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断空の白と百貨店

なんか長く成りました色々よく見ながら書いてみましたが相変わらずのおかしな言い回し満載だと思うのでお手柔らかにお願いします。

「つうかさーブラックドラゴンさんて名前なんてえの??」

『ごもっともな意見ですが、人身を持つ龍族に竜体を持つドラゴンの名前は、発音も出来なければ理解も出来ませんが。』

「えーそうなの??」

『なんでしたら名乗りましょうか?』

「うん、お願い。」


グァアアアアアーバリバリバリー


『と、申します。』

「え?単にサンダーブレス吐いただけじゃね??」

『ドラゴンの名前は孵化した時に親から付けられるものなのでまだ言語が理解できない状態で付けられます。』

『ですから発音も、理解も不可能です。』

『なので、同じ始祖を持つ者同士の脳の共鳴を利用して会話しております。』

「あーだから頭に響くのね、つうか独り言まで読まれてるし。」

『まあ、仕方ありませんな、あくまでも脳の共鳴を利用していますので。』

『ですがハーク殿下、殿下の脳の共鳴で理解不能な部分が多数有りますね、言語化出来ない部分が有ります、ワシにはそちらの方が不思議でなりませんが。』

「そっかー自覚は無いんだけどな。」


 まあ、なんでメイアリアのブラックドラゴンと図書館の中と外で二人(?)で会話してるのかと言うと、

メイアリアは紅龍帝に呼ばれて水龍石を取りに南都ザンリーンに行ってるので今日は居ない。

おまけに二連休なんで、流石に皆まだ寝ているので、朝のうちの今の時間は、俺とブラックドラゴンさんしか居なかったりする。

まあ、図書館司書のいつもの教員の人は・・・。

「あのーハーク殿下、お話中の所申し訳ないのですが?」

うん?いつもの図書館司書の教員の人が話しかけて来たぞ!?

「え、なに??」

「もしよろしければ、私の名前もそろそろ覚えて頂きたく・・・。」

うおう、確かに!!

「ごめん、ごめん、そういえば聞いて無かったよね、教えて教えて。」

「わたくし、アレイク・ルミランと申します、一応あの、学者の家系なので、世界情勢と魔法理論でしたら直ぐにお答えできるかと。」

おおう、タイムリー丁度、魔導王朝の事調べようとしてたんだっけ。

「そうなんだ、じゃあ、魔導王朝って詳しい??」

アレイクの顔がぱーっと輝く。

「勿論で御座います、何処からお話ししましょうか?」

「あーどこからって言われてもねえー取り合えずそーだなー。」

「紅龍皇朝との関係とかから聞きたいな。」

「左様でございますか、そもそも、紅龍皇朝が始まったのが約二万年ほど前なのですが、魔導王朝は一万年程前に始まりました。」

「初期の魔導王朝は、我が四龍皇朝とも良好な関係を結んでいたと言われて居りますが、五千年程前から魔導王朝の王族の魔法使いが力を増し」

「魔力も体力も寿命も多く長い龍族を妬み始めるように、成りました。」

「そして様々な魔導の技術をもって、龍族や他の種族に対抗しようと言う風潮が流れ始めました。」

「魔導王朝はその名の通り魔力が強ければ強いほど、権力を得る構造に成っていますので、どのような手段を用いても自らの魔力を強くするという。」

「破滅的な欲求に駆られる者も少なく無く、他の種族や生物を捕らえてでも、自らの魔力を増強しようという者が数多くおり、他国や多種族との関係が悪化の一途を辿るように成りました。」

「我が国とも、当然の如く関係は悪く成り、龍族が拉致されたりドラゴンが捕らえられ解剖されたりなどしたので、

時の紅龍皇帝様と海龍王様は一般庶民や龍族からの直訴も多数有り仕方なく魔導王朝に対して宣戦を布告し、開戦致しました。」

「これが、世に言う第一次魔導大戦です、いまからちょうど四千五百年程前のことです。」

うわ、根が深いなこりゃ、なんとも、妬みって嫌だねぇ、俺もよく妬まれたけど・・・。

「つうか、四千五百年も戦争状態なの??」

「いえ、必ずしもそうでは御座いません、魔導王朝の国主ですが、穏健派の国主も居ましたので、国交が復活したり、また、断絶したりを繰り返して参りました。」

「そもそも、紅龍皇朝の歴代皇帝様方は龍族であり、人より遥かに長命ですので、人の心代わりがよく有る事もご存知なので、寛大な方が多く、

出来れば戦闘は避けるべきだという趣旨の命が代々下されておりました。」

「ですが、やはり魔導王朝の龍族、魔族、妖精族、獣人族、亜人族への長命な事、魔力が膨大な事、体力が強靭な事等に妬みや嫉妬は凄まじく一部の過激派とは常に戦端を交える事が多々有りました。」

「ですが、近年はメイアリア様の活躍も有り戦闘回数もかなり減っていたのですが・・・。」

ん?なんか言いづらそうだな。

「その、我が国にとって最悪の事態なのですが、最近即位した、魔導王朝の国主は、大地も肥沃で温暖な我が国を己が物としようとして居ると言うのが専らの噂です。」

「まだ、噂の範疇を出ませんが、いつまた戦争状態に陥ってもおかしくない状態です・・・。」

いやー困ったなー噂どころかメリン皇女が(姉ちゃんらしいけど)戦に成るから準備しとけって言ってたし、かなりやばいかなー・・・。

「そっかー中々、一触即発なんだなー・・・。」

「残念ながら我が国は南の海を一つ隔てれば魔導王朝なので、最も戦端が開かれ易いとも言えます。」

「海龍王国も手助けはしていただけるとは思いますが、なにぶん北都のノイシェよりさらに北に海龍王国がありますので中々即座に対応できるとも思えません。」

「精霊王国の様に神樹の森に囲まれて居る訳でもなく、獣王国の様に高い山脈に隔てられて居る訳でもありませんし、海龍王国の様に海の中でも有りませんので一番標的にしやすい国家ですね・・・。」

「それで・・・ですが・・・。」

うん??

「殿下さえ宜しければわたくしの私室で色々とお教えしたく・・・。」

うおい、ちょっと待て、もしかしてこの人もハーク殿下大好き星人か!?

うーん確かに大人の魅力ムンムンだから思いっきり迫られたらやばいかもしんないが、なんか、地味にいつもより教員制服の胸元のボタンが開いているし、もしかして、女子生徒やメイアリアが居ない所を狙ってたのか!?

『殿下、年上の女性も良いものですぞ。』

「ちょっと、余計な事言わないの!!」

「ハーク殿下は、やはり年増は、お嫌いですか??」

「い、いやいや、あの、そう言うわけでは無いけど・・・。」

「わたくし、ハーク殿下が騎士学院に御入学されるという事なので、身体のメンテナンスも隅々まできちんとして参りました・・・。」

ちょっとー!!誰か助けてーーーーー!!

「そもそも龍族なので老化はほぼしませんし、殿下より11歳上ですが、その程度でしたら、さほど騎士学院の女子生徒と、変わりは無いかと思いますが・・・。」

てなこと、いいながら、徐々に近づいて来るんですけど、どうしようーーーーー!!!

「ハーク殿下。」

うお!!!、右手が俺の左胸に!!や、柔らかい確かに身体のメンテナンスはしてるみたいだ!俺、何分析してるんだ!

駄目だーこれ以上迫られたら、拒絶出来ないーーー

 芽衣子、ごめん俺、駄目かも・・・。

左手が俺の右耳の上の髪を掻き上げて顔がどんどん近づいてくるうううう><ああああ、

このままだとメイアリアにも、芽衣子にもしてないことをしてしまううううう!!!


 バアアアアアアアアアアン!!



図書館の内扉が大きな物音と共に開かれる!!

