何となく書いた戦闘物
本当にパッと浮かんだものなので詰まらないかも知れませんが、最後まで読んでくれればありがたいです。感想、評価お待ちしています。
人の居ない市街地で二人の少年が向き合っていた。
一人は赤髪のショート。もう一人は黒髪のセミロング。二人は互いに視線を外すことなく睨み合い───次の瞬間、二人の姿がその場から消えた。
シュンッ、と風が切れる音が聞こえ、同時に二人がどこかから出した刀を手にして鍔競り合いの状態となっていた。どちらも力の差は互角。引くことも押されることも無い二人は互いに後ろに弾け跳んだ。
「我、契約図を描き」
「此処に招来す」
右手に刀を握り、空いている左手を筆の様に目の前で魔方陣を描き出す。それはほぼ同時に行われ、同時に完成した。
「「雷現」」
完成した二つの魔方陣から眩い雷が放たれ、衝突した。爆音が互いの耳を劈く。ぶつかり合った雷が互いに消滅した時には二人の姿はまたも消えていた。
最初に姿を確認できたのは赤髪の少年だった。
赤髪の少年はビルの側面を走って駆け昇っていたが突然トンッ、とビルの側面から空中に跳んだ。刹那、今さっきまで赤髪の少年が居た場所に何かが放たれ、ごっそりとビルに穴が開いていた。周りは焦げており、穴の先には地面で空中に向けて手を挙げていた黒髪の少年が見えた。
それを確認しながら赤髪の少年は重力に引かれるように地面に落ちていく。だが黒髪の少年も下に落ちていく赤髪の少年をビルに空いた穴で確認するとその場から風の様な疾さで赤髪の少年の着地点まで最短ルートで走り抜ける。
数百メートルほどあった距離をたった数秒で縮め、今まさに落下してくる赤髪の少年が視界に入った。だが、その視界には落ちてくる赤髪の少年とは別に他の者も映し出された。
それは空中に“いる”と言うアドバンテージを使い、自分を中心に無数の魔方陣を上下左右斜めと三六〇度全方向に展開し、次の瞬間──────
「炎武弾───火の雨───」
全ての魔方陣から火の玉が無数の雨の様に黒髪の少年を襲う。
黒髪の少年は建物を盾代わりに利用しながら横からくる火の玉を避け、上からくるものは速度で避ける。
そうしながら若干遠回りになりながらも赤髪の少年に近づく。が、やはり赤髪の少年の方が先に地面に降り立ってしまった。降り立ったことにより、魔方陣は消え、魔法は止んだ。
二人は道路を跨いで向かい合っている状況で先に黒髪の少年が動いた。持っていた刀を逆手に持ち帰ると、振りかぶり投槍のように刀を相手に向かって投げつける。
尋常でない程の速度で迫ってくる刀を難なく避け、武器を捨てた相手に攻め寄ろうとして足を止めた。動きを止めた理由───それは黒髪の少年がすでに違う武器───大鎌を構えて赤髪の少年を見据えていたからである。
大鎌のデカさは異常であった刃の部分だけで黒髪少年の背程あり、柄の部分も負けじと長く長く伸びている。ハッキリと言って黒髪少年よりかなり大きい。それを簡単に前に突き出すように構えている。
「我、契約図を───────」
リーチが長い相手に対して悪手とも言える立ち止まって魔方陣を描く赤髪の少年に向かってトンッ、と跳躍し、そのまま魔方陣をぶった切る。
斜めに切り裂かれた魔方陣を境に互いの表情が互いの瞳に映った。
黒髪の少年は口元に笑みを浮かべ、余裕の表情。赤髪の少年は苦境に立たされているように歯を食いしばっている。
黒髪の少年が地面に着地すると同時に赤髪の少年は後ろに弾け跳んだ。いや、自分から距離を取った。しかし、それを逃がすほど黒髪の少年もバカではない。
柄をギリギリの部分で持ち直し、リーチを最大限生かして振り回す。横から迫りくる死神の鎌を間一髪のタイミングで潜り避けると小さく魔方陣を描き、放った。
「……狼現」
小さく描かれた魔方陣から放たれたのは手のひらサイズの白い炎の様な物でできた狼である。
狼は空中を地面を走るようにして黒髪の少年に噛み付いた。一瞬の不意を衝かれ思いがけない反撃に顔を歪めるがそれも一瞬だけ。すぐに相手を見据え、横から縦への攻撃へ変えた。
縦からの攻撃を躱し、持っていた刀を投げ捨てると黒髪の少年へと拳を握って迫っていく。
「──────っ!?」
縦に振りおろしてしまった鎌を急いで懐に引き戻そうとするが間に合わず、いつの間にか拳の先に描かれた魔方陣と一緒に黒髪の少年は腹に拳をぶち込まれた。
そして──────
「終わりだ……爆の拳」
腹に当てっている魔方陣が光だし一撃目、閃光が黒髪の少年を通り抜け、二撃目に魔方陣が爆発した。爆煙によって二人は隠され、威力の衝撃により周りの建物は呆気なく崩れ去った。
高層ビルが倒れる中、爆煙が晴れていき、二人の影が徐々に見えてきた。そのうち一人は満身創痍で立っているのがやっとの人影と地面に倒れてピクリとも動かない人影の二つである。
爆炎が完全に無くなったとき、立っていたのは炎の様に赤い髪を持った少年だった。