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プロローグ2

「ゲームのテストプレイヤーですか?」


俺はベッドに横たわりながら相手に問いかけた。


「そう。現在開発中のVRMMORPG、そのテストプレイヤーになって欲しいんだ」


彼は某ゲームメーカーのシステム開発部の主任で、テストプレイヤーの選択を任せられているという。


「俺でいいですか?こう言ってはなんですけど、俺、健常者じゃないですよ?」


そう、俺がベッドに横になりながら彼の相手をしていたのは、起き上がれなかったからだ。

骨折などといった大きな怪我ではない。筋肉が骨のように固くなっていくという、いわゆる難病というやつだ。身体がまともに動かないのに、ゲームなんてできるのだろうか?


「それなら大丈夫。これを見て欲しい」

と、箱から何かを取り出す。バイクのヘルメットみたいだ。


「これは今回のゲーム用に作られた、新型インターフェイス。これを被ることでVRゲームの中にフルダイブできる」


おお、小説の中で登場するような夢のデバイスじゃないか。時代が追いついてきたか。


「これなら体がどうこうなんて関係ない。みんなが同じ土俵に立てるんだ」

彼は熱弁を揮う。


医療への貢献。

俺みたいな非健常者のストレス解消や、意思疎通の補助。ゲーム中毒にならなきゃいいけど。

社会への貢献。

VR会議だけでなく、VR会社へのVR出勤。通勤ラッシュの緩和はいいけど、VRでスーツ着こなしたダンディな社長が自宅でパンイチだっておかしくない。

みんながVR出勤になって、首都がゴーストタウンみたいになったりしてな。

人間、食わなきゃ生きていけないのだから、そんなことにはならないと思いたいが、最大の娯楽が食べる事なんてディストピア的なイメージが浮かんだりもした。

でもまぁ、そこまで未来の話なんて、俺には関係のないことだ。

それでも、俺みたいな体を動かしたくても動かせない人のストレス解消になるのなら、そんな未来の礎になるのも悪くないか。


「わかりました。やります」

「そうか。やってくれるか。ありがとう」

「当院もバックアップする。バイタル管理は任せてくれたまえ」

と、これは主治医だ。


数日後、テストプレイヤー用の個室へと移された。

ゲーム機とバイタルチェック用の機器がいろいろ付いた特別室だ。

これからここでテストプレイヤーとしての日々が始まるのだ。

ベッドに横になり、VRインターフェイスヘルメットを装着。さっそくログインしてみることに。

ゲームのタイトルは「マギアスフィアオンライン」となっており、ニューゲームを選択。

キャラクターメイキングに進む。


やはり最初は外見だ。3Dで今の自分が表示されている。

ちょっと痩せてるかな?食事は病院食でカロリーコントロールされてるんだけど、運動してないから筋肉が衰えてるようにも見える。身長と体重なんかも弄れるのかな?ボーっと見ていると、

『ようこそ、マギアスフィアオンラインの世界へ。ここでは貴方の分身となるアバターを設定して頂きます』

と声が聞こえる。

「おわ、びっくりした。アンタ誰?」

『私は貴方をサポートするサポートAIです。ナビゲーター、オペレーターをお考えください』

「へぇ、AIも進化してるなぁ。んじゃ、アバター作成を手伝ってくれるのか?」

『肯定します。疑問点があればご質問ください』

「んじゃ、早速。種族って変えられる?」

『否定します。現在のバージョンではヒューマンのみとなっております。他種族の追加はバージョンアップをお待ちください』

そっか。ちょっと気になったんだけどな。

「外見の肉付きとか変更可能?」

『肯定します。ただし、外見上筋肉があるように見えても、ステータス上のSTRは増えませんので注意が必要です』

それはそうだろう。そんなんでSTRが増えたら、前衛はみんなガチムチマッチョになってしまう。そんなのは嫌だ。

「このままだと不健康そうに見えるから健康的な感じに出来る?」

『肯定します。TYPE=HM-12を加算処理します』

みるみるうちにちょっと痩せてた肉体が細マッチョになった。シックスパックだ。

「HM-12ってなに?」

メイド系ロボットの型番か?

『細マッチョ体脂肪率12%です』

サポートAI的にはこれが健康体なのか。

『髪の毛や目の色も変えられますが、いかがでしょうか』

その辺はいいや。自分の本当の姿を忘れそうだ。それになんか顔がちょっとイケメンになってる?

「顔も弄った?」

『ゲーム補正です』

まぁ、だれも自分からキモくはなりたくないわな。

「気に入ったからいいや。これで終了で」

『髪の毛を一房、色を変えることもできますが』

そんな厨二病はいらんよ。


その後はチュートリアル。初期装備一式を貰って装備する。

このゲームはクラス制ではなく、スキル制。誰もが、どんなスキルでも、頑張れば覚えられるようになっているという。その代わり、装備にステータス条件があって、初期装備はそのステータス条件が全て1になっているのだとか。

初期ステータスにボーナスポイントを割り振り、初期スキルを3つ選んで終了。

因みに振ったステータスはSTR、AGI、INT。初期スキルは剣術・風魔法・回復魔法だ。


チュートリアルで探索者登録と簡単な戦闘訓練をした後、早速町の外で狩りをするべく、門をくぐった。

外の景色を見て、感動を覚えた。

遥か遠くへ続く道と、見渡す限りの草原。なんかやる気が沸々と湧いてくる。

「よーし、やるぞー」

今まで、まともに運動が出来なかった鬱憤を晴らすかのように、俺は草原を走り出した。


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