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月が照らす夜でまた会いましょう  作者: 下池結花
1章
1/9

プロローグ:月に照らされて



「はぁ……」


 まんまるとした月が照らす夜空を眺めながら、少女は溜息をついた。

 今は、遠くで輝く星を恨めしく思っていた。

 

 少女は暗殺者で、名はなかった。

 昔は様々な名で呼ばれていたが、今はもうその者達はいなくなってしまっていた。


(まさか、魔族領が死に場所になるとは……)


 現在、少女は主人のとある策略に巻き込まれ、死地に送られている。

 少女はまだ若いが、長年、陰謀や私利私欲のまじった世界で生きてきたせいか、今回の任務の裏の意味に気付いてしまった。

 だが裏の事情を知っていたとしても、少女にそれを断る理由は存在せず、むしろ戦いの中で死ねるのなら本望だとも考えていた。


 少女は端末の電源をつけると、一枚の不明瞭な写真と数行の文章が書かれたページを開いた。



――魔王軍幹部『四天王』オルマス



 ターゲットとなる男の名を、少女はまじまじと見た。


(実力値は不明、使用魔法は解析不可能、年齢不詳か……ここまで酷いのは初めてだ)


 仲間が命懸けで調べた情報だというのに、少女は呆れざるを得なかった。


 写真に写った男は若く、外的特徴は人間そのものだった。

 記録では、撮影者はデータの送信後行方がわからなくなっている。

 恐らく、オルマスによって殺されたのだろう。


(索敵魔法を警戒する必要があるな)


 この写真を撮った同僚も相当警戒していたはずだ。

 もしくは、オルマスの部下がやったのか。どちらにせよいつも以上に警戒する必要がある。


 少女は端末を閉じると握りつぶし、粉々になった破片を地面に捨て、踏み潰した。


(ただで死ぬ気はない)


 少女もプロの暗殺者である。

 何もせずに死ぬことは、彼女の暗殺者としての沽券に関わる。


 そうして、少女は多少のプライドと共に、木々の生い茂る森を一歩踏み出し、屋敷に足を踏み入れた。



読んでいただき、ありがとうございます


・誤字、誤字等の報告がありましたら、宜しくお願いいまします

・感想も受け付けております


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