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神籬の正体

神籬(ひもろぎ)を浄化することに成功したのだが、木でありながら歩いてここまで来て、

困ったことにそのまま根を下ろしてしまったのでこの場から動かせそうに無かった。


「どーしよこの木、根っ子張っちゃったよ・・・。」


「どうにもならないだろう、ここから無理に引きはがして無事に済むとも思えないし。」


俺と劉生がこの後どうするか、相談している間も龍宮寺(聖母龍)は神籬を詳しく調べていた。


「取り敢えずやることはやったし報告しとこう。」


黒藤にスマホで報告すると一時間ぐらい経って神籬がこじ開けた歩行跡を境内に居た自衛官と宮司と黒藤がたどり着いた。


「いやあ、流石だねえ、こんなに簡単に短時間で済むと思って無かったよ。」


「でも、問題があるんですけど。」


「何だい?」


黒藤にそういわれて俺達は下を指さす。


「え?どうゆう事?」


「いやー押しとどめて浄化したのは良いんですけどそのままここに根っこ張っちゃったんですよ・・・。」


「「ええええ!!」」


「確かに言われてみればすでに何年も経ってるみたいにしっかり収まってる・・・。」


宮司と黒藤と名も知らぬ自衛官は三人であれやこれやと相談していたがそれなりにすんなり結論が出た。


「無理に動かして枯れられても困るし、ここまでしっかり根が張ってるとなると掘り返すのも無理だろう。」


「そうですね、ですから元々私共の境内も参道もこの御神体を目指して建立されてますので、幸いここまで道が続いてますので参道を作り直せば良いでしょう。」


よくある、御神体だけ境内のもっと奥の山道の参道を登ってお参りに行くという形にすることに成ったみたいだった。


それよりもゴールドドラゴンさんの様子がすこしおかしかったことを思い出したので聞こうとしたら先に


『帰ってから話すとしよう。』と念話で言ってきた。


その間に劉生が宮司に色々聞き始めていた。


「何故こうなったのか原因は判りませんか?」


「昨日まではいつもと変わらかったのに今日に成って急に暴れ始めたので私たちにも訳が分かりません。」


「むしろ、どうしてこうなったのか君たちにも流石に判らないかい?」


「禍神と言っても神聖属性を無理矢理反転させられた様に感じました。」


その間も龍宮寺(聖母龍)はなにか考え込んでいる様子だったので俺も劉生たちの会話に混ざることにした。


「まあ、普通に考えて今日急になったんなら怪我した参拝客が一番怪しいんじゃね?」


俺の発言を聞くまで今の今まですっかりそうゆうことがすっぽり抜けていた黒藤と自衛官は、はっとすると各々スマホや無線機で慌ただしく連絡しだした。



元に戻った神籬の近くに交代要員として他の自衛官と神職の人たちが来たので取り敢えず俺たちはここから先 特に何もすることも無いので家路についた。


自衛隊のヘリに乗り込む帰りがけに黒藤から「続報が有ったら連絡する。」とだけ言われ、ヘリに乗り込んでからふと見ると龍宮寺(聖母龍)は神籬の葉と何かの欠片を持っていた。





