第1章 第2話 魔界の者共
カイトはベリアスが料理している野営地に戻ってきた。
カイト:(おっ、いい匂い、腹減ったなぁ〜)
ベリアスの警戒が何かに警戒をしている、カイトも気づいた。
ベリアス:「そこに隠れて何をしているのですか?」
謎の少女:「あーら、気が付いていらしたのね(笑)」
ベリアス:「そっちも!」
謎の女:「さすがねぇ〜(笑)」
木の陰からゴスロリ姿の謎の少女が姿を表す。
彼女はマイラ、バンパイアの少女。
そして、木の上から露出度の高い服を着た妖艶な謎の女が降りてきた。
サキュバスのラミルである。
何やら、まだ気配があったようではあるがすぐ消えた。
ベリアス:(殺気ではなかったので、今は気にしないことにするか)
ベリアスは警戒を説いた。
カイトは2人に向かって、
カイト:「あれっ、誰?」
マイラ:「マイラと申しますの」
マイラは、両手でスカートを持ち、貴族の女性が行う挨拶をした
ラミル:「あたしはラミルです」
ラミルも貴族の女性が行う挨拶をした
ベリアル:「でっ?」
ラミル:「この子ったら大魔王様に、勝手について行っちゃったのよね」
マイラ:「あなたも、付いて来ているじゃないですの!」
ベリアル:「ですから!!」
マイラ:「実はですの・・・」
ここで時系列は大魔王復活直後まで遡る
大魔王様復活近しの報を聞いた魔王城の者共はい、歓喜の中。忙しく動き回っていた。
マイラも何か手伝うことが無いか、城の裏門付近を歩いていた。
とその後、物凄い衝撃が結界内を揺るがす。
???:「えっ、何!」(前話でカイトが鏡で自分の姿を見た時)
物凄い衝撃が城中をかける
マイラ:「きゃぁーーーー」
マイラは吹き飛び、背中を壁にぶつけ、大股開きの状態で壁を背にしている。
異変に気づいたラミルもその場に駆けつけ、マイラを見つける。
ラミル:「あらまぁー、はしたない格好!」
ラミル:「これだから、おこちゃまは(笑)」
マイラ:「何よー!」
マイラ:「ところで、何であなたがここにいるのよ?」
ラミル:「それはこちらのセリフよ!」
ラミル:「大魔王様の復活が近いと聞いて、色々と準備してたの♡」
ラミル:「そしたら、あの衝撃でしょ」
ラミル:「何かと思って来てみたら」
ラミルはマイラを見て笑う。
マイラ:「ふんっ!」
ラミルはマイラが吹き飛ばされた方と逆の壁を見る。
ラミル:「あらぁ、何かしら?」
ラミル:「まぁこれ、結界に亀裂が…」
そこへ別の女性の声!
エニュオ:「姫様、こちらの方向です」
パムプレド:「一体何があったと言うのでしょう?」
デイノ:「大魔王様が復活なされた事と何か関係が・・・」
彼女らはグライス3姉妹、エニュオ(緑の髪)、パムプレド(赤の髪)及びデイノ(青の髪)で
3姉妹に姫様と呼ばれているリリンの配下でメイド。
リリンと3姉妹はマイラとラミルのいる方へやって来る
が、マイラとラミルには気づいていないようだ
マイラとラミルはリリンと3姉妹が近づいてくるのに気づき
ラミル:「ヤナのが現れたようね!」
マイラ:「そうみたいなの!」
ラミル:「関わりたくないので、私は行くね」
マイラ:「あたしもそうするの!」
ラミルとマイラはその場を立ち去った。
2人がいなくなった直後にグライス3姉妹を従えたリリンが現れる。
リリン:「何やら変なのがいたようだけど、まぁ〜いいわ!」
エニュオ:「姫様、これは!」
リリン:「結界にヒビ?」
パムプレド:「先程の衝撃といい、大魔王様復活と何か関係があるのでは?」
リリン:「そうねぇ〜」
デイノ:「ここは一度、大魔王様にお会いになられたら…」
リリン:「それよ♡、そうしましょう♡」
その状況をラミルは物陰から見ていた。
ラミル:「あの女、キィーーー」
ここは大魔王の居室
ベリアスが忙しく旅の準備をしている。
カイト:「俺も手伝うよ」
ベリアス:「いえ、それにはおよびません!」
ベリアス:「この程度、私一人で大丈夫です。」
ベリアス:「それより、大魔王様」
ベリアス:「そのお姿は?」
カイト:「これから3界を旅して回るだろ」
カイト:「人間の若者姿が1番怪しまれないと思って・・・」
カイト:(これ、俺が10代の頃の姿なんだけど)
ベリアス:「なるほど、さすが大魔王様!」
ベリアス:「そのお姿であれば、誰にも大魔王様と気づかれることもありますまい。」
ベリアス:「それで、そのお姿に慣れるために」
ベリアス:「先程からそのお姿でいらしたのですね。」
カイト:(この姿の方が、どちらかといえば慣れているというか…)
その時、ドアがノックされる。
ベリアス:「はい!」
ドアが開き、いきなりリリンが部屋に入ってくる。
リリン:「ベリアス、何をしているの?」
ベリアス:「旅の準備です。」
リリン:「旅ってあなた、どこかへ行くの?」
ベリアス:「えぇ、大魔王様のお供で3界調査の旅を。」
リリン:「せっかく、お目覚めになられたと言うのに、この私をおいて・・・」
カイト:(なんか、へんなの来たよ!)
