第1章 第4話 旅は道連れ
翌朝(3界調査2日目)
ラミルが独りでブツブツ言っている。
ラミル:「何ていうこと?」
ラミル:「不覚ですわ!」
ラミル:「寝てしまうとはぁ〜〜〜〜〜〜」
ラミル:「せっかくのチャンス」
ラミル:「カイトとあ〜んな事やこ〜んな事や…」
ラミル:「きゃっ♡恥ずかしい♡」
カイトとベリアスは出発の準備をしている。
カイト:「あれは何だ?」
カイトはラミルを指差し言った。
ベリアス:「いつもの発作です」
ベリアス:「直ぐにおさまります」
カイト:「なら良いが」
ベリアス:「ラミル、出発の準備手伝ってください」
ラミル:「あらっ、あたしとしたことが・・・」
我に返ったラミルはカイトたちの方に近づきながら、
ラミル:「はーい♡」
マイラは太陽の方を見ながら、
マイラ:「う〜ん、陽の光がこんなにも気持ちがいいとは、生まれて初めてですの」
カイト:「マイラ、何をしているんだい?」
マイラ:「日光浴ですの」
マイラ:「生まれて始めてですの」
マイラ:「昨晩頂いた、漆黒のローブ、漆黒の杖そして漆黒の指輪」
マイラ:「これらのおかげですの」
マイラ:「今までは、陽にあたるには魔力を消費して防陽壁を作る必要がありましたの」
ベリアス:「ほぅ、陽の光が気持ち良いと?」
ベリアス:「漆黒のローブ、漆黒の杖、漆黒の指輪、この3つを揃えても」
ベリアス:「バンパイアが陽の光を気持ちいいとは感じることはないはずですが・・・」
ベリアス:「他にも何か?」
マイラ:(大魔王様の血を・・・)
ベリアス:「何か?」
マイラ:「何でもないですの」
ベリアス:「そうですか」
ベリアス:(何かありますね)
ベリアス:(注意しておきましょう)
ベリアス:「マイラ、あなたも手伝ってください」
マイラ:「ハイですの」
出発の準備を手伝う二人、手を動かすよりの口の方が多く動いている。
マイラ:「ラミル、いい加減なお手伝いではだめですの」
ラミル:「あんたには言われたくない!」
マイラ:「あ〜ら、わたくし陽の光も味方につけましたの」
マイラ:「もう、怖いものなしですの」
マイラ:「これで、いつでもカイトのお役に立てますの」
マイラ:「まぁ、未来の妻として当たり前ですのね♡」
#マイラは指輪を見つめながら微笑み、頬を赤く染める
ラミル:「ちょっと、あんたねぇ〜」
ラミル:「何か勘違いしていない?」
ラミル:「まだ、何のやくにもたてていないくせに」
ラミル:「あんたみたいなおこちゃまに何ができるのよ」
#ラミルは自分のナイスなボディを誇張する
マイラ:(むっ)怒る
ベリアス:「2人とも、口を動かすより手を動かしてください」
ベリアス:「そんな事していると、出発の前に昼食の準備をしないといけなくなります!」
それから数十分後、野営地を離れ町を目指して出発した。
カイト:「二人は、仲いいんだね(笑)」
ラミル:「そんな訳ないですわ」
マイラ:「あら、初めて意見が合いましたのね」
カイト:「ハッハッ、にぎやかになって、楽しいよ」
[回想シーン(始)]
カイト:(元の世界にいた頃は・・・)
カイト:(毎日仕事で、会社に向かうため満員電車!)
カイト:(会社では雑談していると上司に怒られ)
カイト:(たまの休みは、疲れて1日中寝てしまうので)
カイト:(結局誰とも話さない毎日)
カイト:(それに比べて今は)
[回想シーン(終)]
ニコニコしていたカイトであったが、ベリアスが何かを察知し、カイトに目配せをする。
カイト:(うん!)
