第1章 第6話 ギルドの仕事
カイトたち4人はギルドの依頼掲示板の前にいた。
ベリアス:「ランクEとなると…」
ベリアス:「この『下水道清掃』、『迷子ペット捜索』、『集客の手伝い』ですね」
ベリアスはため息をつく。
カイト:(ベリアスは落胆しているけど、元の世界にに比べれば…)
[回想シーン(始)]
ある日の上司と外回り、
商社の上司:「よーし、平泉」
カイト:「はい」
商社の上司:「お前、これからあのオフィスビルに入っている会社全部回って」
商社の上司:「1社最低1人と名刺交換してこい!」
カイト:「えっ、あのビルのですか?」
商社の上司:「つべこべ言わずに行って来い!」
商社の上司:「その間、俺はお得意様と大事な話があるんでな!」
商社の上司:「お得意様との話が終わったら先に会社に戻っているからな」
商社の上司:「お前は全部回るまで戻ってくるなよ」
#カイトはそのビルに入っている会社1社1社を回り始める
ある会社では、
カイト:「あ、すみませんXX商事の平泉と申します」
会社の受付:「お約束の方は」
カイト:「ございません、近くに来たので…」
会社の受付:「弊社の担当は」
カイト:「購買のご担当を」
会社の受付:「購買の誰でございますか」
カイト:「・・・」
会社の受付:「次回はアポをお取りの上お願いします」
#そんなこんなで、なんとか回りきったもののもう夕方、会社に戻ると、
商社の上司:「遅いぞ、何時間かかっているんだ(怒)」
商社の上司:「で、どおだったんだ?」
商社の上司:「たったこれだけ?」
商社の上司:「俺はもう帰るから、そこの書類仕上げておけ、明日見るから」
商社の上司:「お前のせいで、帰りが遅くなだろうが(怒)」
カイト:(今日も終電決定だ!もう何日連続だ?)
[回想シーン(終)]
カイト:(全然いいよ!)
カイト:「この『集客の手伝い』ってなんだ?」
ベリアス:「歓楽街のむふふ♡な店の呼び込みみたいですね」
カイト:「ラミル得意そうじゃん」
ラミル:「そうですね、あたしはこれにしようかしら」
カイト:「ラミルは『集客の手伝い』、俺とベリアスは『下水道清掃』、マイラは『迷子ペット捜索』、これでいいかな?」
ベリアス:「かしこまりました」
マイラ:「わかったですの」
ベリアス:「では、さっそく受付をすませましょう!」
受付も無事終わり、各自が現場に向かおうとしていた。
ベリアス:「皆さん、昼食は各自お取りのください」
ベリアス:「夜はギルドのbarで待ち合わせしましょう」
ベリアス:「依頼が早く片付いた方は、先にやっててください」
ラミル:「はーい、また後でね〜」
マイラ:「後ほどですの」
二人と別れた。
ベリアス:「我々も行きましょう」
カイト:「そうだね」
カイトとベリアスは現場に着いた。
ベリアス:「これはひどいですね」
カイト:「こんなのを2つも掃除すんの」
ベリアス:「午前と午後に1つづつ、いけるでしょ」
カイトとベリアスはギルドから支給された木材を組み合わせ骨組みを作る。
支給品は他にらし布をとヤシガラ、スコップである。
下水道の上に骨組みを置く。
カイト:「じゃ、行くよ」
カイト:「パクシースン」
カイトは重力魔法の物体を持ち上げる魔法を使った。
下水道の汚水は骨組みの上に持ち上がった。
ベリアスが骨組みの上にさらし布を引き、その上にヤシガラをまいた。
ベリアス:「もう大丈夫です」
カイト:「OK」
カイト:「キョカーミラ」
カイトは重力魔法の物体を下ろす魔法を使った。
下水道の汚水はさらし布の上にまいたヤシガラの上に、ゆっくりと落ちた。
ベリアス:「後は、汚水が濾過されるのを待ちましょう」
ベリアス:「残った汚物はさらし布ごと措定の場所に捨てれば終了です」
カイト:「意外と簡単な仕事をだね」
ベリアス:「いえいえ、これはカイトの重力魔法のおかげです」
ベリアス:「普通は骨組み作成→さらし布→ヤシガラ、その後にそこのスコップで」
ベリアス:「汚水をすくって、その上にのせる、このすくってのせる作業が大変なんです」
ベリアス:「受付のケーラさんにも『無理しないでください』と言われましたから」
カイト:「そうなのか、でこの後どぉする?次の現場行ってみる?」
