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黒龍姫と青藍の竜騎士

 ふう、この時間で今日の授業は終わりか、頭も使うし、体も使うから中々疲れるな騎士学院。まあ、先日のワイヤードランス事件で、しばらくの間メイアリアも座学を中心に教えることに成ったようで戦術理論などの講義を行っている。ゴーレムの裏には実は学園のプールが有った様で、まさか実戦配備のワイヤードランス(実は違うのだが)を、使うということは想定外だったため見事にプールも吹き飛んでいたのだが。騎士団長の給料で直すとのことなので一応の収集は着いたのだが、メイアリアがご他聞に漏れず凹みまくりで、講義をしている間は良いが、俺と二人に成るとめちゃくちゃ落ち込んでて暫く立ち直れそうに無い様だ。

「メイアリア、そんなに気にすんなって。」

「ですが・・・・・来週からプールでしたのに、折角新しい、み、っは!」

「?」

ははーん読めたぞ、プールを壊した事を気に病んでいたんじゃないんだな、こりゃむしろ、水着を買ってテンションが上がっててプールまでぶっ壊したなこの人。そして、学園内で堂々と水着を着てるのを見せたかったと言う事だな。確かに元々体も鍛えて居るし出るとこ出てるから見たく無い訳では無いがそう言うことなら折角だし見れるように何か一手打つかな。

「しかし最近暑いよな、そろそろ夏なのかな?」

「ハーク殿下なつ?というのは一体なんでしょうか?」

うおっとしまった、つい地球のノリで会話を進めてしまった。

「基本的にこの地方はいつもこのような気温ですが。」

「そうだよね、それもそうだよね。」

しまったボロが出るところだった。

「いやーでも個人的に、なんか、海とか川とか湖とかで泳ぎたいかなーってさ。」

明らかに驚いているメイアリア。

「殿下は、紅龍皇朝の龍族ですよ。」

「それがどうかしたの?」

「まさか、殿下がその・・・水に入るのに抵抗が無いとは思いませんでした。」

「えーだって風呂とか普通に入るし。」

「勿論そうですが、水となると話が違うのでは無いのですか?」

「え、なんで?」

「なんでと申されましても・・・。」

なんか、もろ話が噛み合って無いな。

「メイアリアは行きたくないの??」

「そ、そんなことは御座いません、その、本来、黒龍皇朝の龍族は水龍ですので。」

「じゃあ、行こうよ。」

「あ、はい・・・・。」

確実に誘われないと思っていた俺から誘われたから困惑してるみたいだな、でも紅龍皇朝の血筋の龍族は水に入りたがらないのか、覚えとかないと。

「メイアリア、この近くに水が綺麗で泳げそうな所有る??」

本当に行くと思って無かったみたいで、目をまんまるくしているが、すぐに気を取り直して。

「騎士学院から西に行ったところに砂漠が有るのですが。」

「ふんふん。」

「そこの中にあるオアシスなど如何でしょうか?危険な魔獣の類も居ませんし」

「オアシス!!」

「はい。」

「なにそれ、かっけええ!!」

まだ、日が暮れるのには時間が有るな、むしろ砂漠なら少し日が暮れてるほうが涼しくて調度良いか。

「良いじゃんそこ、行こうよ今から!!」

「い、今からですか?」

「うんうん」

「ですが、そこに行くにはドラゴンに乗らないと行けないのですが。」

「え?居るじゃんメイアリアのドラゴン。」

「え、えっと、その、あの、」

おや?随分歯切れが悪いな。

「なんか問題でもある??」

「えっと、ドラゴンで移動と成ると二人しか乗れないのですが。」

「ええーと、俺と、メイアリア、だよね?」

「は、はい。」

真っ赤になってお約束通り俯いてしまった。

そっかーいきなり二人でオアシスでおまけに水着で泳ぐとかハードルが高すぎたかー。

「えーじゃー辞める?」

「ぃ・・・ぃぇ。」

「ん?」

うーん仕方がないなー。

「じゃあ、皆で行こうぜ、丁度エリザとリーナ、カレンとユリエに、メイアリアと、お茶会開いて欲しいって、せがまれててさ。」

「え?! そうなのですか?」

「うんうん、じゃあ、決まりだね、問題はあと四頭ドラゴンをどうするかだけど。」

「あー!でも荷物も有るだろうから五頭か。」

「それでしたら学園の外の市街に・・・・・」

「市街に?」

「いえ、あの。」

ん?まただ、なんかさっきから歯切れが悪いな。

「メイアリア。」

「はい・・・・。」

「俺が学外の他のドラゴンと出会うとなんか不都合??」

俺様もろ直球ww

「え、えと、そ、そのような事は。」

うわー、やべええー、今日一番のもじもじ攻撃だ、かわえええぇー、どうしてくれよう。

「じゃーいこー。」

「え!! はぃ・・・・」


 それじゃあ善は急げってんで、女子寮に俺様ダッシュ。早速四人と水着一式揃えて連れて来た、まさかこんなに早くお茶会が(水泳だが)開催されると思って無かった四人は乗り乗りだった、おまけにドラゴンに乗って行かないと行けないオアシスで泳げると聞いて来ないほうがおかしかった、いつもは無表情気味のユリエも珍しくニヤニヤしてる、・・・

