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露天風呂?と銭湯?

 

 私は、名取芽衣子、三上竜哉の幼馴染。

 

 たっちゃんは私が幼稚園の時に隣に引っ越してきた、同い年だったのですぐに仲良くなった。

たっちゃんはすごくゲームが上手だったのでよく私がクリア出来ないところを私の代わりにクリアしてくれた、

外で遊ぶのも元気いっぱいでいつも二人で遊んで居た。

 そんな私達も小学生、中学生に成ると男の子と女の子だから次第にそれぞれ違う友達と遊ぶように成って少しづつ距離が出来てしまった。

でもたっちゃんは相変わらず私がゲームでクリア出来ないところがあると「しょうがねーなー。」って言いながらもクリアしてくれていた。

そして、二人とも高校受験の頃に成ると今まで開いた距離を縮めるように二人で同じ高校に進学した。

 私はすごく嬉しかった、いつも遊んでくれた、たっちゃん、いつも明るい、たっちゃん。

夏休みも二人で海に行ったり花火を見にいったり縁日に行ったりして。

お互い口には出さないけど、もう、付き合っているつもりだった、だけど夏休みが終わった始業式の登校中に事故が起こった、たまたま前を自転車で走ってっいた、たっちゃんは、信号無視の車に自転車ごとはねられてしまった、はねられたたっちゃんの頭から血がいっぱい出ていた、私は何も出来なかった、救急車を呼ぶことも、こんなに大好きなたっちゃんに触る事も出来なかった、ただ、ただ、信じられなかった、気がつくと救急隊員の人にたっちゃんと一緒に救急車に乗せられていた。

救急車の中でたっちゃんは人工呼吸をされたいた、もう死んじゃうんだと思った。

 救急車が病院に着くとたっちゃんは緊急手術室に運ばれて行った、いつまで経っても手術中のランプが消えなかった、

たっちゃんのお父さんとお母さんが手術室の前にやってきた「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい。」何だか判らないけどたっちゃんのお父さんとお母さんに私は謝っていた。

たっちゃんのお父さんは「めいちゃんが悪いんじゃない。」と言ってくれた、でも、私は自分のせいだと思っていた。

 もしあの時二人で同じ高校に行こうって言わなければ、二人で鎌倉に初詣に行かなければ、バレンタインの時義理チョコじゃないんだからなんて言わなければ、中学校の修学旅行で同じ班に成らなければ。

二人で過ごした時間が全部悲しい物に成っていく様で凄く怖かった。

 そのまま朝まで緊急手術は続いた、手術中のランプが消えてお医者さんが出てきた、「出来ることは全てしました、後は彼の生命力次第です。」と言っていた。

たっちゃんが手術室から運び出されて来た、よく判らない管がいっぱいついていた、頭は左目まで包帯でぐるぐるに巻かれていた、そのままたっちゃんは9階の集中治療室に運ばれて行った。

たっちゃんのお母さんは泣いていた、お父さんも泣くのを堪えていた。私はどうして良いか判らなくてただ、ただ呆然としていた。

 気がつくと私は病院の待合室で目が覚めた、凄く嫌な予感にかられてたっちゃんのいる集中治療室に入った、ビニールのカーテンの向こうでたっちゃんは怪我と戦っていた。

そのときたっちゃんの右手が動いた様に見えた、看護婦さんを呼んでたっちゃんの様子を診てもらった、看護婦さんが優しく笑っていた、私は涙がいっぱいで止まらなかった。

手術をしてくれたお医者さんが「峠は越えましたね。」といったので膝の力が抜けてその場にへたり込んでしまった。「よかった、よかった。」そのまま私はわんわん泣いていた。

看護婦さんが私を立たせるとたっちゃんの横まで連れて行ってくれた、たっちゃんの右手を握ると、暖かかった。

 午後に成ると9階の集中治療室から13階の一般病棟に移された、たっちゃんに付いていた管も本数が減っていた。たっちゃんのお父さんもお母さんも、疲れた様子だった。

お医者さんは、「直ぐにも意識が戻るでしょう」と言っていた。それを聞いた、たっちゃんのお父さんが、「こんな息子だがよろしくお願いします。」と言った、たっちゃんのお母さんは「未だ早いですよお父さん。」と言った、私は最初、意味がよく判らなかった、でも、凄く嬉しかった、そしてたっちゃんが起きたら、「大好き。」って言おうと思った。






 「殿下、殿下、殿下。」

メイアリアの声が聞こえる、あれ、さっき俺ってどうなったんだっけ?

