自宅警備員《ニート》からの卒業ですか?
「今日のレベリングはもう終わりっと。今何時だ?もう5時か。眠いな」
今、俺がやっているのは人気MMORPG【フォルムナイトオンライン】だ。
98Lvの転生3回目のソロ上位ランカー、名前は【クラウン】こと 後藤霧斗 18歳だ。
職業は最下級職『自宅警備員』だ。
「とりあえず腹減ったな。コンビニでも行くか」
顔を洗ってジャージに着替えて財布をもってドアを開けた。
「・・・・・え?」
俺は目を疑った。
目の前に広がっていたのは草原。
そして綺麗な湖。あと大きめの都市。
俺はとりあえず家に戻った。
「えっと Wi-Fiも使えるし.... スマホの通信制限もそのまんま。GPSの反応も日本にある。」
「ふう。1日2時間の睡眠時間で1週間もゲームしてれば目も疲れるよなぁ。よしちゃっちゃとコンビニ行くか〜」
俺は顔を洗って、頰を軽く叩き、家を出・・・ようとした。
「・・・・・・ふぁ」
やはりそこには草原と湖と都市があった。
「これは認めざるを得ないな」
夜に生き、夜に活動する自宅警備員という名の夜の眷属、後藤霧斗18歳は異世界に召喚されました。
「うーん、これからどうしよう。家からコンビニに行けない。つまり、自宅にあるものしか持って行けない。 ラノベやゲームの展開的には家から出たらもう戻れないパターンだよな」
とりあえず部屋を探し回り、武器になりそうなもの、手動の充電器、パソコン、スマホ、動きやすい服を持った。
「ん?」
パソコンを開き、サバイバルに必要なものを調べようとしたら画面には『メッセージ』と表示されていた。
【メッセージ: 後藤様へ『異世界召喚特典として支給されたもの一覧』
・レベルの引き継ぎ
・ステータスの追加
以上のものを支給する】
「はい?」
どうゆう事だ? レベルの引き継ぎ?ステータスの追加? 意味がわからない。まあいいか。
「さてと、それじゃあ、行きますか〜。俺の自宅警備員生活の終了と、異世界生活の始まりの第一歩を踏み出すぜ!」
外へ完全に出た瞬間、振り返ってもそこには自宅の景色はなかった。 あるのは草原だけ。
「これからどうするべきか?」
もう家には帰れない。
都市を見る限り時代は中世ってところだろう。
文化も言語も違う。
住んでいるのが人間とは限らない。
「うーん、ラノベの展開であったら都市に行ったらヒロイン的存在との出会いがあると思うが、ゲームの展開であったら都市に行くと多分捕まる」
「よし!ここは何かあったら逃げるとして、都市に行こうか」
俺はスマホをポケットに入れて、武器の類いをしまい、都市の方へ歩いて向かった。
「そういえば、レベルの引き継ぎとかステータスの追加とかって何だったんだろう? 魔法とか使えたりするのかな」
ちょっと試しに叫んでみた。
「フレイムボール!!」
すると いきなり巨大な炎がで・・・・・るはずがなかった。
「超恥ずかしい。マジで。死ぬって。黒歴史だわ。そこは巨大な炎が『ドーンッ』って出る展開でしょう」
そんなことを考えているうちに都市へ着いた。
周りを見渡すと猫耳、うさ耳、エルフ、人間 様々な人種がいた。
話は日本語とほとんど変わらないみたいだけど、やはり文字は全く違った
「ここからどうするべきか? 文字が読めない、変な格好、金なし ここまで怪しい人は居ないだろう」
とりあえず俺は誰も居ない路地裏でスマホをいじる事にした。
【異世界 過ごし方 無一文】で検索してみた。
やはり何も出てこない。
けど電波が無いはずの環境だが、ネットを見ることができる、という事が分かった。
「君、何をしている?」
誰だ?見た感じ騎士っぽいな。
「えっとちょっと疲れたので休憩を」
「そんな所にいたら危ないぞ。いくら僕たち衛兵がそこら中で見回りをしていても恐喝も窃盗も起きる。見た感じ、この国の人ではなさそうだがどこから来たんだい?」
あれ?怪しまれてる?
「いや、俺にも分からなくて(というか異世界って言っても分からないだろう)」
「分からない?お金とかは持ってるのか?」
「持ってないですけど」
「それ・・・・・ヤバくないのか?」
「ヤバイですね」
「まあ、気をつけろよ! 何かあったら衛兵を大声で呼べば何とかなるさ」
「ああ、ありがとな」
人通りの少ない場所が危険なのは分かった。けどこれからどうしようか?
まだ、俺の異世界生活は始まったばかりだ。
最後まで読んでくれてありがとう。
次の投稿は近いうちに。