プロローグ
我が最愛の息子、優真に捧ぐ
チュンチュン…チチチ…
「おはよう、ユーマ。朝よ、起きなさい」
「ん…もうちょっと……」
「今日は15歳の誕生日。教会に行って洗礼の儀を受ける日よ。早く支度しなさい」
ガバッ
「そーだった!」
慌てて飛び起き、朝食を慌ただしく済ませ、急いで身支度を整える。
「準備よし」
玄関で親父、母さん、ペットの猫のミーちゃんが待っていた。
「おまたせ」
「よし、行くか」
玄関に鍵を掛け、家族全員で教会へ向かった。
さっき話にもでたが、今日は俺の15歳の誕生日。
15歳をもって成人とされる俺は、これから教会で洗礼の儀を受ける。
これによって成人の証となるステータスカードが手に入るのだ。
このカード、自分のステータスを確認できるだけでなく、便利な機能がてんこ盛りで一番身近な神器って言われてる。昔、神様が用意してくれたものなんだとか。
まぁ、便利な機能については、おいおい説明できると思う。
教会にはすぐに着いた。
自宅からは徒歩10分くらいかな。
教会の前には掃除をしている知り合いの侍祭がいる。
「おはよう、レーニアさん」
「おはよう、ユーマ君、アキさん、アインスさんもお揃いで」
「おはよう、レーニアさん。司祭様には昨日話をしておいたのだけど…」
「洗礼の儀ですね。お話は伺っています。どうぞこちらへ」
ドアを潜ると、そこは祈りの間。
6柱の神様達の像がある広い部屋だ。
その部屋の左側の壁にドアがあり、中に入るとこじんまりと部屋になっていた。
6人掛けのテーブルと椅子があるだけだ。
「司祭様を呼んでまいりますので、それまでお寛ぎください」
そう言ってレーニアさんは部屋から出ていった。
椅子に座って待つこと数分。
「お待たせしたね」
と、司祭様が入ってきた。
「ユーマ君、誕生日おめでとう。アキさん、アインスさんもおめでとう。早速洗礼の儀を行うとしよう」
「「「よろしくお願いいたします。」」」
「うむ。ではユーマ君はこちらへ。アキさんとアインスさんは、そのままここでお待ちください」
と、入ったドアとは別のドアを潜った。
隣の部屋はさらに一回り小さな部屋で、壁際に祭壇が備え付けられており、大きな水晶玉が印象的だ。
祈りの間よりは小さいが6柱の神像も置かれている。
「それではユーマ君はその水晶玉に手を置き、神への祈りを」
言われた通り水晶玉へ手を置き、祈りを捧げる。
「6柱の神々よ。本日15歳になり、成人を迎えたユーマに祝福を」
司祭様が祝詞と祈りを捧げると、目の前が真っ白になるほどの光が放たれた。
そして………