ベリアス:「そうですね、そっちも、ここと同じように仕掛けて置きましょう」
カイトとベリアスはもう一つの現場に向かった。
もう一つの現場でも同じように仕掛けた。
お昼前には2箇所の仕掛けはすんでしまった
ベリアス:「少々早いようですが、昼食にいたしませんか?」
カイト:「おぅ、そうしよう!」
ベリアス:「受付のケーラさんに聞いたのですが、この近くに『ビルザーマ』の美味しいお店があるようなのです」
カイト:「何だその暗黒魔法みたいなのは」
ベリアス:(???、カイトは時々よくわからないことを言いますね)
ベリアス:「パンのような生地の上に具材やチーズをのせてかまどで焼くみたいです」
カイト:「ふ〜ん、行ってみようか!」
お店に着いた2人は、お勧めの季節の食材盛々ビルザーマの大を頼んだ。
10数分後、注文した品が来た。
ベリアス:「これがビルザーマですか、いい匂いがしますね」
ベリアス:「さぁ、召し上がりましう」
カイトは無造作に一切れ取り、口にはこんだ。
カイト:「う〜ん、これピザだ、この世界でピザが食べられるとは、感激」
ベリアス:「ピザですか?」
カイト:「ビールがあれば、言うことないのになぁ」
ベリアス:「ビール?ビエールのことですか?」
ベリアス:「ゴメスさんが言ってましたよね」
ベリアス:「生産量が少ないので、中々流通しないようですが、ものすごくうまい酒だって」
そんな他愛も無い話をしながら、ビルザーマを平らげた。
そんな時、店の前を見たことのある少女が通り過ぎて言った。
辺りを見回し、何かを探しているようだ。
そして何かを見つけて、そちらの方角へ駆け去った。
ベリアス:「マイラも頑張っているみたいですね」
ベリアス:「そろそろ、行きましょうか?」
カイト:「腹ごなしの散歩でもしながら、現場に戻ろう」
現場への道すがら、聞き覚えのある声が、
ラミル:「よろしくお願いしまーす(笑)」
ラミル:「あら、ありがとう(喜)」
ラミル:「夜、お待ちしていますわ」
遠くからラミルを見ながら、
ベリアス:「こっちもうまくやっているみたいですね」
カイト:「昼間はビラ配り何だ」
と、散歩がてら、ちょっと遠回りして、最初の現場に戻った2人
ベリアス:「ああ、もういいみたいですね」
カイト:「わかった」
カイト:「パクシースン」
さらし毎、濾過で残った汚泥を持ち上げた。
ベリアス:「この汚泥入れにお願いします」
カイト:「キョカーミラ」
汚泥はさらし毎、汚泥入れに収まった。
ベリアス:「後は、この骨組みを片付けて、次の現場に行きましょう」
二人は淡々と作業をこなし、次の現場に向かった。
次の現場でも同様に作業を行い、汚泥を所定の場所に持っていった。
そこで、2件分の依頼完了のサインを貰い、夕方前にはギルドに戻った。
ギルドに着いた二人は、受付に受かった。
対応したのはケーラ、
ケーラ:「お疲れさまです、いかがなされましたか?」
ベリアス:「依頼が2件とも完了しましたので、手続きに来ました」
ケーラ:「え〜、すごいです!」
ケーラ:「『下水道清掃』は、1日1箇所でも大変だというのに」
ケーラ:「書類拝見いたします」
ベリアス:「はいどうぞ」
ベリアスは2件分の書類をケーラに渡す。
???:「おっとごめんよ、依頼が完了したので、手続きを頼む」
横から、いかにもガラの悪そうな男3人組が横入りした。
???:「町長に呼ばれているんだ、チャッチャと手続き頼む」
???:「わりいな、俺はエリック、こいつはコーエンで、そっちがリトバッファ」
エリック:「俺らはランクAの仕事を終え、町長と会食、ったくよー、休む暇も無いよなランクAは」
エリック達は明らかにマウントしてきた。
カイトはむっとしたが、ベリアスが止める。
エリック:「お前らはランクEの清掃か、町の美化のためにご苦労さん」
エリック達の手続きが終わる
エリック:「町のためによろしくな!清掃委員さん」
3人は笑いながら出ていった
ケーラ:「ごめんなさいね」
ケーラ:「彼らここらでは最強の冒険者パーティなの、それを鼻にかけて!」
ケーラ:「マスターのイーサンも手を焼いているの」
ケーラ:「でも、彼ら以上の実力者がいなくて、結局彼らに頼ってしまうのよ」