「あー助かった」

カレンとユリエがそこには居た。

「何してるのハーク!?」

「ハークのエッチ。」

「いやいやいや、違うぞ、むしろ俺はだな!!」

カレンとユリエが現れたにも拘わらず司書さんのアレイクは何の動揺もしてなかった。

「あら、お二人とも、殿下をお慕い申し上げて居るのでしょう?」

「実は、わたくしもなのですよ、ですが必ずしも正妻に成ろうなどとは思いませんし、メイアリア様が居ない今、むしろ三人で殿下を篭絡するのも宜しいかと思いまして・・・。」

ゲ!!何てこと言いやがる!!ブラックドラゴンさん助けてー!!

『ガハハハハハハハハハ、こんなに面白い見世物は他にないので残念ながらお助けしませんよ殿下。』

『それに、殿下もそろそろ覚悟を決めなされ。』

「えーと。」

おい!!カレン真面目に考えてるんじゃ無い!!ユリエの奴はいつもの顔でニヤニヤしてやがるし、俺、ピーーーーーーーーーーーーーーンチ!!!!


 や、やばい、あまりにも焦って体温上がってきた、うわ、あちちち。


「あ!! 殿下熱いです、そんな、そんなに熱いのわたくし耐えられません!!」





おおーーーー俺の周りから熱波が出てるみたいだ、みんな離れていくぞ。

 

 

 今度こそ助かったー(汗)





 ・・・





「つうかさ、アレイクさんさ、まあ好意は素直に嬉しいけど、そうゆう強引なのは如何かと思うんだけど・・・。」

「はい、すみません殿下、いつもカレンさんやユリエさんやメイアリア様がいらっしゃるのでつい、たがが、外れました・・・。」

「ここしかチャンス無いかなって・・・。」

「あーもー判ったよ判ったよ、じゃあさ偶にデートとかしてあげるから、それで我慢してよ!」

アレイクの顔が輝く!!

「はい!判りました!!」

「えー司書さんだけずるいよハーク!あたしはー!?」

「もー判ったから、でもそんなにしょっちゅうデート出来無いからな!!」

「わーい、やったーだからハーク大好きー!!」

しまったーメイアリアが居ない内にとんでもない約束しちまったぞ・・・。

てかユリエはニヤニヤしてるだけだが、まあ考えてる事どうせ読まれてるから条件は二人と一緒なんだが・・・。

『これはあまり面白く無い展開に成ってしまいましたな殿下。』

「てかそこ!!面白がってないで止めろし!!」

『いえいえ、流石にワシでもこの小さな建物の中で起きている事なので手の出しようが有りませんが・・・。』

あーそうっすね、たしかにあの身体で止めに来てたら図書館壊れてるね。

『まあ、どの道止めませんが!』

「結局止めないんかいい!!」




 うーんでも、なんか休日なのに、制服ってどうなんだろう??

まあ、この制服もろチャイナドレスに高校の制服混ぜたみたいなんだけどちょっと、刺激的すぎやしないか・・・?

『昔の名残ですよ殿下、昔はみな尻尾が生えて居たので、

なおかつ女性は尻尾も恥ずかしい部分だとういう認識でしたので、前と後ろが長く成っているのですよ。』

「それにしてはスリットが刺激的過ぎやしないか??」

『それにも理由が有ります、女性龍族は騎士に成った途端に、社交界や夜会にデビューする事に成りますので、単に強いだけでは無く慎ましさや貞淑さも必要に成りますので常に緊張感のある服装なのですよ。』

『本来、女性龍族は人数が少ないので、騎士家の者や龍族の貴族からは引く手数多なので姫のようにまずメイドの修行をしてから騎士としての修行をするのが一般的ですな。』

『なので、ワザとはしたなく 見え無い様に!気を使う制服なのですよ。』

「ふーんそうゆうもんなんだ・・・。」

なんとなくカレンの方を見てみる。

「じゃあエリザとカレンは、かなりそうゆう面では優秀だね。」

自分に話の矛先がきて驚いて居るカレン。

「え! い、一応、騎士の娘だからさ、なんて言うかちゃんとしないといけないかなって・・・。」

「いきなり褒めるなよ照れるだろ!!」

「口調はまだまだみたいだけどねw」

あーなんか余計なことを言ってしまったカレンがむくれてしまった。

『しかしカレン、そなたの髪の色は見覚えが有るのだが姓は何と言う??』

「え、え?あたし?」

なんかメイアリアのブラックドラゴンに話しかけられて対応に困ってるみたいだが。

「カレン・ハイウィンド・・・です。」

『ほほう!』

『ガハハハハハハハハ、お主はカエサルの娘か?!』

「え!?パパを知って居るんですか?」

『ああ、勿論だとも。』

『相変わらずの酔いどれカエサルなのであろう?』

「はい、なんで・・・そんな事まで・・・。」

え、なに?状況が掴めないんですけど。

『殿下、先日申しましたあの男とは、どうやらカレンの父君の様ですな。』

「あらそうなの?」

「そういや倭の国に行くのに手、貸して貰うって話だったよね??」

『そうです、カエサルに掛かれば距離は関係有りませんからな。』

「え、嘘!? うちのパパにそんな力があるの!?」

『カレンよ、何故このシルバーンには城塞騎士が居ないと思う?』

「私はシルバーンで生まれ育ったので他の都は判りませんが・・・。」

『ふむ、そうか仕方ないのう・・・。』

『因みにだが、東都グラウには城塞騎士は30人ほど居る。これはあくまで一度に守って居る人数なので、実際は交代制で総数は65人程が城塞騎士として居る事に成る。』

「ええ!?じゃあどうしてシルバーンには、パパしか城塞騎士が居ないんですか??」

『必要無いからだ。』

「必要無い!?それは守らなくても良いからとか、実力の有る一般の冒険者が沢山居るからですか?」

『ふむ、どう言った物かのう・・・。』

『殿下、ここは本人を交えて話すのが良いと思いますのでカレンの家に参りましょうか。』

「うん、俺も知りたいな、どうして城塞騎士がカレンの親父さんだけなのか。」

『ユリエ、アレイクすまぬが、暫く二人を借りるぞ。』

俺達はユリエとアレイクを残し、カレンと二人でメイアリアのブラックドラゴンに乗ってカレンの家に向かう事にした。

 騎士学院の校庭を飛び立つと高い城壁を越え城壁の周りに有る堀を越えると直ぐに降り立った。

「カレンの家ってこんなに騎士学院から近いんだな、初めて知ったよ。」

「そうです、いつもこの騎士学院のお堀と城壁を見ながら育ちました。」

「必ずパパと違って立派な騎士に成るんだって思いながら・・・。」

『まあ、その誤解も今日解いてしまうがな・・・。』

カレンはひどく驚いた様子だ。

 カレンの家はただの城塞騎士の家族が住むにしては広い方で騎士学院に近いという事はそれだけ重要視されていると言う意味でも有る様だが、当のカレンはそんな事にも気付いて居ない・・・。