いや、いつもニヤニヤはしてるか。

「ハーク、メイアリア様お招き有り難う御座います。」

「まあ、約束したからな、忘れない内にと思ってさ。」

「意外とハークてちゃんとしてるね。」

「いや、ひどくねぇ?カレン。」

「あ、あたしは、ハーク様の前で水着に成るのは、は、恥ずかしいな。」

「大丈夫、大丈夫、こんなのかぼちゃだと思えば良いんだよ。」

「ってうおい。」

「フフッ パンプキン。」

「なんか相変わらずひどくね?俺の扱い。」

みんな、顔を見合わせて、だってねーだと、俺って本当に殿下か??

そんな会話を聞きつけたのか他の女子生徒まで集まって来てしまった、やんや、やんやの大騒ぎ。

「いや、流石にこの人数は・・・無理かな・・・・」

ざっと見ても五十人以上は居る、俺が困りげにメイアリアを見ると。

「皆さん申し訳有りません、馬車で竜騎士団、仮宿舎まで行かねば成りませんし、今回は殿下の我侭で急に決りましたので、皆さんをお連れするだけの馬車も無ければドラゴンも居りませんので、ご容赦下さい。」

そうゆうと、みんなすごすごと、メイアリア様がそういうんだから仕方ないか的な感じで諦めてくれた。

 あの、メイアリアさん、思いっきり俺のせいになってません??

 「じゃあ、あんまし遅くなっても明日に差し支えるからっさっさと行くか」「「「はーい」」」

「メイアリアどうする?」

「はい、では、竜騎士団、第一騎攻師団の仮宿舎まで参りましょう。」

メイアリアは馬車を学園の馬屋から引っ張ってくるとたずなを俺に持たせた。

「ハーク殿下は男性なのですから皆さんをエスコートしてくださいね。では着いてきて下さい。」

「え? 走るの?」

「いえいえ、まさか。」

そうゆうと上空を指差す。丁度メイアリアのブラックドラゴンが上空にさしかかっていた、メイアリアに視線を戻すと霞の様に姿が無くなっていた。

 あら、何が起きたんだろう、まあいいか、どうやら既にドラゴンに乗ってるみたいだし、此処はよく判らない異世界だ、なにが起こっても不思議じゃない。

「それにしても早いなードラゴン。」

ふと後ろをみると四人が四人とも馬車の窓から顔を覗かせて羨ましそうにメイアリアのドラゴンを見ていた、まあ、もうちょっと待て、直ぐ乗れるから。

 騎士学院の敷地を抜け、城門を潜ってお堀の橋を渡ると市街地に入る、まるで騎士学院を城とした城下街の風情だ、おまけにきちんと道路も整備され所々に、街灯としてランプがぶら下がり中世ヨーロッパの街並みをそのまま持ってきたかのような佇まいだ。

「綺麗な街だな。」

ふとみると、街行く人々が、メイアリアのドラゴンを指差している、まあ、あんだけでかければ目立って当然だが。

しばらく行くとドラゴンの高度が下がったのでおそらくあの辺りが竜騎士団の仮宿舎なのだろう。

 大通りの角を右に曲がればメイアリアのドラゴンが降りたと思われる場所だ。角を曲がると大きな広場に成っていた。広場の中心に教会の様な大きなゴシック建築と言えばいいのか、そんなような建物が建っていた、メイアリアのドラゴンもそこにいた、その他のドラゴンと共に。

「みんなどうやら着いたみたいだよ。」

「はーい。」

 教会の様な建物の前に馬車を停めるとメイアリアが迎えてくれた。

「殿下ご苦労様です。」

「いやいや、大した事ないし、むしろ俺の我がままだからな、これくらいはしないと。」

 メイアリアはクスクスと笑っている。皆の荷物を馬車から降ろしていると、教会の様な建物の中から二十代から三十代位の男達が、ぞろぞろ出てきた、なぜかメイアリアの顔が少し強張っていた。

「これはこれは、ハーク殿下、お初にお目にかかります、竜騎士団 第一騎攻師団 副長のカイン・バーウィンと申します、今年で32歳、独身、彼女居ない暦5年で御座います。」

 つうか明らかに「今年で」の辺りから俺の後ろの女子四人を見てるんですけど。

 バチッ!!!

おおう、メイアリアの足元から副長に電撃が走る。

「あいててて、いあいあ、姫、手厳しいですな。」

さらに電撃が飛ぶ。

「あいてて、すいません、すいません。」

なんか、この副長さん楽しんでないか?そりゃあ彼女出来ないわな。

 どうやら他の面々も竜騎士団の団員らしく、「またやってるよ副長」なーんて言われてる、これが俺を此処に連れて来たく無かった原因かw

 それよりも、メイアリアって姫って呼ばれてたけど、どうゆう事だろう?