カオスブルーとかいう、竜騎士の奴に怒りを覚えた所までしか覚えて無かった。

少し暖かい水に浸かって居る様でとても気持ちが良い、頭も何か柔らかいものが枕の替わりに有る、

 薄く目を開くとメイアリアの顔がさかさまに見えた。

「殿下、良かった、このまま二度と起きないのかと思いました。」

メイアリアは目の周りを真っ赤に腫らして泣きじゃくっていたみたいだった。

 どうやらメイアリアに膝枕されてるみたいだな、そういえば、本当に尻尾があるのかなと思ったのでそのままメイアリアのお尻に手を回して尻尾があると思われる所を触った。

「え? きゃー。」

確かに短い尻尾が有るのを確認した、だが俺は暖かい水に放り投げられた、どうやら先ほどまで泳いでいたオアシスだった。

「殿下のばかぁ!!!」

メイアリアはさらに顔を真っ赤にしてオアシスの茂みの方に走って行ってしまった。

「いやーこのような状況でも流石ですハーク殿下、紅龍皇朝直系の血は争えませんな。」

と副長のカイン。

「ハーク、エッチ。」

「はー、心配して損したねえー、エリザ。」

「そうね、むしろワイヤードランスを投げて倒れる所から演技だったんじゃないかしら?」

「「「言えてる」」」

「ハーク様ちょっと酷いです、かなり軽蔑しました。」

「いやいやまてよ、あんまり心配してるもんだから、俺は平気だよってアピールだよ。」

「「「怪しい。」」」

『ガハハハハハハハ』

『どんな状況でも只では起きぬその気概ワシは気に入ったぞ!!』

『ハーク殿下、姫が居なくともいつでも呼んでくれワシが何処へなりともお供しようぞ。』

「ハーク強がり、実は結構やばかった。」

む、ユリエには相変わらず読まれてるな。

 それから暫くメイアリアの機嫌が治らなかったので、俺の火炎で温まったオアシスで星を見ながら露天風呂状態を満喫したが・・・、あれあの星って・・・、天文学の学の無い俺にも判る特徴的な星の並び、オリオン座!

こ、ここって?

「メイアリアごめんてー、」

「殿下なんか知りません、いつもそうやって女の子の体を触ってるんでしょう?」

なんて機嫌の悪いことを言いながらも、帰りは二人でブラックドラゴンに乗っている、俺が前に座ってメイアリアが後ろに立って居る。

「おれは誓ってメイアリアの体しか触って無いよ。」

「そ、そんなの信じられるわけ無いじゃ無いですか。」

そんなこと言いながらもなんか声が微妙に嬉しそうだったりする。

「だってメイアリアの水着姿見たらなんか身体が勝手に動いちゃったんだから仕方ないじゃないか。」

「・・・」

「膝枕してくれてる時だって目の前にメイアリアの水着で形の良い胸が有るし。」

「・・・」

「それとも、俺がメイアリアの水着姿に興味無いほうが良いの?」

「・・・ぃ・・・ぃぇ」

『ガハハハハハ、殿下は女の扱いに慣れておいでですな。』

「そっかー?」

「・・・」

『殿下、先ほども言いましたが、姫が拗ねてワシに乗せないと言っても、ワシは一向に乗って頂いて構わないので、何か有った時は気になさらず呼んで下され』

「え!?」

「有り難うそうするよ。」

「そんな、困ります、それこそ殿下がナンパに使ったらどうするんですか!?」

『ワシは、ハーク殿下なら一向に構わんよ、ガハハハハハハ』

「話が判るねえ、その時は宜しくね。」

『合い判った』

「そんなーーーー」

『ならば姫の魅力で殿下を虜にすれば良かろう。』

「ぅ・・・」

「大丈夫だって、十分メイアリアの虜だよ。」

「そ、そんな・・・」

後ろで真っ赤に成ってそっぽを向いてる。

「はははは、流石の団長もハーク殿下には敵わないみたいですね。」

相変わらず副長には電撃が飛んでいる、余計な事言わなきゃ良いのに。


 砂漠の満天の星空を六頭のブラックドラゴンが騎士学院に向かって飛んで行った。



 翌日。

今日も今一要領を得ない授業ばっかりだったので、図書館で様々な本を読み漁って居る。

特に異世界から召喚されたような人物が過去に居たのかどうかの記述を探しているが、なかなか、その様な書籍は見つからないのだが、その昔に魔力総量が巨大だった破軍という龍族にまつわる記述を見つけた。