カイト:「ベリアス、この女性は?」(小声で耳打ち)
ベリアス:「魔公爵様の姫君でリリン様です」(小声で返す)
ベリアス:「大魔王様の花嫁候補の1人です」(小声で返す)
カイト:「まぢ!!」(小声で耳打ち)
リリン:「いえでも、我が未来の夫が決めたこと!」
リリン:「未来の妻は甲斐甲斐しく、未来の夫の帰りを待つのが努め!」
リリン:「そして、お帰りになった後は・・・うふぅ♡」
リリン:「快く、送り出して差し上げなければ!」
カイト:(え〜〜〜っ、もう結婚したことに・・・)
カイト:(何かヤバいヤツに目を付けられているなぁ〜)
リリンはカイトの方を一瞬見てベリアスに向かい。
リリン:「そこの者は、あなたのの下僕かしら?」
リリン:「ソファーにふんぞりかえって!」
ベリアス:「何をおっしゃいますか!」
ベリアス:「この御方こそ、復活された大魔王様ですぞ!」
リリン:「えっ、そんなぁーーーー」
大げさに程驚く。
カイトは大魔王の姿に戻った。
リリンは大魔王の姿になってカイトに平伏する。
リリン:「大変失礼いたしました」
リリン:「私としたことが、未来の・・・」
リリンの言葉を遮るように、
カイト:「いや、良い、気にするな!」
リリン:「なんとご寛大なお心、さすがわ未来の・・・」
またもやリリンの言葉を遮るように、
カイト:「して、我になにか?」
リリン:「大魔王が旅に出るとお聞きしたものですから」
カイト:「そうか、また人間の姿になるぞ!」
カイトは人間の姿に戻った。
リリン:「大魔王様、人間のお姿もステキですわ」
カイト:「この姿で大魔王っていうのも・・・」
カイト:「カイトでいいよ」
ベリアス:「名乗る名まで、すでに決めてあるのですね」
カイト:(本名ですけど!)
ベリアス:「わかりました」
ベリアス:「・・・カイト」
カイト:「うん、それでいい!」
リリン:「わかりましたわ、カ・イ・ト♡」
カイト:(うわっ、何か鳥肌立った)
カイト:(多分俺、この人苦手)
話は変わって、
ベリアス:「それにしても、結界をなんとかしないといけませんね」
リリン:「あら、結界だったら、裏門付近にヒビが入っていましたわ」
リリン:「そうそう、それをお伝えしに参りました」
カイト:「そうか、じゃぁ、結界のヒビを見に行こう!」
ベリアス:「お待ちを!」
ベリアス:「大魔王様のお姿に戻られてからに」
カイト:「そうだな、また勘違いされないようにここは」
カイトは大魔王の姿になった
ベリアス:「お供いたします」
カイト:「うむ」
カイト:「リリン、そなたは危険なので自室に」
リリン:「はい、わかりました」
カイト:(素直に聞いてくれて助かった、ホッ!)
