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浅井沙智
気がついたら、そこにいた。
スクランブル交差点のど真ん中でひざまずいていた。
悲鳴と共に走りまわる人々が視界にはいる。
「な、に…?」
何が起きているのか、すぐには理解ができなかった。
頬を触ると、頭から血を流しているのに気がつく。
「え…」
痛みはない。
けど、何も思い出せない。
頭を抱え、下を向いた時
『あぁぁああああ゛あ゛あーー』
とてつもない、叫び声が耳を痛めた。
耳を抑えながら、空を見上げた時
私は立ち上がった。
私は、見た事があったから。
黒くて、蜘蛛のような形をした怪物が建物を破壊している姿をみた私は、とっさにその名を口にした。
「サイ…グル…?」
なぜ、私がやつの事を知っているのか。
それは思い出せなかった。
けど、これだけはわかる。
倒さねばならない。
そう頭によぎった私は、サイグルに向かって走った。