日本人と会うのは久しぶりですか?
「え・・・どうゆうこと?」
「えーっと、私の名前はこちらでは、ミカ・ハウロス。 だけど元いた世界では 本荘美夏 っていう名前なの」
「もしかして、日本人?」
「そう!やっぱり霧斗くんも異世界から来たのですね!」
「ちょっと待ってくれ!」
スマホで検索をする。
【本荘美夏 行方不明 情報】検索
「スマートフォン?使えるの?」
「ああ、何故かは分からないけどこちらの世界でもネットが使えるんだ。あ! わかったよ」
「何がですか?」
「本荘美夏、当時16歳 学校の下校途中から消息不明、監視カメラにも映っておらず誘拐の可能性あり」
「そうだよ!なんでわかったの?」
「行方不明情報に載ってる」
「ええ!どうしよう。パパとママ心配してるかな?」
俺も異世界召喚されてから2週間以上経つな。
ゲームにもログインしてない、親と連絡もとってない。となると行方不明届けが出されるのも時間の問題か。
「こっちの世界に来てどれくらいになるんだ?」
「私はもう1年半経つかな? 初めて来た時が懐かしいなぁ」
「そんなにも?変える方法とかなかったのか?」
「ないよ。というか知らない。知ってたらこんなところで働いてるわけないじゃん!」
「そうか・・・てか、なんでルイカと仲良いんだ? あいつ結構 言い方とか喋り方キツくないか?」
「うーん。最初会った時は苦手だったけど、何回も会合で会うから仲良くなったんだよ」
「会合?ひょっとして・・・美夏さん?」
「うん!魔導八柱聖だよ!」
「はぁ!?マジで?」
「うん、マジだよ!領主様とセルシア様とルイカと私と、もう1人の異世界召喚者がこの領地の魔導八柱聖だよ」
「まだ居るのか!?」
「名前は 中島庄司27歳よ」
「おっさんかよ!」
「こっちでは クラウド・トルマリンって名乗ってるわ」
「(うわ〜中二病っぽい)そいつどこに居るんだ?」
「この街をずっと東に行ったところに普通の街があるわ。そこのギルドに多分いるわよ」
「じゃあ目的の街周辺の街にいるのか」
「ところで霧斗くん、パソコンの中に色々データがあるけど、これ何?『設計図』って名前ばかりだけど。もしかして、元の世界での仕事のデータか何かですか?」
「(俺はニートだったから)違う。これは銃とか日本刀の作り方が書いてある」
「ヘぇ〜、んじゃ適当に選んで見してよ、作ってあげるから」
「作れるのか?材料が結構必要だぞ?」
「私が使える特殊魔法 創造で自分より小さいものなら作れるわよ」
「んーじゃあ、このレールガン作ってくれよ!」
名前が『設計図3』となっているデータを開いて美夏に見せる。
「じゃあ、いくよ!」
美夏は手と手を距離を取りながら向かい合わせて目を閉じた。するとそこに白いモヤが出て来てドンドン形になっていった。
「はい、完成っと」
「凄ぇ。レールガンがあっという間に・・・」
「まあ、今回は別にお代を取るつもりはないけど、手持ちの部分を金属にしてるって変な造りね。バッテリーも無いようだけど、設計図があるなら作ってあげようか?」
「電気系の魔法は超得意だから心配すんな!」
「玉はどうするつもり?」
「あ・・・・・・忘れてた。どうしよ?」
「仕方ないわね。はい、サービスね」
そう言って美夏はケースと玉の型と50発分の玉をくれた。
「あ、ありがとうな。こんなに色々と」
「まぁね。同郷の人間として情けをかけてあげただけよ」
「ああ、いつか必ずと借りは返すぜ」
「いや、充電器を貸して欲しいわ。私もスマホが使えるのなら使いたい」
「もしかして、最初からそれが狙いか?」
「えへへ、実は外でスマホを使ってるの見たんだ」
「ほらよ、お自慢の魔法で複製しろ」
「これの使い方は・・・?」
「まず、このハンドルを回すと、内蔵バッテリーに充電されるから、スマホに繋ぎながらハンドルを回せば充電されるよ」
「ありがとう!これでやっとスマホが復活する!じゃあね!私は受付に戻るね!」
「ああ、おやすみ」
「うん。おやすみ!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「あー、よく寝たなぁ。まさかちょっと前まで夜の眷属として自宅の警備をしていた俺が朝に起きる日が来るなんて思ってもなかったぜ」
「何を言っているのですか?もうお昼ですよ。キリトさん」
「うわぁぁぁぁ!!ルイカ、どうやって入って来たんだ!?」
「私が開けたのよ♪(ドヤ顔)」
「何、ドヤ顔してんだ このプライバシーのカケラもない女ぁぁぁ!!」
「うるさいですよ。というか、早く準備してください。行きますよ」
「あ、うん。準備するから部屋から出てってくれませんか?」
「・・・分かりました。けど二度寝してたら容赦無く魔法をぶっ放しますよ」
「怖っっ、まあいいや、出てけ出てけ!」
部屋から2人を追い出す。
「準備出来ましたか?」
「おう、出来たぞ」
「では行きましょうか」
「じゃーねー ルイカと霧斗くん。また来てね」
「キリトさんだけ『くん』付けなのは解せませんが、また来るわ。じゃあね ミカ」
「てかルイカ、なんでお昼まで寝させてくれたんだ?目的地までだいぶ距離があるはずだが?」
「そこまで距離はないですよ。もう数時間あれば見えてくると思いますよ」
「そうなのか?」
「はい。けど、手を抜かないでくださいね。多分この辺りから賊や魔物が出てきますよ」
そうだろうな。今、俺たちは山の中を歩いている。何かあってもおかしくない。
「なぜそんなに心配そうなのですか? そんなに魔物は出てこないので多分無事にここを出られますよ」
「おい!フラグ立てるな!」
「キリトさんが大きな声を出すから、ほら」
ルイカの指をさす方向には巨大なイノシシのような生物がいた。やはりこの世界にフラグ建築はあり得ることなのだ、と改めて思った。
「ふっふっふ、この時を待っていた!現代科学を思い知るがいい!」
美夏に作ってもらったレールガンをバッグから取り出して構え・・・・・る暇もなかった。
バッグから取り出したその瞬間、イノシシの首が飛ぶ。
「は!?」
「どうしました?」
「いや、急に首が・・・」
「あぁ、私の特殊魔法、領域付加ですよ」
「すごいな。魔導八柱聖ってみんなこうなのか?」
「この程度の魔法、特殊魔法と言えないくらい使える人がいますよ。リカルド様やセルシア様やミカとは比べものになりません」
「謙遜することねぇのに」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ほら見えて来ましたよ」
「あれか?結構デカイな」
見てる先には塀に囲まれたまぁまぁの大きさの街があった。