家に着いた頃には零時を回っていたので翌日、土曜で半休だったのでうちの近くの公園に集まることにした。


「なにか、あの木にたどり着く前から様子がおかしい様に見えましたが・・・。」


劉生が三人全員、揃うや否や質問を口にした。


しばらく間があって龍宮寺(聖母龍)が話し始めた。


「・・・うむ、そうじゃな、何から話すべきか・・・。」


「では、いくつか判明したことを一つづつ話すとしようか。」


「まず、第一に、あの神籬と呼ばれとる木なんじゃが木の(ドリアード)が居った、それゆえに神籬と呼ばれとったのじゃろう。」


「俺たちは精霊の気配を感じませんでしたけど。」


「それは仕方ないじゃろうな、お主らの様に恐ろしく大きい魔力があると自我を持ちたての精霊には脅威に映るはずじゃから縮こまってしまうからのう。」


「俺たちの魔力は神々の武器庫に流れてるんですよね?」


「赤子同然の精霊にとってはその魔術すら驚異に映るじゃろう、魔力感知や隠蔽の能力は我らとは比べ物に成らんじゃろうし。」


「そうなんですね・・・。」


「それと第二に、木の種類が問題なのじゃが、妾達の世界の神話があったじゃろう?そこで最初の方に出てきた大地に植物を繁栄させるために・・・」


思わず劉生が口を開いた。


「世界樹だったということですか!?」


「う、うむ、こちらの世界にも世界樹が有るという事が驚きなのじゃが、もしかするとこちらの世界も初期の段階では妾たちの世界と成り立ちは似通った物だったのかもしれん。」


「そして第三に、彼女を禍神に塗り替えた者の遺留品がこれじゃ。」


そういうと龍宮寺は手のひらを開くと持っていたものを俺たちに見せた。


それは動物か何かの牙に見えた。


「何かの牙ですか?」


「そうじゃ。」


「アンデットの残り香がするな、まさかこれはバンパイアの牙ですか!?」


「ご名答じゃな、まさかお主らにバンパイアの真祖である剣聖の話を聞かされたその日の内に別のバンパイアの痕跡を発見するとは思わなんだ。」


「じゃあ、まさか昨日の神社の参拝客の中にバンパイアが混じってたって事ですか?」


俺が慌てて聞くと。


「そこまでハッキリしたアンデットの気配は残っておらんかったから バンパイアの手先として動いている者か、若しくは魅了されて操られている者かのどちらかじゃな。」


「こっちの世界にもバンパイアが居るのがちょっと驚きなんですが・・・。」


と劉生。


「それもドリアードの宿る、世界樹を禍神に堕とせるほどの強力な魔術や呪詛を行使できる位となるとレッサーバンパイア等ということは無いじゃろうな、少なく見積もってもロード、


場合によってはハイロード、それよりも更に上の真祖かもしれん、そんな者がこちらの世界やこの国に混乱や恐怖をまき散らそうと水面下で暗躍している何者かの組織が有るかもしれん・・・。」


龍宮寺から齎された情報に俺たちは只々驚くしかなかったが、最終的には今はすぐすべきこととといえば


「正直、業腹じゃが、剣聖に対バンパイア戦闘の指南をしてもらうほかないの。」との事だった。


























イヴォンヌのゴーレム・ゲリエの魔力炉中にあった内在魔力とイヴォンヌ本人の魔力、そしてジェレミーとメリシャの魂魄を貪ってやっとのことで窮地は脱したが不死者の大鎌と呼ばれた大鎌は

この先の行動の前に重大な問題に直面していた。


勝手に押し付けて自分から無理矢理罠の如く契約させたがその『何とかする』の中で、帰還する所までイヴォンヌが考えていたので無事に帰還しなければ契約は不履行となってしまう。


だが、困ったことに『何とかする』ために無理な戦闘機動を重ねて行った為にコックピットのイヴォンヌの身体は(ブリジットのクローンだが)コックピットにきちんと収まっていないと

生命維持が出来ない所にまで損傷していた。


「クソが!なんだってこんな無茶の効かねえ構造なんだこいつは、コックピット内にジェルバックも装備してないなんざこの時代の魔導機装はゴミか!!」


そういいながらも自らの頭脳をフル回転させてなんとか打開策を見つけねばならなかった。


まさか、自分が封じられていた迷宮魔術(ダンジョンマジック)が自らの創造主によって既に死んでいる者にしか反応しないものだとはさしもの大鎌も知る由も無いので


コックピット内のブリジットのクローンを、死なないように労わりながら帰還を目指す他なかった。


「俺が封印されていた位置からこいつに似た魔力の痕跡を辿るしかねえ・・・くそっ!めんどくせえ!!」










レイボルクはブロウの自室で昼過ぎに目を覚ました、此処の所、自分のゴーレム・ゲリエを担当している魔導技師が色々と聞いてくるので面倒な事この上なかったが、


元来、魔導や魔術談義は嫌いな質ではないので質問や改善案を提示されるとどうしても話し込んでしまって眠るのが遅くなっていた。


だが、今日は特に何ら仕事を寄越されている訳では無いので、そのまま二度寝を決め込むことにした。


日が徐々に傾き始め、夕刻に近づいたころ禍々しい気配に気が付き目を覚まし、窓から外を見やるとボロボロに損傷したイヴォンヌのゴーレム・ゲリエがブロウに入ってくるところであった。


