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11.



ああでもないこうでもないとシア妃殿下と話し合って少しすっきりした私は、夕方の城の廊下でふと立ち止まった。



「心配しすぎだよ……」


首にかかる魔導具のネックレスは、白い魔石がついたもの。

即死魔法回避、即死回避の魔法陣が刻まれたものだ。

シグルド殿下の贈り物で、即死回避だけじゃなく、即死魔法回避が付与されたものは珍しいんだって。


その効果が発揮されることがないように祈るけど、先のことはわからない。


「カスミ様?」


ネックレスを触っていた手を離して、呼び掛けるエマさんに明るい顔で左右に首を振った。


「何でもありません。行きましょう」

「? はい」



たまには一人になりたい時もあるんだけど、そんな時はどうしたらいいか、今度シア妃殿下に聞いてみよう。







広大な湖のほとりにある街をシグルド殿下と歩く。

気になったお店に寄ってみたりしながら、湖の方を目指して。



短い休みをもぎ取ったシグルド殿下は、私をこの街に誘ってくれた。

湖の近くの森の中に、離宮があるとかで。


今日は護衛の皆さんもつかず離れずで守ってくれていて。


ちょっと息抜きだなあと思いつつ、王都とは違う空気を吸い込んだ。



「ほとりをしばらく歩いたら、離宮に向かう?」

「そうだな。ちょうど疲れてくる頃だろう」

「良い気分転換になりました」

「私もだよ」


繋ぐ手にぎゅっと力を入れたら、それ以上の力で握り返された。


「痛い痛い」

「そうか? 悪い」


シグルド殿下と笑いながら、やっとたどり着いた湖の脇の舗装された道を歩く。


「カスミ」

「うん。なーに?」


桟橋から客船が出ようとしている。


私は立ち止まったシグルド殿下を見上げた。

繋いでいた手と反対の手も取られ、シグルド殿下の両手が重なる。


「私と、結婚して下さい」

「まずは婚約じゃなかったの?」


え、と驚いていると、ふと唇が重なった。


「もちろん、結婚を前提としたお付き合いからして欲しい。けど、その先も見据えてて」

「ど、ど……努力します……」


突然のことに挙動不審になりながらも、うんうんと頷いてみせた。

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