やらかしました〜宇宙基地を走るタチアナ〜
——インタビュー2回目、宜しくお願いします。
タチアナ(以降タ)「こちらこそ宜しくお願いします」
——この話のヴェロニカ隊長の台詞に違和感を覚えたとお伺いしましたが……
タ「はい」
——具体的には?
タ「彼女との車内での会話で、『物資をこれから最大24時間、一時間おきに打ち上げる』と発言していますが、これ相当の危険を犯さないと無理なんです。結果的に、RTO軍の侵略が直後に始まったので、実施される事はありませんでしたが」
——相当の危険というのはどんな事でしょう?
タ「簡単に言うと、地面に向ってコンテナを発射する、という危険性です」
——それは随分と危険な事に思えますが、何故そうなるのでしょうか?
タ「まず、図を思い浮かべて下さい。地球が真ん中にあります。そして地球を中心に円を描きます。この円を月の軌道とします。簡単の為に月は真上に置きます。そしてカーリ宇宙基地を地上で一番月に近い場所にあるとします」
——はい、なんとなく分ります。上から、月、カーリ宇宙基地、地球の中心が一直線に並んでいる形ですね
タ「そうです。月は軌道上を反時計回りに毎秒約1000mで回っているとします。正確にはもっと速ですが、あくまでイメージを掴むためという事です。この時カーリ宇宙基地は毎秒約400mで反時計回りに動いています。これも本当はもっと速いですが。月と宇宙基地は同じ方向に動いてます。
この位置関係にある場合、カーリ宇宙基地で地上に対して毎秒約600mの速さで反時計周りの方向に物を打ち上げれば、合計で毎秒約1000mになって、月との速度差を埋める事ができます」
——成程? それで?
タ「6時間後を考えます。月は位置を変えないとしましょう。変わったとしても考え方は同じですから。この時、カーリ宇宙基地は地球の左端にあります」
─月、カーリ宇宙基地、地球の中心で直角三角形を作る訳ですね。斜辺が左で、地球の中心で直角になる
タ「カーリ宇宙基地で考えると、月は左に毎秒約1000mの速さで、そして自身は下に毎秒約400mの速さで動いてます。この二つの動きは直角に交わっています。この二つで直角三角形を作って斜辺の長さを求めると、1000x1000+400x400の平方根、三平方の定理ですね、なので毎秒約1077m、打ち上げ角度は西の空へ約70度になります」
——すると次は12時間後、月、地球の中心、カーリ宇宙基地が一直線に並ぶ時ですが、宇宙基地が月から一番遠くなる場合ですか?
タ「その通りです。月とカーリ宇宙基地は正反対の方向に動きます。なので、カーリでは毎秒約1600mで西に打ち出す事になります。
そして18時間後、宇宙基地が地球の右端にきます」
——6時間後の三角形が、月と地球の中心の位置は変えずに裏返しになった訳ですね
タ「カーリ宇宙基地は上へ、月は左へ動きますが宇宙基地に立つ人から見るとその方向は真下、つまり地面の方向になります。速さ毎秒約1077mで地面に向って約70度の角度で打ち出す事になってしまいます」
——(冷や汗)……となると
タ「カーリ宇宙基地の加速器の規模にもよりますが、打ち上げに失敗した場合、音速の3倍近い速さでコンテナは地面に衝突する事になりますね。被害は甚大な物となるでしょう。
つまりロケットの打ち上げとは異なりますが、それでも発射ウィンドウがある訳です。そこ迄考えてなかったんでしょうね……
同じ事は、コロニーからの発射についても言えて……」
——(わたわたと)それはまた、後日に。本日も有難うございました。
やらかしました。ごめんなさい……orz




