入学式と竜騎士団長
この小説は残酷な描写を含みます、取り合えず最初は異世界学園物です、おまけに何でも有りなんで気に成らない方のみお読み下さい、基本作者は馬鹿です、妄想族です、話が亜空間転移します、できましたら生暖かい目で見守って下さい。
「殿下、殿下」
なんか聞いたこと無い声が聞こえるな、めんどいからまだ寝よう。
・・・
すべすべしたものが頬を撫でた、それが女性の指だと気づくのに時間は必要無かった。
「え?」
目を見開くと、目の前に黒髪メガネのメイドさんが居た・・・
「なんで?」とつぶやくと黒髪メガネのメイドさんが答えた。
「なんでじゃ有りません殿下、今日から騎士学院に御入学されるのですよ、入学式から皇位継承権がまだ無いとはいえ皇子殿下が遅刻するわけにはまいりません。」
「えーと、夢か、寝よう。」
「殿下、二度寝などさせませんよ。」
思いもよらない強い力で両腕が引かれる、気がつくとベットから引き起こされ黒髪メガネメイドさんの胸に顔がうずくまっていた。でけえ、じゃなくて、まずい、未曾有の状況に頭がパニックを起こす。
「あれ?」
「あれじゃありません殿下、お早くお着替えあそばせ。」
完全に立ち上がった俺が見たものは、優しく微笑む黒髪メガネの巨乳メイドと大理石?の真っ白な床と天井付のベット、窓の外には大きな鳥が飛んで居るのが見えた。
「ささ、制服はこちらです、ご自分で着れますね。」
と、促すと制服がかかったハンガーラックを持ってきて黒髪メガネの巨乳メイドはついたての向こうに下がった。
俺は状況がさっぱり判らないままもそもそと制服に着替えた、それにしてもこの姿が、俺か。
衝立には当たり前の様に鏡が付いているのだが、顔は、中性的で美しいともいえる顔立ち、髪と瞳は赤い、瞳の瞳孔は爬虫類や猫科の動物を思わせる様に縦に尖っていて長い、身長は竜哉だったときと変わらない感じだから、まあ、165センチ程か、衝立の向こうの黒髪メガネの巨乳メイドさんも同じ位か・・・。
「制服のサイズはどうですか殿下?」
衝立の向こうから声がする。
「まあ、平気かな」
「では、参りましょう」
黒髪メガネの巨乳メイドはついたてとハンガーラックをてきぱきと片付け、正面の白い扉を開く。
「ハーク殿下、まだ寝ぼけておいでですか、参りましょう。」
どうやら俺はハークって名前らしい、殿下って事は王子かなんかか?
促されるまま後を着いていくと荘厳な装飾を施された廊下に目を奪われた。
「凄いな。」
「はい?」
どうやら彼女の知る普段とあまりにも違う俺の雰囲気に怪訝に思った様で、つかつかと黒髪メガネの巨乳メイドが近づいてきた。
「殿下。」
すっと両手で俺の頬を挟むと俺の額とメイドさんの額がくっついた。
初めてだった女性の顔がここまで近づいたのは!!
この黒髪メガネの巨乳メイドさんも瞳孔は縦だ、瞳は黒いのであまり変な印象は受けないが・・・。
「熱は有りませんね。」
と一言残すと元の様につかつか前を歩いて行く。
しばらく行くと衛兵が二人立って居る扉の前に着いた。
「ハーク殿下、メイアリア様、おはようございます。」
二人揃って同じ様に挨拶してきた。
「おはようございます、いつもご苦労様です。」
そう黒髪メガネの巨乳メイドに言われた衛兵二人は顔を真っ赤にして。
「滅相もございません。」と、いうと扉を開いた。
この黒髪メガネの巨乳メイドさんメイアリアって言うんだな、覚えとかないと。つか、衛兵より偉い風だけどなんだろうこのメイドさん。
扉の向こうは螺旋階段に成っているらしくひたすら下に下って行った。
しっかし、長いな。
「ハーク殿下、今日は無口なのですね、いつもでしたらおしゃべりが止まらない筈ですのに、フフッ、流石の殿下も騎士学院の入学式で緊張されていらっしゃるのですか?」
って聞かれてもさっぱり判んないんで、
「いやぁ。」
と気の無い返事を返すだけだった。
しばらくすると螺旋階段は終わり、扉にまた衛兵が立っていた。
「ハーク殿下、メイアリア様、おはようございます。」
うーんさっきと同じやり取りだったのでここは省略・・・。
扉を抜けるともろ学校っという風情の景色が広がっている。
ざわざわとした学校独自の喧騒に懐かしさを覚える、見ると俺と同じ制服を着た生徒で教室はごったがえしていた、が、女子が多いな。
単純にそう思ったのだが、なんというか目のやり場に困る。
そうなのだ、女子の制服のスカートにあたる部分がチャイナドレスの様に前後に長いのは良いのだが、サイドスリットが下着が有るであろうギリギリまで切られている。何と無く日本の高校生の制服の様な雰囲気を持っているがこれはちょっと刺激が強い!!