騎士学院にはいってからというもの、授業が終わると図書館に篭りっきりなのでメイアリアは俺が勉強に目覚めたと思ってご機嫌だ。

どうやら、紅龍帝にもその様に報告しているようで、紅龍帝からはむしろ、

「たった半年でどうやった?」

と聞かれたそうだ、今もうず高く詰まれた本の間からメイアリアが此方を覗き、

「少し休憩しませんか?」

と言って来たので暖かいストレートティーを貰った。

「殿下、そんなに勉強されてどうなさるおつもりなのですか?」

「ん?」

古代の武器などの本を読みながらメイアリアに答える。

「俺は、何と無くこのままの世界じゃ嫌なんだ。」

と、当たり障りの無いことを答えたつもりだったのだが、メイアリアの顔が輝く。

「まさか、殿下はこの世界をさらにより良くしようとお考えですか!?」

「まあ、間違いでは無いかな。」

本を読みながら答えたのでメイアリアの言っている意味が今一頭に入って居なかったが。

「私の将来の旦那様がハーク殿下で良かった。」

なーんて聞こえない様に言ってるみたいなんだけど、丸聞こえなんだけどねーメイアリアさん・・・。


 

 古代の武器の本を読んで居る内にある疑問がわいて来たのでメイアリアに聞いてみた。

「そういえばさ、メイアリアのランスって、いつも飛んで来てる様に見えるんだけど実際どうなの?」

比較的まともな質問が来たのでメイアリアの顔がほころんでいる。

「あれは、神々の武器庫と呼ばれる所と、契約して初めて呼び出せる物ですので、違う武器を呼ぼうと思えば呼べます。」

「殿下も幼少の頃から魔力が巨大でしたので、既に契約は果たされおいでです、その入学式の日にお付けした指輪です、私もこのように。」

そういって右手の薬指の指輪を見せてくれた。

「まさかあれほど強力な・・・いえ、凶悪なワイヤードランスが出現するとは思いませんでしたが。」

俺には、まったく記憶に無かったのだが、てか凶悪って・・・。

「そんなに強力だった??」

「はい、私の記憶では一度も見たことは有りませんでした、それに古文書にも記述はありませんでした、殿下のお父上の紅龍皇帝陛下にもお聞きしましたがご存じないとの事でした。」

「単純に炎を吹き出して加速するのでしたら比較的、歴代紅龍帝様方がお使いの物と変わりませんが、爆発し続けて加速するワイヤードランスでしたので。」

「それに標的以外は完全に弾き飛ばして居ました、私には間にどのような障害物が有っても必ず標的に到達するように感じました、それ故に凶悪と。」

「うーむ。」

まあ、怒って我を忘れてあんなんなったから、今更もう一回出せって言われても無理な気がするけど・・・。

 

 実はエリザとリーナは俺が強いことに危機感を感じて今も一緒に図書館で勉強しているのだが。

カレンとユリエはなんか俺の強さに惚れたのか今も両側に居るのだが。

「カレン、どうして俺の勉強にいつも付いて来るんだ?」

「え、だって、結局なんていうか私は強い人がいいっていうか、なんと言うか・・・」

まったくコントロール出来てないから危険大爆発な感じがするんだが・・・。

「ユリエもどうしていつも側に居るんだ?」

「ハーク変だから。」

答えに成ってないんだが。

まあ、二人とも色々調べるのに協力的で良いんだが、あんましずーと一緒にいると、メイアリアの機嫌が悪く成りそうで怖いんだけど。

「そういえば、殿下。」

「うん?」

「殿下が竜騎士団、第二騎攻師団の団長を倒してしまったので。」

「殿下が第二騎攻師団の団長に任命されると思いますが?」

ん?

