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こんな異世界で……

ちょっとずつちょっとずつ……

「この世界に転生する人間には共通点があってな」

「そのすべてが、日本でヲタクをしていた奴等だ」

「はっはっはよくわかったな 俺はそう軍事オタクだ」

「聞いた話によればたしか 五年前くらいから急激に増えたらしい」

「……何納得してるんだ?お前」

「アニオタどもは この話を聞くと皆お前みたいな反応をする」

「……お 着いたぞ ここが役所だ」

「この世界に転移した人間はまずここでこの世界の説明と ある程度の補助をしてもらえる」

「救済処置みたいなもんだ 初めてだと何かと不便だろ?」

「じゃあ俺は行くから ……ん?どこに?」

「お前みたいな新入りを探しに行くんだよ そしてびっくりする顔を拝みに行く」

「いい趣味だろ?」

「じゃあな 新入り 良い異世界生活を!」



「いや趣味悪いわ」

一張羅のジャージを靡かせ、聞こえない距離まで進んだ筋肉男に突っ込みを入れた。

役所までの道すがら、筋肉男にこの世界の事を少しばかり聞いた。

歩いている時に気付いたが、たしかに道行く人の半分以上は日本人だった。

髪を染めてる者も多くいたが、顔の作りが日本人特有の童顔ばかりだ。

この世界に転生した時、街の人間全員が異世界人に見えたが、それは俺の膨らみすぎた期待が視覚情報を凌駕したらしい。

店の看板や商品などの、木で出来たポップに書いてある文字はその世界の文字で読めなかったが、その文字の上に日本語でふり仮名がふってあったし、この役所に至っては大きな文字でこう書かれていた。


あ―01 a 「日本人専用ヴァーリア区役所福祉課」


…………


「ブースか!!」


区じゃないだろ!!

この世界は日本人に……いや。

日本のヲタクに毒されている!!




役所の人から聞いた説明は、筋肉男からされたものとほとんど一緒だった。

しかし2週間分の生活費と借家を借りたのと、こちらでの仕事を斡旋する書類を貰ったのは大きい。

これでとりあえず食いっぱぐれることはないだろう。

…………全然異世界感がないけど。


……しかしだ!

まだ諦めるには早いぞ一生!(いつき)

この世界の説明をしてくれたお姉さんは、こんな事も言っていた!


「この世界に来た日本人の方の大半は、ギルドに所属し冒険者になりますね」


ギルド!!

何と素晴らしい響き!!

異世界ファンタジーっぽい!!

役所の受付にフリーペーパーとして置いてあったこの街の地図を頼りに、俺は足早にギルドに向かった。


「…………着いた」


大きなその建物はやはり木造だったが、なんともギルドギルドしている風貌だった。

看板はこの世界の文字でギルド名が書いてある。

日本語のルビがふっていない為なんて書いているかわからない。

分かってる!!仕事が細かい!!

そう!ギルドはこうでなくっちゃ!!

外からでも中の音が聞こえる。

カチャカチャと鎧や武器などが擦れる音。

小さく複数の笑い声が聞こえる。


「ここからだ」

そ。俺はまだ諦めない。

この世界で。

俺はちゃんと……

異世界ファンタジーしてやる!!!

俺はギルドの扉を開けた。

ギギギギギ

古い立て付けの音が冒険者達の視線を呼んだ。


「………………ごくり」


開けるとそこは酒場というか、丸テーブルが多く並び、その周りを冒険者たちが囲んで話をしていた。

鎧をつけた男ばかりだ。

筋肉マンばかりかと思ったが細身の今時なかっこいい戦士が大半を占めている。

……なんかこう主人公が何人も居すぎて気持ち悪い。

その見てくれが逆にモブキャラっぽくなっていた。

そりゃそうか ここに居るのは全員ヲタクなんだ。

皆 主人公になりたいんだ。



ふいっ と



こちらを見る目はすぐさま元の位置に戻った。

談笑が再開する。


「…………」


何かこう……もっと何かあるかと思ったが……

皆 新入り慣れしている感じだった。


「あ 新人か」 みたいな。


ま まあいい。俺はここからだ。

ここから始まるんだ。

俺のレジェンドが!!


「……とりあえずギルドの受け付けだな」

目立たないように机の端っこを中腰で通り抜ける。


にしても本当にかっこいいな……

通り過ぎながら俺は冒険者たちの装備を見る。

鎧とか剣とか……あ 日本刀だ。こっちで作ってるのかな?

顔は日本人だが、ちゃんと冒険者している。

いいなあ かっこいいなあ

俺も早くああなりたいなあ。

異世界ファンタジーしたいなぁ

そんな事を思いながら横切っていると、自然と会話の内容が耳に入った。







「エンドレルナイン リアタイ視聴者でしたか」

「アレは辛かったでござる……まさか9週も同じ話をするとは……」

「tush先生の新作エロ同人誌読む前にこっちに来ちゃって……」

「あの人今ジャ〇プで連載してますよ」

「マジすか!!」

「あの作品アニメ化してるんですか!いいなぁ僕も見たかったなぁ」

「いやぁ作画だけでしたよ、改変が酷すぎ」

「べ……別にど……童貞でもかま 構わないよね 二次元だけでじゅ……十分」

「コポォ」




………………………………………………




こんな異世界で……

そんなファンタジーな格好で……









会話の内容が……とらの〇な!!!

ボケ倒していきます。

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