伝記書籍にも記載は無かったし、まあ今、気にしても仕方ないか。 

「殿下申し訳有りません、この者には後できつく言って置きますので。」

「いやいや、良いって。」

「皆さんもこんなおじさん守備範囲外ですよねw?」

うんうん、皆一様に頷くがユリエだけが、ぼそっと「そうでもない。」なんて言うもんだから、副長元気に成っちゃった、しかしもう一回電撃が飛ぶ!!

「ユリエまじか?」

「フフッ。」

いやいや(汗)、謎の多い奴だ、まあ俺にとってはこの世界そのものが謎なんだが。


 おのおの自己紹介も済み二人一組でドラゴンに乗ることに成ったのだが、メイアリアがいつもの様に赤く成って俯いている、いやまあ、二人っきりでドラゴンに乗るのが恥ずかしいんじゃ、どうにもなんないべよ。

「では、殿下は私の後ろにお乗り下さい。」

おおー副長さん気が利くねえ、んで結局メイアリアは一人で騎乗し、一頭増やし六頭編成で、離陸した。

「いやー初めて乗ったけど早いねードラゴン。」

「ハーク殿下はブラックドラゴンに乗るのは初めてですか?」

「うん、そーだね、中々乗る機会が無くってさーー。」

そりゃ無いさ、地球人で日本人で神奈川県民で川崎市民だもん、そもそも乗るとも思ってないし、こんなに重そうで、矢でも鉄砲でも傷つか無そうな(実際かなり食らっても傷つかないらしい)硬い鱗に覆われた生き物が空を飛んでるなんて、物理的に理屈が判んないし、本当はもっと軽い鳥の様なドラゴンをイメージしてたのに、全然そんなんじゃ無いし普通にファンタジー映画かなんかで洞窟で火吐いて宝物守ってそうって感じだし。

確かに、そりゃあスマートで飛ぶんだなって感じのフォルムではあるけど。

「だけどなんでメイアリアは座って乗らないんだ?」

「あ、いえ、それは私の口からは、下手したらビリビリじゃ済みませんので。」

そうなのだ、皆は座って乗ってるのにメイアリアだけ仁王立ち?したまま乗ってるのだ、確かにメイアリアのドラゴンは皆のよりも一回りも二回りも大きいのは判るが、立って乗る理由が見当たらない、俺が首を捻っていると、

聞いたことの無い声が頭に響いた。

『それはワシが説明しようかのう。』

ん?だれだ?何処から声がする??キョロキョロしているとメイアリアのブラックドラゴンと目が合った。

「余計な事は言わなくて良い。」

メイアリアが、地団駄を踏む、いやーメイアリアさん、地団駄踏んでる姿も可愛いです。

『ガハハハハハハハッ』

『あいわかった、では自分で言うのがよいのか姫?』

あれ、このブラックドラゴンも姫って。

メイアリアは真っ赤にした顔を隠してしゃがみこんでしまった。

『どの道遅かれ早かれバレる事だがの、嫁ぐのだろハーク殿下の所に?』

真っ赤になった顔を隠したまま、こくこく頷いている。

『されば、早めに教えてしまった方が良かろう。』

え、何々?嫁ぐかどうかは別としてすんごい気に成るんですけど。

『フフフッ。』

『自分で言うか姫よ?』

しゃがんだまま顔を隠してフルフル首を振る。

『ならば仕方あるまい、ワシが言おうかのう。』

てか、何?竜騎士って騎士よりドラゴンの方が立場上か??

『そうではない。』

うおう、モノローグ読まれた!!

『わしと姫が特別なだけだ。』

『まあ、その話は又の機会で良かろう。』

『姫が、立ち上がったまま、騎乗するのには理由が有る。』

『どうやら姫は、先祖返りの様での、皆には無い尻尾が有る。』

あーなんか『尻尾が有る』の所でしゃがんだまま地団駄とか器用ですねメイアリアさん。

 そうかー尻尾かーそりゃー座れないよなー男性竜騎士と違って小柄な女性だから立ってるのかと思ってたけど尻尾有ったんじゃ座れないよねー。

 そう言われてみれば、二人で座って食事してた時も前かがみで妙にもじもじしてると思ったが、そう言う理由が、有ったのね。

『長い尻尾では無いので座ると当たるのだそうだ、ガハハハハハ。』

いやいや、そこ笑う所っすかブラックドラゴンさん、むしろプールなんかの時どうしようと思ったんだろう?

ああ、でも長くないから目立たないのか、それよりも、他の四人にも聞かれてよかったのか?