カイトも気づいた。
マイラとラミルも二人の様子を見て、直ぐに気づく。
4人共、何やら察知した方向へ駆け出す。
戦士っぽい男が悪そうなヤツらに絡まれている。
悪そうなヤツらはボスと側近2人、それから手下12〜3人。
悪そうなヤツ側近A:「1人で随分威勢いいけど、」
悪そうなヤツ側近A:「この人数、相手にできるのか?」
悪そうなヤツ側近B:「その荷物とそのでっかいトマホーク、」
悪そうなヤツ側近B:「それに、着ている鎧」
悪そうなヤツ側近B:「そいつら、おいて行ったら」
悪そうなヤツ側近B:「許してやってもいいぜ!」
悪そうなヤツ全員:「ハッハッハッハッハッハッハッハッハッ(大笑)」
戦士っぽい男:「なめおって!」
戦士っぽい男:「お前らのようなヤカラ、何人かかってこようが、モノも数ではないわ!」
悪そうなヤツボス:「やれ!」
悪そうなヤツ手下全員:「おうっ!」
悪そうなヤツ手下A:「ぐぁ!」
手下Aは氷魔法を受け倒れる。ほぼ同時に、
悪そうなヤツ手下B:「ぎゃぁ!」
手下Bは火魔法を受け倒れる。
戦士っぽい男:「???」
戦士っぽい男は振り返る。
カイト:「助太刀いたす!」
戦士っぽい男:「感謝いたす!」
カイトは戦士っぽい男の左側で太刀を構える。
その時、ベリアスが放った矢が悪そうなヤツボスの頬をかすめる。
悪そうなヤツボスはカイトたちが戦士っぽい男に加勢したのを見て、
悪そうなヤツボス:「引け、一旦引くぞ!」
悪そうなヤツ手下C:「ちっ、覚えてやがれ!」
悪そうなヤツらは手下A、手下Bを数人でかかえ、逃げていった。
戦士っぽい男:「いやぁ〜、助かりました。」
戦士っぽい男:「腕には覚えがあるのですが、あの人数!」
戦士っぽい男:「あなた方が来なければ、相当な痛手を負っていたでしょう」
戦士っぽい男:「おっと、これは失礼」
戦士っぽい男:「私はゴメスと申す冒険者です」
戦士っぽい男:「不覚にも、仲間とはぐれまして…」
戦士っぽい男:「はぐれた際の待ち合わせ場所、バルナックへ向かう途中でした」
カイト達も自己紹介をした。
カイト:「俺はカイト」
カイト:「先程、矢を放ったのがベリアス」
ベリアス:「ベリアスです」
カイト:「氷魔法を放ったのがマイラ」
カイト:「火魔法を放ったのがラミル」
マイラとラミルは軽く会釈をした。
ゴメス:「しかし、なぜ」
ゴメス:「私に加勢を?」
カイト:「あいつら、悪そうだったから!」
ゴメス:「それだけですか?」
カイト:「えっ、だって完全に悪役顔でしょ!」
ゴメス:「え〜〜〜、悪役顔??」
カイト:「あと、しいて言えば多勢に無勢ってとこかな(笑)」
ゴメス:「はぁ、瞬時に善悪を判断されたということですね」
ゴメス:「いやぁ〜、感服いたしました」
ゴメス:「これは、感服いたしました!・・・1度あの御方に」
ゴメス:「いや何でもありません」
ベリアスが会話に加わった。
ベリアス:「ゴメスさん、先程のお話ですと、バルナックへ向かわれると」
ゴメス:「ええ、そうですが」
ベリアス:「我々もバルナックを目指しております」
ゴメス:「あなた方も」
カイト:「そうだ、ゴメスさん」
カイト:「バルナックまで案内してくれると助かるよ」
カイト:「初めての世界だしさぁ」
ゴメス:「初めての世界?」
慌ててベリアスが後を引き取る。
ベリアス:「ええ、そうなんです。」
ベリアス:「これからの話しは、ここだけにしていただきたいのですが…」
ベリアス:「我々は、深淵の森から来ました」
