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○○コン注意報


さて、昼休みがやってきた。


お昼は中庭でみんなで食べる予定だ。


・・・ニシャとふたりっきりではない・・・っ!く・・・っ!

しかしながら、ついつい調子に乗ってお重に弁当を詰めてしまったのだから仕方がないっ!


「ルドラって本当に料理得意よね」

ディクーシャが卵焼きを口に放り込みながら告げる。


「はい・・・ルドラさまのごはん、おいしいです!」

ニシャがかわいらしく言ってくれて・・・ぐは・・・っ!なにこれ、やっぱり明日もお重にするかっ!!


「ほらほら、イシャンくんも食べないとなくなっちゃうよ~」


「う・・・うぐぐ・・・っ」

まだ泣きべそをかくイシャンは、転移魔法でさくっとここに転移させた。そして脅えながらもハリカに差し出されたおにぎりは受け取っていた。

少し・・・症状が落ち着いたのか・・・?もぐもぐ・・・。


「おいしい・・・おふくろの味・・・」

いや、何言ってやがるイシャン。作ったのは俺だ!お前の母ちゃんじゃねぇっ!


「え?作ったのはルドラくんだよ?」

と、ハリカ。師弟揃って容赦ねえ現実突き付けんな。


「え・・・」

ほら!固まってるぞ!また発狂するじゃねぇかっ!せっかくよくなってきたのに逆効果・・・


「・・・そうか・・・そうだったんだ・・・」

何故か悟りを啓きだしたイシャン。


「全員“母上”だと思えばいいんだ!!」

え・・・?何を言ってんだ?コイツ。確かに女性恐怖症を発症した時も、母親のアデラさんだけは平気だったらしいが。


「ルドラ母上―――っっ!!!」

イシャンが俺に腕を広げて迫ってくる。


はああぁぁぁぁぁ―――っっ!!?


「来るな!マザコン!」


「ぐへっ!」

俺はイシャンに爆発魔法を放った。

※生きてます


「ルドラさま・・・」


「これは仕方がないだろう!アンシュ!」


「ですけど・・・」

まぁ、戸籍上は父親が友人同士と言う関係だが、血縁上は叔父と甥の関係だ。魔法侯爵家に入っているものの、アンシュの本来の生家であったはずの王家に魔法侯爵家は忠誠を誓っている。だから絶縁するわけがないし、魔法侯爵家が王家と縁戚を結んだとして叔父と甥と見ても何ら問題はない。


「・・・はっ!アンシュくん!」

次にイシャンはアンシュに目を向けた。コイツも魔法は得意なので俺の爆発魔法を器用にガードしたらしく無傷だ。まぁ、俺も手加減はしている。


「そう・・・父上も母上も・・・叔父と甥なんだし仲良くしなさいと言っていた・・・」

ぶつぶつと呟くイシャン。


「・・・アンシュ・・・母上!!」

イシャンはそう、何の恥じらいもなく叫んだ。


「・・・ルドラさま、さっきの爆発魔法、教えてください」


「・・・あぁ、もちろんだ」

そしてアンシュもまた・・・


「ぎゃふっ」

爆発魔法を放った。

しかしちゃんと手加減はしているのでイシャンは無傷。芝生の上に大の字で寝転んでいる。


「あぁ・・・母上の愛に包まれているみたいだ・・・」

ダメだ、コイツ。完全に極度のマザコンになっている!!


「まぁ、症状は改善しつつあるし・・・いいんじゃね?」

適当だな、ハリカ!師匠の息子だけど!?


「爆発魔法って・・・イシャンさまの女性恐怖症にも効果があったのですね!」

「さすがはルドラさま!すごいです!」

ニシャとクリシュナが目を輝かせている。


「いや、そんなわけないし。あれイシャン以外に放ったら大変なことになるし」

ディクーシャがしっかりとツッコみ、ふたりはものっそい驚いていた。


そんな時である・・・


「やだっ!イシャンさまだわ!ここは本当に乙女ゲームの世界なんだわ!」

何か、ものっそいフラグを含む言葉を吐きながらひとりの令嬢が迫ってきた。

金色のセミロングにピンクのヘアバンド。瞳はローズピンクである。


「処刑された女の名前がヒロインの名前とおんなじだと思ったら・・・本当に攻略対象のイシャンさまがいるなんて・・・!あ・・・!見たこともないイケメンもいるけど・・・アンシュとクリシュナもいるじゃないっ!」

何だかお花畑を思い起こすその令嬢は次々とフラグを立てていく。


「げ・・・っ!せっかくヒロインがこの世から姿を消したと思えば、悪役令嬢が生きてるじゃない!そりゃ攻略対象のレヤンシュが死んだって聞いてちょっと違うと思ったけど、レヤンシュはタイプじゃないのよね!むしろ第2シリーズの第2王子の方が・・・うふふ、でも最推しはイシャンさまなの!イシャンさまのために・・・悪役令嬢・ニシャ・カシス!覚悟ぉ―――っっ!!!」

不味い!フラグ令嬢がニシャに迫ろうと・・・っ!


「ニシャは既に俺の婚約者で魔法侯爵籍だっ!ニシャ・シュヴァルツなんだよ!バカ令嬢がっ!」

俺は爆発魔法を放った。一応ファンタジーお約束の黒焦げスタイルになるようには調整しておいてやった。感謝しろ。あと未婚の令嬢のはずなので、服は黒焦げに染めただけではだけてはいない。俺はなんて優しいのだろう。


「あ・・・あぁ・・・イシャン・・・さまぁ・・・っ!」

それでもフラグ令嬢、イシャンに迫る。イシャンはむくりと起き上がり、彼女を視界に含めた・・・。そして・・・。


彼女が伸ばした手を、両手で包んだ。


「あぁ・・・母上・・・あなたも・・・母上」


「はい?」

イシャンの謎の呪文にフラグ令嬢はきょとんとしていた。


「母上―――っっ!!!ぼくを母上の豊満なボディーで癒してくださああぁぁぁ―――いいぃぃっっ!!!」


「ひやぁ―――っっ!!?」

因みに、フラグ令嬢はつるぺたで豊満ボディーではない。遂に全身を母上に重ねて妄想を爆発させたか。爆発させてやっただけのことはある。


「母上―――っっ!!!」


「いやあぁぁぁ―――っっ!!!助けてくださぁぁぁ―――いいっっ!!!」

フラグ令嬢はこの場で一番の大人であるハリカにすがりついたのであった。



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