 と、思ったが気がつくとメイアリアと俺が乗った副長さんのドラゴンだけ先行して離れて飛んでいた。他の四人もそれぞれ一緒に乗った竜騎士と色々話をしている様で、こちらの話など聞こえていなかった、といっても、リーナはぷるぷる震えてるだけだし、ユリエはたまに「フフッ」って笑うだけだから会話が成立しているかは甚だ疑問だが。

 そんなこんなを話しながら飛んで居ると砂漠が見えてきた。

どうやらその頃になるとメイアリアも精神的に整理がついたようで普通に立って飛んでいた。

「それにしても、砂漠って割にはあんまり暑く無いな、確かに乾燥はしてるみたいだけど。」

「いえいえ、残念ながら結構暑いですよ殿下。」

「あ、そうなの?」

よく見ると副長さんもかなり汗ばんでるしカレンなんか既に水着に着替えてるし(器用だな)リーナはぐったりして白目剥いてるしエリザも流石に暑いようで今まさに上着を脱いでる最中だった、ユリエは・・・・・・・


「フフッ」



変化無かった・・・。




 だが、一番変化が有ったのはメイアリアだった。

「メイアリア?」

「はい?」

はいじゃなくてええ!!!

「その微妙にっていうか、もろ、いや、すっかり雪だるま状態で水の玉が乗ってるんだけど何故?」

そうなのだメイアリアは首から下が水の玉にすっかり浸かっており、頭の上にも水の玉が乗っていた。

「あ、暑いので。」

あ、さいですか、聞いた俺がバカでした、そうだよね暑いよね砂漠だもんね、うんうん、暑くない俺がおかしいんだよね。

『「ブハッハッハッハー!!」』

「そこの二人(?)笑わない!!!!」

つか、気、合い過ぎだろ、いくら祖先が一緒でも!!


『さて、そろそろ着く頃合だのう、おや?』

そう言うやいなやドラゴン達は急に旋回しだした、すると砂漠の砂山が崩れ巨大な穴がぽっかり開く、穴はそのまま砂を伴ってドラゴンの居る高度まで上昇し。

 ギエエエエェェェェ

と叫ぶ。

「なんじゃこりゃあああ!!!」

巻き込んだ砂が舞い落ちると足の無いムカデのような長大な芋虫? が現れた!!!

『ふむ。』

「いや、ふむじゃないから!!何なの是は!!??」

冷静なメイアリアとそのブラックドラゴンに対して他の女子四人もパニックだ、視界の隅でリーナが失神してるのが見えた、いや、あの子騎士に成れるんだろうか心配だ。

 ドラゴン達は一気に急上昇、超巨大で長い芋虫から距離を取った。

「ハーク殿下ご無事ですか?」

「ああ、なんとか、」

ドラゴン達は芋虫のかなり上空で旋回する。

「あれは一体何なんだ??」

『あれは、サンドワームと言う、まあ見ての通りただの芋虫ですよ殿下』

「ただの芋虫ってサイズじゃ無いだろ。」

「そうですね、私もあのようなドラゴンを丸呑み出来そうなサイズは始めて見ました。」

メイアリア冷静だなーおい。

「いや、でも危険な魔獣は居ないんじゃ無かったの??」

「はい、そうです、居りませんよ。」

おいおい、まさか芋虫だから魔獣じゃ無いとかいう落ちじゃ無いだろうな。

『いやいや、そうではないよハーク殿下。』

また、モノローグ読まれた。

「サンドワームの、主食は鉱物なので、たまたま、巨大過ぎる魔力を感じてパニックを起こして出てきただけです、本当はもの凄く臆病な生き物なんですよ。」

「ふーん、そうなんだ、そんなにメイアリアの魔力が強かったんだね。」

と、俺がいうと、皆キョトンとしている・・・ん? 俺おかしな事言ったか??皆やれやれといった感じに成っている。

「ハーク殿下の魔力ですよ。」

「えっ? 俺の魔力???」

メイアリアも副長さんも他の竜騎士も他のブラックドラゴン迄こくこく頷いて居る。

「なに、これ、俺のせい??」

『ガハハハハハハハ、そう成るな!!』

『流石のわしも最初は驚いた位だからのw長生きはするものだのう。』

「失礼ですよ殿下に向かって。」

『いや、すまんすまん。』

『殿下気を悪くされたのなら赦されよ、最初に紅龍帝に伺った時は本当に信じられなかった物でな、実際出会うまで信じておらなんだ。』

「え、俺ってそんなに無茶苦茶???」

『ガハハハハハ、無茶苦茶も無茶苦茶!!、常軌を逸しておる。』

『姫が百年に一人の逸材で有れば、殿下は二万年のわが国いや、我等が元四龍皇朝の歴史上二人目の化け物よ!!』

「ちょっと、いくらなんでもハーク殿下に向かって化け物なんて、失礼にも程が有ります。」

なんかメイアリア顔を真っ赤にして怒ってる、でもブラックドラゴンには電気撃たないのね、副長さんの扱いって一体。

『まあまあ、では、その証拠に殿下、サンドワームに向かって敵意を向けてみなされ』

うーん、困った、敵意っつってもそもそも敵意ってなんだ??

『大きな声で去れ!!でも良いですよww』

またモノローグ読まれてる気がするけど、この芋虫放って置いてオアシス壊されたら嫌だしなー、んじゃあ、いっちょ言ってみますか。


 「邪魔だ去れ!!!!」

ギイイイイイイイイイイイイイイイインン


 おや・・・なんだこの感じ?

