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ろりかむほーむ ~幼女がせめてきたぞっ!~  作者: 白井アレ
第一章 祝福された動人形(Living doll)
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買い物に行こう!

せっかくなのでひっそり投稿。

毎週投稿にしておくとこういう間の不定期投稿が良く見えるという効果も期待できるか!?


 

 「これが人間のいる世界……色とりどりで綺麗ですわ!」


 蒼太とルルリエはひとしきり撫でて撫でられて満足するとこの世界の知見を広める目的も兼ねて足りなくなるだろう食料品と生活用品などの買い出しのため街へと繰り出していた。

 同居を認めたからにはちゃんと責任は取らねばならない。

 もちろんルルリエをそのままの姿で外に出させるわけにはいかないので蒼太のお古の服を着させている。

 髪の色も目立つので帽子で申し訳程度に隠しているので少しボーイッシュでだぼったい感じだが真っ白なワンピース姿より悪目立ちすることはないだろう。


 「まるで絵本の中の世界にいるようなのだわ……!」

 「そう?」


 そこで家を出て外の景色を見るなりうっとりとするルルリエに僕は首をかしげる。

 周囲はただの住宅街でアスファルトの黒い道路に普通の一軒家が立ち並び、各々着飾った生け垣などの緑が映えているだけ。

 ごく普通の光景すぎて別段綺麗だとは思わない。


 「ソータは日常的に見ているから気付かないのだわ! この自然を冒涜するような建造物に申し訳程度に植えられた緑の比率! 雑草一本生やすまいと真っ直ぐ引かれた黒い道の整頓されていてかつ利便性を考慮した作り! 白い建物と灰色の機械しかない世界とは大違いなのだわ!」

 「そっか。君にとっては珍しいもんね」

 「私たちの世界もこうだったのかしら」


 ルルリエは自分のいた世界のかつての姿をこの世界の風景と重ねる。

 人が当たり前のように存在し多彩な色彩を放つ世界。


 「でもやっぱり本物は違うのだわ」


 どれだけ比べようともモニターや紙越しに見た世界とは全く違った。

 生命力あふれる空気を肌で感じる。

 髪をなでる優しい風が人として造られた心の隙間を埋めてくれるようだった。


 「それにしても別の世界から来たってのに結構順応性高いよね」

 「どんな世界でも人間は人間であることに代わりはないからかしら? 資料で見てきたような文明と大きな違いはないのだわ」

 「そう言うもんか」

 「多分そう言うものなのですわ。言語もこうして私の翻訳機能で理解できていますし」

 「そういえば普通に話してたけど確かに……」


 よく考えたらルルリエは別の世界の存在である。

 だから言語などは違って当然なのだがあまりに自然に話していたので気にかけていなかった。


 「僕も君みたいな便利な身体に生まれたかったものだなぁ……」


 肉の体から解き放たれていろんな便利機能がついていてさらには他人を腹ペコにさせるだけでほとんど何でもアリの奇跡を起こせるおまけ付きだ。

 普通の人間ならば是非なりたい体だろう。

 だがルルリエはそんな蒼太のぼやきに頬を膨らませた。


 「何を言っているのですか? 私にとって人間は羨望の存在! 軽々しく生まれ変わりたいなんて言わないで欲しいのだわ!」

 「ご、ごめん……」


 思いのよらない反論に蒼太は謝るしかなかった。

 言われてみればその通りだと納得することだったから。

 蒼太にはまだルルリエのことを機械であると認識できていない節がある。

 そのことをわかっていても余りに人間らしいルルリエを機械とみることは難しかった。

 蒼太が反省する一方、ルルリエはまだご立腹なことがあるらしくまだ頬が膨らんでいる。


 「それに私の事を『君』って言うの止めてほしいのだわ! 私だけ名前で呼んで馬鹿みたいなのだわ!」

 「あー……うん……善処するよ……」

 「なんですか? 気恥ずかしいのですか?」

 「うぐっ……」


 簡単に心を見透かされた蒼太は言葉に詰まる。

 そう。知り合ったばかりの女の子を名前で呼ぶのはそこまで開放的な性格ではない蒼太には厳しいのだ。

 そんな蒼太の様子がルルリエの嗜虐心に火をつけたのか意地の悪い笑みを浮かべて蒼太の顔を覗き込む。


 「ほら、私の事はルルと呼んで欲しいのだわ?」

 「……ルル」

 「ん? 声が小さすぎて聞こえないのだわ?」

 「ルル! ほら! もういいでしょ! さっさと行くよ!」

 「んふふ……」


 赤面した顔を冷ますように大股で歩く蒼太を小走りで追いかけつつルルリエは満足げに含み笑いを浮かべるのだった。





――――――――――――――――――――――――――――――





 ピンポーン


 清閑な住宅街の一角にある一軒の住宅に高い電子音が響く。


 「あれ? いない……?」


 その住宅――水野家の前で大きなリュックサックを背負った一人の少女が首をかしげていた。


 「家は……あってるわよね」


 訪れる家を間違えたかと思ったが、合っている。

 ならば留守と言うことだ。


 「珍しっ」


 家の中の様子は締め切られているので外からは確認できないが、人の気配がしないことくらいはわかる。

 居留守などでもなく本当に居ないようだ。


 「ま、いっか」


 すると少女はなんの迷いもなくポケットの中から合鍵を取り出すと玄関の鍵を開けた。


 「お邪魔しまーす」


 そしてまるで自分の家であるかのように靴を脱ぎ散らかし、勝手に上がり込む。

 それから確かめるように家の中を見渡し、向かった先は普段蒼太の過ごしている居間。

 そこは今朝の一悶着のせいでだいぶん散らかりっぱなしであった。


 「もぅ。また散らかして……()()()()()は私がいないとほんとダメなんだから」


 それから少女はまるで人が変わったかのように可愛らしく腰に手を当て頬を膨らませると何処か嬉しそうに居間の掃除を始めた。



妹はどうしても何があっても外せません。

えぇ。必ずです。

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