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男爵令嬢の矜持


「まず、あなた。お名前は?」

ハリカの前で正座させられているのは、先ほどまでフラグ立てまくってマザコンに敗北した金髪にローズピンクの瞳のフラグ令嬢である。


因みに現在イシャンはハリカの厚意でお膝枕を体験中である。


「えぇと・・・トゥウィンクル男爵家のシャーラです・・・」

と・・・トゥウィンクル!?何その魔法少女のヒロインみたいな苗字!そんな家名の男爵家が・・・ウチの国にあったのか・・・!?


「男爵家・・・ねぇ。最近男爵令嬢による、高位貴族令息に対する強引な言い寄りや横恋慕が増えているみたいなんだけど」

マジで?それ増えてんの!?どんだけテンプレに乗る男爵令嬢だらけなんだよ!


「私も元々は男爵家の出身だけど・・・そんなことじゃぁ、男爵家の品位がどんどん堕ちていくわけ」


「はぃ・・・」

シャーラは素直にハリカの話を聞いている。ちょっと不思議ちゃんだが割と礼儀正しい子なのかもしれない。


「男爵家と言えども貴族は貴族。領地を抱え、領民たちのために領地運営をする。平民たちの上に立つ立場である以上、貴族としてそれ相応の義務があるし領民たちの生活を支えていく立場であることは、伯爵家や公爵家とだって変わりはしないの」


「そ・・・そうですね・・・」


「大事なのは、領地のために、領民たちのために良縁を結ぶこと。その良縁って言うのは必ずしも高位貴族だったらいいってわけじゃないの。いかに領地のためになる婚姻かが大事。婿を取る立場であれば、領地を共に運営していく技量のある令息が一番。顔や地位なんて関係ない。家柄が釣り合えばそれだけ感覚などが釣り合うから相性は良くなる。けど・・・一番大事なのは自分自身よ」


「自分自身・・・ですか」


「そう。男爵家の令嬢として、家の恥にならないよう己を磨かなきゃ良縁になんて巡り会えないわ。私は例外中の例外で、結婚したひとが平民出身ではあるもののたまたま魔法侯爵家のひとだったけど」

因みに、昔俺の父親がラーヒズヤを守るために魔法侯爵家の養子にしたのは割と有名な話である。ラーヒズヤを狙っていた貴族は多かったものの、魔法侯爵家が相手では誰も反対はできずに受け入れたらしい。


「だからこそ、私は人一倍彼に釣り合うように努力する必要があった。勉強も魔法も、貴族としてのマナーもそりゃぁ詰め込むに詰め込みまくったわよ。そんな横恋慕だの、言い寄るだのしている暇もないほどにね!」

確かに・・・勉強も魔法もそうだが・・・ハリカはラーヒズヤと俺の今は亡き父親と仲良しだった騎士団長・ドゥルーヴを通じてその妻であるアデラさんに弟子入りしたのだ。


アデラさんは生粋の公爵令嬢で、誰も大公の妻になることを反対しなかったほどの真相のご令嬢。ハリカはそのアデラさんに弟子入りし、付き人までこなして己を磨いたのだと言う。


そして学園や家ではこんな感じでフレンドリーで学生たちに大人気だが、社交の場では社交界の華と呼ばれるほどのふるまいを身に付けたのだと言う。外国の魔法師団長夫妻と会談しても全く以って恥ずかしくない魔法師団長の妻としてのふるまいを身に着けている。

だからそう言う面でも、学園のご令嬢たちにモテている。


「シャーラさんにはその覚悟があるの?」


「そ・・・それは・・・!」


「男爵令嬢として笑われないよう、良縁に恵まれ男爵家を支えて行かなきゃならないわ」


「は・・・はい・・・っ!私・・・頑張ります・・・っ!」


この日を境に、シャーラ嬢は人一倍己を磨き上げたのだと言う。勉強も常にトップ5に入る実力をキープ。魔法の腕も磨き、将来は魔法師団入り確実の期待の新人として名を馳せた。更には、ハリカの紹介で学園でご令嬢たちのマナー講習を担当するアデラさんに学び、徹底的に淑女としての立ち振る舞いを磨いた彼女は、社交の場でも評判となった。


・・・その甲斐あってか・・・


イシャン(※マザコン)に懐かれ、更には魔法師団からの期待もあつく、彼女の男爵家には次女もいたことから・・・彼女は見事にイシャンの婚約者に確定したようだ。


本人はハリカの研究室を訪れ俺たちの前で、死んだ魚のような目をしながらそれを報告してくれた。なお、その後アデラさんの10時間にも及ぶ説教の末、イシャンはしっかりとシャーラを母上ではなく婚約者として認識できるようになったのだと言う。


・・・いや、それなら、最初からアデラさんの説教を延々とやればすんだのでは・・・とは、言わないでおこう。



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