メイアリアが苦悶の表情を浮かべながら耳を塞いで居る、他の竜騎士もブラックドラゴンも耳を塞いで居る目の前の副長なんかどういって良いかわからないような顔で必死に耳を塞いでいた。

 すると散々蠢いていたサンドワームが、動きを止めて、


  ズズン

 と、くず折れた、モウモウと辺り一面に砂煙が舞い上がる。

 あれ? や、やりすぎ??

「殿下強すぎです、居なくなる所か気絶しちゃいました。」

『ガハハハハハハハハ、予想以上だのう、これはこれは、ハーク殿下の将来が、非常に楽しみじゃわい。』

てなこと言ってるけどふとみるとリーナがドラゴンから落ちて落下して行く!!

「リーナーーー」

『フフ、任せよ。』

メイアリアのブラックドラゴンは錐揉み状態から急速落下、落ちていくリーナを軽々抜かし、メイアリアが優しく抱きとめた。

「ふう、焦ったぜ。」


 砂煙も収まって来たので皆でサンドワームの所に下りてみた。

「しっかしこの芋虫硬いな。」

触ると完全に金属の触り心地で撫でるとひんやりして気持ちがよかった。

「ハーク殿下、磁気を含んだ巨大な砂嵐の時はサンドワームのお腹の中に入って急場を凌ぐのですよ。」

「ええ!!、そうなの??」

「はい、かなり涼しくて居心地が良いんですよ、基本的に金属と同じ質感なので普通に寝泊り出来ますし、消化液とかも出さないので溶かされる心配も有りませんし、砂嵐が過ぎたら勝手に吐き出してくれますし、意外と便利なんですよ。」

そう言いながらメイアリアはなんの躊躇も無くサンドワームの大きく開いた口から中に入って行く。

「え!! 何するのメイアリア。」

「あ、いえ、これだけのサイズのサンドワームならば色々とお腹に溜め込んでいるでしょうから、宝探しをと思いまして。」そう言うと副長と共にサンドワームの中に入って行った。

「ちょっと興味有るな、危険は無いって言ってたしむしろ避難所か。」

俺も後からサンドワームのなかに入っていく、程なくメイアリア達に追いつく。

「殿下も入らしたのですか、中々面白いものが見れますよ。」

「なになに?」

「これをご覧下さい。」

そう言ってさしだされたものは、バスケットボール大のオレンジ色に輝く鉱物だった。

「これ、金属??」

「はい、そうです。」

「金属なのに光ってるの??」

「龍族の瞳には輝いて見えるのですが、通常の人間の瞳には金か、黄銅にしか見えません。」

「ふーん珍しいんだね、因みになんて言うの?」

「織覇瑠金と言います、全てを超える神の金属とも言われます、軽く丈夫でしなやかでどんな環境に在っても変質せず永久不滅の金属と言われています、勿論武器などに加工して属性を与えれば破格の破壊力を持ちます。因みにこのサイズでしたら騎士学院サイズの規模の敷地の新城が五十個は買えますねw」

「なにいいいいいいいいい!!!!!」

「因みに殿下がサンドワームを気絶させたので、殿下の物です。」

「うおう、まじすか??」

「これだけの織覇瑠金が有れば全身鎧が四つは作れますねww」

「そ、そんなに作れるの??」

「はい、織覇瑠金は向こう側が見える程薄くしても、強度や防御力が落ちませんので、薄く透明に成るほど延ばせば現竜騎士団全十八師団の二百三十人分の軽鎧が作れますね、それも、各々の属性を上乗せられるので今より遥かに竜騎士団の戦闘能力が向上しますね。」

「えーそんなら、皆で使った方が良いじゃん??」

「いえ、ですがそう上手くは行かないのです、織覇瑠金は非常に加工が難しく時間が、かかります、また、扱える職人もごく僅かなので、実現は不可能かと思います、その扱える職人も当然他に仕事が山ほど入っているでしょうし、いかに一国の主が注文を出した所で適わないかと。」

「そっかー、じゃあ宝の持ち腐れなんだね、腐らないけど。」

「そうかもしれませんが、小型のアクセサリー等でしたら防御魔法や支援魔法を込めて国内の錬金術師に頼めば出来るかもしれません。」

「錬金術師ならば時間を切り離したり空間を切り離して繋げ直したりする技術を持つものも居るという事なので、あるいは。」

「じゃあ、メイアリアの為になんかアクセサリーでも作って貰うか。」

「えっ!」

「そんな、勿体無いです、私などの為に。」

「そんなこと無いよね副長??」

「そうですね、姫・・オッホン、団長ならよくお似合いに成ると思いますよ、それに。」

「それに?」

「ハーク殿下が織覇瑠金を使ってまで団長を守りたいと言うのがよく伝わってきます!!」

なっ!!

