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旅は道連れ!

 ベッドルームに戻った途端、ミーヤちゃんはテンちゃんを追い出し、獲物を見つけた猫みたいな素早さでこちらへ詰め寄ってきた。

 そして勢いよく袋を突き出す。

「メイジェちゃん、ハイこれ!」

 圧が強い。何そのキラキラした目。絶対に変なお洋服入ってるでしょ。

 恐る恐る袋を受け取り、中身を覗くと――赤い布が目に飛び込んだ。

「ん?……バニーガールの衣装?」

「これに! 着替えて! 頂戴!」

 ミーヤちゃんの鼻息が荒い。肩で呼吸してるし、目だって完全にキマっちゃってる。

「なッ、 なんで?」

「宇宙人達に、地球人類の叡智を示すのよ!」

「叡智どこ?」

「This one!!」

 バニー衣装を指差し、胸を張って得意げに言い放つ My GOD。

 いや確かにバニーは攻守ともに最強だけど、叡智かと言われると……。

「え~、でも“還元”でボロボロになっちゃうんでしょ?」

「大丈夫! 特別! 心配ナイヨ!」

 急にカタコトになるのやめて。怖い。

 念のため、バニー衣装の端を“還元”してみる。……変化なし。

 どうやら本当に特別製らしい。

「すごっ! ……でも、もっと温かそうな普通の衣装が良かったな」

「コレしか用意して無いわ。 温かぁ~い素材で作ったし……それに宇宙空間じゃあ下から覗かれちゃうかもしれないわよ?」

 それは駄目でしょ!

 生の“おちんちん”丸出しで戦うなど……これでは人に品性を求めるなど絶望的だ。

「……わかった。 着る」

 渋々バニー衣装に手を伸ばす。

 ――バニー衣装って下着はどうするんだろう……。 ブラは……衣装にカップが縫い込まれているから必要無さそう。

「ミーヤちゃん、パンツは?」

「あるでしょ? ほら、そこに」

 ヒモの長い……巾着袋?

「これ?」

「そうそう、この袋の部分に“おちんちん”を入れてヒモを腰で縛るのよ」

 パンツェ……

「パンストだから直穿きでもいいのよ? まぁコレは直穿き用ではないけどね♪(ニチャア」

「…………」

 ニヤつくミーヤちゃんの視線を感じつつ、黙って巾着袋を装着。

 続いて白の厚手パンティストッキング、赤いバニースーツ、ふわふわの大きな尻尾。

 黒い蝶ネクタイ付きの襟とカフス、ピンと立つうさ耳。黒のローヒールパンプス。

 着てみると、明らかにわたしの体型に合わせて作られたと分かる。

 胸はぴったり、下腹部には専用カップが入っていて“おちんちん”が安定して収まり……。

 ――いや、ポロリ防止は助かるけど!

 付いてるのバレバレじゃん!?

「カアァァァーッ!……ハアァァァーッ!」

 ミーヤちゃんは言語野をやられたらしく、官能的なV10サウンドを披露している。

「もっこりしてるの、恥ずかしいんだけど……」

「ア゙ハァッ!あ゙ハッ! だ、大丈夫! 堂々としてれば気が付かないわ!」(サムズアップ)

 気付くよ。絶対気付くよ。

「うう……でもさ。外に出たら上半身が寒いんじゃないのコレ?」

「バニー用の燕尾ジャケットもあるから♪」

 差し出されたジャケットを羽織って鏡を見る。

 ――あ、かわいい。これなら……まぁ、いいか。


 ベッドルームを出ると、テンちゃんが仁王立ちで待ち構えていた。

『なっ⁉ お嬢!』

 テンちゃんはわたしの姿を見るなり、すごい勢いでミーヤちゃんに詰め寄る。

 ――そうそう、テンちゃん、ビシッと言ってやって!

『ミーヤ! バニー衣装とか最強かぁ!』

 二人はガッシリ握手した。

 味方はいなかった。

『でもなぁ~』

 テンちゃんが何か言い淀む。

 わたしが「どうしたの?」と言うと同時に、燕尾ジャケットを“収納”へ。

「ッ⁉ テンちゃん⁉」

『俺にも、譲れないところがあるんだよ』

 両袖を広げ、ふわりとわたしの肩へ――

 半纏バニー、爆誕。

 燕尾バニーも魅力的だけど……やっぱりテンちゃんは別格だ。

 ――なじむ。実に! なじむぞ!