ベリアス;「そういうヤカラはどこにでもいますので、なるべく関わり合わないようにはします」
ベリアス:「カイトもいいですね」
カイト:「ああ」
カイトは不服そうに返事した。
ケーラ:「あっ、書類は確かに!」
ケーラ:「はい、これが今回の報酬となります」
ケーラ:「後これも、マイラさんの報酬です。ベリアスさん渡すようにと、預かっておりました。」
ケーラ:「マイラさんもすごいですね」
カイトとベリアスの頭に?マーク
ケーラ:「皆さんが出ていかれてから、1時間後くらいに戻って来られ」
[回想シーン(始)]
マイラ:「依頼、完了ですの!」
ケーラ:「えっ?書類を」
マイラ:「はい、これですの」
ケーラ:「えーーーーーーっ!」
ケーラ:「たっ、確かに依頼完了です」
ケーラ:「しかもこの猫、しょっちゅう迷子になるんです」
ケーラ:「その都度、探すのに2〜3日かかって」
ケーラ:「今では、以来の引受け手もあまりいなくて…」
マイラ:「で、次の依頼がほしいの」
ケーラ:「手元にある迷子はこの2件、掲示板には他にもっと簡単な迷子探しがありますが…」
マイラ:「その2つでいいですの、くださいですの」
ケーラ:「はいこちらになります」
マイラ:「では、行ってくるですの」
ケーラ:「あっ、報酬」
マイラ:「それは、ベリアスに渡してほしいですの」
[回想シーン(終)]
ベリアス:「そうでしたか、頑張っているようですね」
ベリアス:「我々は、そこのBarで2人を待ちましょう」
カイト:「そうだね」
カイト:「ビエールあるかな?」
ベリアス:「ないです!」
カイト:「どこ行けばある?」
ベリアス:「知りません!」
カイト:「え〜、飲んでみたいよ」
2人はBarに入り、飲み物とつまみを注文した。
2人が1杯飲み終わる頃、マイラがキルドに戻ってきた。
ケーラの驚いた声が聞こえた。
マイラが報酬を持ってカイトたちの席にやってきた、
マイラ:「はい、これが報酬ですの」
マイラはベリアスに報酬を手渡した。
ベリアス:「ケーラさんが驚いてましたよ」
マイラ:「あら、動物の使役なんて簡単ですの」
マイラ:「夜のほうがもっと簡単にできますの」
マイラ:「この漆黒シリーズ3アイテムがあれば」
マイラ:「この程度のことは簡単ですの」
カイト:「それが、登録カードに表示されない影のユニークスキル」
カイト:「吸血の眷属」
カイト:「味方で良かった」
マイラ:「お褒めに預かり光栄ですの」
マイラはスカートを持ち、貴族風の挨拶をした。
マイラも飲み物と食べ物を頼み、3人でラミルを待つことにした。
日が暮れて、少したってからラミルもギルドに戻ってきた。
何やら口論している男たちと一緒だ。
男たちは歓楽街の顔役のようだ。
男A:「ラミルちゃんの明日の依頼はうちからだ!」
男B:「何を言う、うちじゃ」
男C:「明日も引き続き、うちじゃ」
ラミル:「まずは、依頼完了の報告よ、はいケーラさん」
ケーラ:「確かに、確認しました。こちらが報酬です」
ラミル:「じゃぁ、皆さん、依頼の方はギルドによろしく」
ラミル:「どの依頼を受けるかは、明日決めまーす」
ケーラ:「あっ、ちょっとラミルさん」
男A:「ワシが先に依頼を出す」
男B:「何を行っているんだ」
ラミルが3人のいる席にやってきた。
ベリアス:「一体何があったんだ?」
ラミル:「何、簡単なことよ」
ラミル:「ちょっと、色目を使ったらお客がわんさか入って」
ラミル:「客を取った取らないのって、モメ始め」
ラミル:「あたしを雇う順番がってなったのよ」
ラミル:「もう、面倒くさいから、そういうのはギルドで決めてって行ったら、付いて来ちゃったのよ」
カイト:「恐るべし、誘惑のオーラ!」
ラミル:「ベリアス、はいこれ、今日の報酬よ」
ベリアス:「皆さん、頑張りましたね」
ベリアス:「思った以上の成果です」
カイト:(こんな楽しく充実した日はいつぶりだろうか?)
カイト:(元の世界にいた頃は、いつの終電、飲んで帰ることなんかなかったし)
カイト:(そもそも、飲んで帰る友達、会社にはいなかったしなぁ)
カイト:(あれ、俺泣いてる?)
ベリアス;「カイトどうしましたか?」
カイト:「いや、何でもない」
カイト:「初仕事の成功を祝って、カンパーイ」