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そこから先はカオスです  作者: 乃木 今心
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第1章 第15話 祠の守護者

ある部屋の扉の前で、

エリック:「当然ここにもトラップが仕掛けられているんだよな」

サイギョー:「もちろんだ!」

ゴメス:「どんなトラップなんだ?」

サイギョー:「扉を開けてみれば、わかる」


ゴメスはカイトの方をちらっと見た、がカイトは無反応であった。

アリアが意を決して扉を開けた。

が、警戒していたアリアをよそに、特に何事もなかった。


アリア:「何もないみたいだ!」

エリック:「そんなはずないだろ」


とその時、どこかで『カチッ』という音が聞こえた。


ゴメス・アリアエリック:「何か嫌な予感が・・・」


先程、『カチッ』という音とともに開いた壁の窓から、大量の水が流れ込んできた。

あっという間に、自分たちの背丈以上になり、3人は立ち泳ぎの状態になった。

このままだと、水が天井に達するのみ時間の問題。


エリック:「どこかに抜け道はないのか?」

ゴメス:「このままだと、いづれ水が天井に達する」

アリア:「潜って探せ!」


3人は一斉に水の中へ潜った。

程なく、3人は水面に顔を出した。


エリック:「ダメだ、見つからない」

ゴメス:「こっちもだ」


アリアも首を横に降った。


???:「お〜い、こっちだ!」

ゴメス・アリアエリック:「え゛〜〜!」


声のする方を見て3人は驚いた。

声の主はサイギョーであった。


サイギョー:「早くこっちにきて、この舟に乗れ!」


サイギョーは舟を漕ぎながら、3人に向かって叫んだ。


エリック:「サイギョー、てめぇー!」

ゴメス:「エリック、今は落ち着け」

アリア:「アタイも腸煮えくり返っているんですけど・・・」


3人は泳いで舟に近づき、それぞれ舟に乗っている者達によって引き上げられた。


カイト:「これはトラップではないね、水を使った昇降装置みたいだ」

エリック:「おい、サイギョー」


と言って、エリックはサイギョーを睨む、ゴメスとアリアもその後ろでサイギョーを睨む。

3人は今にもサイギョーに飛びかからんとする勢いだ。


ベリアス:「3人共、ここは落ち着いて、舟の上で暴れられると、他の人にも迷惑ですよ」


ベリアスに制された3人であったが、全く納得いっていない。


サイギョー:「いやぁ〜、すまん、すまん、お主らが先に行ってしまうもんで・・・」

サイギョー:「それにしても、水の勢いがあれ程とはなぁ」

カイト:「ちょっとした、絶叫マシーンだな」

オースティン:「びっくりしました」

キキ:「でも、少しだけ興奮しました」

アリア:「こっちは死ぬかと思ったんだ」


3人は全く腑に落ちない表情でサイギョーを改めて睨んだ。


カイト:「サイギョーさん、もうちょっと進んだら、舟を止めてください」

サイギョー:「よし、わかった」


舟は部屋の中心まで行くと、止まった。

水かさが増し、天井を越え、上の階に出ると水は止まった。


エリック:「また、これも書いてあったと言うんじゃないだろうな」

カイト:「そうだけど、なにか?」

エリック:「そういうことは、先に言えって、さっきも言っただろ!」

カイト:「人の話聞かないで、先動いたのはそっち」

サイギョー:「まぁ、まぁ、そのへんにして、次へ向かおう」

エリック・ゴメス・アリア:「お前が言うな!」



一行が先を進むと、明らかに怪しい場所に出た。


サイギョー:「ここは、動く床の迷路だ」


サイギョーが入口から前方へ2歩進んだ。

とその途端、床が勝手に左側へ動いた。


サイギョー:「とこのように床の動きを見極めてだな・・・」


サイギョーの説明をよそに、部屋の入口手前では、


カイト:「前、前、動く、前、右、右・・・」


カイトが何やらブツブツ言っている。

その隣で、ベリアスがメモを取っている。


カイト:「じゃ、行こうか」

ベリアス:「はい」


カイトとベリアスが部屋に入ってきた。


カイト:「最初は何だっけ?」

ベリアス:「前2です、すると床が動きます」

ベリアス:「床が止まったら、前1右2です」


カイトとベリアスが『動く床の迷路』の中へ入った。

その後をマイラ、ラミルそしてチャッピーが続く。


ゴメス:「我々もカイト達の後に続こう」

エリック:「サイギョーのおっさんの言うことは、当てにならないからな」

アリア:「もう騙されないからな」