「え?・・・・・・・・ええ!!・・・・・・」

えー本日何回目か忘れたけど真っ赤かに成って俯きタイム発生です、副長め余計なことを、まあ、あの超絶戦闘力でバリバリやられるのよりはマシだけど。

 しばらくしてサンドワームの中から出てきた俺達はさっきと同じ編成でオアシスにむかって離陸した。

 メイアリアのドラゴンが言って居た様に直ぐにオアシスにたどり着いた。

「おおー結構広いなーこのオアシス、それにいろんな植物が生い茂ってるし、水は完璧に透明だし。砂漠の空を映して足元以外は真っ青で綺麗だな。」

おれが水着に着替えて、砂浜みたいに成ってる水際で座っていると、紫色の見覚えの有る果物を見つけた。

「あれ、これって、まさか、いや、見間違う筈がない。」

ブルーベリーだ。

「なんだこっちにもブルーベリー有るのかよ。」

生えてる環境がかなり違うような気がするが、葉っぱも実も匂いもまったく同じだ。と、思うと目の前に信じられないものが横切った、蝶だ、それも、子供の時によく追いかけたアオスジ揚羽だ、俺は昔どうも普通の揚羽蝶が好きに成れずに、あえて数の少ないアオスジ揚羽を追いかけた記憶が有る。

 ぼうっとアオスジ揚羽を眺めているとメイアリアが着替え終わった様で茂みの中から出てきた、薄手のピンクのパーカーを羽織っていて腰にパレオの長めのを巻き、水着は白のビキニだったおまけに肌が信じられない位に白い!!

いや、まじ眼福ですメイアリアさん、無理くり誘って良かったw

「あのう。」

「ん、どうした??」

「あ・あんまりじろじろ見ない下さい、殿下。」

そういいながら首から下だけくるりと少し回しあんまり水着がみえないようにした。

 あーいやあ、パーカーとパレオのしたから覗く、その足も無駄な肉が付いていない上に女性らしい曲線がしっかり出ていてそれだけでも十分興奮するんですが。

「あーハーク、メイアリア様をエロイ目で見てるーーーー」

いや、エリザあんたのその青いビキニも目に焼きつきそうなんだけど。

「鼻の下伸びてるよハーク、あたし達だって一応年頃の女子なんだからね。」とか言いながらもカレンもパッションピンクのビキニがよく似合っている、つうか皆スタル良過ぎじゃねぇ身長も高いし、つうかリーナそれはスクミズか・・・・(汗)

「ハーク、変態・・フフッ。」

「いやいや、そんなん、こんなに綺麗だと思ってなかったんだから仕方ないだろ!!!」

 あ、四人がニヤニヤしている。メイアリアを見ると真っ赤に成った顔を隠すかのようにパーカーとパレオを脱ぎ捨て、逃げるようにオアシスに飛び込んだ、あーやっぱり水龍系だけあって泳ぎは超得意なのね、いあ、寧ろメイアリアさんメガネ外しましょうよ危ないよ。

 見てる間にオアシスの反対の岸までたどり着いて向こうの水際でひざを抱えて座ってしまった。

「お前らが余計なこと言わせるから逃げちゃったじゃないかー。」

「えーそんなこと言われても言ったのはハークだしー」

「まあ、いいから四人で向こうにいってメイアリアの相手してやってくれよ、俺はメイアリアが落ち着くまでこっちに居るから。」

「まったく手がかかるなー二人とも、まあでも私とリーナで女の子トークしてメイアリア様の気持ちを私達に向けさせようかなww」

「おいおい、止めてくれよ、問題をややこしくするのは。」

「さあねー。」

なんて言いながらエリザとリーナとカレンはメイアリアの居る方に泳ぎだした。

「ん?ユリエは行かないのか?」

「うん。」

「なんで??」

「ハークの側に居る。」

「は??」

「フフッ」

しかしユリエも小柄だが、中々均整の取れた綺麗なスタイルしてるよな、胸は控えめだが、小さすぎる訳でも無いし、淡い紫色のセパレートの水着がよく似合っている。

「有り難う。」

うおい、またか。

「フフッ」


 向こうではメイアリアとエリザとカレンとリーナがバシャバシャと水のかけっこをしている。

「平和だなー。」

「そう??」

 

 その頃、副長カイン以下竜騎士団、第一騎攻師団はまじめに上空から周辺警戒を行っていた、それもその筈、先ほどのサンドワームの一件が原因だった。あれほどのサイズのサンドワームがパニックを起こして出てきてしまったのだ、此処に超巨大な魔力を持った龍族が居るのである、それもその龍族にかなり相性の良い砂漠という環境、周辺の生き物がどういった行動に出るのかまったく予測が付かなかったのでそうせざるをえなかったのである、本来危険な生物は居ないのだが、悪影響を受けて大人しい生物が発狂しないとも限らないので、警戒は厳に行われていた。そしてその警戒は実を結んでしまうのであった。

「副長、南の岩山の方からドラゴンと思われる飛行物体を確認!!」

ブラックドラゴンで電磁波を周辺に放って索敵していた竜騎士が叫んだ。

「なに!!」

「ここから南というと、まさか。」

副長カインの悪い予感は最悪の形で的中してしまった。カインは高度を上げると明らかに不自然な竜巻が向かってくるのを発見した、そう明らかに不自然だった、その竜巻は一直線にこのオアシスを目指していてドラゴンが出すと思われる速度で近づいて来る。副長のカインが対竜騎士戦闘配備の笛を吹いた、その音はメイアリアにも俺にもエリザたちにも聞こえた、そして、騎士学院で学んでいる以上意味も判った!!

