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気が付くと、焼けつくような陽射しが、ジリジリと全身を焦がしていた。
生暖かい風が、ジットリ汗ばむ頬をなでている。
仰向けに寝転んだままボーと目を開くと、笹だかススキだかの葉が、鼻先をくすぐるように揺れていた。
その向こうには抜けるような青空。
真っ白に輝く太陽の光が、寝ぼけ眼に突き刺さってきた。
川のせせらぎに交じって、どこか遠くの方から蜩の鳴き声が聞こえている。
いや~すっかり夏じゃないですか・・・
ちょ待て?
いやいやいや
何やってんの、俺?
つか・・・
ここどこ?いま何時?
止めどない疑問が一気に溢れだしてくる。
混乱する頭の中で俺は、頼りない記憶の糸を手繰りよせてみた。
俺、今日って校内マラソン大会じゃん
あ~そうか!
大会中に倒れたんだ、俺
朝から暑かったし、体調不良だし
だいたい部活を後輩に引き継いでから体を動かして無かったもんな
止めときゃよかったんだよな、こんなくそマラソンなんか
でもな~
昨日、珍しく芙美っちから声かけられたんだよな
「マラソン頑張ろうね」
とか言ってくるし
舞い上がっちゃったんだよね、俺
ひそかに好きな子だったからね、自分から声かけらんなかったし
んでカッコつけて、
「おう!
俺がぺースメーカーしてやんぜ!」
とか言ってんの