『さて、ではカレン、カエサルを起こして来てくれぬか?』

「はい、判りました。」

なんかカインさんに会わせたく無かった時のメイアリアみたいな顔をしてるな・・・。

 カレンは玄関の扉を開くと「ただいまー」と言って中に入ると、リビングダイニングのテーブルで泥酔して寝て居るカエサルを見つけるとうんざりした顔で。

「パパ、起きてよ、又そんなに飲んで酔っ払って・・・テーブルで寝ないでって言ってるでしょ!!」

「ううーん??なんだカレンか。今日は休みかー??」

ここでブラックドラゴンが話しかけるのだがカレンの父に劇的な変化が起きる。

『久しいのうカエサル!』

途端にしゃきっとして今まで酔って寝ていたとは思えない素早さで玄関の外まで出て来てブラックドラゴンに会釈をした。

「お久しぶりです、ブラックドラゴン殿。」

「え??」

カレンは何が起きたかさっぱり判らない様だ。

「こんなに早いパパを見たのは始めて・・・。」

『ガハハハハハハ、そう言うな、姫が居なければ竜騎士団第一騎攻師団の団長はこの男よ!!』


「うそ??」

「いえいえ、そんな事は御座いませんよ。」

『何を言う!? まあ、良いか・・・。』


『さて、何故この西都シルバーンに城塞騎士が一人しか居ない理由だったが・・・。』

「うんうん、どうして?」

『このカエサル一人で、守れるからよ!!』

カレンは頭をハンマーで殴られたような思いだった、あまりの事に頭の処理が追いついて居ない・・・。

「な、なんで?なんでパパ一人で守れるの??」

『決っておろう、このカエサルが史上最強の城塞騎士だからよ!!』

カレンは完全に絶句している。

『そもそもカレン、お主の家が騎士学院の目の前に有るのがその証拠よ!!』

『この広大な西都シルバーンの中心に最も近く、何処にでも迅速に向かえる為に此処にそなたの家が有る・・・。』

『カエサルは白龍皇朝の血筋の龍族だ、故に姫の次に速い!!』

「そ、そんな。パパはいつも酔っていて、何もしてないのに・・・。」

『だがカレンよ、そんな酔いどれカエサルが周りの人々に嫌われて居たか?』

カレンは今までの事を思い出している。

「確かに、パパが酔ってると皆、安心だねえとか、飲み屋のおばちゃんとかもただで飲ませてくれてたり、何で嫌われてないのか不思議だった・・・。」

『ガハハハハハハ、そうであろう!!』

『それもこれもカエサルが、酔って寝ていれば外敵を察知する能力が上がるからだ。』

おいおいおい、そんな体質の龍族も居るんだな・・・。

『そうですぞ殿下、カエサルがここに居るからワシ等は安心して戦えるというものです。』

「まさか、パパにそんな秘密が有ったなんて、確かに龍族だから酔っても能力は落ちないけど、むしろ上がるなんて・・・それも寝てて・・・。」

『カレン、酔っていない時のカエサルのふたつ名を知りたいか?』

「はい、教えて下さい。」

「いやあ、それはちょっと恥ずかしいんですが・・・。」

『まあ、そういうなカエサルここまで話してしまったのだ、もう構わぬだろう。』


『カエサルの真のふたつ名は断空の白と言う。』

「断空の白?!」

『簡単に言うと空間を切り裂くのだよカレン。』

『本気でやり合ったら姫でも斬られるぞ!!ガアハハハハハハハ!!』

『まあ、良くて相打ちといった所かのう?』

「パパの魔法はそんな、滅茶苦茶な魔法なの??」

『ああ、確かに滅茶苦茶じゃわい、それゆえに、倭の国に行くのに一肌脱いでもらおうと思っての。』

「え、もしかして、倭の国までの空間を切り裂いて向こうにいきなり行けるって事??」

『ハーク殿下は流石に察しが良いのう!』

『正にその通りですよ殿下。』

「うわぁー確かに滅茶苦茶だー!!」

『では、カエサル早速ですまぬが倭の国まで行きたいのでの、此処ではそんなに長距離を斬ったら辺りに被害が出るとも限らんので、騎士学院の校庭で頼むかのう。』

「はい畏まりました、ではお先に・・・。」

そう言うとカレンのパパ、カエサルは壁にかけてあった槍を持ってきて力を込めて横に薙いだ!

その向こうには、騎士学院の校庭が見えている!!

カエサルはその中にスッと入って消えた!!

『殿下、カレン、ワシらも参ろう。』

ブラックドラゴンは俺達を乗せると、騎士学院の校庭に舞い戻った。

『しかし、殿下困りましたのう。』

「ん?」

『いえ、本来ならば姫が一緒に行く手筈だったのですが・・・。』

「左様ですか、では、メイアリア様の前の空間を切りますか?」

「「え?」」

「まじかよ、そんな事もできんの??」

『おお、すまんなカエサル、そうしてもらえると助かる。』

「では、失礼して・・・。」

そう言うと、ワイヤードランスに魔力を溜め始めた、ワイヤードランスが徐々に白い揺らぎを帯び始める。

「どうやら、それほど遠くでは無いようですね。」

ワイヤードランスの揺らぎが一層大きくなる!

そして。


 ブィンン


あまり聞いた事の無い音と共に、カエサルはワイヤードランスを真横に薙いだ!!


そこには何事かと目を見開いたメイアリアが居たが、カエサルの姿を見つけると納得した様だ。

「お久しぶりですカエサル殿。」

そう言いながらカエサルの空けた裂け目を通ってこちら側に抜けてきた。

「いえいえ、お久しぶりですメイアリア様、また一段とお綺麗に成られました・・・。」

「そ、そんな止めてください、殿下の前で・・・。」

「すっげーーー!!、てかメイアリア何処に居たの??」

「あ、私は、シルバーンの南東500キロ程の街道沿いでした、途中まで紅龍皇帝陛下所有の魔馬スレイプニルの馬車で送って頂きましたので思いの他早く帰って来れました。」

「行きは、ワイヤードランスで途中まで飛んで行きましたので。」

「え?ブラックドラゴンに乗って行けば良かったのに。」

「殿下のお目付け役として残って貰いました。」

おいおい、俺そんなに信用無いのかよ、つうか、お目付け役の役目果たしてないよこの人(?)

『まあまあ、そんなことも有りましたな。』

「ええ!!」

「何かあったのですか?!」

『いやいや、姫が気にするような事は何も、ガハハハハハハハ・・・。』

おいおい、良いのかよそんなんで(汗)むしろこの人(?)笑ってごまかしたな。

ダイナミック過ぎるよ、ブラックドラゴンさん!

『さて、面子も揃ったのでハーク殿下のワイヤードランスを作りに行きましょうか?』

「面倒を掛けますカエサル殿。」

「いえいえ、メイアリア様、そんなに畏まらないで下さい、これもお勤めです。」

「私も、ハーク殿下の魔力は感じて居りましたし、これほどの巨大な魔力ならば当然の事、倭の国まで行かないとどうにも成らないとは思って居ましたので。」

「そんな、メイアリア様と、うちのパパが知り合いだったなんて。」

今までのやり取りを静観していたカレンが、やっと口を開いた。

先ほどおいていかれたユリエが一言。

「カエサル・ハイウィンドを知らない龍族は居ない・・・。」

「そうですね、娘のカレンさんが知らない方が私は不思議でした・・・。」

そう、メイアリアに言われ照れ照れで、カエサルが。

「娘に中々言えたもんじゃないですよ。」

「そんなもんかねー。」

「そうですよ、ハーク殿下、まさかシルバーンを一人で守ってるなんて口が裂けても言えないですよ・・・。」

「いま、言ってるじゃんw」

「もう、バラされちゃいましたし・・・。」

自分だけ知らなかった事に、カレンはご立腹な様子だったが、自分の父親がこの街を一人で守って居るという事実はとても誇らしかったようで、複雑な顔をしていたが・・・。

「良かった、ただの酔っ払いじゃなくて。」

と言いながらカエサルに抱きついた。

ああ、カレンて実はファザコンだったのねー、まあ、それはそれで可愛い気もするけど。

『ハーク殿下は、カレンが』

「余計な事は言わないの!!」

「え?え?」

「早く俺の槍、作りに行こうぜメイアリア。」

「は、はい。」

「あの、で、ですが、一つ足らない物が御座いまして・・・。」

なんか物凄く申し訳なさそうだなメイアリア。

「水龍石は10個有ったのですが、殿下の魔力に耐えられそうな火龍石が見当たりませんでしたので・・・。」

ん?おやおや。

『やはり、そうでしたか。』

「火龍石が無いとどうなるの?」

『殿下の織覇瑠金オリハルコンの槍が作れませんな!』

「ええええええええ!!」

「折角、カエサルさんに来てもらったのに!!」

「申し訳御座いません、殿下。」

『まあ、仕方ありませんな・・・元々紅龍皇朝の血族の竜騎士は火属性の魔法を使うので火龍石を必ずと言って良いほど必要としますし。』

「どのくらい、居るの火属性の竜騎士?」

メイアリアが申し訳なさそうに答える。

「ざっと100人程です・・・。」

「うげ、そりゃー足らなくなる訳だ。」

『さらに、付け加えると街道騎士も城塞騎士も基本紅龍皇朝の血筋の者が多いので火属性の魔法を使いますので、さらに500人程。』

「あららー、なんか悪いねカエサルさん。」

カエサルはあまり気にした様子も無く。

「いえいえ、予想の範囲内でした、ハーク殿下の魔力を受け止めるとなると、それなりの個数か、大きさが必要に成るでしょうし。」

「また、御呼び下さればいつでも参りますので・・・。」

そういうと、普通に歩いて帰ろうとするのだが、カレンが引きとめた。

「ねえ、パパ。」

「ん?どうしたカレン。」

「え、えっとさ・・・。」

ん?カレンにしては歯切れが悪いぞ?