「なんで??」

「元々竜騎士どうしの決闘の掟は次の団長を決める為のものなので、あの場合、ハーク殿下から文字通り横槍とはいえ決闘を申し込んだ状態ですので。」

「近いうちに殿下のお父上の紅龍皇帝陛下から正式な文書が届くかと。」

「おいおい、俺まともに槍すら授業で投げて無いぞ!」

「それも・・・そうですね・・・。」

「ですが正式に決るのは第二騎攻師団の副長を打ち負かした時か、副長が承認した場合ですが、第二騎攻師団の副長は現在、諜報活動中ですので暫く時間が有ります。」

「ですので、特訓を致しましょう。」

いやいや、メイアリアさんもうちょっと早く言ってくんないかなそう言う、大事な事、やっぱりメイアリアってメイドと戦場しか知らないから世間ずれしてる!?

「それとハーク殿下はまず、御自分の魔力を制御して頂けなければ成りませんね。」

まあ、確かにそうだ毎回毎回暴走してメイアリアの膝枕で起きるのも良いが、いちいち気絶してたんじゃ使い物に成らないし単純に困る。

「殿下には昨日呼び出されたワイヤードランスを呼び出せるように成って頂かないといけませんね。」

「え、あんなん呼び出せないといけないの??」

「そうですね、神々の武器庫の武器は人々の記憶を媒介にして呼び出しますので、昨日私たちが見て記憶して居ますので気絶するほどの魔力は次からは必要ないかと。」

「ふーん、そうゆうもんなんだ。」

「殿下の魔力でしたらこの世界に存在したことの無い武器も呼び出せるのではないでしょうか?」

「え?そんなこと可能なの??」

「そうですね、試した龍族は皆無ですが。そもそも殿下ほどの巨大な魔力の持ち主は歴史上二人目ですので、殿下がこれは自分の武器だ、と認識したものならばほぼ呼び出せるかと。」

なんかすごい話に成って来たぞ、てことは要約するとこの世界に無い武器すら呼べて尚且つ一回呼んじゃって人に見られれば呼び出す魔力が減るって事だな!!

いくらでも呼び出し放題じゃないか地球の武器が!!

 ああ、でもワイヤードランス以上の武器って有ったかな?

それにそもそも龍族に銃とかって効くのかな?

俺がうんうん唸り出して考え出してしまったので、メイアリアは不思議そうな顔をしていたが。

「それで、なのですが図書館で読書も良いのですが、校庭で昨日オアシスで呼び出したワイヤードランスを呼べるか試してみませんか殿下?」

「え?もう?」

「はい、なるべく早いほうが良いかと思いまして。」

「そうなんだ、じゃあ、行こうか皆。」

「「「はーい。」」」

ぞろぞろと六人で図書館から出て行くのであった、つうかおまえら主体性ないな。


 ほんで校庭。

「では殿下、昨日目撃して記憶している人がこれだけ居ますのでかなりあっさり出ると思いますが、早速呼んでみましょう。」

なんかやけにルンルンだなメイアリア。

「そいじゃやってみるぜ、んで、どうやって出すんだ?」

「そうですね私の場合は落雷か霧をイメージして魔力を集中しておりますが。」

「それでメイアリアがランスを呼ぶと雷が落ちるのか!!」

「はい、入学式の時も前回此処で呼び出した時もそうですね、殿下の場合は炎ですね。」

「炎か。」

「そうですね、では、まずは炎を呼ぶ所から始めましょう。」

「あ、それとですが、どの位の規模の炎が出るか判らないので皆さん離れましょう。」

いやいや、皆、離れすぎだから地味に傷付くんですけど・・・。

あのリーナさん、そんなに走って行って校舎前の木の陰に隠れなくても流石に平気じゃないかな??

「それでは炎を呼んでみてください。」

むしろメイアリアはもうちょっと離れようよ、地味に気を使うよ。

「わかった、炎、炎。」

ん?

「どうされました、殿下?」

「えっとさ。」

「はい。」

「炎ってどんなん?」

  ズコ!!

おおう、見事にカレンとエリザがこけたぞ、ユリエの奴は笑ってやがる、リーナは・・・うん、聞こえてないな。

「そうですね、昨日オアシスでイメージしたのは何でしたか?」

「イメージ、うーん・・・」

「イメージって言うよりも怒り・・・かな。」

「殿下の体にどのような変化がおきましたか?」

「そうだな、とにかく熱かったかな。」

「それでは、手の平が熱く成るイメージで良いのではないでしょうか。」

「手の平が熱く成るか。」

熱くなれ熱くなれ熱くなれ。

「おおう、本当に熱く成ったぞ。」

「ではそのまま、さらに集中して温度を上げて下さい。」

さらに集中か。

「むむむ。」

右手の平の上に仄かにオレンジ色の光が燈った。

「おおう、出たぞ。」

「お見事です殿下、では、そこからさらに大きくしてみましょう。」

「大きくか。」

メイアリアに言われた台詞を復唱した途端、俺の右手を中心に真円球状に光が噴出し半径10メートル程の火の玉に変わる!!

