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異世界召喚者アルクの多世界冒険録  作者: 猫寝寧
第一章 召喚する世界
3/3

新規入団者召喚戦



「クジョウ・アルク?

 見慣れない名前ですね……」



見慣れない読み方をする名前を見て怪しむ入国審査官。



ここ辺境の最弱国レフィリオに入国する為には門の側にある入国審査室で審査を受ける必要があり、家を追い出された僕はルーファス家の名前を失っている為、異世界から来たといわれている母の名前を参考に自分の名前を変え入国審査を受けた。



「母が異世界から来た人間だったのでそれで少し変わった読み方になっているんですよ」



「へぇ〜!!

 だから髪色とか眼の色とかも真っ黒なのね?」



審査をしている彼女は興味津々で顔や服装をジロジロ見てくる。

この子も歳は自分と同じくらいだろうか。

周りをよく見てみると街で働いている人々もその殆どが自分と変わらない歳が多い。



「学生ばかりという噂は本当だったってことか……」



「ん?何か言いました?」



「いえ……何も」



その後簡単な入国手続きが済み、アルクは正式にレフィリオの住民になることができた。



「アルクさんは召喚者ということだったのですがギルドには入られますか?」



ギルドとはその国に所属している召喚者が集まる機関でその国の戦力の全てでもある。

当然召喚者である自分もギルドには所属するつもりだ。



「そうですね……お願いします」



「それじゃ今から新しくギルド入った召喚者の集まる新人案内が始まるからそっちに行ってきてもらえますか?」



「わかりました」




入国審査室から出て彼女から貰った地図でギルドへと向かう。

石とレンガを基調としたレフィリオの街並みの中に一つ、とても大きな建物が聳え立っている。



レフィリオ国召喚ギルド《リベリオン》だ。



地図に書かれてある通りに建物を通過して中庭へと入った。


 

「多いな」



既に集まっている新規入団希望者は自分を含め80人程いる。

他の都市に比べれば多くはないが別に少なくもない。

それによく見ると中庭を囲う建物の窓から大勢の人達がこっちを観察しているのが確認できる。

この辺境の地でこれだけの召喚者が集まっているのはかなり珍しいと言える。



「ウィルバルからきたのかお前!?

 なんだよここより田舎のカス国家じゃねぇか!!」



そんな時後ろで大声が聞こえたので少し耳を傾ける。



「私の故郷の悪口を言わないで!!

 それに貴方だって他所の国から要らない者扱いされてここに来たんでしょ?

 そんな人にとやかく言われる筋合いはないわ!!」



「じゃあいいことを教えてやるよ……

 俺はなあの召喚帝国アルガムからきたんだよ!!」



その声に周りの人達がざわつき始める。

当然アルクも驚き、少しだけ振り向いた。

しかしアルガム出身だと言っている彼を見たが別に知り合いでは無かった。

すると集団の前に一人の男がゆっくりと現れた。



『新規入国者の方はこちらを向いてくれ!!

 私はヘンリー・テメルギウスこのギルドの団長だ

 これから君達には集団模擬召喚戦を行ってもらう』



いいタイミングで来てくれたな……あのままだと騒ぎになっていた。

しかしここで80人に模擬戦をさせるのか……

道理で観客が多い訳だ。

この戦闘を見て欲しい戦力を自分のパーティにスカウトするのだろう。



『最期まで立っている40人までを合格とする

 残りは不合格として次の試験まで入団出来ない

 それでは準備はいいか?』



まだ少しざわつきながらも周りの人の目が険しくなる。

いきなり戦闘しろと言われてもすぐに戦えるだけの心構えはあるみたいだ。



『それでは……始め!!』



「レイドワールド!!」



全員一斉に契約している世界から武具や召喚獣を召喚する。

召喚者が召喚するのは生まれながらに契約している別世界から召喚される物だ。

もちろん契約している世界は人それぞれ皆違う。

なので見たことのない物が沢山見受けられる。



「うぉらぁ!!」



先程のアルガム出身と言っていた男は尋常じゃなく大きな大剣を片手で振り回す。

あの武器にはなんらかの逸話の力が付与されているのだろう。

次々とあの大剣の餌食となっていく。



その中にはさっき言い合いをしていた彼女もいた。



「お前さっき俺に生意気なこと言ってたよなぁ?」

そう言って男は大剣を振り上げる。



「お前みたいなゴミはな?この国でもいらねぇんだわ

 だから代わりに俺がここで終わらせてやるよ!!」



殺す気か?

それを見ている試験管も誰も止めようとはしない。

知っている。

この世界では弱い召喚者は必要ない。

弱い奴はいずれ勝手に死ぬからだ。



「死ね」



よくあることだ。

周りの皆も男がアルガム出身と聞いて彼を助けようともしない。

放っておけばいい……彼女のことを僕はよく知らない。

彼女が死んでも僕は何も思わない。



……本当に?



「……なんだァお前?」


しかし気づけば彼の前に立って素手で振り下ろされた大剣を掴んでいた。



「……」



「俺が誰だか知ってんのか!?

 俺はアルガムの……」



その瞬間、ドスッ!!という音が周りに響き渡る。



「戦う相手は選んだ方がいいですよ……アルガム出身なら尚更ね」



重くそして疾く撃ち込まれた拳は男の腹にめり込み、意識を刈り取った。

その様子を見ていた周りの人達は開いた口が塞がらないといった感じだった。



『そこまで!!

 今立っている40人はギルドへの入団を認める!!

 ようこそ……リベリオンへ!!』


アルクは無事ギルドへ入団することができた。





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