 ・・・







「そのー、さ、あ、あたし、ハークのお嫁さんかお妾さんに成りたい!!」


 ドカアアアアアアアアアアアアンンンン


『ガハハハハハハ、姫!宣戦布告ですぞ!!』

いや、そこ笑う所じゃ無いから!!

カレンの告白を聞いてメイアリアもカエサルも凍っている!!

「だ、駄目、かな・・・?」

あまりの事にカエサルも流石に頭が回ってないみたいで。

「お、おまえ、し、しかし・・・。」

カレンは晴れ晴れとした顔で続ける。

「だって、ハーク、今日、デートとかしてくれるって言ってたし・・・あ、あんまり暇は無いかもだけど・・・。」

「そ、それに授業で一回もワイヤードランス投げてないのに、第二騎攻師団の団長倒しちゃったんだよ!!」

「だ、だから、パパがいつも言ってる様に、俺より強い奴じゃなきゃ駄目だってのも合格だよね?!」

「そ、それは確かに・・・。」

止めてくれーメイアリアが凄い悲しい顔で俺を睨んで居るー!!

例のワイヤードランスは出して無いけど、魔法を使うのを忘れる程、動転してるー!!


 暫くしてカエサルもやっと頭が回って来たようで。

「ハーク殿下のお気持ちは、ちゃんと考えてるのか?」

「うん、だってお妾さんだったら、騎士に成れれば平気なんでしょ?」

「それに、ハークもいっぱい女の子が周りに居た方が嬉しいでしょ!?」

「そ、それは、まあ・・・。」

おっと本音が出てしまった!!

メイアリアがハンマーで頭を殴られたような顔をしている、ま、まずい、今までの行動から推測するに、この後の乙女行動が過激に成りそうだ!!

そこに、さらにユリエが火に油をそそぐ。

「私も、成る・・・!」

い、いや確かにユリエ俺の考え読めてるのは判るけどこのタイミングは・・・。

「メイアリア様が前線で戦ってる時、ハーク可哀相・・・。」

 グサッ!!

メイアリアの胸に何かが刺さったような感じがした・・・。

ここで、やっとメイアリアが口を開く。

「確かに、お二人の仰る事は最もです、万が一私の身に何かが有れば殿下が、独りに・・・。」

その後は言葉が続かなかったようで、乙女なメイアリアは泣き出してしまった・・・。


 メイアリアのその反応に皆、意外だったのか毒気が抜かれてしまって、皆してメイアリアをなだめる事に成ってしまった・・・。

『もてもて、ですな殿下。』

いやいや、乙女泣かすなよ!!

『どの道、遅かれ早かれ通る道です、早いに越した事は有りません。』

まーそうかもしんないんだけどさー、まだ俺ら16歳だぜ早いってー。

『それに、殿下。』

「ん?」

『魔導王朝の件も有りますし、そうなれば、勿論、姫が先陣を切る事に成るでしょうし・・・。』

「だからって、死んでも平気だよ的な話はさー。」

『いえいえ、逆ですよ殿下、ここで死んだら他の妾どもに「殿下を取られるから死ねない!」と、言う気持ちに成るでしょう。』

うーん、そうゆうもんなのかなー、俺、男だから良く判んないんだけど・・・。







 暫くして落ち着いたのか気持ちの整理が付いたのか、メイアリアが泣き止んだので、今日は休みなので皆、学園寮に戻る。

カレンは自分の家にカエサルと共に一度帰る様だ・・・。


「殿下・・・。」

「ん?」

「今日はお勉強はなさらないのですか・・・?」

うおう!!

忘れてた、あそこにもう一人問題児(?)が居たんだった・・・。

困ったぞーこれから図書館で勉強するのは、避けたほうが良いのか?

俺が逡巡してる間にメイアリアは図書館に向かって俺の手を引いて歩いて行く。

同じ部屋で寝起きしている自分の優位が崩れてしまっている事に気付いた様で、もう俺の手を引くのに躊躇は無い。

それに、まるで迷子にならないようにしっかりと掴まれてるのでメイアリアの体温がバッチリ伝わってくる、その手は暖かく

そして竜騎士と言うには程遠いほど柔らかく白く細く滑らかな手だった・・・。

「あのさ、・・・メイアリア・・・。」

「はい。」

「今日はさ勉強は止めて、どっかに遊びに行かないか??」

俺の発言の内容があまりに予測の範囲外だったので、目を白黒させていたが、満面の笑みで。

「はい!」

と良い返事が返って来た。

「ですが、殿下。」

ん?

「私、メイド服と教員用の制服しか持ち合わせが有りませんが・・・。」

ああ、そうか、あとは寝巻きと湯浴み着位しか無いか。

「それに実は教員服は入学式の時に焦がしてしまったので・・・。」

ああ、それでずうっとメイド服だったのか!!

「まあ、メイド服で良いんじゃない?行ってから着替えれば良いんだし。」

「はい!」

そう言うとブラックドラゴンが降りてきた。

『殿下お出かけですか?』

「うんそう。」

『では、どうぞ。』

「いやいや、二人で行くから馬車で行くよ。」

「え?」

「だって、ブラックドラゴン居たら三人でお出かけ状態じゃんw」

『そうですな、ハーク殿下のおっしゃる通りですなw』

『では、ワシは上空の警戒に戻ります。』

メイアリアは、ブラックドラゴンで行くものとばっかり思っていた様でとても、驚いていたが。

「メイアリア。」

「はい!」

「たまには馬車も良いもんだよ。」

いやーもう、メイアリアの笑顔がキラキラしてる。

当然、俺が馬車の手綱を持った。

メイアリアは流石にごねたが。

「デートなんだから男の俺がエスコートするよ。」

というと、顔を真っ赤にして、真っ赤にした顔を隠すように足早に馬車に乗った。

「殿下とデート、殿下とデート、うふふ、初めて殿下とデート。」

馬車の中でメイアリアが独り言を言っている様だが・・・御免、俺ってば聞こえちゃってるんだ・・・。

 

 騎士学院の敷地を抜け城門を潜り堀を渡り、カレンとカエサルの家や貴族の家々を通り過ぎると市街地に入る。

俺も正直あまり市街地に来た事は無いのだが、中々どうして綺麗な街だ。

白を基調とした建物の中には魔法の灯りとも蝋燭の明かりとも取れるあかりが灯っているし、街灯もきちんと有る。

「取り合えず洋服屋かーさて、困ったぞ、俺この街知らないんだった。」

暫く大通りを行くと大きな建物が見えてきた。ここって、日本で言うところの百貨店かな??