カイトはリリンと別れベリアスと結界のヒビの場所やってくる。
カイト:「本当であるな!」
ベリアス:「こんなにも深くヒビが!」
カイト:「なるほど」
カイト:(何か、グーパンチで一発で行けそう)
カイト:「はっ!」
カイトの拳が結界にあたるともに、バリッ!バリッ!ドーーーン、と魔王城が揺らいだ。
そしてヒビのあった場所に、人ひとり通れるくらいの穴が空いた。
カイト:(痛っ!)
カイトの拳から血が滴り地面に血溜まりができる。
がしかし、傷口は一瞬で治癒した。
カイト:(あれ、もう痛みはない)
カイト:(それに傷はきれいに治っている)
カイト:(これが大魔王の力なのか・・・)
カイト:(まぁそれはさておき)
カイト:「これで、外に出れるな!」
カイト:「ただし、ここに兵を置き他のものが出ないよう監視せよ!」
ベリアス:「はっ、かしこまりました、直ぐに手配を」
カイトとベリアスは居室に戻った。
カイトは人間の姿をしている。
カイト:「急ぎ出発をしよう」
カイト:「時間が立つと行きそびれそうな気がしてきた」
ベリアス:「そうですね、支度を急ぎます」
急遽、イフバルトとベルゼブブを居室に呼んで打ち合わせをした。
イフバルト:「大魔王様、そのお姿は?」
カイト:「旅をするには人間の姿のほうがいいだろうと思って」
カイト:(大魔王の姿と人間の姿では、なぜか話し方付がかわるなぁ〜)
イフバルト:「なるほど!いいお考えです」
カイト:「で、すぐにでも出発しようと思っている」
イフバルト:「いくらなんでも・・・」
ベルゼブブ:「いや、大魔王様のお決めになられたこと、従いましょう」
カイト:「今後の事だけど・・・」
カイトが旅をしている最中、魔界の指揮をどうするか、連絡をどうするか、その他役割分担を再確認した。
また、カイトたちが旅に出たことは、混乱を防ぐため数日間極秘扱いとなった。
リリンの自室では、
パムプレド:「姫様、ベリアス様の動きが怪しいです」
エニュオ:「大魔王様はすぐにでもご出立されるのでは」
デイノ:「まさか!?」
リリン:「その可能性は、十分にあるわね」
リリン:「いいわ、ここは知らなかった事にしておきましょう」
リリン:「で、あなた達」
エニュオ:「はい、姫様、何でございましょう」
リリン:「あなた達は結界の外に出て、大魔王様の動向を探るのよ」
リリン:「旅をしている間、大魔王様は人間の姿をして『カイト』と名乗っているわ」
リリン:「絶対に気付かれないように」
エニュオ:「はっ!」
エニュオ:「動向については、逐次ご報告いたします」
リリン:「よろしくね」
結界のヒビの場所でのやり取りをマイラは物陰から見ていた。
マイラはカイトが拳から流した血を見ていた。
マイラ:(あの血は・・・)
マイラ:(大魔王様の血ですの)
マイラ:(何百年ぶりの血かしら!)
マイラ:(いや、ダメですの、流石に大魔王様の血は)
マイラ:(しかし、バンパイアのわたくしとしては、すておけないですの)
マイラ:(味見だけでも)
マイラはカイトの血を指でひとすくい、そして舐める。
マイラ:(何ですの?苦しい、体が動かない、意識が遠のく)
マイラは意識を取り戻した。
マイラ:(ん?ここはどこかしら?)
ラミル:「あら、しぶといのね」
ラミル:「ここは、魔王城外の深淵の森の中よ」
ラミル:「あんな所で倒れられたら、迷惑なの!直ぐに見張りの兵が来ちゃうでしょ」
ラミル:「そしたら大魔王様、じゃなかったカイトの旅立ちに迷惑でしょう」
ラミル:「だから、ここまで運んだの」
ラミル:「ここは日も差さないから、バンパイアのあなたでも大丈夫でしょ」
ラミル:「あとは勝手に城に戻って頂戴、私にはやることがあるから」
マイラ:(カイト?旅立ち?何のことですの?)
ラミル:「そうそう、私は隠れて後をついて行き」
ラミル:「困っている大魔王様をお助けして」
ラミル:「そしてラブ♡ラブ♡」
ラミル:「邪魔しないでよね」
ラミル:「じゃぁね!」
マイラ:(ちょっと、待つですの!)
マイラの意識は再び遠のいた。