妙に気が引かれたレイボルクは普段着に着替えるとゴーレム・ゲリエが戻って来るであろう格納庫に向かった。


港町のブロウはイヴォンヌのゴーレム・ゲリエがボロボロに成っているので騒然としていたがレイボルクはその様子を冷ややかに見ていた。


レイボルクが格納庫にたどり着いてから暫く時間がかかったがイヴォンヌのゴーレム・ゲリエが戻ってきた。


見覚えの無い大鎌だけを持っており その大鎌だけがほぼ無傷だった。


そのまま格納庫の中まで戻るのかと見ていたが入り口付近で片膝を着いて擱座した、その衝撃でイヴォンヌの機体が持っていた大鎌が振り下ろされて先端が地面に突き刺さった。


「クソ、痛てえ!!」


周りにいたゴーレム・ゲリエの魔導技師や錬金術師は誰か喋ったか?などと顔を見合わせていた。


そこにいたレイボルクだけ、大鎌をインテリジェンスウェポンだと認識していた。


これは大ごとだと判断したのかイヴォンヌのゴーレム・ゲリエ付きの魔導技師が外側から強制的にコックピットハッチを開けると


中に居るイヴォンヌ(ブリジットのクローンだが)の肉体の損傷が激しくコックピットに収まってはいるが血塗れであった。


「こいつはひでえ。」


「どうやったらこんな事に成るんだ!?」


等と口々に言っているが一向にイヴォンヌは目も開けないし意識も無い。


「ここまで体がボロボロに成って居たらここから出したりしたらそのまま死んでしまうんじゃ・・・。」


その会話を盗み聞いていたレイボルクは、シルバーンに一度単身乗り込んで居てハーク皇子とやり合ってるにもかかわらず

生きてはいないかもしれないが消滅していないイヴォンヌに興味を持っていたので手を貸すことにした。



「俺が血も何もかもそのままの状態でその機体の中から出してやる、治療が必要になるだろうからアーシェリカとブリジットを呼んで来い。」


そういうとレイボルクは魔力を練り始めた。


レイボルクの実力は知っていたので魔導技師たちはアーシェリカとブリジットを探しに行った。





















俺達のこれからの方針が決まったところで待っていましたとばかりにスマホが鳴った。


黒藤の部下の君野女氏からの連絡だった。


「何か判ったんですか?」


電話口の君野さんはひどく言いにくそうだった。


「・・・昨日の件で重症を負った参拝客の身辺を洗ってみたらちょっと困ったことに成って。」


「何か問題ですか?」


「日本国籍ではない女の子が一人居たのだけれどどうやらショック状態でなにも喋らないの、それとその場にいた誰とも面識がないみたいで、彼女の怪我の回復を待ってから一度面会に来てほしいのですが。」


「どこの誰かも判らないって事ですか?」


酷く間があって電話が切れたのかと思ったほど黙ったままだったが君野さんが絞り出すように言った。


「何処にも彼女の捜索願も何も無いの、見た目は白人に見えるけれど渡航記録も何も見つからないので。」


「判りました、二週間後ぐらいで良いですか?はい、はい、では、そのぐらいに一度行きますね。」



俺はなんとなくことりの事が頭にチラついてよく分からない気分に成ったがその気分を悟られないように手短に電話を切った。


「竜哉、今からそんな気分に成っていてどうする、偶々まだどこのだれか判ってないだけかも知れないだろう。」


劉生にそう言われて俺はすこしだけ頭が冷静に成った。


「それも、そうだよな。」


「気を揉みすぎじゃ、それも見たことも会った事もない子供の事まで心配していたら心と体がいくつあっても足りんじゃろう?」


龍宮寺のそのセリフをきいて少しむっとしたが。


「本当に身寄りがないなら妾のところで子供の一人や二人の面倒は見れるわ。」


「え、それってどうゆう・・・?」


「なんか知らんが、こっちの妾の家は名家じゃぞ。」


そんなことを言いながら龍宮寺が自分のスマホを取り出し写真を見せてきた、てゆうかこっちに完全に染まってるじゃねえかとか思ったが、そこに映っていたのは都内にありながら異様にデカい洋館だった。


確かに、今まで考えても見なかったが、ドイツから急に我がまま言って転校してこれるとかあまりに無茶ができるなとは思っていたけどそんなからくりが!!


