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過去編 僕と宮子様

宮子さんはマク〇スFのシェリルをイメージしています。どこか大人びていて、影があって、本当は誰かに助けを求めている・・・。勝手なイメージですね(笑)




「雅、しっかり受け止めるのよ!」



そう言うと彼女は3階の窓から飛び降りた。



「、宮子様?」



彼女を落とすわけにはいかない。僕は彼女が降り立つであろう位置に走っていった。



「何故こんなことを?もし僕が受け止められなかったら、落ちて死んでいたかもしれないんですよ?」



「貴方が私を落とすわけないじゃない。そうでしょう?」



まったく彼女にはかなわない。僕がどうするか全て理解した上でこんな行動に出るんだから、性質が悪いとしか言いようがない。



「そんなことより、私を連れてにげてちょうだい!」



また今日も逃げてきたのだろう。彼女は誰かに縛られることがあまり好きではないのだから。



「はい、宮子様。後で叱られても僕は知りませんよ?」



「その時は雅も一緒よ?」



彼女に頼られているという事実がこの上なく嬉しい。彼女を俗に言うお姫様だっこのまま連れて走り出す。行く場所はもう決まっている。






_________________________________






「良い天気ね~。こんな日に家の中にいるなんて、絶対に駄目だわ!」



彼女の一番お気に入りの公園までやってきた。青々と茂る芝生の上に腰をかける。



「ええ、そうですね」



彼女は嬉しそうに太陽に何回も手を伸ばす。眩しさで目を瞑ってしまうが、それすらも彼女は楽しいようだ。



「ねえ、なんで逃げてきたのか、理由聞かないの?」




「聞きません。僕は貴女のしもべですから。貴女に従うのは当たり前のことです」



僕の答えが気にいったのか、彼女はフフッと優しく笑った。



彼女、城内宮子は普通の人間と違う。そうは言っても、僕のように吸血鬼というわけではない。一応は人間というカテゴリーに位置している。


彼女は異能を持って生まれたのだ。何でも視える「千里眼」を。



千里眼は彼女がまだ幼かった頃から発揮されていた。そのため、彼女は生家から「城内」の家に養子として引き取られた。


城内家は政財界にも顔が利く名門の家柄だ。異能に目をつけた城内家は、彼女の力を利用しようと目論んだのだ。


彼女の異能が少しでも損なわれない様に、望みは何でも叶えられた。「自由」以外は。




「お姉ちゃ~ん、一緒に遊ぼうよ!」


ボールを持った子供たちが彼女に遊びのお誘いをしている。



「お~、いいわよ!お姉ちゃんボール遊びならなんでも得意なんだから!」



あんまり運動神経の良くない彼女のことが心配だが、家にいる時よりも楽しそうな顔をしている。




彼女は何でも視える。それが人の心であろうと。


力が強すぎて、視たくないものまで視えてしまうのだ。つまり、力に蓋をすることができない。




しばらくの間子供たちと遊んでいた彼女は、疲れたのかこちらに戻ってきた。


僕の隣に座り、少しもたれかかったくる。




「子供って、何にも考えてないのよ。私のことを気味が悪いとか、生まれてこなきゃよかったのにとか、そんなことちっとも考えてない。無邪気で、いつだって純粋なの。大人もそうならいいのにね・・・」



彼女はここにいるはずなのに、どこか遠くにいる気がしてしまう。



「そうですね。僕には貴女様を気味が悪いと思う方が気味が悪いですよ。僕の宮子様は、子供のように純粋で、穢れ無き高潔なる存在なのですから」



一瞬ポカーンとしていたが、彼女はすぐに笑いだした。



「ありがとう、雅。貴方はいつも優しいわね」



「はい。僕はいつだって貴方様の僕ですから」


そう、いつの時代であろうと僕は貴方様の僕です、宮子様。







サンサンと輝く太陽に、何故か背中を押された気がした。












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