第1章 第1話 大魔王復活
草原をイノシシが逃げる。
カイト:「ベリアス、そっち行ったぞ、追い込め!」
ベリアス:「おまかせを!」
ベリアスのはなった風魔法でイノシシが方向を変える。
ベリアス:「カイト、そちらに行きました。」
カイト:「よし、今だ!」
カイトは罠の縄を刀で切った。
イノシシは罠にはまり、後ろ足を2本縄にくくられ、宙吊り状態で暴れている。
ベリアス:「やりましたね。」
ベリアスは手早く暴れるイノシシの脳天にナイフを刺しに止めをさす。
ベリアス:「うん、他に傷はない。毛皮の材料としても使えるな!」
カイトとベリアスは食料としてだけではなく、毛皮の材料としても使うため弓矢を使わず、罠を用いいた。
そのへん、ベリアスの周到さである。
カイト:「今日の食に感謝!これで夕食にありつける。」
ベリアス:「ええ、腕によりをかけます。」
カイト:「ありがとう、期待しているよ(笑)」
そして夜、野営の準備も整い、ベリアスは料理を作っている。
カイトはその場所から少し離れて、星を持ている。
カイト:(突然のことで、まだ混乱しているよ!)
カイトは、今までのことを振り返ってみる。
カイト:(あれは確か・・・)
[回想シーン(始)]
カイト :「うわーーーーー」
バーン(何かにぶつかる音)
ヒューン(そして飛ばされる)
周囲から何やら妖しい呪文が聞こえる。
その妖しい呪文でカイトは意識を取り戻す。
カイト:(うるさいなぁ〜!)
カイトは怒っている、不機嫌である。
カイト:(何だよ!ゆっくり寝かせてくれよ〜)
カイト:(・・・)
仕方なくカイトは目を開ける。
カイト:(何だここは、隙間から微かな明かりが…)
カイト:(棺桶の中???)
カイトは手足を動かしてみた。
棺が激しく揺れ動き、周囲にいるの者共は驚きが伝わってくる
周囲A:「今動いたよな!?」
周囲B:「確かに動いたような・・・」
カイトは棺の中から周囲に向けて声をかけてみた。
カイト:「ねぇ、ちょっと!」
周囲の者共は激しく驚いたようだ。
カイト:「うーんと」
カイト:(意外と重いな、このフタ)
カイトは棺のフラをずらした、上半身を起こした。
カイト:「えっ、ここどこ??」
周囲いた者共全員はその場で平伏した。
老人:「おお!」
執事:「ついにこの時が!」
カイト:(えっ何?)
カイトは周囲を見し、たじろいだ。
そう、周囲で平伏している者共は、宗教画やアニメなどで見る、いかにもという姿であった
カイト:(えっ、悪魔!?)
カイト:(ここ地獄!?)
カイト:(俺、死んで地獄・・・閻魔様の裁判受けてないのに・・・)
カイト:(裁判受けずに地獄へ直行ってこと・・・そんな悪いことしてた?)
カイトの思いとは別に悪魔たちは、
悪魔A:「おーっ、復活された」
悪魔B:「大魔王様が蘇った」
悪魔達:「大魔王様、大魔王様、大魔王様……」
平伏している悪魔たちが歓喜している。
カイト:「えっ何!」
カイト:「大魔王様??」
カイト:(って、誰か近づいて来るんがけど)
カイト:(何この老人、怖い、怖い、怖い!)
だが近寄ってくる老人は泣いていた。
老人:「副王様が予言された通り!」
老人:「この日が来るのをどれほどお待ちしたか・・・」
カイト:「はい?」
カイトは混乱でパニクりそうになっていた。
カイト:(一旦整理しよう!)
カイト:(えっと・・・バーンとなって、ヒューン)
カイト:(そもそもバーンとなって、ヒューンってなんなんだよ!?)
カイトは頭を掻きむしろうとした。
カイト:(何この頭に付いているの)
カイト:(兜か冠でもつけているのか?)
