詩: 湯呑の底をあらう
掲載日:2026/03/09
湯呑みの底に
昨日のわだかまりが
ちょこんと沈んでいました
指でつまんで捨てようとしたら
向こうから言ってきました
「そんなに気にしてたの?」
なんだ
わたしのほうが
ずっと大げさだったみたいです
台所の光は
いつも通り淡々として
猫はあくびをし
世界はわたしの機嫌なんて
知らんぷりで回っています
だからもういいんです
湯呑みを洗って
胸の底もついでに洗って
新しいお茶を淹れましょう
ひと口すすったら
ああ おいしい
わたしは今日も
ちゃんと生きています




