やらかしました〜コロニー内は未だ走らないタチアナ〜
——インタビューも四回目となりましたが、今回も快く応じてくださり有り難うございます
タチアナ(以降タ)「こちらこそ、楽しみにしていますのでお気になさらず」
——さてとうとう月からコロニーへ行くことになりました
タ「はい。ここでは、やらかしらしいやらかしが有りませんね」
——珍しいですね(^^;
タ「実際にはやらかしを判断できる文言が無いだけだと思いますけど」
——と言うと?
タ「例えば、月面からコロニーへの転位ですが、月面から見て最終速度が秒速約1000m、東の宙へ60°の角度で打ち上げる事になるのですが、そういった描写がありません。
前回同様、約2Gの加速度で加速したとすると、50秒程掛りますが、この記述もありません。
そして、この50秒の間に25000m程の距離を走る事になりますが、これについても触れられていません。
なにも書かれていないので、やらかしが見えていないんです」
——おお、なる程。見えないやらかし、ですか
タ「はい、見えないやらかしです」
——序でといってはあれですがお聞きしたい事があります。『月の裏側はL5、表側はL4が近い』という意味の発言がありましたが、どういう意味でしょうか
タ「前々回のカーリ宇宙基地からの打ち上げウィンドウの話と似ているのですが、今度はカーリの代りにコロニーを考える事になります。
L4、L5はラグランジュ点と言われる特別な宙域になります。月の軌道を真円と仮定した場合、L4、月、地球は正三角形の其々の頂点の位置にあります。前々回の図で見れば、月と地球、そして左側にL4があって正三角形を作るイメージですね。L5は逆に右側にあって同じく正三角形を作ります。
——正三角形の角はどれも60°で、月も、L4、L5も同じ軌道を反時計回りに回っているので、L4は月の前方60°の位置、L5は月の後方60°の位置にある訳ですね
タ「はい。三つとも進む速さは同じで、その方向だけが違います。月を一番上に考えて、更に月の進む方向を0°とし反時計方向に角度は増えるとしましょう。
月の進む方向は勿論0°です。これはそういう風に角度の基準を取ったからです。この時L4の進む方向は60°、L5の進む方向は300°、或はマイナス60°になります。
——ふむふむ(頭の中でΓを三つ引っくり返してみる)はいそうですね。
タ「この三つの速度を矢印で表わしましょう。進む方向に矢を向けます。速さは同じなので長さも同じです。そして三つの矢印の根本を一致させます。その後、矢の先端を結ぶ線を引きます。どんな形ができるでしょう」
——一本が真横で左向き。一本が左下向きで60°。残る一本が左上向きで60°。先端を線で結ぶと……正三角形が二つできますね
タ「下に頂点がある方(▽)が月─L4、上に頂点がある方(△)が月─L5に対応します。そして最後に引いた二本の線が、月⇔L4(▽の方)と月⇔L5(△の方)の転位で必要な速度になります。
——ははあ。月からL4へは▽の天辺が月の速度で右の斜辺がL4の速度だから、左の斜辺の下向きになる様、月から打ち上げれば良い訳ですね
タ「その通りです。先程申し上げた通り秒速約1000mで120°の方向へ打ち上げれば良い訳です。120°というのは先程決めた、月の進行方向から反時計回りに、という意味です。
さて、120°の方向へ打ち上げるためには月の表と裏、どちらが有利でしょう」
——それは……表、地球側ですね。反対側、裏だと月面を掘り進んでいかなければいけません
タ「そうです。それが月の表がL4に近いという意味です。逆に月の裏がL5に近いと言う事になります」
——月面を掘ってマスドライバーを建設しないかぎり、という事ですね
タ「(小悪魔的笑みを浮べ)あるいは、直上に加速してから月面へ打ち込まなければ、という事です」
——冗談は止めて下さいよ(汗
タ「冗談だとお思いですか? 次々回では……」
——それは、またその時に(ネタとして取っといて下さい)
やらかし……ました? ごめんさい。?rz