「これもう家ってレベルじゃねえ・・・。」




























「なんだか妙な事に成ってたみたいね。」


アーシェリカは担架に乗せられていたイヴォンヌの治療を終えると格納庫で自分のゴーレム・ゲリエを魔導技師と共に調整しているレイボルクに話しかけた。


「ゴーレム・ゲリエの中から血の匂いがしたからな、只の興味本位だ。」


「そう?まあいいわ、そうゆうことにしておいてあげる。」


何か含みがありそうな言い方だったが、たったそれだけの会話で切り上げてブリジットを置いたまま自分の工房に戻って行った。


「何か見たか感じたの?」


いつもの感じではないブリジットにそう言われて面食らったが平静さを装いレイボルクは質問で返した。


「何故そう思う?」


「質問してるのはあたし!!」


「フン、いつもの調子に戻ったな、そっちこそ今日はやけに大人しかったじゃないか?」


更に質問を重ねてきたレイボルクに本来ならおかんむりに成るはずのブリジットは、やはり今日は様子がおかしかった、何があったか思い出し急に口調が静かに成った。


「ちょっと、あんたの意見が訊きたいわ・・・。」


ブリジットは今朝、早朝からあった一連の出来事をレイボルクに一通り話した。


イヴォンヌが何者なのかも。


「紅龍皇朝にも乗って戦うゴーレムが存在していることは俺も知らなかったことだ、あくまでも俺の居た第二騎攻師団は第一騎攻師団のサポートとして補助的な任務しかしていない。」


「あんたも知らなかったのね、確かに、模擬戦の記録も見たけどそんなそぶりも無かったわね。」


「今になって思えば俺は青龍皇朝の力はかなり持っていたがそれゆえ過剰にもてはやされていたのかも知れないな、そんな事にも気が付けない者に国家機密を暴露するはずもないな。」


レイボルクもブリジットが普段見せない様子に自らも自嘲気味に成っていた。


「重震龍の事は知っていたの?」


「それも俺は初耳だ、ただ、どこかの童話か何かがあったという程度の記憶でしかない。」


「そっか、そうよね。」


「そんな事よりもあっちの方が問題なんじゃないか?」


レイボルクはイヴォンヌが持ち帰って来た今いる格納庫の隣の格納庫にあるウェポンラックに無造作に立てかけてある大鎌を警戒しながら指さした。


「あの鎌が何かあるの?」


「フン、それは大有りだろう・・・。」


レイボルクは魔力の流れなど警戒を怠らずに隣の格納庫まで行き大鎌の置いてあるウェポンラックに近づいて行く。


ブリジットもそれに倣って警戒しながらレイボルクの後をついて行く。


後ろにブリジットをかばいながらレイボルクがそれなりに大きな声で唐突に口を開いた。


「よう!お前だよ、お前! 大鎌さんよ、バレてないとでも思ってるのか?」


それでも何も答えない大鎌に対し、その両隣りに置かれているゴーレム・ゲリエのメイスのバランスを自分の重力属性の魔術でわずかに崩し大鎌もろともウェポンラックを倒す。



ゴンゴンガラガラガシャーン!!


けたたましい音を轟かせて大鎌は地面に叩きつけられるとたまらず。


「くそが!痛えじゃねえか!何しやがる!!!」


と大声で喚いた!