俺は百貨店と思われる、建物の前のロータリー部分に馬車を入れるとホテルマンの様な格好をした男性が、誘導してくれたので、従って行って指定された場所に馬車を停めた。

「これは、これは騎士学院の生徒様ですね、本日はようこそいらっしゃ・・・。」

馬車の中から出てきたメイアリアを見てホテルマンの様な彼は凍りついた。

「ま、まさか、メ、メイアリア様?!」

「はい、ご苦労様です。」

「と、という事は・・・。」

ホテルマンの様な彼は俺をチラリと見て。

「これは真に失礼致しました、直ぐに支配人を呼んで参ります!!」

「あ。」

俺が声を掛ける間も無くホテルマンの様な彼はダッシュで建物の中に入って行ってしまった。

程なくして、大慌てで壮年で太めの男性がこちらに走ってくる。

そんなに無理しなくて良いのに・・・。

「ハア、ハア、ハア、メイアリア様お待たせしました、本日はご来店、誠に有り難う御座います、それと、非常に申し訳有りませんが。」

俺の左肩の紅龍玉を見て固まってる、なんか、可哀相な事してるかも。

「ハーク・フォン・ヴィシス殿下であられますか?」

「あーはい、なんか御免なさい。」

「い、いえいえ、私どもの店にハーク殿下自ら入らして頂けるとは光栄の至りで御座います。」

そうゆうと支配人さんは深々と頭を下げた。

騎士学院から乗ってきた馬車もいつのまにか一番広めの停めやすそうで出しやすそうなビップ?が来た時専用の所に停められていた。

 

 支配人さんは俺達をビップ専用のエレベーター(いいんだよな?)で、街が一望出来る部屋に通してくれた、直ぐに飲み物と茶菓子が出てくる。

「あれ、買い物しに来たんだけど。」

「はい、どのような物をお探しでしょうか??」

俺が困ってると、メイアリアが。

「普段着れる様な服を探しに来ました。」

というと、部屋の外で何人もの人の気配がしていたのだが、一斉に居なくなった様だ。

 すると五分もしないうちに一人目の年配の女性店員が、服が十着ほど掛かったハンガーラックを持って部屋に現れる。

胸のバッジを見るとどうやら、副店長のようだ。

「メイアリア様こちら等いかがでしょうか?」

「うーん。」

副店長さんはメイアリアを竜騎士として見ている様でどちらかというとパリッとした服を持ってきた。

どうみても、普段着じゃないんですけど、なんかどこぞのブランド物のスーツみたいな高そうな服ばっかりだな。

「すみません少しイメージと違います。」

メイアリアがそう言うと、副店長さんは

「失礼しました。」

と、言ってそそくさとハンガーラックを片付け出て行った。

 

 その後も、何人もの年配の店舗責任者系のバッジを付けた人がハンガーラックを持って現れるのだが、皆、最高級品ばかり持ってくるので、

俺もメイアリアもなんだか飽きて来てしまった。

「ちょっといいかな?」

今まで黙ってた俺が口を開いたので皆、固唾を呑んで固まってしまう。

「メイアリアさー買い物っていつもこんな感じ??」

メイアリアは困惑しているようで。

「こんな感じと言われますと?」

「いや、だからさ、お店の人がどんどん品物持って来てくれてこうやってお茶飲みながら座ってお買い物なのかなーって?」

「はい、そうですね、どこのお店に行ってもこんな感じです。」

うわー、姫だ確かに、てか俺が居たからこうゆう扱いって訳じゃ無いんだ?!

「うーん。」

俺が悩みだしたのでメイアリアは心配そうだったが。

俺は意を決して。

「支配人さんさ。」

「はい、ハーク殿下。」

「俺は普通のお客さんと同じ様に買い物がしたいな。」

「と、もおされますと?」

「いやさーだから、普通に店舗に出て見て歩きたいなってさ。」

「そんな、滅相も御座いません、殿下自ら店舗内を見て回って頂く訳には参りません。」

「それに、店舗内がどのような騒ぎになるやも知れませんし。」

「まーでも、それも一理有るんだけど、実際メイアリアの好みの服が結局出て来ないからさ、仕方なくない?ね?」

支配人さんは暫く考えていたがどうやら諦めたらしく。

「では、なるべく警護の者を付けますのをお許し下さい。」

「うん、それでいいよ。」

そう言うと俺とメイアリアはビップルームから店舗内に通された。

警護の人たちは部屋の前で既に警護していた様で中の会話が丸聞こえだ。

「じゃあ、取り合えず一階から見ようぜメイアリア。」

「はい!」

メイアリアも店内を見たかったようで、ニコニコだ。

やっぱり自分の目で色々見て回った方が楽しいに決ってる。

 

 一階は日本の百貨店とさほど変わらず化粧品やらなにやらが売っている。

「メイアリアは化粧品は??」

「あまりしませんので、で、ですが、殿下は・・・お化粧した方が好みですか?」

うおい、乙女モード来たし!!

「俺はナチュラル系が良いからあんまし化粧はなー。」

というと俺に聞こえないように。

「そうですか、ホッとしました、お化粧できないので。」

出来ないんかい乙女!!つうか丸聞こえ!!!

 

 二階に上がるとって、なんでエスカレーターまであんのこの世界、もろ地球じゃん!!

どうやら婦人服売り場の様だ、そもそも、デートの為に服を買いに来たのにとんでもない時間のロスをしているな。

俺がそう思っているのを知ってか知らずかメイアリアは終始、笑顔でルンルンだ。

地味に聞こえないように鼻歌まで歌ってる、流石、乙女、いや鼻歌は関係ないか。

「ここならメイアリアの気に入りそうな服があるんじゃないか?」

「そうですね。」

後ろで控えてる支配人さんや、警護の人たちは、普通の一般の庶民が着る服を物色している事に驚いた様だったが、

俺達が意外に庶民派だという事が理解して貰えたようだ。

 そらそーだよ、メイアリアはメイドと戦場しか知らないし俺なんかもろ小市民の高校生だし、って・・・

俺、日本に帰る事さっぱり忘れてたあああああああああああ!!!!

そうだよ帰らなきゃいけないんだ、なんとかして。


 ああ、メイアリア可愛いーその服似合ってるー、丁度メイアリアがフィッティングルームから出てきた。

やっべえ、メイアリア普段は髪の毛アップにしてメイドの帽子みたいのに入れてるからあれだけど、三つ編みツインテールなのねーww

つうかオアシスでも入学式でも見た気がするが・・・。

 メガネで三つ編みでツイテールか、ポイントたけえ!!

俺どんどんメイアリアに惚れていってるどうしよう、おまけに鍛えてて無駄な肉無いしその割に胸有るし。

「殿下、これどーですかちょっとスカートが短くって恥ずかしいんですが。」

「うん、すっごく似合ってると思うよ。」

「うふふ。」

うわーラブラブカップル全開だーー。 

 芽衣子、御免よ俺、色々と駄目な奴に成ってきてる・・・。

「じゃあ、これにしますね。」

「うん。」

だがメイアリアが申し訳無さそうに呟く。

「折角なのですが、やはり普段のメイド服に着替えて来ますね。」

「え?どうして??」

「殿下をお守りするのに、この服装では、やはり不安です・・・。」

おいおい、意味がわかんねえよ?