 外に出て、入り口の姿見鏡で身だしなみの最終チェック。

 テンちゃんが姿見鏡を“収納”して準備完了。

 ミーヤちゃんが言っていたけど、拠点の入り口が姿見鏡なの、便利だね。

「カチコミって、行き先を知らないんだけど、どこに行くの?」

「ユルナちゃんの記憶では……真上。高度4万キロ辺りに艦隊が展開してるみたい」

 ミーヤちゃんが指先で空を示す。まるで『ちょっとそこまで』くらいの軽さだ。

「そこに、この星域の責任者が居るらしいわ」

『その責任者って奴に会ってオ・ハ・ナ・シするのが作戦目標ってわけだな』

「ちなみにね、その責任者って……プリミヤちゃんのおばあちゃんなんだって」

 ――へぇ、プリミヤちゃんって実は良家のお嬢さんだったんだ。

『孫を戦地に送り出すなんて……胸が痛ぇ話だな』

「航星帝国では、初戦には高官の身内を出すって決まりがあるらしいの。だから、ある意味避けられなかったみたいよ」

『ノブレス・オブリージュってやつか? 偉い立場の人ほど、まずは自分から義務を果たすって話だな』

「その制度のおかげで、軽々しく戦争を始めないための抑止にもなってるみたいね」

「ふーん。…………ねぇ、そういえばユルナちゃんって今どうしてるの?」

 拠点の中でも姿を見かけてない。

『そうだな。中にいる気配もしねぇし……どうしてんだ?』

「ユルナちゃん? ユルナちゃんは今、私の巫女になるための修行をしているわ」

「『はぁ?』」

 巫女ってなんだ⁉

 思わず、怪訝そうな表情をすると。ミーヤちゃんは慌てて弁解し始める。

「だって、航星帝国人で初めて私を“神として認識”してくれたんだから! 本人だって乗り気……だったし? それにっ! プリミヤちゃんの魂だって救い上げてあげたんだから。ちょっとぐらい特別扱いしてもいいでしょ?」

 いや、乗り気って……ユルナちゃん本気⁉

 この神、だいぶ“アレ”なところあるよ⁉

「……巫女って、何をさせるつもりなの?」

「ええっと……私達のお手伝いとか……身の回りのお世話とか……そのへん? ほッ、ほら、低身長、巨乳、眼鏡、ショートカット、巫女服エルフとか……見たいでしょ?」

「見たい!」

『…………それで? 巫女の記憶を覗くのも主の権利ってか?』

「記憶を覗くのもちゃんと許可をもらって、必要なとこだけ見てるんだからね?」

 言いながら、完璧に目が泳いでいる。

「本当にぃ?」

「ホント、ホント、ウソイワナイ」

 嘘だ! 絶対全部見てるぞ!

「…………修行って、何をさせてるの? 荒行とかじゃないよね?」

「写経がメインね。精神的には辛いかもしれないけど……でも、この修行を終えればユルナちゃんは立派な巫女よ」

「“写経”て、経典を一字一字ていねいに書き写す行為のことだよね?」

「そうそう、今はドランゴボールを写経しているところよ」

「『…………はぁ?』」

 巫女ってなんだ⁉


『……それで。高度四万キロまでどうやって上がるんだ?』

 テンちゃんが思考を放棄して現実的な疑問を投げる。

「これに乗って行きましょう」

 どーん、と出てきたのは2メートル級のカカオ再登場。

「これとメイジェちゃんの重力魔法があれば余裕よ」

『ああ、中身の濃縮マナを燃焼させて飛ばすやつか、でも途中でカカオのマナが尽きるんじゃないか?』

「マナを供給すればいくらでも飛べるわ」

「すっごーい! 天然のロケットエンジンだね!」

「それに、途中で壊れちゃってもあと7本もあるから何とかなるでしょ。 そうだ、テンちゃん。実の形を整えてくれない?」

『任せな!』

 テンちゃんは、7本のカカオを受け取り“収納”。すぐさま表面を整えたカカオを1本取り出し、わたしの足元へ。

「どうすればいいの?」

「サーフィンとかスノーボードみたいな感じで、重力魔法で足の裏に固定して。飛ばすのは私がサポートしてあげるわ」

 ミーヤちゃんを小脇に抱え、教わった通りに重力魔法でカカオを足裏に固定。地面からの重力を断つと、フワッと浮き上がった。

「レッツラゴー!」

 掛け声と同時に、カカオのヘタ部分から“濃縮マナ”が噴き出した。

 ――ゴオオオオッ!

 耳が痛くなるほどの轟音、視界がビーッと震えて、あっという間に大地が遠ざかっていく。

「あばばばッ! 早いッ! 早すぎるッ! 風が! 顔が! ちょっとッ! ちょっとスト――ッぷ!」

 ――ピタッ!