寸での所でメイアリアがエリザ、カレン、ユリエを庇って水の膜を張った、リーナあんた正解だよ・・・

「で、殿下、大き過ぎです!!」

「いや、そう言われても。」

「じゃあもう少し小さくか。」

小さく、小さく。

すると最初に呼び出したオレンジ色の仄かな光に戻った。

「殿下、今度は小さ過ぎです。」

「いや、そういわれてもこんなに小さくするつもり無いんだけど。」

困ったぞ、大きくすると半径10メートルに成るし小さくすると線香花火なみに小さくなるぞこれ。

「そうなのですか?」

「皆さんもう少し離れましょう。」

そう言ってメイアリアは皆を下がらせると、自分は水の膜を張ったまま戻って来た、地味に傷付くなそれ。

「殿下、もう一度少しだけ大きくしてみて下さい。」

「少しだけ大きく少しだけ大きく。」

少しだけ大きくと念じてるにも拘わらず先ほどと大差無い大きさの火球に成った、校庭の地面がチリチリと音を上げている。

「だめだ、どうしてもこのサイズに成っちまう。」

「困りましたね、やはり殿下の魔力が巨大過ぎるのが原因かもしれませんね。」

そう言いながらもメイアリアの張った水の膜ですらぶくぶくと沸騰を始めている。

おれは集中を解いて炎を消した。

「ふう。」

メイアリアは考え込んでいる、それもそうだ、ワイヤードランスを呼び出す前にいちいち半径10メートルの火の玉がまず出てしまうのだ、

街中で使ったらその辺の家が絶賛火事に成ってしまう。

「山で使ったら山火事・・・」

おいユリエ!!

「何か殿下の魔力を抑える手立てを考えないといけませんね。」

つうかつっこめよメイアリア!!

やっぱ世間ずれしてんのかなこの人、もう、仕方無いな・・・。

「魔力を抑えるか、そんなこと可能なの??」

「そうですね、普通は魔力を増す為に色々な装備品を着けるのですが、魔力を抑えるとなると呪いの類しか聞いた事は有りませんね。」

「えー俺、呪われるの、そんなん嫌なんだけど。」

「あ、いえ、殿下の魔力ですと、そもそも呪い自体がかからないかと思いますが・・・。」

困ったな魔力が巨大で便利かと思ったが思わぬ弊害があったな。

「これはもう一度、図書館に戻って色々調べないといけませんね。」

「そーだなー。」

今、来たばかりなのにすぐ逆戻りか><。

「リーナ、図書館戻るってー。」

「え?なんでエリザちゃん?」

そりゃーそんなに遠くに居りゃ状況判らんがな、あー一生懸命走って戻って来るねぇ、リーナお疲れさん。

 