俺の頭にクエスチョンマークがいっぱい出てるのに気がついたメイアリアが。

「実は、あのメイド服は、聖銀ミスリルが、ふんだんに編みこまれて居ますので防御の面でもかなり優秀なので・・・。」

「うお!そーなん?!」

「はい・・・エプロンも殆ど聖銀ミスリル製なので、ちょっとやそっとでは破損はおろか汚れもしません。」

あらー。

「てか、昨日とメイド服ちょっと違う気がしたけど気のせいか?」

「よくお気づきで!殿下は目端の利く殿方なのですね!」

おいおい、ルンルンだな。

「え?そんなに高級なメイド服、何着もあるの??」

「は、はい・・・そ、その10セットほど・・・。」

おいおい、どんだけ金掛けてんだよ、紅龍帝・・・。

「実は、おば様、あ、いえ、皇后陛下が、メイアリアも年頃なのだから、おしゃれをしなさいと申されまして・・・

1セット1セット微妙に色も違えば刺繍も違うので毎日どれにしようか迷ってばかりで・・・。」

いやいや、それにしたって織覇瑠金オリハルコン程じゃ無いにしたって聖銀ミスリルでメイド服10着はやりすぎだろ・・・。

授業で最高級のワイヤードランスに使われるって言ってたけど、そう言えば、エリザも言ってたな・・・。

「ちなみに1セット?いくら?」

メイアリアはカインさんを紹介したくない時の様な顔をして、呟く。

「こ、ここの、お店が全部買える位かと・・・。」

「建物と中身ごと?」

「は、はい・・・。」

支配人さん俺達の話を聞いて、脂汗をかいている・・・普通のメイド服だと思ってた、

今!正に!!フィッティングルームの中に有るであろう、メイアリアのメイド服が

そんな物で出来ているとは流石に予測していなかった。

支配人さんのその表情を見てメイアリアが慌てて補足する。

「あ、あの、聖銀ミスリルも加工出来る方が多くは無いので・・・そ、その位の値段に・・・。」

凄く申し訳なさそうだ・・・。

警護の人たちまで、小耳に挟んだ話がスケールが大きすぎて固まっている、それもそうだ、普段、聖銀ミスリル製のメイド服を着ているのだから

そもそも、自分達が守る必要すらない事に気がついてしまった様で・・・。

「俺ら、意味無くね?」

なんて発言が、異常に耳が良い俺には聞こえている・・・。

それからメイアリアは試着した服を購入して、結局いつものメイド服に着替え直した。


 俺達は普通のカップルがウィンドーショッピングをする様にこの百貨店で色々見て回る。

それなりに大きい店舗だったので本当に様々な品物が有る。

武器屋や防具屋、魔法石の店が有るのは流石異世界って感じだが、ワイヤードランスは四龍皇朝の門外不出の武器なので流石に無かった

当然、織覇瑠金オリハルコン聖銀ミスリルの装備類も装飾品も見当たらない、勿論というかなんというか神々の武器庫と契約した証の指輪も無い。

どうやら一般に出回ってるのは、波紋鋼ダマスカス玉鋼たまはがね黒鋼ブラックスチール巨人鉱タイタニウムが最高級の様だ。

それでも普通の冒険者だと青紙鋼ブルースチール白紙鋼ホワイトスチール黄紙鋼イエロースチールでも充分みたいだが、

変わった所では石剣と言って黒曜石や、大理石を魔法で綺麗に整えた剣もあったが脆いので腕力が強い龍族が使うには却下、

樹齢二千年以上の樹から切り出した古霊樹の刃物も有ったのだが、俺が使うと魔力を込めたそばから燃えてしまうのでこれまた却下だ。

普通の金、銀、青銅、銅、鉄の武具も売っているのだが、これも使うと溶けるので使えない。

 まあ、温度変化無しで使えば良いんだろうけど、それだと俺の持ち味が一切発揮出来ない、日本の親父(三上柾辰)に七尾劉生と共に格闘技はしこまれているので

多少は戦えるが、相当冷静に戦えないと慌てたそばから武器が無くなる羽目に成る・・・。

メリン姉さんには例のワイヤードランスは使わない方がいいと言われてるし、念のため普段や倭の国に行くまでの補助装備を探してるんだけどさっぱり見当たらない。

だが、あまりこだわっても仕方ないので比較的、耐熱、耐冷性質の高い波紋鋼ダマスカスの長刀を二本買った。

二本というのは、念の為だ。

波紋鋼ダマスカスの長刀を買った俺を見てメイアリアが。

「殿下はまさかブレイダーですか?」

ん?ブレイダー??

「え?どうゆう事??」

「いえ、あの切り裂くタイプの武器がお好みなんですか?」

「うーんなんていうか、これがワイヤードランス以外に一番しっくりきそうだからなんだけど・・・。」

「そ、そうですか・・・。」

ん?明らかにメイアリアがちょっと焦ってるぞ??

「え、なんか問題かな??」

「い、いえ、問題は御座いません、が。」

「が?」

「オアシスと校庭で呼び出したワイヤードランスにブレイダータイプの機能が有る可能性が・・・。」

「ふーん、そう言うもんなんだ、つうかそんなに焦ることなん??」

焦るというか完全に戦々恐々と言った表情に成ってしまっている。

「殿下、申し訳有りませんが、今までの歴史上、神々の武器庫から召喚されたワイヤードランスで、ブレイダータイプの物は一つも有りません。」

おや?

「え?そうなの?」

「はい。」

「前回オアシスで呼び出した時も、校庭で呼び出した時も、穂先の下部の部分しか発動していませんでしたので気がつきませんでしたが。」

「ワイヤードランスって穂先の上も発動するとなんかあるの??」

「はい、そうです、元々ワイヤードランスは基本、二種類攻撃方法があります。」

「遠隔投擲攻撃に属性魔法を乗せて攻撃する場合と近接戦闘で属性魔法を乗せて戦う場合と御座います、そうゆう意味では魔剣士とも魔戦士とも言えますね。」

「因みに私のは遠隔攻撃特化なので、近接戦闘に成った場合は海龍王様のお使いに成るワイヤードランスのトライデントを召喚して使用します。」

「滅多に有りませんが無いとは言えないので近接戦闘の訓練もしていますが・・・。」

「わたしの普段使っているワイヤードランスは実は上部発動をすると最大で八本のワイヤーアンカーが飛び出します、まだ私は二本しか出せませんが、」

「上部発動をしてから下部発動をして投擲すれば、かなりの範囲の敵が電撃で攻撃できます。」

「一般のワイヤードランスも上部発動は色々と特色が有りまして、鋏む攻撃に特化したキャンサータイプ、攻撃魔法に特化したロッドタイプ、

突き攻撃に特化したレイピアタイプ、ワイヤードランスを剣として使うセイバータイプ、

そして私の使うスピアーのみの場合も有りますアンカータイプと言っても良いのかも知れませんが投げるのでスピアータイプですね。」

近接戦闘での私の使う海龍王様のトライデントはどちらかというとロッドタイプの部類に入ります、雷雲がもの凄く集まり易いので落雷魔法や電撃魔法が使い放題なんです。」

「殿下の場合はブレイダータイプなので、上部発動をした場合どの様な形状に成るか予測がつきませんが・・・。」

「一応古文書やワイヤードランスの系統書には系統として記載されては居るのですがブレイダータイプの竜騎士や騎士は現在は皆無の筈です。」

「倭の国に行ってもブレイダータイプのワイヤードランスはまず誰も作った事が無いので、時間が掛かる可能性がありますね・・・。」




 「本日は申し訳御座いませんが大繁盛です。」

どうやらその様だ、俺達がここの百貨店に来ているのが人づてに伝わり、色々なショップや食料品まで売れ行き好調で品薄状態だ。

ぶっちゃけ警護の人も、最後ら辺は大変そうだったし最終的には人数がかなり増えていた。

「もし宜しければ殿下のお入用の物も我が店舗の仕入れや他店の在庫等をお調べ致しますが?」

まあーそういわれてもなー、お入用の物って言ったら火龍石かなーそれも多めに、駄目もとで言ってみるか?

「そうだなー火龍石とか欲しいかな。」

「で、殿下!流石にそれは無理だと思いますが。」

メイアリアが慌てて俺に忠告をする。

「殿下の魔力に耐えられるだけの個数か大きさとなると1カラット60個か50カラット程に成りますが。」

「1カラット60個か5、50カラットですか・・・か、畏まりました・・・。」

「へ?」

「いえ、ですが金額的にもかなりの金額でしょうし、本日の売り上げでは到底足らないのでは御座いませんか?」

メイアリアがそういうと、どうやら俺達が庶民派な所に支配人さんは勝手に心打たれてた様で。

「ハーク殿下のお入用の品、必ず揃えて見せます!!」

おおー言い切っちゃったよこの人!まあ、揃えてくれたら儲け物、位に考えとくか・・・。

「まあ、いいじゃんメイアリア俺達の知らないコネクションとかも有るだろうし、支配人さんの顔を立てると思ってさ。」

そう言うと。

「そうですか、ですがくれぐれも無理はなさらないで下さいね、国民有っての紅龍皇朝ですので・・・。」

うわーメイアリアそれ、ここで言っちゃ駄目ーこの支配人さん命掛けちゃうよー!!!

無理して手に入れて来いって言ってるのより質が悪いからーーー!!!!