「なに!?」

「殿下、敵襲です。」

「まさか、こんな所でか!?」

「私は参ります、四人を、お願いいたします。」

言うやいなや、メイアリアの右手が輝く、そこにはワイヤードランスの手甲、正式名称リールドカントレットが現れ上空を横切ったブラックドラゴンにワイヤーを放った、するととんでもない速度でドラゴンに騎乗した。


 上空では既に戦闘が始まっていた。

副長カイン率いる、第一騎攻師団の竜騎士達は五騎編成のまるで一本の槍の様な陣形で一撃離脱を繰り返していた、だが、相手の巻き上げている竜巻状の砂のせいで、攻撃が透っていなかった、寧ろ上からか下からの投擲が基本なのでワイヤードランスを投げる事も出来ず、ドレゴンの吐くサンダーブレスか、槍から発生させる近距離魔法の水撃で攻撃するしかなかった、完全にジリ貧だった、相手の正体が竜騎士だという事以外一切つかめず時折竜巻状に成っている砂の塊が高速で、降り注ぎ、体力は減る一方だった。

 そこへ地上近くからメイアリアがこれでもかという威力のワイヤードランスを投擲した!!!


 カアアアアア、ガイイイイイイイイィィィンンン


 メイアリアの放ったワイヤードランスは竜巻と同じ方向の回転が加わっており、その電撃も相まって砂の竜巻を吹き散らす。

攻撃を加えてきた竜騎士が姿を現した、どうやらメイアリアが参戦した事を確認して竜巻を解除したようだった。

 メイアリアはその相手を予測していたようで驚きもしていなかった。

その、ブルードラゴンに乗った青藍の髪の竜騎士がつぶやいた。

「やあ、ブラックライトニング、久方ぶりだね。」

ブラックライトニング??一体誰だ?

「そうですねカオスブルー竜騎士団長任命式以来ですか?」

メイアリアが答えた、ブラックライトニングってメイアリアの事か??

「もう、そんなに経つのかな、時の経つのは早いね。」

「そんな世間話はいいんですが、今日は一体何の用向きですか?」

メイアリアがそう言うとカオスブルーと呼ばれた竜騎士は前髪を掻き揚げこう言った。

「いや、そういえば昨日はブラックライトニング、君の誕生日じゃないか、丁度16歳に成った訳だね、おめでとう。」

「それがどうかしましたか?」

カオスブルーは恍惚の笑みを浮かべて。

「だって我等竜騎士は16歳に成ったら決闘を挑まれたら断ってはいけないと言う血の掟が有るじゃないかw」

「そういえば、そんな掟も有りましたね、すっかり忘れてました。」

「ほほう、それは余裕と言うことかな?」

「いえ、単に完全に忘れていました。」

そう言われたカオスブルーは髪を掻き毟りながら、

「ふざけた小娘だ!!!」

と怒りを顕にした、こいつカルシウムたらなそうだなー。彼の持つワイヤードランスが青く輝く。そして青が青藍に変わったとき真っ黒な球体が槍と共に放たれた!!


 クアアアッブウウウウウウウウウンンン



メイアリアのワイヤードランスとは違う低く腹に響く震動の、不気味なワイヤードランスだった。速度はメイアリアのワイヤードランスよりは多少遅いが不気味な響きが有る。ふと風で舞い上がったオアシスの木の葉が槍の黒い球体に触れて消滅した。

「なんだあの槍は??」

メイアリアは十分な距離を取ってカオスブルーの槍と黒い球体を避ける。そのままカオスブルーの槍から離れた黒い球体は真っ直ぐ飛んでいき、ある瞬間に爆発した!!

 メイアリアはどうやら雷雲を呼んでいるようでメイアリアを中心とした上空が薄暗く、曇り始めた。それを知ってか知らずか、カオスブルーが上空に先ほどの黒い球体だけを放つ!!


 ブンッブイイイイイイイイイイインンン


メイアリアが集めていた雷雲が黒い球体に渦を描いて吸い込まれる。

 そしてある一点を過ぎるとまた爆発した。

「無駄だよブラックライトニング、君の雷雲程度いくらでも吸い込んであげるよ。」

「そうですか、ならば。」

メイアリアがワイヤードランスを投げる!!


カカッカアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァ


騎士学院で投げた時とは比べ物にならない速度と閃光が迸った!!

