出会い
俺は紋々としたまま一夜を過ごした。
朝になり高校に向かう。
今年の春俺は晴れて進学校の優高等学校に入学した。
そこに通っているんだけどこのごろ勉強についていけない。
それがネックになっていた。
「はぁ、これから何を生きがいにして生きていこう」
俺は重い足取りで教室についた。
朝のショートホームルームになった。
「今日は転校生が来ています」
(はぁ主人公がいないおとぎ話なんて)
「転校生の白雪姫華ちゃんです。でははいって~」
(あ~、白雪姫が来てくれれば)
「白雪姫華です。よろしくお願いしまう」
「えっ!!いたーーーーーーー」
俺は絵本とそっくりの少女を見て思わず席を立ってしまった。
大声を出してしまってみんなに注目されてショートホームルームがやっと終わった。
俺はすぐさまかけよった。
「君、白雪姫だよね?」
「いえ、白雪姫華ですが」
「いやいやいや。童話の白雪姫の挿絵に似ているんだよ」
「はぁ、そうなんですか」
「こら、翔一!」
声の元を振り返るとめぐみが立っていた。
「ごめんね、白雪さん。基本いいやつなんだけ童話が絡むと人格が変わっちゃうんだよね」
「そうなんですか」
「けど、優しそうな方ですよね」
俺を見て白雪姫似の少女は微笑む。
「めぐみ、俺の持っていた白雪姫の本の白雪姫に似ているんだよ」
おれはめぐみに向き合う。
「何言ってんの。お妃様と王子様がくっつく話に白雪姫なんてこいた?」
そうだった、俺以外誰も白雪姫のことを知らないのだ。
「翔一、次の授業はじまるよ。早く戻ろう」
俺は腑に落ちないまま席についた。