「今年はやはり女生徒が多数でございますね。」と、メイアリア
「なんで?」
「ハーク殿下が騎士学院に入学なさるからですよ。」
「そんなもんなの?」
「はい、そんなものです。」
「ふーん」
そんなこんなを話しながら入学式が行われる体育館?に向かった。
・・・って入学式なんだけど、どうして俺、校長先生とか学園長が座るような位置に座らされてるんだ、それもステージの上だし。
しかしこの騎士学院ってのは教員?の制服も決まっているみたいでみんな同じ服装を着ている、それに、たのみのメイアリアは俺を此処に座らせて以降姿が見えない。
まあ、座ってれば入学式は終わると言っていたので心配はしていないが、騎士学院という名前に漏れず教員も男が多い様だが、女性教員?の制服も生徒の制服と同様に、チャイナドレスよろしくサイドスリットがギリギリまで切られてるし・・・。
しかし、本当に女子生徒が多すぎるのが気に成った。入学式は異世界に来ても大差無い様で校長だか理事だかPTA会長だかの挨拶や此れから騎士学院で学ぶための心構えなど、くどくどとだるい内容が続いた、特に女生徒はこれからは慎みがどうとかほざいてるが、この制服は真逆だろ!
そう俺が心のなかで突っ込みを入れていると、竜騎士騎攻訓練教官の紹介を、と、司会役の教員?が言った途端にドッと体育館?が沸く!!
カツカツカツ、一人の女性がステージに上がるとそれまでの喧騒が嘘だったかのように、静まり返った、まるでその女性の一言一句聞き逃すまいとしているかの様だった。
凛とした雰囲気を醸し出す教員用制服に身を包んだその竜騎士騎攻訓練教官は・・・・黒髪メガネの巨乳メイド、そう、メイアリアだった。
「あれ・?」
「えー、始めまして皆さん、紅龍皇朝、竜騎士団、第一騎攻師団、団長メイアリアです。」
「わああああああああああああ」
「メイアリア様ーー!!!!」
ああ、収拾がつかないってこうゆうことを言うのね。なんか名前の書いた横断幕みたいの出してる連中も居るし、俺、皇子らしいけど俺って二の次なのね。
メイアリアの方もこの状況は予想していた様でしばらく生徒の好きにさせていた。
しかし流石にこのままでは入学式が破綻してしまうので、どうしたものかと考えていると、不意に、唐突に、ステージ上、そう、メイアリアの右側に爆音と共に雷が降り注いだ。
ステージの椅子に座ってるこっちの身にも成ってくれ眩しい上に爆音で耳がキーンと成ってしまって状況が飲み込めない、あれほど騒いでいた生徒達もシーンと成っている。どうやら雷は正しく無かった様で、メイアリアの右側には、漆黒の槍が突き刺さっていた。
「静かになりましたね、此れから三年間ハーク殿下が御卒業なさるまでこの騎士学院で竜騎士騎攻、騎士騎攻、地上騎攻等の訓練教官を勤めさせて頂きます、実戦訓練なども積極的に参加して行こうと思っているので、よろしくお願いします。」
体育館?の中の生徒は黙って礼をしていたww。
「メイアリアって竜騎士団、団長なんだね。」
「あれ、言ってませんでしたか?」
「うん、聞いてない。」(寧ろ今朝来たから知らないww)
「元より、紅龍皇朝の皇子付きのメイドは、今は私の事ですが、その時現存する最強の騎士がお付する事に成っております。」
「へえ、じゃあ、安心だねw」
「殿下。」
「ん?」
「からかっておいでですか?」
いやいやいや、待て待てあんなの見せられてからかえる程肝据わって無いから。
「いや、だって俺、勉強大嫌いだし歴史とかも全然興味無いし。」