 完全に支配人さん俺達に心酔しきってるなこれ・・・まあ、嫌われるよりは良いんだろうけど、これはこれで罪悪感が・・・。

ちょっと言わなきゃ良かった感が有るな・・・。




 つうか、相変わらず俺って綺麗目でかなりカッコいいんだよなー、婦人服売り場の姿見で自分の姿を見たのだが相変わらずだ。

最初に衝立の鏡で自分の姿を見たときは唖然としたもんだ、髪と瞳は赤いし瞳孔は爬虫類や猫の様に縦に鋭い、龍族の証らしいが・・・。

 そういやエリザも髪はブロンド、ブルーアイで完全に普通の白人の様だがきちっと瞳孔は縦だったし。当然メイアリアも縦だ、まあ瞳が黒いから

あんまし目立たないと言えば目立たないが、しっかし、困ったなーこんなに格好が良くてざっくばらんでどちらかというと女性受けのいい俺、三上竜哉の性格で、

なおかつ最近じゃ自覚無しに女性口説いてるし、ハーク大好き星人が増加しそうで怖いな・・・紅龍皇朝の血族は元々異性に対して結構もてもてな種族みたいだし、

メイアリアがいま、ルンルンなのも実際うなずけるんだが、俺って結局の所ただの高校生だし、帰るために手を打たなきゃいけないのに流されまくってる。

でも冷静に考えてみると俺がここに居るって事は逆もあるのかな?

ハークの性格が今いち見えないが、俺の体で向こうで好き勝手やってる可能性も無いとは言えないぞ。

うわああああ、なんか考えれば考えるほど恐ろしく成って来た、戻って芽衣子に嫌われてたらと思うと、戻らないほうが幸せな気もするが、

しかし戻らないと芽衣子に会えないし事故って身体が無事かそもそも判らない。

困まった、ああ困ったあああああ!!




 「あのさあ、メイアリア紅龍石って結局どんな石なんだ??」

「そうですね、一年生ではまだ習っていませんね、単純にルベウスの結晶ですよ。」

「ん?ルベウスって何なの??」

「一般的に言うとルビーですね。」

「え!俺の魔力だとルビー50カラットの物か1カラット60個ってことか??」

「はい、ですので、とても揃えられる物では無いと思いますので、何とかしないといけません。」

なんか嫌な予感がして、もう一つの水龍石の事を聞きたくなってしまった。

「因みに水龍石は?」

「サファイアです、この世界の宝石は魔素をふんだんに含みますので、特定の魔法の動作指令プログラムを与える事が可能です。」

「空気中にも魔素は有りますし何処にでも有るのですが呼吸で体内に取り込んで蓄える事が出来る量が魔力量ということになります。」

「殿下の場合は膨大な魔素を空気中から無駄なく取り込んでいらっしゃるのでとても巨大です、

一度に取り込む事が出来る量が大きければ一度に出て行く量も当然多い訳ですね。」

「話がそれました。」

「どうやら、ハーク殿下は歴史書籍を中心に呼んでいらっしゃる様なのであまりお詳しく無いようですが。」

「え?誰から聞いた?」

「図書館司書のアレイク・ルミラン殿です、入学式の日にはこの国の歴史書籍を所望されたと教えて頂きました。」

それからメイアリアは少し不機嫌な顔になって続ける。

「世界史などはアレイク殿の得意分野なので、どうやら殿下はアレイク殿にも慕われて居そうですね・・・。」

う・・・ばれてる・・・。

「メイアリア、その事なんだけどさ、アレイクさんが、どうやら俺の事ぞっこんらしいんだよね、それで、図書館で勉強するのはちょっと、あれなんだけど。」

メイアリアは、やはりかと言う様な顔をしている。

「判りました、図書館には私が本を取りに参ります。」

「戦術理論や武器の使用方法等は授業に先んじて私が直接お教えいたします。」

「ですが、刀の扱いは私も専門外なので、私も在学中にお世話になった、教員のドレイク・バラガン兵長にお願いしましょう。」

「兵長って事は騎士じゃないのか?」

「騎士学院の教員は必ずしも騎士とは限りません、実力有る冒険者を雇う事も当然あります、長く実戦を潜って来た老練の方の講義は一聴の価値が御座います。」

「ドレイク兵長は元々貴族の出なので姓が御座いますがどちらかというと奔放な方なので騎士に成るより冒険者になる事を望まれた様です。」

「貴族なのですから何もしなくても暮らせるというのに立派な志をお持ちです。」

感慨深げにメイアリアが続ける。

「戦場でも私の手が回らない所を度々助けて頂いた事も有りました、正直な所、頭が上がりません。」

「最強の竜騎士様でも頭が上がらない人なんか居るんだねww」

「いえ、私などは、単純に魔法属性のお陰で一番槍なので一番撃破数が多いだけです・・・。」

すこしもじもじしてきたな。

「本当の所カレンさんのお父様のカエサル殿と一対一で戦ったら勝てる気がしません、乱戦になったらわかりませんが・・・。」




  翌日の放課後。

「そういえば、殿下。」

「ん?」

「輸送改革に見せかけた実戦訓練と申しておりましたよね。」

「ああ、聞いたか。」

「はい、取り合えず騎士団の訓練用に制作されていた自動人形オートマトンを放っておきましたが。」

「え?それじゃ見た目でわかっちゃうんじゃないの??」

「それは無いと思います、非常に精巧に作られてますので、普通の魔獣と見分けはつきません、ですが、騎士学院の卒業生なら判るでしょうが。」

「え!!どこに??」

「はい、勿論街道沿いに。」

うおう、行動が早い上に容赦ねえな!!

「今の、街道騎士で平気なレベルなんだろうな??」

「さあ、どうでしょう、街道騎士と言ってもレベルはかなりばらつきが有りますので私もどうしたものかと考えて居りました。」

「じゃあさ一般の冒険者に輸送の護衛はちゃんと頼んだのか??」

「はい、頼みましたがどの程度役に立つかは未知数ですね。」

「おいおいおいおい、それで、輸送が全滅したらどうすんだよ、意味が無いじゃないか・・・。」

「それもそうですね。」

やっぱりこの人世間ずれしてるよーー!!

