勇者未来で待ってて！
うぅ…
頭が痛い…
あれ？
あたし酔ってる？そんな二日酔いになるぐらい飲んだっけ？
あたし 『もうお嬢様…お嬢様…ってさっきから誰？頭が痛いから静かにしてよ～』
メイド 『お嬢様…意識が戻られたのですね！わぁ～』
安堵の表情をして涙を浮かべるメイド服みたいなの着た美少女
とってもカワイイ
頭が痛いながらも目線がその子を追いかけて目が合う。
あたし 『なっなんてカワイイメイドさん！』
メイド 『お嬢様…どうなさいましたか？頭が痛いのですね。今すぐ医者を呼んできます。』
あたし 『えっ？なんか二日酔いみたいな痛みだから寝てれば大丈夫だよ～』
あぁぁ聞こえてないか 行っちゃった…
それにしても どうしてあたしは…
確か昨日彼氏にフラれて初めてお酒の力で全てを忘れてって
あれ？頭が痛すぎてまだなんか眠いや～
医者来るまでとりあえず、寝よう…
婦人 『先生うちの娘、イエレッタの具合はどうなんでしょうか？ペリーナ先程目覚めたっていうのは本当なの？』
ペリーナ 『はい、奥様本当でございます。頭が痛いとお嬢様はおっしゃってました。』
話し声で眠りから覚めたあたしは見知らぬ光景に唖然としていた。
あたし 『すみません！ここどこですか？あたしはどうしてここに…』
婦人、ペリーナ、医師の全員が絶句…
婦人『イエレッタ！何を言っているの？お母様よ！
わかるでしょ？あなた皇子の婚約者候補に…』
と続く言葉を遮るように突然ドアが豪快に開けられて入って来た男性に
いきなりキスをされた
男性 『イエレッタ！目覚めたか！』
良かった良かったとめちゃめちゃイケメンがあたしのことを抱き締めて頬擦りするので恥ずかしくって真っ赤になっていると医師が
医師 『メイヤー公爵様！イエレッタ様は目覚めたばかりです。過度な接触はまだお控え下さい！』
ようやくイケメンから解放されたあたしは、周りの状況を知ると言うより体がどうも眠りたがってまた眠ってしまった…
それから翌日の朝にスッキリ目が覚めた。豪華でフカフカのベッドから起き上がって見知らぬ世界にいると知ったのだった。
それから数日後
どうやらあたしは皇子の婚約者候補になり、喜んだ弾みで池に落ちて風邪を拗らせて高熱が続き命の危険を脱して目覚めたら記憶喪失に…と説明された。
なんて間抜けなんだろう…
ん？この設定どこかで聞いたことがあるような？
確か記憶喪失になった令嬢は性格が歪んで我が儘し放題
の悪役令嬢に…って
あぁぁ！これってゲームの『終わらない世界で君と出会う日まで』の設定ってことは、小説家になろうのなろう系によくあるゲームの悪役令嬢に転生してしまったってやつ！
ええ！
『本当にそんなことがあるなんて！』あっヤバっ！声大きかった！
ペリーナ『お嬢様お目覚めですか？お着替えをお手伝いします。』
あたし 『いいよペリーナ私たち同い年なんでしょペリーナが1人で何でも出来るのにあたしだけ手伝って貰わないと着替えも出来ないなんてなんか子供みたいで恥ずかしい自分で着替えるよ』
そうこの世界でのあたしは公爵令嬢！お金も地位もルックスも最高なのだ。
前世のあたしは日本人で
どうして死んだのかわからない
転生なんてして家族を悲しませてしまったなぁ
あたしは、ゲームの悪役令嬢…
なろう系の悪役令嬢は大抵ゲーム改編で皇子に溺愛されるとかのルートになったり
日本人だった時の記憶でその世界に無いことを発明したりと それが出来るなら
あたしは、ゲーム改編で皇子の心を掴むのではなく
婚約者候補を辞退してヒロインと仲良くして秘密の薔薇園の月の雫という薔薇の花びらの雫を飲んで不老不死になって勇者と魔王討伐に行く！
このゲームはダウンロードデータ更新によって2部構成になっている
2部のヒロインは性別が選択出来る。
1部のヒロインと皇子の子供が勇者となり謎の魔法使いとヒロイン若しくはヒーローと頼れる仲間を連れて魔王と戦うという物語に続いていく。
そしてこの謎の魔法使いこそ記憶を取り戻して全ての行いを悔い改めたイエレッタではないか？とファンの間では言われている。マルチエンディングのどれにも魔法使いは
『母のような優しい人 初恋でした。ずっと愛しています。』と勇者に言われていてその腕の中で息を引き取るシーンは
魔王討伐のラストに勇者を庇って死ぬ魔法使いの勇姿号泣シーン！
その後、勇者は1部のヒロイン…
つまり母親からあの薔薇『月の雫』の秘密を聞いて不老不死になって失った魔法使いの生まれ変わりを待ち続ける。ここでゲームのタイトル『終わらない世界で君と出会う日まで』のタイトル回収となり深いゲームランキング大賞を獲得する人気作品だったりする。
しかも2部のヒロインは勇者を攻略対象のルートを選ぶとどれもBAD ENDになる。
あたしはオバサンの魔法使いで勇者に片想いされて
しかも死亡ルートしかないなんて！あんまりだ！死にたくない！
勇者とHAPPY ENDを目指すよ！
あたし沢山修行して若くてすぐには死なない勇者を守れる魔法使いになるから！
勇者未来で待ってて！
と心に軽く誓うのだった…
まだ物語はこれから
準備万端で迎えたいね～