「そうでした、嘆かわしい事です、紅龍皇朝の直系にお生まれになり、これほど膨大な魔力も秘めておいでなのに、初等学校も中等学校も成績は下から数えた方が早いですし、おまけに、龍族の男子でありながら女性よりも身長は小さいし、今朝もどさくさに紛れて胸に顔を埋めるし、紅龍皇朝の継いでおられる性質はエッチな部分だけとか、そんな所だけ継がれても私もどうして良いやら、大恩有る現、紅龍皇帝陛下にどう申し開きをすれば・・・。」
あれ、落ち込んでるぞ、でも俺が悪いわけじゃ無いよな、初等学校と中等学校に関しては、だって今朝からここに来たわけだし。
「んで、落ち込んでる所悪いんだけど。」
「はい、何でしょう殿下。」
「毎朝、あの階段下りて学院に行かないと行けないの?」
「ああ、そうでした、殿下がお望みで有れば他の生徒と同様に教室棟の向かいの学園寮がございますが。」
「そうなんだ、じゃあそっちの方が良いかな、毎日あの階段上がってたり降りたりはちょっと面倒だから。」
「畏まりました、直ぐに手配致します、その間殿下はお暇でしょうから学園内を散策なされては如何でしょうか?」
「うん、そうだね、適当にぶらぶらしてるね。」
「あ、それと忘れておりました、殿下にもしもの事があってはいけないのでこちらを御付け下さい。」
そうゆうとメイアリアはガーネットともルビーともつかないような赤く丸い宝石が嵌った指輪を右手の薬指に嵌めてくれた。
「これは?」
「判りやすく言えばお守りのような物です、きちんと騎士学院でお勉強されれば嫌でもご理解されます。」
「では、私は手続きに行って参ります。」
「ほーい。」
学園内を散策か、まあ、取り合えず一階に下りてマップでも探すかな。
それにしても、道行くみんな俺の左肩ばっかり見てるなー、なんかついてんのかなー。一応一年と二年と三年の区別は右肩の印らしいけど左肩はなんなんだろ。お、ちょうど良いところに一年生の女子の集団が四人居るじゃん混ざってみっか。
「ねえねえ、ちょっと。」
「はい?」
なんかあからさまに嫌な顔されたぞ、でもめげないもん。
「なんか今日時間空いちゃって暇なんだけど、もしよかったらみんなで学校内を見てあるかないかなーってさ。」
そうゆうと一人の気の強そうなブロンドブルーアイの女子生徒が前に出た、しっかし髪の毛長えし綺麗だな。
「失礼ですが、その左肩の紅龍玉のマーク、ハーク殿下であられますか?」
ん、それでか、みんな左肩みてたのは。
「そうだよ、なにか問題かな?」
気の強そうなブロンド女子生徒が続ける。
「殿下申し訳有りませんが、私どもは無印の騎士学院生です、殿下の様な生粋の龍族では無くたまたま龍族の力が発現して騎士学院に入学が許された、いわば、どこの馬の骨ともわからぬ龍族です、因みにですが私の両親は普通の人間です、瞳に龍族の証は出ていますが殿下の御側に居て良い様なものではございません。」
「気にしすぎじゃね?」
フランクにヘラヘラしてると周りに動揺が走るのが手に取るように判る。
「ですが。」
中々ハッキリしない物言いにハッキリこう告げた。
「じゃあさ、このハークの命に従えないと?」
後ろの方で気の弱そうな女子生徒が耳打ちしている。
「まずいよエリザちゃん、殿下の命令だよ、仲良くしろって命令なんか願っても無いよ。」
この子も髪の毛長いな、龍族はみんな長いのかな、メイアリアは三つ編み二つを後頭部に巻いてたし、まあ、いいか。
取り合えず、もうひとおしかな。
「もし、わが願いを適えるのであれば、メイアリアとの茶会を開こうと思うが、如何か?」
なんか高圧的に成っちゃったな、でもそっちのほうが説得力有りそうだからなんだけど。
「畏まりました」
て、四人全員来ちゃったよ。
つかメイアリアの名前、効果的面過ぎるだろ、どんだけ女子に好かれてるんだあいつ。
