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【完結】隻狼の魔法侯爵の俺と悪役令嬢なはずの彼女  作者: 夕凪 瓊紗.com
第3章 シュヴァルツ魔法侯爵領
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シュヴァルツ魔法侯爵領


―――さて、季節は初夏。何か大事な設定を忘れている気がするのだが・・・我がシュヴァルツ魔法侯爵家の王都組は、我が領地へと避暑にやってきた。


ニシャには澄んだ水色のワンピースを用意した。胸元には深い青の魔石のしずく型のネックレスを下げている。これはお守りだから外さないように、とニシャに伝えれば嬉しそうに微笑んでくれた。うん、なかなかいい感じだ。ニシャかわいい!

しかしアンシュとアールシュには“どんだけアピールしたいんですか”と、呆れたような目で見られてしまったことだけは・・・腑に落ちないのだが。


さて、我が魔法侯爵家の領地と言っても、ウチの場合は純然たる魔法爵なのでどでかい屋敷と森のセットである。領地の屋敷では古くから仕えてくれている使用人たちがその管理をしてくれており、今回はニシャとアンシュを連れての初の帰省である。


俺が初めて婚約者を連れ帰ってきたことに使用人たちは涙して喜んでくれた。そしてラーヒズヤの養子となったアンシュに何故か使用人たちが“旦那さまが暴走しないよう頼みましたぞ”と頼み込んでいた。・・・何かせんが・・・まぁ、いいか。


ついでに、ラーヒズヤとハリカ夫妻は王都での仕事もあるため、こちらには遅れて到着する見込みだ。


まぁ、今日は転移魔法であっという間に移動したとはいえついたばかり。アールシュはここの執事長と一緒にアンシュに屋敷の中を案内しに行った。


俺とニシャはわふたんたちとしばし休憩だ。

爽やかなアイスコーヒーと、屋敷のメイドたちお手製の昔懐かしいクッキーを食べながらゆっくりと過ごしている。


「ニシャ。夏の間はほとんどここか・・・もしくは隣の領に遊びに出ることもある。買い物なんかはほぼそちらだな。隣の領地には海があるんだ」


「海・・・ですか!?」

ニシャが驚いたように目を瞠る。メイドたちお手製のクッキーをおいしそうに食べるニシャもかわいくて、メイドたちも後ろでキュンキュンしているが、目を輝かせながら俺を見つめてくれるニシャも尊すぎる。


「海・・・お話には聞いたことがあるのですが・・・見たことがなくて・・・」


「それじゃ、あちらに海でも見に行こうか」


「わぁっ!楽しみです!」

頬をほころばせて喜ぶニシャは本当にかわいい。


ふぅ・・・やはり何か忘れている気もするのだが・・・


「アールシュ、あちらに訪問する旨、伝えておいてくれ」

屋敷内の案内から戻ってきたアールシュに声をかける。


「承知致しました」

アールシュは頷くと、アンシュに説明すると言い共に向かった。まぁ・・・ウチの玄関から徒歩5分くらいで着くので単にお隣さんに後で行くわ~、と言いに行くだけだがな。


さて・・・あとは・・・


「わふわふ!わふ~」

「にしゃねね!ここの森はね、すっごいわふわふしてるの!」

ニシャにウチのちびっ子狼双子のソラとシエルが早速じゃれついている。

わふたんずとニシャの共演はやはりいつも尊い。


「わふわふ・・・してるの?・・・わふたんがいっぱい?」

ニシャが首を傾げながらそう問えば・・・


『いっぱいっ!!』

と、元気にちびっ子狼双子が頷く。まぁ、確かにウチの森にはわふたんがいるのだ。それも・・・神狼しんろうと呼ばれる存在が。彼らはもともと地元の者たちに崇められてきた存在で精霊のようなものだ。ウチのわふたんたちもその精霊たちのことを尊敬しているのだ。

俺は小さい頃に出会ったことがあるが・・・わっふわふだった。


「・・・後で挨拶しに行くか・・・」

と、わふたん青年のクロが呟く。


「ウチにごろごろしに来てもいいぞと伝えておいてくれ」


「ん・・・なら、来るべ」

あぁ・・・そうだな。楽しみ。わふわふわふわふふわもふ。

きっとニシャもその毛艶のすばらしさを共有してくれるに違いない。


「・・・まぁ、ニシャちゃんは優しいからね」

と、シロナ。しかしなんだろう。俺を見つめる目が・・・何かかわいそうなものを見るような目に・・・感じる・・・!


―――そして・・・


「ルドラさま。お隣にお伝えしてきたところ・・・」

あぁ、使いにやったアールシュとアンシュが戻ってきたのか。


「ナディー魔法伯家のおふたりも来られているそうで、お会いするのを楽しみにされているとのことです」


「あぁ・・・アイツらか・・・」


「魔法伯さま・・・?」

ちびっ子狼双子を抱っこしたニシャがとてとてとこちらに来てくれる。


「あぁ、魔法伯のところの子女な。年齢も俺たちと同じだし、いい女友だちができるかもしれないな」


「・・・同い年の・・・女の子のお友だち・・・は、初めて、です」

ニシャがなかなか緊張しているようで。


「まぁ、面倒見のいいやつだから大丈夫だよ」

そう、微笑んでやればニシャも少し気持ちを落ち着けたらしい。


「きんちょーにはわふわふっ!」

「わふわふせれぴー!」


「ありがとう、ソラちゃん、シエルちゃん」

そう言ってニシャはわふわふ双子とじゃれ合っており・・・めっちゃかわいいっ!

ハッとしてアンシュを見やれば・・・


コクリと頷いたところを見れば、今回ばかりは俺に賛同してくれたようだ。うん、あれは最高にかわいいっ!!



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