる。
辺りが明るくなって気がついたんだけど、この小屋の造りはなんか変だ。
床も壁も天井も、全部が板で出来ている。
壁にはフツーの窓が無くて、掃き出し窓ってヤツに戸板がはめてあるだけっぽいし、そもそも窓枠がサッシじゃない。
だから室内はひどく暗い。
天井には蛍光灯も下がってないし、フツー有りそうな家具類も見える範囲には置いてない。
なんかこう、時代劇のお屋敷をカラにしたみたいな感じっての?
これが映画の撮影用セットってヤツか~
いろいろ釈然としないけど、無理に納得しようとしてみる。
そうでもしないと不安で押し潰されそうになるから。
とりあえず朝の空気でも吸ってみればシャキッとするかも
戸板に顔を近づけると、朝の冷たく清んだ空気を顔に感じた。
気持ちいい。
すぅっと胸一杯に吸い込むと・・・
げほっ げほほっ
むせた、けむい。
考えるのに必死で気づかんかったが、小屋の中には、うっすらと煙が漂ってたんだ。
今度はなんだ?火事かよ!!
俺は床を蹴って立ち上がった。