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第七話 彼と私の関係性

「この小説をお気に入り登録している人はこんな小説も読んでいます!」っていうのが載るとちょっと嬉しい気持ちになりますね♪これからもよろしくお願いします。




「あの~、・・・・・」



「何でしょうか、紫様?」



今の私の状況はというと、



「こちらの方がよろしかったでしょうか?」


あの素敵生徒会長の久賀先輩に、朝食を食べさせてもらってます・・・。



「い、いや、そういうことではなくてですね!」



私が望んでこの状況になったわけではない。ま、まあこんな美形にご飯を食べさせてもうのも結構良いかも・・・・。い、いや、そうではなくて!



「す、すっごく目立ってますし、や、やめていただきたいのですが・・・・」



1年生から3年生の女子生徒全員が私たちの方を見ている。「お前何やってんの!?」とでも言いたげな目をして。つまり、私を睨んでいる。



「紫様は、僕が不要ということですか・・・?」



捨てられた子犬の様に目を潤ませ、上目づかいで私を見てくる。何故か彼のお尻に尻尾がついていて、その尻尾が垂れ下っているようにも見えてくるから不思議だ。



「い、いえ・・・。その、え~と、」



どうすればいい!?私はどうすればいいの!?


女子全員に反感を買ったといってもいい。明日からどうやって生活していけばいいの・・・。



「あの、私お手洗いに行ってきます!」


無理やり理由を作ってイスから立ち上がって走り出した。




__________________________________________________________




「はぁ~・・・・」



とぼとぼと行きたくもないトイレまでやってきた。


女子トイレの真ん前でカップルと思しき男女がイチャイチャしてる。



「チッ・・・」なんて憎たらしく舌打ちをして、「ちょっとごめんなさい~」と声をかけた。



「斎さん!?」



イチャイチャしていたのはお色気ムンムンの上級生女子と斎さんだ。



「おやぁ~、これはゆかちゃん♪」


いつも通り飄々とした様子の斎さん。少しムカつく・・・。



「ちょっと来てくれます!?」



彼の首根っこを無理やり捕まえて女子トイレに連れ込む。相手の女が「ちょっと・・・」なんて言っていたが気にせずずんずん進んでいく。


内側から鍵をかけ、誰もいないことを確認する。



「聞きたいんですけど、どういうことですか!?久賀先輩は私のことを宮子さんだとは間違えていないし・・・・」



「う~ん、何いうか~・・・」



「はっきり言ってください!!」


ここまで来たらしっかり説明してもらおう。



「たぶん聞いたらショック受けるかも~・・・」



「いいです!!」



少し考え込んだ後、真面目な顔をして答え始めた。



「ボクと雅は吸血鬼なんだ」



「は!?」



「まぁ、話を聞いてよ。どうして雅が君にあれほどまでに従順に従うのかというと、遡ること平安時代までになるんだ」


斎さんの離していることが理解できない・・・。吸血鬼?平安時代?



「ボクと雅が一番最初に生まれたのは平安時代で、その時君は内大臣の御息女だった」



「はぁ・・・・」



腕を組み、洗面台に寄りかかりながら話す斎さん。彼の言っていることはとても信じられないが、これが本当なら・・・。



「ボク達は動物に変化する能力を持ってるんだ。それで小さかったボクと雅は犬に変化して遊んでた。町の人たちに餌を貰ったり、子供たちと遊んでたりして楽しんでたんだ。でも、いつの時代にも悪ガキっていうのはいるもんでね、そいつらの所為で雅は足に怪我を負った」



「怪我を・・?」



「ああ。そこで君の登場だよ。おしのびと称して女房達と町に繰り出していた君は、雅を見て可哀そうに思ったんだろう、家に連れ帰って自ら看病をしていたよ。雅は彼女の飼い犬として怪我が治ってもしばらくの間は屋敷に留まった。でもふらっと戻ってきて、ボクに言ったんだ。



『僕は彼女に助けてもらった。このご恩をお返しするために、彼女に仕えたいと思う』



ってね。その後ボクの言葉も聞かずに彼女の従者として働き始めたよ」



「・・・・それが、私になんの関係があるんですか?平安時代の私に久賀先輩は借りを返したでしょ。それで話はもう終わりじゃないんですか?」



「それが終わりじゃないんだよね~☆あの時代には珍しく、君は誰とも婚姻を結ばずに仏門に下ったんだ。殊勝にも雅に操立てしたみたいだよ~」



それって、身分違いの久賀先輩を愛して、誰とも結婚せずに尼さんになったってこと?



「あの時代はお姫様と従者が結婚するなんてありえなかったからねぇ~。しかも、厄介なことに雅は君の血を飲んじゃったみたいなんだ」



「血を飲むのがそんなに悪いことなんですか?」



「ボク達吸血鬼は、漫画や映画みたいに何千年も生きたりはしないんだ。人間と同じように70~100年くらいが寿命だよ。でも、何回も何回も生まれ変わる。それに、色んな人の血を吸ったりはしない。たった一人の血を吸うだけなんだ」



「それが・・・?」



「そう、君」



頭が混乱してきた。私は平安時代の女性の生まれ変わりで、久賀先輩は吸血鬼で私の従者で・・・・。



「相手の血を吸うってことは、契約と同じなんだ。もうあなただけの血しか飲みません~っていう感じの。血を吸われた方はその吸血鬼と一緒に何度も何度も生まれ変わる。そして、また巡り会って結ばれるんだ」



「じゃあ、もしかして宮子さんは・・・・・私の前世?」



言ってしまった後で後悔した。そんなことあるわけない、あるわけないと否定する。



「そう。ひとつ前の君」



「・・・・・・・・・・・・・、」



『前世について』っていうテレビ番組を見たことがある。その時私は「そんなんあるわけないじゃん~」って馬鹿にしてた。



「聞かない方が良かったでしょ?もし知らなければ、君はただの雅の恋人でよかったんだ。知らぬが仏って言葉もあるんだよ?」



悪いけど、私は漫画やアニメのヒロインみたいに「私は受け入れます」なんて言えない。私は普通に両親に愛されて、色んな人との出会いを経てここにいる。それなのに、このことを受け入れてしまったら何の意味もなかったことになってしまう。



「悪いですけど、私、帰ります」



途切れ途切れに単語を紡ぎだして、うつむきながら歩き出した。





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