オースティンとキキは既にカイト達の後に続いている。

その後に、ゴメス、エリックそしてアリアが続いた。


ベリアス:「この後、右1です。これで出口に着くはずです」

カイト:「右1と」


カイトは右に移動すると、床が自動的に動き、ドアの前に着いた。


カイト:「ここが出口か」


扉を開けて、『動く床の迷路』の外に出た。

一行はカイトに続き『動く床の迷路』をクリアした。

ただ、1人を覗いて。


エリック:「サイギョーのおっさん、まだかよ、早くしろよ」

ゴメス:「これでは案内人と言えるのか?」

アリア:「おい、本当のこと言っちゃぁ可愛そうだろ」


先程の恨みを込めて、3人はサイギョーを嘲笑している。

サイギョーは動く床に翻弄されている


サイギョー:「いや、その、これはだな・・・」

ベリアス:「あっ、そこ右1で出られますよ」


出口まで来たサイギョーは、


サイギョー:「これは、ちょっとした勘違いで・・・」


カイトはその言葉を遮った。


カイト:「さっ、次いこ!」

エリック:「そうだな」

ゴメス:「言い訳とは大人げない」

アリア:「カイトに付いて行けば問題ないだろ」


3人は皮肉たっぷりに言った。


オースティン:「3にんとも、そのぐらいにして」



次の場所まで移動した。

ここは、複数設置されたギロチンの刃がそれぞれ一定のタイミングで落ちてくるトラップのようだ。


サイギョー:「ここは、刃が落ちてくるタイミングを見計らって、刃が上にあるうちに・・・」


サイギョーの話は、誰も聞いていなかった。

壁を見つめているカイトに注目していた。

そしてカイトの行く方向へ皆が付いて行った。


サイギョー:「ここは、1、2、3のタイミングで一気に4っつの刃を超えて、最後の刃は1、2のタイミングだ!」

サイギョー:「これで通り抜けられる」


と得意げに語るサイギョーの前に現れたエリックは、


エリック:「はい、ごくろさんでした」


と皮肉たっぷりに言った。


サイギョー:「え゛〜〜〜」

サイギョー:「カイト、また書いてあったと・・・」


カイトは答えず、ただ微笑んだ。


その後も、毒や溶岩、氷のトラップが仕掛けられている部屋を遠たが、

カイトが壁に書いてある文字に従い、全てを回避していった。


そして、いかのも妖しい扉の前まで来た。

扉には『九枚笹』の家紋とよく似た紋章が刻まれていた。

紋章の上にはアラビア数字の『3』によく似た文字も刻まれている。

紋章の下にも文字のような模様が刻まれているが、風化が激しくて、よく読めない。

最初と最後の文字は読めないが、ただ途中の文字は『本人麻』と読めなくもない。


サイギョー:「この扉の前まで、以前に何度か来ておる、嘘じゃないぞ」

サイギョー:「ただ開け方が、全くわからない」

カイト:「う〜ん、この紋章・・・、その上には数字の『さん』、下には『何とかホンニンアサ何とか』」

カイト:「何のことだろう、全くわからない」

サイギョー:「何やら古式魔法と関係しているように思える」

キキ:「古式魔法だとすると、呪文でしょうか」

オースティン:「洞窟の入口にいたゴーレムを動かすような」

サイギョー:「私の知っている呪文は試した」

キキ:「もう一度お願いします」

サイギョー:「うむ」

サイギョー:「世を捨つる 人はまことに 捨つるかは 捨てぬ人をぞ 捨つるとはいふ」

カイト:「それは入口のゴーレムでは使用していなかった句ですね」

サイギョー:「だから、これかと思ったのだが・・・」

キキ:「他のもお願いします」

サイギョー:「願はくは 花の下にて 春死なむ そのきさらぎの 望月の頃」

カイト:「この辞世の句ではダメですね」

サイギョー:「嘆けとて月やはものを思はする かこちがほなるわが涙かな」

カイト:「百人一首の句でもやはりダメですか・・・百人一首・・・」

カイト:「百人一首・・・3・・・本人麻・・・百人一首・・・歌人・・・3番目・・・本人麻・・・」

カイト:「あっ『柿本人麻呂』」


カイトは百人一首3番歌、柿本人麻呂の句を読んだ。


カイト:「あしびきの山鳥の尾のしだり尾の ながながし夜をひとりかも寝む」


『ガシン』という何かが外れるような大きな音がした。

そして、重々しく扉が開き始めた。

一行は、完全に扉が開くのを待って、中にはいいた。


キキは前方にある大きな物体を指差して、

キキ:「あれは何でしょうか?」

オースティン:「ゴッ、ゴッ、ゴッ、ゴーレム!」

アリア:「入口にいたやつより大きいな」

エリック:「サイギョーのおっさん、これはどうやって止める?」

サイギョー:「わからん、この中に入るのは初めてだ」