ゴメス:「えっ、では、あの噂は?」
ベリアス:「ええ、本当です。」
ベリアス:「深淵の森には人が隠れ住む村がいくつかあります」
ベリアス:「森には迷路のようになっており、外部の人間は迷い、村にたどり着くことはありません。」
ベリアス:「それに、村周辺には罠もありますから。」
ベリアス:(深淵の森の噂は、ベルゼブブの使い魔が掴んだ情報だが)
ベリアス:(情報は重要であるということか)
ゴメス:「なるほど」
ベリアス:(ここから先は何を言っても信じてくれそうだな)
ベリアス:「我々深淵の森の住人は何十年かに1度、外界の調査に行く決まりとなっています。」
ベリアス:「それで、今回は我々が調査の旅に出ることになりました。」
ベリアス:「我々には、数十年前の情報しかなく、バルナックという町が本当に存在するか不安でした」
ゴメス:「そうでしたか、それは大変でしょう」
ゴメス:「わかりました、私でおヤクにたつのであれば!」
ゴメス:「先程のお礼もかねて、バルナックまでご案内いたしましょう」
ゴメス:「私の行き先もバルナックですし」
ゴメス:「あなた方はお強い、一人でいるよりこちらも心強い」
ベリアス:「ありがとうございます。」
ベリアス:(ほっ、信てもらえた)
ベリアス:(この人、純粋でいい人なんですね)
ゴメス:「そうだ、深淵の森近くに、名も知られていない田舎の村があるそうです」
ゴメス:「あなた方は、そこから着たことにしましょう」
ゴメス:「この辺の人間は、あの辺りには全く関心がないので、それ以上詮索されることもないでしょう」
ベリアス:(あっ、それも、ベルゼブブの使い魔情報にありましたね)
ベリアス:(最初っから、そっちにすれば)
ベリアス:(でも、良いでしょう)
ベリアス:「それはいいですね、そうさせていただきます」
ゴメス:「バルナックはここから約2日の道のり」
ゴメス:「途中に宿を取れるような村はありませんので、今晩は野宿になりそうです」
ゴメス:「明日の夕方にはつくでしょう」
ベリアス:「昨晩も野宿でしたので、もう一晩くらいは問題ありません」
カイト:「明日の夜はバルナックで美味しいものを食べよう」
ゴメス:「それでしたら、ひと角兎料理がオススメですね」
ゴメス:「うまい店知ってますから、ご案内しますよ」
カイト:「それは楽しみだ」
ラミル:(夜の町、うふっ♡)
マイラ:「このビッチは何を考えているのかしら(軽蔑)」
ラミル:「うるさいわね、あなたみたいなお子ちゃまはわからないことよ」
ゴメス:「にぎやかで、いいですなぁ」
マイラとラミルはたじろぐ
カイト:「ゴメスさんも一緒で、バルナックまで楽しい旅になりそうだ!」
5人は徒歩でバルナックに向けてあるき出す。
その後、野営に適した場所を見つけ、前日と同じように狩りを行う。
そして、翌日の夕方、予定通りバルナックに到着した。
途中、何度か襲ってくる獣に出くわしたが、この5人。
この辺りの獣が弱いこともあるが、難なく蹴散らして進んできた。
町の入口で、
ゴメス:「お前さん達、冒険者としてギルドに登録するんだろ!?」
ベリアス:「ええ、そのつもりですが」
ゴメス:「それだったら、正面に見えているでっかい建物がそうだ」
ゴメス:「登録の仕方とかは、行けばわかるから」
ゴメス:「登録は終わったらここへ着てくれ!」
ゴメス:「ひと角兎料理うまい店だ」
ゴメス:「それと、宿の手配もしておく」
ゴメスと別れ、バルナックのギルドへ向かった。