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第二話 オタク受けする同居人



「第64代生徒会長、久賀雅くがみやび



何事もなかったかのように生徒会長として新入生への歓迎の言葉を述べたあの秀麗な男は、女子生徒からの黄色い声援も気にすることなどせず、コツコツと音を立てながら階段を降りて行った。




私、高嶋紫たかしまゆかりは第一志望であるこの「白崎高等学校」に合格し、今の入学式に出席している。


私の入学理由?それは・・・・・・・




この愛らしい愛らしい制服を着ること!!!!




ブラウスは一般的な学校と違って、それ一枚でも十分可愛らしい胸元にフリル付き。そして、私が一目惚れしたのはスカート!高校制服の領域を超えたナポレオンプリーツスカート。赤と黒のチェックに、学校名を英語表記にした時の頭文字「S」が入った金色のボタン。


これは制服の中の制服、「クイーン・オブ・制服」と私はひそかに呼んでいる。


もちろん自分がこの制服が似合わないのは知っている。でも、どうしてもこの制服が着たくて本気を出して勉強した。                                       




この制服目当てか、はたまた国内でも上位の名門校であるからか、倍率はとてつもなく高い。世の中は都立志望が高まっているというのに、この学校はどこ吹く風だ。



毎日毎日寝る間を惜しんで勉強したのは、あのとてつもなく可愛い制服を着るためだ。



合格通知が来た時は何が起きたか理解できなかった。母親と父親は合格通知を見て大喜び。玄関で抱き合っていた。




制服の採寸の前日は喜びで眠れなかった。行ってみて驚いたが、なんと美男美女の多いことか。やっぱり頭の良い人は顔も良いんだ~と劣等感を感じた一日であった。












そして、今の入学式に至る。



イケメン生徒会長の歓迎の言葉が終わると、これで入学式は終了だ。




この学校は都外から来る生徒に考慮してからか、全寮制である。前日か当日に入寮すれば良いので、私は昨日の内に荷物をすべて運び終え、荷ほどきも終えてある。



昨日は私の同居人となる人はいなかった。少し寂しかったが、少しほっとした。



私の中での寮のイメージは、結構狭く、その中に大人数でぎゅうぎゅう詰めに暮らすであるが、この学校の寮はまったく違っていた。



二人用の部屋には女の子らしい花柄のベッドカバーのベッドが二つに、デスクと呼ぶにふさわしい机が窓際に二つ、中央にはピンク色の毛足の長い円型のラグが敷いてある。


備え付けのワードローブは清潔感の漂う白色。扉を開けると全身鏡が付いている。





初めて入った時の感想は、「何ここ!?私の理想の部屋!?」である。



自分の部屋よりも広く、しかも趣味の良い家具ばかりの素敵部屋に圧倒されっぱなしであった。




__________________________





昨日貰った鍵で扉を開け、部屋の中に入る。新しい同居人はもう来ているだろうか・・・・。






・・・・・何この可愛い生き物は!?



私のベッドに寝ていたのは身長が150センチ程度の小さな小さな女の子。前髪パッツンで、太ももまで美しい漆黒の髪は伸びている。


オタク受けしそうな子だわ・・・・・。



彼女のことを観察していたら、目を覚ましてしまった。




「ごめんなさい、起こしてしまったわね」


目をこすりながら眠たそうな顔をして体を起こす動作は世に言う「萌え」である。



「貴女、誰?」


少し舌ったらずに喋るのも合格点物だ。


「私は、高嶋紫。この部屋の住人で、この高校の一年生。貴女もそうでしょ?」


小さく頷く。さらさらの髪が流れるように動くのも愛らしい。



「私は、野宮紅のみやべに。よろしく」



普通はいなさそうなアニメっぽい名前なのも良い!!


単語単語を区切ってしゃべるところは『不思議ちゃん』キャラっぽそう・・・。




「・・・・・・で、この荷物はどうするの?」


自己紹介が終わったところで、今朝までは綺麗に整頓されていた部屋の中を見渡した。



紅ちゃんの荷物らしき段ボールがいたるところに置いてある。どれも封が切られておらず、手をつけた様子が全く見られない。




「手伝うわ・・・・・・・」


そう言った瞬間の紅ちゃんの顔を見せてあげたい。目がさっきまでとは違い、一瞬にしてきらきらと効果音が飛びそうなほどになっていた。



周りを見渡して大きくため息をつく。夕飯までには終わるといいなぁ・・・・・・。












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