 世界が、嘘みたいに静止した。

 さっきまで猛スピードで流れていた景色が、空中でカチリと固定されている。

『うぉ、止まれるんかぁい!』

 テンちゃんが反射的にツッコむ。

「ゴメン、ゴメン。出発前の準備、完璧に忘れてたわ」

 ミーヤちゃんは悪びれた様子もなく、指先をひらりと振って魔法を使う。

「――はい、これで良し!」

「魔法を使ったのは分かったけど……何か変わった?」

「見えないけど、私たちの周りに空気の層を作ったのよ。これで風の影響は受けないし、宇宙でも普通に息ができるわ」

『……あのまま宇宙まで行ってたら、窒息してミイラコースだったじゃねぇか。 頼むぜぇ……事前に言ってくれ……』

 ――あぶなぁ。

 本気で危なかった。わたしがしっかりしてなきゃ駄目だね、これ……。


 気を取り直してもう一度、ゆっくりと加速。

 今度は身体が置いていかれる感じもなく、ふわりと空を滑る感覚だけが残る。

 風圧ゼロ。 髪も顔も乱れない。

 なのに視界だけは超高速で流れていき、眼下の大地がぐんぐん縮んでいく。 

「うん、快適! ミーヤちゃん、BGMは『Blues Drive Monster』でよろしく!」

「ええぇ⁉ そこは『Twilight』でしょ?」

 宇宙へ向かって飛び立っている最中だというのに、なぜか始まるBGM論争。

『……なぁ、これ本当に戦いに行ってるんだよな?』

 テンちゃんのぼやきをよそに、わたしたちは空を滑り続ける。

 さながら行きの遠足バス。

 ただし、目的地は宇宙である。


 気づけば、さっきまで「地面」だったものが、いつの間にか「風景」になり、風景はやがて「地図」みたいに縮んでいく。

「……おおぉ」

 思わず声が漏れる。

 さっきまで平らだった地平線が、少しずつ、確実に丸みを帯びてきた。

 高度が上がるにつれ、大地は確実に、ゆっくりと弧を描き始めていた。

 平面だったはずの景色が、巨大な球体だと主張し始める。


 眼下に広がる青い星を見下ろしつつ、ふと思う。

 ――“地球は青かった”的な名言を吐きたいけど……この星の名前わかんないや。

「ミーヤちゃん、この星って何て名前なの?」

「今はルブナ・ディールって呼ばれてるみたい。ルブナは星域を制圧したプリミヤちゃんのおばあちゃん――ヴェル=ルブナ・エラリス。ディールは契約って意味らしいわ」

『へぇ~、その前は?』

「さぁ? 星の名前なんて、ころころ変わるからいちいち覚えてないわ。支配してる奴らが勝手に呼んでるだけだし」

 ミーヤちゃん、めっちゃ上位存在感ある!

「テンちゃん、朝ご飯食べ損ねちゃったからお腹すいちゃった、何か食べるものない?」

 上位存在感……

 テンちゃんがミルクレイン名物、ミルク饅頭を出してくれたので、一緒にモグモグ。

 ミーヤちゃん、ミルク饅頭のモチーフはわたしの胸だけど、わたしの胸をガン見しながら食べないで⁉


 20分ほど飛んでいたらカカオエンジンのマナが尽きてしまった。

 今は私のマナで飛んでいる。結構、燃費悪いね。

「ねぇ……もし今、マナが尽きたらどうなる?」

「マナが尽きたら? そうね……メイジェちゃんの場合、実体を失って、思念だけが宇宙の彼方へ飛んで行くわ。宇宙にもマナはあるから、いずれ再生できるけど、まぁ……永久の孤独を味わう事になるわね」

「ミーヤちゃんとテンちゃんは?」

「メイジェちゃんのマナが無ければ、私とテンちゃんは、そのまま星の重力に引かれて大気圏で燃え尽きるかしら? どうして?」

「わたしの中にマナがどれ位残ってるのか、わからないからちょっと不安になっちゃった」

『今朝、ステータスって唱えて確認しようとしてたもんな』

「残念だけどこの世界、ステータス制じゃないから……」

「そんなぁ~」

 この瞬間、わたしの“おちんちんナイナイ計画”は暗礁に乗り上げてしまった。


***


 出発から30分、高度36,000 km。

「あれ?」

『どうしたお嬢?』

「見てるヤツ!復活してる⁉」

 ミーヤちゃんのゲップで撃退された“何か”の気配を感じる。

「あら……ほんと。 直されちゃったみたいね」

『どうすんだ?またキッタねぇゲップで退場させるのか?』

「乙女の噯気(あいき)を“キッタねぇ”とか言わないでくれる⁉」

「『…………』」

 ――いや汚いし、お下品ですワヨ!

「……どうせだから、挨拶していきましょう」


 そう言って、ミーヤちゃんが指先でくいっと方向を示す。

 進路、微調整。

 わたしたちは、ゆっくりと“見てるヤツ”へ向き直った。


「むむッ! そろそろ撃ってくるわ、メイジェちゃん!」

 ――う、撃ってくる⁉ 攻撃してくるの⁉

「う、うんッ!」

 ――メジェドモードへ移行。

 さらに今回は、髪の一本一本に濃縮マナを纏わせる。

 触れたものを“還元”する、攻防一体フォーム!