 えー本日二度目の図書館で御座います。

「困りましたね。」

そうなのだ、実は図書館でいくら調べても魔力を抑える技術が何処にも無かったのだ。

あんまりにも見つからないので、皆には女子寮に戻ってもらってメイアリアと二人っきりだ。

「メイアリアが、水の膜を張ってから呼び出すってのは?」

「いえ、殿下の魔力を覆うとなると私でも流石に。」

「そうか、単純に覆えば良いって訳でも無いんだな。」

「そうですね、結局覆った所で半径10メートル内が燃える事には変わりが有りませんので。」

「うーん。」

あれ?そいえば。

「メイアリア、あのさ。」

「はい、殿下。」

「メイアリアは水と雷が操れるよね、あと雷雲か。」

「はい、正確には雨雲というか低気圧もですが。」

「黒龍皇朝の血筋のメイアリアが、そんなに色々操れるのに紅龍皇朝の俺が炎だけって変じゃね?」

「!!、確かに仰るとおりです、考えた事も有りませんでした。」

「歴代の紅龍帝の中でさ炎以外扱えた人って居ないのかな??」

「そうですね、その線であたってみましょう。」

となると話は早い、地味に俺たちが何時までも調べてるせいで、帰れない司書さんに頼むと直ぐに持ってきてくれた。

「殿下、今日はもう遅いので内容を見るのは明日にしませんか?」

「え、もうそんな時間?」

図書館の窓から見える景色は夕方をとっくに越え星が煌いている、校舎や学園寮の方にも明かりは見えない。

「あら、気がつかなかった。」

「その様ですね殿下は熱くなられると周りが見えなく成るようですね。」

「今なんてった??」

「周りが、」

「その前!!」

「熱くなられると。」

「それだ!!」

「はい?」

「それだよ、メイアリア!!」

メイアリアは全然判って無いみたいだったので。

「熱だ!!」

「熱ですか?」

「俺が炎を出す前、手が熱く成ったんだよ、てことは。」

「ということは?」

「冷ませば良いんだよ!」

メイアリアは今一、釈然としてなかったので実践あるのみだ、興奮気味の俺はメイアリアの手を引いて校庭に出た。

「メイアリアみてて、多分これでいけるはず。」

「はい?」

俺は魔力を集中した、そう熱くでは無く冷たく成る様に集中。

冷えろ、冷えろ、冷えろ。

途端に右手が冷たく成り出す、メイアリアもその異変に気付いた様だ。

さらに集中すると、右手の平の上に小さな透き通った六角形の欠片が生まれた。

「で、殿下!!これはまさか!!!」

「そうだよ、メイアリア冷気だよ冷やしたんだ!!」

よし思ったとおりだ。

「紅龍皇朝の力は熱を操る力なんだ!!」

「こいつを大きくすれば良い!!」

「あ、あの殿下、少し、というか、かなり肌寒いのですが。」

あれ、俺は全然平気なんだけど、周りをよくみると、キラキラと細かい粒が舞っている。

あれこれ、ダイヤモンドダストじゃねw

地面はすっかり霜が降りていて白く成っている。

俺が集中を解くと右手の平の結晶は溶けて消えた。

「メイアリアもう寒くない?」

「はい、もう大丈夫です。」

「俺がなにをしたのか判った?」

「殿下が、炎ではなく、空気を凍らせたとしか。」

「そうそう、そうだよ、周りを燃やしちゃうよりは空気が凍る方がましじゃないかなって思ってさ。」

「そんなことが可能なのですか?」

「今、出来たじゃん!」

「そ、そうですが・・・。」

「ですが、殿下、図書館の書籍にはその様な記述は何処にも有りませんでした。」

「そりゃそーじゃね?」

「何故ですか??」

「炎と違って見えないじゃん、だから誰も気がつかないんだよ。」

「そうなのですか。」

なんかあんまし納得してないなーメイアリア、見せたのに。

あまりにも今までの常識と違う事が目の前で起きたので困惑している様だな、でも俺は一人で勝手に光明が見えてしまった。

「メイアリア、今日はもう遅いから休もう、疲れてる上に見たこと無い状況を見て頭が追いついて無いみたいだし。」

「申し訳有りません殿下。」

「いやいや、メイアリアが悪いんじゃないよ、俺の発想がぶっ飛びすぎてるんだよ。」

「殿下は魔力が巨大なだけでは無いのですね。」

いやだから、メイアリアさん、聞こえてないつもりなんだろうけど、俺、耳異常に良いから丸聞こえなんですけど・・・。






 とりあえず俺たちは今日は休む事にした、だが、今日のイベントは未だ終わってはいなかった。




 いつものように男子寮の大浴場に入ろうとして着替えを持って廊下を歩いて居るとメイアリアが着いて来る。

「い、いや、メイアリア。」

「は、はい。」

メイアリアもなんか緊張してるみたいだが、どうしたもんだか・・・。

「あ、あのさ。」