「じゃあさ、メイアリアの第一騎攻師団をさ、やばそうな輸送隊の救援に向かわせてくれる??」

「ですがそうなると、シルバーンの上空の防備が手薄に。」

「メイアリアとカエサルさんが居れば充分じゃない??」

メイアリアは少し考えた後、納得したようで。

「そうですね、仰るとおりです、では、第一騎攻師団の仮宿舎に参りましょうか。」

俺たちの会話を察してブラックドラゴンさんが降りてくる、俺達は第一騎攻師団の仮宿舎に向かった。


 それから暫くして第一騎攻師団の仮宿舎に着いた、カインさん達に事情を話すと、彼らは直ぐに飛び立った。

「相変わらず姫はやる事が大雑把ですね。」

なんて余計な事を言うのでいつものごとくカインさんには電撃が飛んでいたがw


幸い、メイアリアが放った自動人形オートマトンはヘブンリー村に向かう街道沿いだけだったので、ほとんど、トラウトや輸送部隊に被害は無かった、

むしろ、メイアリアから直々に冒険者ギルドに通知が来ていたので

名を上げようと言う冒険者が乗り込んでいたので中々優秀な冒険者が揃っていたみたいだった。


後日、クライアントホストのメイアリア直々に報酬を渡す事に成った、メイアリアが報酬を渡している最中に、

「この程度の防衛任務でこんなに報酬が出るなら毎日でも良いぜ、」

なんて言ってる冒険者も居る。

この台詞メイアリアが聞いていたら面倒だな、と思っていだが、案の定聞こえて居たようで。

「では、明日も明後日もお願いしますねw」

「え??」

「毎日で良いのですよね?」


それから一週間余計な事を言った冒険者が居たパーティーは毎日輸送任務に駆り出されて日に日にボロボロに成っていった。

「可哀相に。」

「彼らはどうやらそれなりに優秀の様ですね、普通ならこれだけ攻め立てれば騎士団員でも持ちませんがどうにか持っていますね。」

メイアリアは徐々に放つ魔獣型の自動人形オートマトンのレベルを上げて居る様でなんか楽しそうだった。

装備が帰りには毎回ボロボロになってはいるものの毎回の報酬が高いので、毎日新しい装備を揃えてなんとか、着いてきていた。

まあ、実際第一騎攻師団が上空でやばかったら助けてくれるという認識があったからかも知れないが余計な事を言った彼らを含め

輸送警護に出るとメイアリア直々に報酬が毎日貰えると言う事もあり、中々人気の仕事になっていったし、丁度いいレベルの魔獣が何時も出るので

冒険者の底上げがかなり進む事になった。

 当然、街道騎士もメイアリアから実戦に即した戦闘、戦術訓練だと通達が来て居たので戦闘に参加しているので皆それなりの強さになり面構えも変わって来た。

シルバーンの街も、魚がお店に並ぶように成りみんなこぞって買っている様で大反響だった。

「では殿下、一応の結果も出ましたので他の街道にも掛かろうかと思いますが如何でしょうか?」

「それもいいんだけどさ、今度は、折角強く成ったんだから逆に、狩に出てもらって街道沿いの危険な魔獣とか有る程度駆逐してもらって内憂外患の状態を変えたいよね。」

メイアリアはどうやら俺の考えに感動しているみたいだ。

「だからさ、輸送任務と魔獣駆逐に分けたらどうかな、んで対応できない魔獣が出たらメイアリアの第一騎攻師団で援護して貰うってのは?」

「最悪の場合俺も出るし。」

「そ、そんな、殿下自ら魔獣狩りに出られるなど私は承服できかねます。」

「んで、そのことなんだけどさ、メイアリア、なんか隠してない??」

思いっきり驚いた顔をしていたが観念したようだ、一巻きの書簡を出す。

「やっぱりね、第二騎攻師団の副長の姉さんがOK出したんだから当然正式な文章が届くって言ってたから、暫くしてるのに来ないのはおかしいなって思ってたんだよね。」

「殿下は、その、やはり魔力が巨大なだけでは無いのですね・・・。」

「この所メイアリアにも色々戦術とか習ってるしね、単純にメリン姉さんがあんだけ早く来たんだから

一度南都に行ってるメイアリアが持ってるんだろうなって思ってたけどね。」

俺はメイアリアから書簡を受け取ると中身を開いて見た、其処には

紅龍皇朝皇帝より皇子ハーク・フォン・ヴィシスに竜騎士団、第二騎攻師団、団長を任ずるという内容の書面だった。

「さてこれで、正式に授業に関係なく街道警護が出来るってもんだ。」

「はい・・・。」

「なんだよ、そんなにがっくりすんなよ・・・。」

「そうですね、おめでたい事ですよね、でも何だか追い抜かされた気分です・・・私は騎士学院を出てから竜騎士団長に成りましたので、

殿下は、まだ一年生で騎士学院を卒業も一学期すら終わっていないのに竜騎士団長だなんて。」

「おいおい、それを言ったらむしろズーット抜かされっぱなしだった俺の立場は??」

「うふふ、それもそうですねw」

「でも実際どうするんだろう?」

「はい?」

「いや、だって俺のドラゴン来てないし。」

「そういえばそれもそうですね、ですが紅龍皇帝陛下の事ですから何かお考えが有るのではないですか??」

「そんなもんかー??」

「それに、殿下は通常装備のワイヤードランスがまだ無いので倭の国に行かないとどうにも成りませんが。」

「あーそれも、あったなー、ここの所輸送の云々の事してたからすっかり忘れてたよ。」

ルビーだ、それも、50カラットか1カラット60個これは中々ハードだぞ、集まる気がしない。

「小さめのルビーを錬金術師にその波紋鋼ダマスカスの刀につけて貰って一刀事に使い捨てるという、事も出来ますが。」

「え、それは要するに、一回攻撃するたんびにルビーが一個壊れるってこと??」

「はい。」

「ちょっとそれはもったいなさ過ぎないか??そんな小さなルビーだって他の騎士は必要だろうし。」

「そうなんですが、殿下の魔力を使える触媒が無い事には単に刀で焼き斬るなどに成ってしまいますので。」

「え?充分じゃないの焼き斬れれば。」

「そうですか?」

「だってさー焼かれて斬られたら普通その怪我治んないよ。」

「ですが、再生能力の強い魔獣も居ますので、それだけでは・・・。」

「じゃあさ、こんなのはどうかな??」

取り合えず俺は思った事を実行に移す。二本の波紋鋼ダマスカス刀を引き抜き右手の刀に熱気を込めて左手の刀に冷気を込めた。

そう、熱気と冷気を同時に別々の刀に宿らせてみた、右手の刀は今にも溶けそうだ、そのわりに左手の刀は凍り付いて今にも砕けそうだ。

メイアリアは目を真ん丸くして見入っている。

「ま、まさか殿下、同時にですか!?」

「うん、そうそう、高温が平気な奴には冷気で斬ってから高温で斬って逆もすれば流石に倒せるんじゃない??」

「確かに、急激な温度変化に対応出来そうなのはアンデット位ですがそもそもアンデットは燃やせば倒せますし。」

「これなら、金属系のゴーレムだって倒せるんじゃないかな??」

「実は昨日の夜に校庭のゴーレムで試してみたら冷気の方で斬ってから熱気の方で斬ったら砕けちゃってっさw

いけるんじゃないかなーって!!」

「熱膨張というものですか?」

「うん多分、それに、冷気の方でメインに使えば大概の生き物は倒せそうだよ。」

「それにこの辺はあったかいしみんな冷気に弱いと思うんだよね、駄目なら駄目で遠くから冷気を浴びせて動きを鈍らせれば良いんだし。」

「そうですか、殿下は本当に賢い方なのですね、わたくしは恥ずかしい限りです。」

「え、なんで、充分凄いよメイアリアは、だってどうやったってメイアリアのスピードには勝てないって。」

「いえ、ですが、わたくしは自分の魔法属性に甘えていました、殿下の様に今有るもので工夫して戦うという気概がありませんでした。」

「わたくしでは殿下に吊り合わないのかもしれませんね。」

おいおいおい、なんだこの自信の無くし様は!!俺ってそんなに凄い事してるのか??

上空でブラックドラゴンさんは我関せずを貫いて居るし、自信の無くなった乙女の自信回復方法なんか俺知らんぞ!!

「メイアリア。」

「はい。」

「俺が強いのは嫌か??」

「そんな、滅相も御座いません、そもそも、殿下がお強いのは肌で感じて居りましたし。」

「多分だけどさ、俺、織覇瑠金オリハルコンのワイヤードランス手に入れたらもっと強く成るけど。」

「はい。」

「だからといってメイアリアが要らないなんてことは無いよ。」

「同じ年で誕生日も二日しか違わないんだ、メイアリアが居なくなったら俺は戦え無くなるよ。」

「何故ですか?」

「だって、メイアリアが俺の為に戦う様に俺もメイアリア為に戦ってるからさ・・・。」

うう、我ながらちょっと臭すぎたな、でも、乙女なメイアリアが自信を喪失してそのまま戦場で死んだりしたら其れこそ俺は確かに戦えない。

「有り難う御座います、わたしは殿下を守って居るつもりでしたが殿下に守られていたのですね・・・。」

「まあ、しめっぽい話はこれくらいにして、今後どうするか決めないとな。」

「はい。」

「ルビーの良く取れる鉱脈とか行って地道に聞き込みとかするかなー。」

メイアリアは少し落ち着いたみたいだった。

「それよりも明日は騎士学院に登校しませんか?」

「図書館で何か打開策が見つかるかも知れませんし。」

「そうだね、なんか問題の司書が居るけど><」

ここの所は竜騎士団の第一騎攻師団の仮宿舎で寝泊りしていたのだが、久しぶりに明日は騎士学院に登校する事にした。



6話は魔導王朝の斥候というかそんなのがでるかもしれません、あくまで予定ですが、もし出なくても怒らないでやってください。

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