なんか無印に甘い皇子って評判が初日から立ちそうだけどまあ良いか、みんな可愛い女の子だし。
「おい、見ろよ、あの殿下もう女引き連れてるぜ。」
「ッチ、皇子が何だってんだ。」
「まあ、でも諸君、殿下が来たから女子生徒が増えたのは事実じゃないかな?」
「確かに。」
「僕たちはそのおこぼれでも頂こうじゃないか」
なんて、不穏な発言が二年の教室から聞こえるが気にしないことにした、昔から耳だけは日本に居る時から良いんでね。
「ねえ、取り合えず自己紹介しない??俺の事はみんな知ってるよね?」
こくこく、みんな頷く。
「じゃあ、あたしから、あたしはエリザ、平民の出なんでまだ、姓は有りません、うちの両親は普通の人間です、だから騎士学院に入れてラッキーっていうか、出来ればきちんと卒業して騎士に成って両親に楽させてあげたいかな。」
「そうなんだ、優しいんだね」
「ば、ばか、違うわよ。」
真っ赤になって膨れるエリザ。
「え、えっとつぎはわたし、わたしはリーナ、エリザちゃんと同じ村から来ました、いつもエリザちゃんに助けられてばっかりで、で、エリザちゃんが騎士学院に入学するって言うんで着いてきちゃいました。」リーナは普通にブラウンの瞳にブラウンの髪だな、やっぱし長い髪だけど、みんな髪の毛の癖が違うみたいだな、まあ、瞳孔はやっぱり縦なんだが・・・。
「エリザが好きなんだね。」
「え。」真っ赤に成ってもじもじするリーナ。まずい可愛い!!
「次は、あたしの番かな?」グレーの瞳にバニラホワイトに薄いピンクを足した様な髪の女子がそう言った。うつうかこの子も髪長いね外はねだし。
「あたしは、カレン・ハイウィンド、一応、父親は騎士団に所属してるんだけど、飲んだくれでちゃんと仕事してるか良く判んない、だけどあたしはちゃんと騎士団で働きたい。」
「ふーん、親父さん名前は?」
「そ、そんなこと聞いてどおすんのさ?まさか首にすんのか?」
「いや別に。」
「つぎは私・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「ん?」
寝た?!
エリザがむんずと襟首を掴む。
「おい、自己紹介はどうしたユリエ寝てんじゃないよ!!」
「ん、ああ、自己紹介、私はユリエ・カリーナ・・・よろしく。」
不思議な瞳の色をした子だな、見る角度で瞳の色が違う、髪はエリザより明るいプラチナブロンドだ、この中では珍しくショートボブだな、中々個性的な面々だな、この世界ってみんなそうなのかな、だったら面白いな、いや、そうでもないか・・・。
自己紹介も済んだ所で学園の教室棟一階の昇降口に来て見たのだが、校内マップを見て愕然とした。
「なんだこれ、広いなんてもんじゃないぞ」
「じゃあ狭いのか?」
「黙っててユリエ」
とエリザ。
「しかし本当に広いですねぇー、エリザちゃんと私が生まれ育った村がすっぽり入っちゃいます。」
「リーナ虚しくなるからそれは、やめて。」
「はい・・・。」
うーむどうしようか、近くてこの世界の状態がわかるような所は無いものか、てかなんで俺、字が読めてるんだ。
「ここ、は・・・」
ふとユリエが指差した、おお、図書館か良いな、ナイスユリエ、と思ったのを知ってか知らずフフッと笑ってる。
「図書館いくか、ユリエの希望だし。」
「そうね、とりあえずここでだらだらしてても仕方ないわ。」
そう言い、エリザはすたすたと図書館の方に向かって歩きだした、皆もそれに続く。
しばらくすると、図書館とは書いてあったが明らかに都内に有る国立国会図書館並みのどでかい建物が見えてきた。
「でかいなー。」
「ですねー」
「見とれてても仕方ないから入りましょ。」
入り口の回転扉を潜ると、ってかこの世界にも回転扉有るのか!