「は、はい。」

メイアリア、声が上ずってるよ俺もだけど・・・。

「今から風呂入ろうかと。」

「は、はい、存じております。」

えーと存じているならどうして来るのかなメイアリアさん、こんな状況初めてなんですけど・・・。

「あ、あの、で、殿下。」

「う、うん。」

「もし、宜しければ、い、一緒に、お、お風呂・・・」

なんでそこで黙るかな、つか、一緒にお風呂ってまずくね??流石に。

つか既に一緒の部屋で寝起きしてるけどね・・・。

「そ、そのなんと言いますか、女子寮のお風呂なんですが、もう皆寝てしまっててお湯も張って無い様でして・・・。」

なんだ、そうゆうことか焦ったーーーー、まあ、メイアリアはやっぱし乙女だから一日でもお風呂に入れないのは無理だよねー。

「じゃーメイアリア先に入ってきなよ待ってるからさ、それに、メイアリアが入ってるのに他の奴が来ないとも限らないしさ。」

「い、いえあの、わ、私の立場で流石にそうゆう訳には・・・。」

なんかそこはかとなくガッカリしてる感じなんですけど、どうしようこの乙女。

「じゃ、じゃあさ、俺が先に入るからメイアリア後から入りなよ。」

「わ、わかりました。」

はー判ってくれた、焦った、色々な意味で。

 じゃあ、乙女なメイアリアを待たせても悪いからちゃっちゃと風呂入っちゃおうかな。

しっかし、本当に日本の銭湯だよなーここの風呂、壁にはなんか大きな山が描いて有るし、

流石に富士山じゃ無いけど、これなんて山なんだろう・・・?





「ん?」

おいおい、脱衣場の引き戸が開いた音が聞こえたぞ、湯気に曇る鏡を見るとメイアリアが今まさに入ってこようとしている!!!



ちっがーーーーう、後からってそうゆう意味じゃなーーーーーい!!!!

 


 ま、まずいこのまま見てたら色々見えてしまう!!

 

あ、焦ったーメイアリア、湯浴み着、着てる、よかったーいつもあれ着て入るんだなーお風呂、流石、乙女だなー。




て、全然よくねええええ俺、まっぱだし!!

「で、殿下。」

「ちょっと待った。」

「は、はい。」

「ご、ごめん、メイアリア、俺にもさ色々準備っていうかさ、そのなんていうかさ・・・」

「は、はい。」

「ほら、俺って魔力巨大じゃん、今、メイアリアがそれ以上こっち来たらその、多分・・・折角のお風呂のお湯とかさ、全部蒸発させちゃうかもしんないしさ・・・そのなんていうか。」

頼む納得してくれ、そもそも俺はただの高校生だし殿下じゃ無いし、こんな所でなんか有ったりしたら色々と、つかマジ無理、確実に芽衣子に会わす顔が無くなる!!

そもそも、なんでオアシスであんなことしてるんだよ俺、メイアリアに期待させるような事も言ってたし、俺ってこんなナンパな奴だったか??

「す、すみませんでした、殿下の仰るとおりかも知れません・・・その、殿下にも色々とございますよね・・・。」

て、その残念全開の声やめてくれー、いや、謝ってる割には全然脱衣場に行かないし、どうしたんだ乙女!?



 ・・・




 そ、そうだ、メイアリアに今、俺が居るところに来てもらって俺は湯船通って脱衣場に行けば良いんだ、それにメイアリアは目が悪いからこんだけ湯気で曇ってれば見えない筈!!

「メイアリア、俺もう上がるからゆっくり入って良いよそれに、俺そもそもあったまらなくても平気だしさ、なんたって紅龍皇朝直系だからさ。」

「は、はい、判りました。」

そう言うなり俺のいる大浴場の洗い場の方に来るので、俺はそそくさと湯船に逃げた。

メイアリアは流石にメガネを着けていないのでよく見えていないみたいだったが、俺の居る湯船の方を一生懸命見ようとしているのだが、どうやら諦めて髪を解いて洗い始めた。

「お、俺、外で誰も来ないか見張ってるからさ、き、気にしないでゆっくり入りなよ。」

俺はそう言い残し全速力で湯船から飛び出し脱衣場になんとか到達した!!



 はあああああ、一途な乙女ってこんなに大胆なんだな、あんまし期待させる様な事は慎まないと、オアシスでは尻尾触っちゃったし、帰りにはメイアリアの虜とか言ってたし。

俺ってどう成ったんだろう、困った、マジ困った。

いやーやばかったですね、たっちゃん、色々と。

今回はちょっと話が短く成ってしまいましたが妄想するとお色気シーン全開ぶん回しレッドゾーンでした。

次回はいつに成るでしょうか、少し外伝的な話に成る予定ですが、今回より長く成るのでしょうか、それは神のみぞ知ると言う事で・・・因みに、二話で登場した織覇瑠金ですがオリハルコンです、ルビふれよ!!

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