強制イベント発生させるのですか?
ギルドへ向かう途中、路地裏で眠り込んでしまう。
「あー暑い。夜に生きる俺が日の光を浴び、人混みの中を歩くことになるとは。数時間前まで考えてなかったな」
とりあえず、先ほどの路地裏に行き、日陰で休むことにした。
「うーん。多分、このメッセージの謎を読み解かないと、どうにも進展する気がしない」
というか、異世界召喚系なのに召喚主が出てこないってどうゆうことだよ?
【異世界に常識を求めてはいけない】
そんな言葉が頭をよぎる。
「あ・・・・れ? 」
頭がくらくらする。視界が歪んで………なんだ?
これは・・・・・・・夜の眷属【ニート】特有の能力。
『昼夜逆転』
「そういえば、しばらく寝てなかったから寝ようってところで異世界に来たんだった。そりゃ眠くもな……」
「ッッは!・・・・・・・知らない天井、そして知らないベッドだ」
「目覚めたようですね。お客様」
声のした方を見るとメイド服姿の可愛い少女が居た。構えているレイピアが無ければ最高なのだが。
「えっと・・・ここは?」
「ここはリカルド・ウォルス様のお屋敷です」
「俺って路地裏で寝てなかったか?」
「分かりません。その話についてはリカルド様からお話があるので、くれぐれも失礼のないように。ではお呼びしてきます」
メイド服のあの子はレイピアをしまって部屋を出ていった。
「リカルド・・・誰だろう?」
「やぁやぁ、お目覚めデスネー」
基地外と呼ばれる部類のテンションMAX野郎が来やがった。
「あ、ああ、お前がリカルドか?」
「うーん、ドン引きって感じダァネ。 いかにも!この私こそ リカルド領、領主のリカルド・ウォルスであるぞ!」
「(テンション高ぇ)それで、俺は路地裏で寝ていたと思うのだが、なんでここにいるんだ?」
「それはダネ、死にかけだった君を衛兵が運んでたからネェ。不思議な格好だったから連れて来たって訳ダァヨ」
「不思議な格好だったら怪しんで普通は連れて来ねぇだろ」
「それは私のメイド達にも言われたのに本人にも言われると少し傷つくネ」
「んで、俺をどうするつもりだ?」
「うーん少し色々聞きたいカナァ」
「どーぞ、別にやましい事もねーし」
「じゃあ・・・・・『お前は何者だ?』そのドス黒い魔力、普通の人間じゃないな?」
リカルドの声が暗くなり、ドスの効いた声になった。そして、殺気立って俺に尋ねた。
「そんな事を言われてもなぁ。俺は魔法使えない、さらに言えば 魔法使いも見たことはない!」
「じゃあ次の質問だ。『お前は悪魔魔術研究会の関係者か?』」
「そんなのは知らん! 俺は魔法も使えなければそんな変な奴らの仲間でもない!」
「ナァンだ、本当に関係者じゃないのネェ」
リカルドが元の声に変わり、殺気も消えた。
「そんな簡単に信用していいのか?」
「敵意のある嘘をついたり、魔法を使おうとしたらこの部屋が魔力を吸い取って、最悪 君は死んでたからね」
たぶんこの辺はラノベやゲームと同じで、魔力を吸い取られたら死ぬパターンだろうな。
「別にいいのでは?リカルド様がお助けにならなければそいつは死んでた可能性が高いのですから」
「そうだ、聞くのを忘れてた。俺って路地裏で死にかけていたってどうゆう事なんだ?」
「それは私にも分からないのダァネ。君から凄く大きな魔力を感じたから助けたのダァヨ」
「なんでだ? 魔力が高い奴はそんなに珍しいのか?」
「何を言っているのですか?お客様。魔法魔術街のリカルド領では魔力の高い人は重宝されるのですよ」
「俺、何度もいうけど魔法は使えないぞ?」
「まぁ、イイじゃあないか。ところで君、名前は?」
「後藤 霧斗です」
「じゃあキリトくん。私は領主、そして君の命の恩人! ここまでイイかな?」
「い、良いけど」
「ならば、私に尽くすのはアッタリマエの事だよネェ?」
「あ、ああ。腑に落ちないが死にかけてたところを助けてもらったらしいしそれの対価は支払ってやるよ」
これは強制イベントってやつだ。
けど、ラノベでもゲームでも異世界召喚というのは、召喚された人が最強の俺TUEEEEE系であると決まっているはずだ!
「ウーン!良い返事だネェ。なら君に命じることは〜〜、この領地の発展と警備をお願いしたいネ」