正面の司書のカウンターに教職員用の制服を着た女性が居た、青黒い髪を一つに三つ編みにしている、やっぱし髪は長い、多分何かの教員なのだろう、すると目ざとく俺を見つけて。
「殿下、何かお調べ物ですか?」
って聞いてきたので。
「取り合えず歴史書籍を一通り見たいんだけど。」
「あーあとメイアリアの半生が判る様な本を。」
と、付け加えると、「殿下も気に成りますか?」
なんて言うもんだから。
「まあ、それなりに。」
そんなやり取りを聞いていたのか後ろからカレンが。
「殿下とメイアリア様ってもしかして相思相愛?」
「え!??」
「な、なに??」
「だってメイアリア様は殿下付きの筆頭メイドなのでしょう、それってつまり、殿下の正妻として婚約している状態じゃないですか。」
知らなかった、いや、知らなくて当然だ、だって今朝起きるまで日本に居たから。
「紅龍皇朝では、年の近くもっとも強い女子が次の紅龍帝の后に成るのが通例ですよ。」
「知らなかった。」
「「「ええええええ!!!!」」」
そこ、三人、はもらなくて良い。つか、寧ろ加われユリエ!!
そうか、それでか・・・それで胸に顔埋めても怒りもしないし、ほっぺた撫で撫でして起こすし。
あれ、てことはメイアリアって歳いくつ??
「殿下お待たせしました、まずはメイアリア様の書籍をお持ちしました。」
パラパラとめくるとそれだけでも判る優秀な成績の数々、どうやら五歳迄はメイドとしての修行をしていた様で、六歳に初等学校に入学以降は飛び級につぐ飛び級で十歳になる頃には騎士学院の卒業を終え、竜騎士に成り国内外問わずそのブラックドラゴンを駆り竜騎士に成った翌年までに竜騎士団、第一騎攻師団、団長に成っている!
圧巻だ、ぐうの音もでないとはこの事だ、なんで俺なんかのメイドしてるんだ、て、ああ、さっき言ってたか。
あれ、初等学校が六歳でそっから飛び級して、竜騎士になって、てこたあ、同じ年じゃないか!!
「くぐって来た戦場が違うんだね。」
「殿下、そんなにがっくりしないで下さいよ、殿下にそんなにがっくりされたら無印の私たちは一体どうすれば・・・。」
「あはは、そうかもね、まあ、強くなれば良いんだよね結局・・・。」
「そうです、メイアリア団長に認められる位強くなれば良いんです。」
なんか自分が凄く惨めに思えてきた、そんなこんなをしているうちに、司書さんが新しい本を持ってきた。
「殿下、こちらはわが国の歴史書籍でございます、少々かさばるのですが・・・。」
「え?」
司書さんが持ってきた歴史書籍は本棚丸々一つだった、それもかなりでかい、やっぱしこの司書さんも龍族なのね・・・怪力で地味に怖い・・・。
なんか色々疲れたな今日。
メイアリアの半生を読んで萎えてしまった俺達は司書さんに少しづつ読みに来ますと伝え図書館を後にした。
なんか壮絶なものを見てしまったな、疲れたので皆で寮棟がある方向にとぼとぼ向かう。
「濃密な入学初日だったな。」
「そうですね殿下。」
「ん?」
「てか、殿下ってのやめにしない??なんかくすぐったくて・・・。」
「し、しかし。」
「うん気にしない、ハークまた明日。」
「ああ、またなユリエ。」
「カレンは?」
「仕方ないな・・・じゃあなハ、ハーク。」
「うい。」
「まあ、殿下がそれでいいなら良いんじゃない、また明日ハーク。」
「おう、またなエリザ。」
「ううう、」
「どうしたリーナ?」
「ハ、ハーク様お休みなさい。」
「お休み、リーナ。」
さてと、皆を女子寮に送ったし、男子寮に向かうかな・・・。
「殿下。」
「うん?」
「殿下は早速女子生徒に手を出しているのですか?」
ん・・・? なにこの空気、怖いんですけど・・・。
「メイアリアさんその右手の槍は何ですか??」
メイアリアの右手の槍から雷が迸っているうううう!!!
