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第四話 嵌められた!?






「あの~、何してるんですか、これ・・・?」



「ん~?何って、お化粧☆」



私は斎さんによってお化粧をされている。さっき無理やり彼に自室に連れ込まれ、何故かあるメイクボックスから取り出された様々な道具によって。



「よし、次はこの服を着て☆」


彼が手に持っていた白地に薄桃色の花が描かれたワンピース。お嬢様が着るような愛らしい物。しかも、ノースリーブ!



「む、無理です!私、ノースリーブなんて着れません!」



腕の肉が・・・・・・。



「う~ん、宮ちゃんの方がスタイル良かったかもなぁ。でも、別に気にするほどでもないよ☆」



ほらほらと促され、脱衣所に押し込まされた。なんで私がこんなものを・・・・!!


手に持っているワンピースをじっと見る。やっぱり可愛いなぁ・・・。

結構な可愛いもの好きである私は、この可愛さに負けて着てしまった。




「着てみました・・・・・」


脱いだ制服を手に、脱衣所のドアを開ける。



「うわぁ・・・・。やっぱ宮ちゃんだぁ~」



さっきから気になっていたが、『宮ちゃん』とは誰だろう・・・。



「あの、『宮ちゃん』って誰ですか・・?」


斎さんは目を細め、さっきまでとは違った表情を見せた。



城内宮子きうちみやこ。君にそっくりな女の子」



「私に・・・・?」



「そう。君に本当に似ているんだ。ゆかちゃんを見たとき、宮ちゃんが戻ってきたのかと思った」



自分にそっくりな女の子・・・。まったく想像できないが、斎さんの様子から見ると嘘じゃないんだろう。



「じゃ、この服とかお化粧とかは・・・?」



「宮ちゃんにもっと近づけるためにね。彼女みたいに髪をウェーブさせて、彼女が好きだったそのワンピースを着てもらったんだ」



なんで私にこの服を着せて、お化粧を施したのかは分かった。でも、なんで私を彼女に近づけさせたの・・?




「それで、君にお願いがあるんだ~。この台本通りにやって☆」



渡された紙には『出会いの季節~春~』と書かれていた。


ペラペラとめくり、中に目を通していく。すっごいことに気付いたが、この相手役ってもしかして・・・・・・。



「生徒会長の久賀雅で~す☆」



やっぱり・・・!無理、無理だよ!!入学式から四日しか経っていないけど、彼の人気の凄さは分かった。

廊下を歩けば女子生徒が何十人と彼の後ろをついて歩く(目がハート)。彼が体育の授業でサッカーを校庭ですれば、どのクラスも見入ってしまって授業にならない、らしい。



私はあんな美形すぎる美形に近寄りがたいオーラを感じ、まったく見たこともない。




「こんなの、その宮子さんにやってもらえばいいじゃないですか!私には無理です、か、帰ります!」



制服を手に持って、捕まらない様に速めに歩いて出て行こうとする。



「宮ちゃんは、この世にはもういないんだ・・・。元々身体が弱くってね、病院で息を引き取ったよ」



「え・・・・?」



「雅と宮ちゃんは恋人同士だったんだ。誰が見ても本当に幸せそうでね・・・。宮ちゃんが亡くなった後、雅は何度も何度も自殺を図って、もう生きているのさえ辛そうだったよ・・・」



そんなことが・・・。



「だから、少しでも雅の嬉しそうな顔が見たくって、こんなことしちゃったんだ・・・。ごめんね、勝手に先走って・・・」


飄々とした雰囲気はもう無く、友人を思う悲しそうな表情をしていた。



「いえ、私こそ、そんな背景があったなんて知らなくて。私でよければ、」



「よっしゃ~☆雅はいつも生徒会の仕事が終わった後にさっきの桜の木の場所に行くんだ~。今日は6時半には終わるって言ってたから~」



え、さっきまでの哀愁漂う斎さんはどこ!?もしかして私、嵌められた!?



「ちゃんと演じきってね~☆」



ニヤニヤと笑う姿は悪魔のよう・・・。







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