インテリジェンスウェポンの存在を知ってはいたが実際に目の当たりにしてブリジットの瞳はキラキラと輝いていた。


「興味津々で見ているところ悪いけどな、こいつは難物だ、目を光らせてないとそこら中に呪詛をまき散らして自分の贄にするだろう、そういった下衆がだけが持っている独特な魔力を感じる。」


ブリジットはレイボルクにそう諭されて少しだけピリッとしたが興味津々に輝く瞳は変わらなかった。


「まあいい、それよりも、大鎌さんよ素直に返事しねえからこうゆう目に合うんだぜ、覚えとくんだな。」


「ッチ、手前の顔は覚えたぜ、こっちも無闇に武器として扱われねえで壊されたりしたら堪ったもんじゃねえからな。」


「取り敢えず聞くが、お前はなんだ?何処から現れた?」


「俺様は・・・。」


大鎌が答えようとしたところでブリジットが言った。


「不死者の王の大鎌よね!」


「な・・・チィ 知ってるんじゃねえか、クソが、そうか、この町の妙な魔素空間の歪みは他の踏破褒章所持者(ホルダー)が居やがるのか。」


その後レイボルクは大鎌に今日あった出来事の一部始終を話させた、そして最後に大鎌はこう付け加えた。


「てめえらが相手してるバカでかい氷雪系の魔術を繰り出して来たあっちのにもクソアマがいやがったぜ。」


始めは言っている意味がよく分からない二人だったがレイボルクが気が付き問うた。


「・・・インテリジェンスウェポンの踏破褒章武具という事か?」


「ああ、そうだ。」


「あっちにも無茶苦茶な性能の武器があるっていう事!?」


好奇心が抑えられない様子でブリジットが嬉々として聞いてきた。


「そうだな、それもどうやらハーク皇子の奴が持ってるとみて間違いないな。」


自分をこんな状況に追い込んだ宿敵を思い出す事に成ってレイボルクは怒りが湧いてくるはずだと思っていたのだが何故か怒りが湧いてこない自分に戸惑っていた。


そんなレイボルクの心情を知ってか知らずか大鎌が聞いてきた。


「俺からも一つ聞かせろよ。」


「なんだ?」


「俺がやっとのことで此処まで連れ帰ったあのイヴォンヌとか言うそっちの女にそっくりな奴はどうなった?」


レイボルクとブリジットは自分の封印を解いたともいえるイヴォンヌの事を気にしているのかと思って、そんなに悪い奴じゃ無いのかもと思いかけたが次の発言でそんなことは勘違いだということが判ってしまう。


「生きているぞ、治療も滞りなく進んでいる。」


「なんだ、生きてやがるのか、此処までたどり着いた後にくたばってくれれば都合が良かったのによ!!」


ブリジットとレイボルグがイヴォンヌの言われように思わず吹き出していると。


「あんなくそまずい魔力は始めてだ、あんな分離した混ぜ物みたいな魔力は二度と御免だ。」


色々と核心をついている発言だったがどうせいずれ判る事なのでイヴォンヌがとっくに死霊であの体はここにいるブリジットのクローンだと


いつの間にか戻ってきていたアーシェリカによって告げられる。


「ああ!!じゃあ俺様が苦労してここまでたどり着いたのは全部徒労か! くそったれがああ!!」


「それと出来ればそういう話は私の工房でしてもらいたいものね、此処だとあまり ね・・・。」


そう言ったアーシェリカの目は凄惨に輝いていた。




























「最近そういえば劉生くんと龍宮寺さんと三人で居る事多いよね。」


久しぶりに四人で出かけることに成って芽衣子が唐突にそう言ってきた。


「うん・・・劉・・・何か、有るの?」


と美鳥さんまで劉生にそう聞いていた。


この二人の反応は仕方ないと言えたが、俺も劉生もそんなこと無いだろといってごまかしていた。


まあ、誤魔化すのが無駄なような気はしていたが、なにせ今から四人で出かけるのは龍宮寺家の豪邸なのだから。


俺達の住んでいる市内からバスと電車を乗り継ぎ川を超え都内でも有数な高級住宅地のある駅に降り立った。


駅前で龍宮寺が俺達四人の到着を待っていた。


『あんまり余計な事言わないでくださいよ!!』


と念話で念を押したが。


『妾に任せておけ問題ないわ。』


と返事が返ってきたが俺と劉生は一抹の不安がぬぐえなかった。

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