「それも一人ならまだしも四人同時だなんて・・・。」
「いやいや、誤解、誤解、気のせいだよ気のせい、暇だったから一年生同士で学内見学してたんだよ。」
いまいち釈然としていないようだったが、メイアリアの右手の槍が霞とともに掻き消える。
「そうですか・・・一向に男子寮にいらっしゃらなかったので探しておりました。」
「そうか御免ね、図書館で色々見てたからさ。」
「え?」
「ん?」
「殿下、図書館と仰りましたか?」
「うん、まあ、そうだけど・・・。」
「左様で御座いますか、やっと勉学に御興味をお持ち頂けましたか!!」
「私、うれしゅう御座います!!」
否定すると面倒そうなのでここは話を合わせておくか・・・。
「まあ、流石に世の中の事知らないとさ、まずいかなーってね。」
「そうですか、ちなみにどの様な本をお読みに成りましたか?」
えー困ったーーあんたの本だよーーーーーって言いたいけどいえねええええええええ。
ん?
そういえばカレンが相思相愛とか言ってた気が・・・ここはあえて本当のことを言ってみても面白いかも知れないか・・・?
「いや、なんか最初に目に着いたのがある竜騎士団長の半生みたいな本でさ・・・。」
ちょいとかまをかけてみたが、効果的面!!
真っ赤に成って俯いてる、おお!!
同い年って知ってるだけに可愛い!!
しかもなんか俺、メガネメイド属性ちょっとムクムク出てきた。
そしてさらに畳み掛ける。
「その竜騎士って初等学校から騎士学院まで飛び級したらしいいんだよね、100年に一人居るか居ないかの逸材だって書いてあったな・・・。」
「そ、そ、その様なことは、御座いません・・・。」
「そっかな? まあ良いや、とにかく俺の部屋ってどこかな?」
明らかにたどたどしい足取りで男子寮の扉を開ける。
「でっ殿下のお部屋は、201号室で御座います。」
「うん判った。」
つかつかと階段を上ると、メイアリアが着いてこない、階段の踊り場から覗くとさっきのままの状態で突っ立っていた。
なんか可哀相だな、でも困った、ここは一応、男子寮だし、まあでも俺って殿下だから平気かなのかな??
「メイアリア?」
「は、はい。」
「おなかすいちゃった」
「か、畏まりました」
要求を伝えると少しいつものメイアリアに戻ったみたいだった。
寮の部屋に入ると、かなり広い部屋にベッドが二台有った、しかも他の寮生は居ない。
おや?これってもしかして、俺が頭を捻っていると。
「で、殿下におきましては甚だ不本意では御座いましょうが・・・、わ、私もこちらで寝食をともにする事に、成りました・・・。」
「へ?」
「ふ、ふつつか者では有りますが、な、何卒よろしくお願いいたします。」
あれ?!
これっってもしかして紅龍帝って早く孫見たい系??
朝は、あんなに余裕しゃくしゃくだったメイアリアが今は借りてきた猫みたいに成ってる、大人の女性かと思ったけど、やっぱしメイドと戦場しか知らないとこんなもんなんすか??
つか、メイドも戦場も知らないんですけど俺!!
やっぱり人間でも龍族でも15歳は15歳ってことかな?
てなこと考えてる内にささっとメイアリアが食事を作り終えて戻ってきた。いつものように?