アリア:「まったく、とんだ案内人だよ」


だが、カイト達パーティは既に戦闘態勢の入っていた。

ベリアスの矢が飛ぶ、ゴーレムの眉間あたりにあたるが、矢ははじかれた。


マイラ:「えーーい」

ラミル:「そーーれ」


マイラの氷魔法もラミルの火魔法もゴーレムにダメージを与えることはできない。

エリック、ゴメスそしてアリアが突進していく。

エリックが槍で突き刺す、ゴメスがトマホークを振るう、アリアが渾身の正拳突き、どれも全く効いていない。


サイギョー:「これも入口と同じたぐいのゴーレムなら、古式魔法の呪文と・・・」

カイト:「サイギョーさん、入口のゴーレムに使わなかった句、いや呪文を!」

サイギョー:「わかった」

サイギョー:「世を捨つる 人はまことに 捨つるかは 捨てぬ人をぞ 捨つるとはいふ」


案の定、ゴーレムは崩れて、岩の破片となった。

岩の破片の中に、黒い丸い岩が1つだけあった。


カイト:「ベリアス、あの黒いのがコアだ!」

ベリアス:「はい」

ベリアスはゴーレムのコアに向けて矢を放った。

が、周りの岩がコアを守るようにして矢をはじき、同時に再生した。


キキ:「コアに対する物理攻撃が無効・・・」

オースティン:「ゴーレムはおそらく土属性、対応する木魔法では?」

カイト:「ラミル、頼む!」

ラミル:「はい」

カイト:「サイギョーさん、呪文を!」

サイギョー:「世を捨つる 人はまことに 捨つるかは 捨てぬ人をぞ 捨つるとはいふ」

ラミル:「そーーれ」


呪文で崩れ、露出したコアに地面から生えた草木が絡みつく。

が、草木を物ともせず周りの岩がコアに集まり、草木を押し潰し再び再生した。


ゴメス:「物理攻撃も魔法攻撃も聞かないのか・・・」

カイト:「ちょっと試したいことがあります、サイギョーさんもう一度呪文を」

サイギョー:「わかった」

サイギョー:「世を捨つる 人はまことに 捨つるかは 捨てぬ人をぞ 捨つるとはいふ」

カイト:「マクーハ」


呪文で崩れ、露出したコアに向かって黒い小さな球い物体が近づく。

が、コアに届かず周りの岩を吸い込んで消滅した。


ベリアス:「今のは?」

カイト:「重力魔法で作った超小型ブラックホールだ」

カイト:「但し、制御が難しい」

ベリアス:「カイト、見てください、肩の部分」

カイト:「あそこだけ再生していないな」

ベリアス:「超小型ブラックホールが吸い込んだ部分だと思われます」

エリック:「それならいっそ、あのゴーレムそのものをブラックホールとやらで吸い込めば」

カイト:「超小型ブラックホールでは、あのゴーレム全てを吸い込むことはできません」

カイト:「かと言ってブラックホールを大きくすれば、他にも影響が」

ベリアス:「それに、コアの位置は、常に動いているようです」

ベリアス:「見てください、肩も再生しています」

カイト:「一か八か、もう一度、サイギョーさん」


サイギョーは呪文を唱えた。


カイト:「マクーハ」


そしてタイミングを見計らって、


カイト:「ノリス」


呪文で崩れ、露出したコアに向かっ超小型ブラックホールが近づく。

今度は、超小型ブラックホールが加速し、コアへ近づく。

コアを守ろうとした岩ごとコアを超小型ブラックホールが吸い込んだ。


ゴーレムを形成していた岩は地面に落ち、二度と再生することはなかった。


カイト:「ふー!これはきついな〜」

カイト:「集中力が持たない」


カイトはその場に、しゃがみこんだ。

カイトのパティーメンバが近づき、


ベリアス:「大丈夫ですか?」

マイラ:「先程のは、何ですの?」

ラミル:「そういうことは後にして、今は少し休みましょう」

カイト:「重力魔法と時空間魔法の組み合わせ」

カイト:「重力そのもののブラックホールに加速をつけるは少々無理があった」

カイト:「だが、かなり有効で有ることもわかった」

ベリアス:「それ以上は」

カイト:「そうだな」


チャッピーがカイトの頬をなめ、伏せの姿勢で尻尾を振っている。

背中に乗れという事だ。

カイトはチャッピーの頭を撫で、背に乗った。



ゴーレムがいてよくわからなかったが、奥に扉がもう1つある。


サイギョー:「ゴーレムを倒したので、奥の扉の中に入れるようになったようだな」

キキ:「行ってみましょう、あの扉の先こそドリーゲートのあるユルムの祠に違いありません」

ベリアス:「カイト、大丈夫ですか?」

カイト:「行こう、チャッピー」


チャッピーの背に乗りながら、カイトは言った。

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