カイト:(普通死者がつけるのは、三角のやるだろ・・・)
執事:「何と大魔王様」
執事:「お櫛が」
執事のような男が櫛で髪型を整え、鏡をカイトに渡した。
カイト:「角??」
カイト:「何じゃ〜こりゃ〜!」
自分の容姿を鏡で見たカイトは驚き叫んだ。
その衝撃で、何かが崩れる音がした。
カイト:(角、尖った耳、何より目が怖い、顔色も悪い・・・)
カイトの鏡を持つ手は震える。
執事:「大魔王様、いかがなされました」
老人:「さすがの大魔王様でも長きの眠りから覚め、混乱されておるのじゃ」
老人:「ここは一旦、大魔王様のお部屋へお連れし、しばしお休みいただくのじゃ」
執事:「かしこまりました」
執事:「さぁ、大魔王様、こちらへどうぞ」
カイト:「うっ、うむ!」
カイト:(全く状況がつかめな・・・)
カイト:(危害を加えられることはなさそうなので、そのことについては感謝しよう)
それから少し時が流れた。
カイトは大魔王の居室にあるソファーに座り、ぼーっとしていた。
執事(以降ベリアス)はお茶の支度をしている。
ベリアス:「お茶でもいかがですか、大魔王様」
カイト:「ありがとう」
ベリアスは大魔王のカップに紅茶を注ぐ。
カイトは紅茶を一口飲んだ。
カイト:「あっ、うまい」
ベリアスは微笑む。
カイト:(よし、ちょっと落ち着いた所で再び、だ!)
カイト:(一旦整理しよう!)
カイト:(まずは、ここは一体どこで、自分はどうしてしまったのか?)
カイト:(ごく普通のサラリーマンだったはずだが?)
カイト:(えっと…バーンとなって、ヒューン)
カイト:(このバーンとなって、ヒューンが鍵だな)
大魔王居室にドアがけたたましくノックされる。
ベリアス:「何やら騒がしいですね」
ベリアス:「追い返しましょうか?」
カイト:「いや、出てくれ」
カイト:(整理はまた後でだな)
ベリアス:「かしこまりました」
ベリアスがドアを開ける。
そこには大魔王の代理を努めていたベルゼブブが立っていた。
ベルゼブブはソファーに座っているカイトを確認するやいないや、
カイトの座るソファーの前に行き、跪く。
ベルゼブブ:「おぉ、大魔王様!」
カイト:「ベルゼブブ!」
カイト:(ん?初対面のはずだが・・・)
カイト:(でも、よく知っている気がする)
カイト:「ベルゼブブ、お前には長いこと苦労をかけたな!」
カイト:(あれ、こんなこと言っちゃった)
ベルゼブブ:「なんとも、もったいないお言葉」
ベルゼブブはその場で泣き崩れる
カイト:「で、その後どうなった?」
カイト:(また勝手に・・・)
カイト:(まぁいい、今の状況を聞こう!)
ベルゼブブ:「大魔王様がお眠りになっている間ですか?」
ベリアス:「それであれば、イフバルト様もご一緒の方が良いかと」
ベリアス:「お呼びしてはいかがですか?」
カイト:「そうだな、そうしてくれ!」
ベリアス:「はっ、かしこまりました!」
先ほどの老人、イフバルトも大魔王の居室に来る。
イフバルトは黒いフード付きのマントを身に着け、杖を持っち、長い白髪に長い髭をたくわえた、いかにも魔法使いという老人だ。
ベルゼブブは、黒髪に2本の角、背中にはコウモリのような羽をはやし、ネットやアニメでよく見る悪魔貴族の青年風だ。
ベリアスは、面長な顔にきつい目、尖った耳が特徴で、中世ヨーロッパの貴族に使える執事の姿をしている青年だ。
イフバルト:「大魔王様、ご加減はいかかでしょうか?」
カイト:「もう、落ち着いる。」
カイト:「今までのこと、感謝している」
カイト:(もうこのままいこう、一応、大魔王だしな)
イフバルト:「なんともったいないお言葉!」
カイト:「して、何が起こった?」
イフバルト:「ご記憶されていないのですか?」
カイト:(バーン、ヒューン、しか・・・)
ベリアス:「復活された直後です、すぐに思い出されるでしょう」
ベリアス:「そのためにも、ご説明差し上げるべきかと」
イフバルト:「うむ、そうじゃな、ワシから説明差し上げよう」
イフバルト:「ハルバゲトンの末期…」
カイト:(ハルバゲトンって?!、なんかすごいの出て来たよ)
イフバルト:「天界の軍勢が魔王城に迫りくる中」
イフバルト:「大魔王様は魔王城周辺に結界を張られ」
イフバルト:「と同時に、『全てはヤツの仕業か!後のことは頼む』とおっしゃい」
イフバルト:「肉体を捨て精神を飛ばされた。」
イフバルト:「その時の『必ず戻る』という大魔王様の言葉を信じ、」
イフバルト:「肉体を守りつつ、復活の儀式を執り行っておりました。」
イフバルト:「あれから、100年以上は経ちますな。」
カイト:(えっ、100年以上も?!)