『お嬢のメジェドモードへの移行タイムはわずか0.05秒にすぎない。では、移行プロセスをもう一度――』

「あっ! 光った!」

 視界の端が、きらりと瞬いた。

 次の瞬間、光の矢が一直線に飛来する。

 ――直撃。

 ……したはずなのに、衝撃は無い。

 光の矢は、私の身体をすり抜けた瞬間に分解され、還元され、粒子となって霧散した。

 

 熱エネルギーだけが、ほんのり残る。

 まるで、日向に出たときみたいな、じんわりした温かさ。

「わわわっ⁉ ……あれ? ……暖かいかも♪」

 ついでにマナも補給できるし完璧。

「ガハハハッ! 効かない!効かない!」

 ――“ガハハハッ”って……ミーヤちゃん、乙女の笑い声じゃないでしょうに……。

 間髪入れず、次の攻撃。

 今度は、追加でミサイルをしこたまぶち込んできた!

「納豆ミサイルだぁ!」

「無駄無駄ァ! テンちゃん、ミサイルは使えそうだから“収納”しちゃって」

『おうよ!』

 テンちゃんが袖を向けると、飛来するミサイルが次々と回収されていく。

「あれッ! “収納”できる範囲広くない⁉」

『なんか宇宙だと100メートルくらい行けるな。地上だと10メートルくらいなんだが……』

 テンちゃん本人も、ちょっと戸惑っている。

「地上だと空気が邪魔なのよ。今は私達の周りにしか空気が無いから、その分、距離が伸びてるの」

『なるほどねぇ~。なにはともあれ、このミサイルを使えば俺も戦えるな!』

 ――わたしの半纏、強すぎぃ!


 しばらくすると、攻撃がぴたりと止んだ。

 どうやら弾切れらしい。

「もう撃ち尽くしたみたいね。メジェドモード、解除してもいいわよ」

「はーい!」

 メジェドモードを解除して“見てるヤツ”を探す。

 攻撃こそしてこないけど、まだこちらを見ているようだ。

「……あ、みえた! アレ!」

 銀色に光る球体。

 直径2メートルほどで、そこから4本の棒が突き出ている。

 周囲には、真っ赤に焼き付いたビーム砲と、空になったミサイルポッドが漂っていた。

「本体は意外と小っちゃいんだね。R-TYPEのフォースみたい」

『スプートニク1号に近いかな』

 そんな呑気な会話を交わしながら、わたしたちは球体へと接近。

 そして、ピタッとへばり付く。


 ミーヤちゃんは、カメラらしき部分を覗き込み、満面の笑みでダブルピース。

「イェーイ! ルブナ提督〜見ってるぅ? 今から行くから、首を洗って待ってなさい」

 堂々の宣戦布告である。

「ほら、メイジェちゃんも」

「ええぇ……多分マイク付いてないよ? 宇宙だもん音が無いでしょ?」

「大丈夫。この子の通信回線、もうジャックしたから。向こうにはちゃんと聴こえてるわ」

「この子……? もしかして、中に誰か入ってるの?」

「人じゃないわ。人工知能が搭載されてるのよ」

「へぇ~」

『オイッ! エルフどもよく聞けッ! 50年もの間、よくもお嬢を石にしてく――』

「あっ、テンちゃんごめん。“念話”は聴こえないわ」

『…………』 


「……ねぇ、この子どうしよう?」

『“収納”しちまえばいいんじゃないか?』

「ちょっと待った。情報を抜くから、出しといで」

「え、連れて行くの?」

「ええ。一緒にね」

 そう言うとミーヤちゃんは、ためらいもなく球体の外装をすり抜けるように手を差し入れた。

 金属のはずなのに、抵抗はなく、まるで水面に腕を沈めるみたいに、すっと内部へ消える。

「抽出開始。……5分位かかりそうね」

『お前は今日からスプートニク(旅の仲間)1号だ!』

 

 その時だった。

「――何かが来る⁉」

 光点が一つ、二つ……いや、十を超えて増えていく。

「どうやら艦隊からお迎えが来たみたいね」

『インターセプター⁉ 宇宙戦闘機か!』

 無数の機影が、こちらを取り囲むように展開し始める。

「ヒト型のロボットじゃないのかぁ」

「残念でした。量産型の無人機ね」

 ミーヤちゃんは、どこか楽しそうに肩をすくめた。

「ぼやぼやしてると、どんどん増えそうね。さっさと行きましょ」

「はーい♡」

 わたしは球体を重力魔法で手に固定し、足元のカカオを踏みしめ発進。

 進路を艦隊へ向ける。


 艦隊のいる高度40,000kmまで――残り4,000km。

 もはや、艦隊とわたしたちを隔てるものは、何ひとつなかった。

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