だが、カオスブルーは避けもせずニヤニヤと飛んでくるワイヤードランスを見つめている。


ブンッ


 するとメイアリアの投げたワイヤードランスが途中で曲がりカオスブルーには到達しなかった。

「相変わらず厄介な魔法属性ですね。」

「いやいや、君ほどじゃないよブラックライトニング、君のその速度にはいつも驚嘆するよ。」

「しかしその属性のお陰で、竜騎士団、第一騎攻師団の団長に成れたのだから感謝しないといけないよ。」

「そう、早いだけで一番槍と持て囃され一撃の下に敵を葬り去り数々の戦果を上げ、竜騎士団最強の名を欲しい侭にしてきたじゃないか・・・」

そういいながらカオスブルー怒りが沸点に達したようで瞳が青く輝いて今にも燃え出しそうだった。

「本当は、僕が最強なんだ、こんな小娘じゃないいいいい!!」

「僕が竜騎士団で一番強いんだ」

まずいな話の通じそうな相手じゃ無いな、うーむ、このまま戦っていてもどちらかが重傷を負うだろうし、この四人をこんな砂漠のど真ん中で放って置くわけにも行かないからな、メイアリア以外の竜騎士達も結構消耗してるし、最低限の人員で来たのが間違いだったか、しかし、竜騎士同士の決闘は国に認められてるっぽいし、どうする、何か手は無いか、俺に出来ること俺に、俺に!

 違う俺にしか出来ないことが有った!!

ようしさっきの要領だそれに此処は砂漠だ俺との相性はかなり良いはずだ、今だって日が翳ってるわけでも無いのに別に暑くもない。

大きく息を吸って、世界を飲み込むつもりで、威圧だ、威圧、そうだ、あいつはメイアリアの部下達を傷つけた、それなりにむかついている、いや、かなり頭に来てる、おまけにこんなとこに置いてかれたらみんなそのうち餓死しちまうじゃないか、あんな自分勝手な奴なんか、あー考えるだけでむかついてきたぞ、折角のメイアリアや皆の水着姿があんな馬鹿の為に見れなくなるなんて、ああ、身体が熱い、熱い、熱い、熱いいいい俺は、俺は、俺は、俺はああああああ!!

『こ、この気配は、まさか!!!』

ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ

「まさかハーク殿下」

「ん?なんだあ?」

「ハーク殿下!!」

「あれ、どうしちゃったのハーク」

「嘘!?こんな事ってハークが真っ赤に燃えてる」

「怒りで我を忘れた」

赤い赤い身体が焼ける、力が力が力が漲るうううううううう!!!!!!!


 ハークの体を取り巻いていた焔が一点に収束する、

そこから真円球上に炎が広がり、辺りの砂が溶ける!!!!

 ハークの両腕に紅い輝きが燈る!!

それは固体化し、リールドガントレットを形づくる、ハークの右側に溶岩の様に溶けた砂がブクブクと隆起していく、ハークが隆起した溶けた砂を掴むと隆起していた部分がはじけ飛ぶ!!

 

 そこには・・・・


 真紅の一条のワイヤードランスが現れたいた。

ハークは無意識にワイヤードランスを発動させた、そう、既に発動しているかのような紅い燃えるその槍は未だ発動前だったのだ、槍の穂先の下半分が爆音と共に開く、開いた槍の穴からは、ただ発動しただけとは思えないほどの圧倒的な焔が噴出しハークの足元の砂を溶かしている!!

ハークの右手がかくがくと震える、真紅に燃え上がった瞳に青藍の竜騎士が映る!!!



 「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァ」


 ハークの投げたワイヤードランスが爆炎を放ちながら飛翔する、それは始めは遅く、とてもまともに当たる速度とは思えなかったが進む毎に数え切れない程の爆発を繰り返し加速を続ける!!

 

 カオスブルーは冷静に対処をしようとした、だが、それが過ちだった、ハークの槍は、周りの空気を燃やし尽くしながらも圧倒的な熱を持っていた。

カオスブルーは自分の重力魔法で曲がると確信していた、だが圧倒的な熱量とエネルギーの放出によってカオスブルーの生み出した重力場そのものがいともたやすく弾かれた!!

「な!!」

その刹那にも数え切れない程の数の爆発を繰り返し空気を焼き尽くしあらゆる物を弾き飛ばし、そして加速し続け、カオスブルーの乗るブルードラゴンを貫き爆発した!! 

すんでの所で落下する為に自分にかかる重力を多くし、カオスブルーは砂漠の砂のうえになんとか逃れた。

「なにが起きた!!?何だ、あの圧倒的な火力は!!!」

カオスブルーは完全に戦意を喪失していた、自分より強いかも知れない竜騎士はブラックライトニング、メイアリアだけだと思っていた、こんな巨大な魔力は未だかつて感じた事は無かった、メイアリアに執着するあまりその魔力の存在自体を失念していた。彼の心は完全に打ち砕かれた、あの焔によって戦う意思その物も焼き尽くされた、この時彼は竜騎士では無くなった。



 竜騎士団、第二騎攻師団、団長レイボルグ・ブランそのふたつ名をカオスブルーと言った。


やっと主人公がちょっと覚醒しました、でも基本ギャグ要素てんこ盛りで次回も行きたいと思います。メイアリアは相変わらず乙女で行きたいと思います。

メイドでメガネで黒髪で巨乳で乙女、私作者の妄想全開です。次回は親父登場予定です。では又よろしくお願いします。

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