ベルゼブブ:「正確には125年です。」
ベルゼブブ:「この魔王城は、大魔王様の張った結界に守られており、125年前の姿をとどめております。」
ベルゼブブ:「ただ、結界の強さゆえ、外界とも隔絶されております。」
ベルゼブブ:「それは、我々の安全のためですが…」
ベルゼブブは恐縮する。
ベルゼブブ:「外界の様子がよくわからないのです。」
ベリアス:「結界を張る前に天使共が言っていましたが、」
ベリアス:「1000年王国は3界に分かれるのだと・・・」
イフバルト:「調べた限りでは、人間界、魔族界そして天使界、と言われておる。」
イフバルト:「それぞれが、どのような世界かは、情報が少なくて、今は不明じゃ。」
イフバルト:「情報を得るには、誰かが結界外に行く必要があるのじゃが・・・」
カイト:「なるほど」
カイト:「で、ベルゼブブ!我の復活を予言したそうだな」
ベルゼブブ:「ただ、大魔王様の強い気を感じたのでございます」
ベルゼブブ:「それで・・・」
カイト:「それで復活が近いと感じたのだな」
ベルゼブブ:「はい」
カイト:(バーンってなって、ヒューンの手がかりは無しか!)
カイト:(結界の外にある3界を探る必要があるな!)
カイト:「イフバルト、ベルゼブブ、ベリアス、我のいない間、ご苦労であった。」
カイトから不思議なオーラが溢れる。
イフバルト、ベルゼブブ、ベリアス、涙を流しながら、歓喜に震える。
カイト:「では、我が、実際にその3界とやらに行って確かめて来よう。」
イフバルト:「それはなりませぬっ!」
イフバルト:「御身になにかあれば…」
カイト:「それには及ばぬぞ!」
カイト:「我は大魔王、そう簡単に滅びはせぬ。」
カイト:「ハッハッハッハッハッ!」
カイト:「それに大魔王が魔王城にいたら、いずれ誰かに気づかれる」
カイト:「ベルゼブブ、魔王城は今まで通りお前に任せる!」
ベルゼブブ:「はっ!」
カイト:「先の天使の言葉が気になる。」
カイト:「イフバルト、お前も魔王城に残り、ベルゼブブを支援しながら」
カイト:「ハルマゲトンや1000年王国について調べてもらいたい」
イフバルト:「いえ、お供させていただきますぞ。」
ベリアス:「それは私のお役目!」
ベリアス:「身の回り全般のお世話、大魔王様がどこにいようとも、させていただきます」
ベリアス:「今まで、できなかった分も存分に!」
ベリアスの心は高揚感の満たされていた。
ベリアス:(なんという幸せ!)
カイト:(拒否しても無駄みたいだなぁ、苦笑)
カイト:「わかった、ベリアス、準備を頼むぞ!」
ベリアス:「はっ、かしこまりました(喜)」
イフバルト:「お供できないのは残念じゃが、さっそく調査を始めるとするか。」
[回想シーン(終)]
場面は野営地に戻る。
カイト:(言うことで、執事のベリアスと旅をすることになったんだけど、)
カイト:(旅に出るまで、色々とあって・・・)
カイト:(城の中では、しがらみが多くて大変、旅に出られてよかった)
カイト:(ってことで、俺、平泉快斗)
カイト:(元の世界では32歳、中堅商社のごく普通のサラリーマン、独身)
カイト:(転生して大魔王になりました。)
カイト:(でも大魔王になった理由がわかりません、そこで3界をベリアスと旅し、その理由を探す事にしました)
カイト:(そうそう、悪魔は人間の姿に擬態できるようで、)
カイト:(人間の姿でいる時は10代後半に若返りました。)
カイト:(そしてここは、どうやら3界の内、人間界のようです。)
カイト:(近くに、町があるようなので、今はそこを目指しています。)
料理も出来上がり、
ベリアス:(カイトはどこに?)
ベリアス:(ん?)
ベリアス:「そこに隠れて何をしているのですか?」
謎の少女1:「あーら、気が付いていらしたのね(笑)」
ベリアス:「そっちも!」
謎の女:「さすがねぇ〜(笑)」