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13.



悲鳴や怒号が飛び交う。


私は目を見開いて、呼吸を整えながら、背中に添えられたシグルド殿下の大きな手の温もりを感じていた。



貴族の人達の挨拶が終わり、舞踏会の開催を国王陛下が宣言して、私とシグルド殿下がはじめのダンスを披露しようとしていた時だった。


背後から男の暗殺者。私の前、つまりシグルド殿下の背中側からリアナさん。

二人が同時に私達に飛びかかってきて、男の暗殺者は即死魔法を、リアナさんが刃物を持って襲ってきた。


即死魔法は私とシグルド殿下の魔導具が発動して阻止され、男とリアナさんは私達の護衛騎士が取り押さえた。


シグルド殿下もつけている、魔力を抑える魔導具が男とリアナさんにつけられて、とりあえずは一安心で。



「どうして!? どうしてよ! その女さえいなければ……!」

「例え……たくもないけれど、カスミがいなくても、君を愛することはない。こんなことまでして……私は君を許せないかもしれない」

「殿下はその女に騙されているのです! 目をお覚ましになって!」

「連れて行け」

「はっ」

騎士達に暗殺者の男とリアナさんが連行されていく。


「カスミ、大丈夫か? 無事で良かった……」

「シグルド殿下……殿下こそ、お怪我は?」

「擦り傷一つないよ。カスミ……」



場は変わらず騒然としていたけれど、シグルド殿下に抱きしめられて、身体の力が抜けていった。






その後、リアナさんは貴族の罪人が収容される黒の塔に生涯幽閉されることが決まり、私の身の回りは取り敢えず落ち着いた。

でも、護衛騎士はきっちりついたままだ。


リアナさんは偽装した公爵の通行許可証で城に出入りしていたらしく、手引きしていた関係者もいるかもしれないということで。

油断は出来ない。


「カスミ。遅くなったけど、出来上がったから渡しておくね」

そう言ってシグルド殿下が私の腕につけてくれたのは、華奢なデザインのブレスレット。

透かし彫りの金属部分が神秘的。魔力を増幅させる模様だとかで、中央には青い魔石も輝いている。これで魅了魔法も怖くない、かな?



魅了魔法に限らず、シグルド殿下の魔力の問題を解消するための魔導具や魔法陣の研究や開発も進んでいるらしく、私が魔力の器の役目を果たせなくても問題なくなる日が来るかも、なんて話したりもしてて。


シグルド殿下はそれでも変わらずに愛情を注いでくれている。



「カスミも王族の一員になるんだな」

ブレスレットを見ながら、シグルド殿下が呟く。


「不束者ですが、よろしくお願いします」

「こちらこそ。二人で困難も乗り越えていこう」

「うん!」


私は笑顔でシグルド殿下を見上げる。


窓の外は気持ち良いくらいに晴れていた。

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