まあ多分いつもそうしていたんだろう、俺だけ椅子に座らせると横に立って控えた、俺が所在無さ下にしていると。
「お気に召しませんか?」
と聞いてきた、・・・うーん確かにお気に召さない、だって座ってるの俺だけだしなんか悪い。
「お気に召さないよ。」
「も、申し訳ありません・・・作り直します。」
そうゆうと一口も手を付けていない皿を下げようとするので俺は、その手を掴んだ。
「殿下?」
ひどく驚いた顔でメイアリアは、俺を見た。
「いや、俺ががお気に召さないのは折角二人なのに食べるの俺、一人だからさ・・・メイアリアも座りなよ、椅子も有るんだし自分の分も作ったんでしょ?」
そう告げるとまた赤く成って俯いてしまった、うーんこれは完全に乙女だなあ、国内最強の竜騎士なのに乙女って、ギャップが激しいにも程があるんだが・・・。
そこからのメイアリアはなんか可愛そうなくらいたどたどしかった、皿から料理を落としそうになるわ、椅子を引いたら転びそうに成るわ、しまいに洗い物を失敗して皿を割ってしまうわ。
乙女だ、どうしようもなく乙女だ。
ちょっと普通にメイドさんだったメイアリアが懐かしく思えたが、それは後の祭りだ。
なんやかんやあって、夜も遅く成ったので寝ることにした、メイアリアは自分のメイドとしての不甲斐無さを反省しまくり、明日からは元に戻りますと、誓っていた、別に良いんだけどねぇ俺も普通に片付けるし。
疲れたので早々にベットに潜り込んだ、向こうのベットで寝巻きに着替えたメイアリアが髪を梳きながらこっちを見ていたのだが気にしない様にして布団に潜った。
今日は一日中、異世界に揉まれ過ぎてしまったが・・・明日からは打開策を探さないといけないな、今日行った図書館に暫く缶詰になって色々調べないと・・・、この世界の事もそうだが、元の世界になんとか戻らないといけないし、夏休み終わってすぐに消えたとか思われてても嫌だしな~。
元の世界じゃ失踪とかになってるのかな?
しかし最後の記憶は車に自転車ごとぶつかった所で終わってるし、一体どうしたもんだろう。
てな事を考えてるうちに、眠りに落ちていた・・・。
「殿下、殿下、」
ん?ああ、もう朝か、目を開けるとメイアリアが朝食の用意を済ませ俺を揺り起こしている。
「おはよう。」
「おはよう御座います殿下、今日も良いお天気ですよ。」
テーブルには二人分の食事が並んでいる、どうやら二人で一緒に食べるのを承認してくれたみたいだ。
また可哀相な位ミスりまくりなのかなと思いながらテーブルに着くと、新妻のような笑顔を湛え甲斐甲斐しく料理を口に運んでくれる。
一晩で何が有った乙女!!
確かに夜中に何やら電話が有るかは不明だが誰かと話をしていた様ではあった。まあ、龍族だとか、なんだとか有るんだ遠くと連絡を取る手段があっても不思議はないが。一体誰と連絡を取ればこんなに変わるんだろう、まあ、気にしても仕方ないことなので、制服に袖を通す。
今日で二日目の騎士学院に登校だ・・・。
ふと玄関を出ようとすると。
「殿下、襟が曲がってます。」
とてとてやってきて、ふわっと俺の首に腕を回す、ほのかに花の様な香りがする・・・、かなりドキドキしてしまった。
「行ってらっしゃいませ殿下、私も後から参りますので。」
見送られて寮を後にした、しかし相変わらず広い、怒涛のように広い、草は生えてないが平原のような校庭が広がり校庭の端には城壁のようなものも見える、さすが異世界スケールが違う。
まあ、教室棟は学生寮の向かいだ、階段下りて昇降口を入れば教室棟だ。
「ハークおはよう・・・。」
ユリエが居た。
「おはようユリエ、今日は三人は一緒じゃないのか?」
「あっち・・・。」
指された方を見ると、どうやらクラス分けの表の前の人だかりの中にエリザとリーナ、カレンが居た。
「どれどれ、俺は何クラスかな?」
「あらハークおはよう。」
「おうエリザ、おはよう。」
普通に気軽に挨拶を交わしたつもりだったが周りが凍りついた。
「ん?、あれ・・・?」
「君、無印だよね、殿下を呼び捨てとは聞き捨て成らないな。」
左肩に青龍玉のマークが付いた制服を着た男子生徒がエリザの左肩を鷲掴みにする。
おいおいまずいな、なんか揉め始めたぞ・・・。ってか俺が原因か・・・?
「あら、それは失礼しました、ハーク殿下には呼び捨てで構わないと仰られましたので。」
「ふん、生意気な・・・少し重くなってみるか?」
エリザを掴んだ男子生徒の瞳が青く輝く!!
「う・・・。」
エリザが苦悶の表情を浮かべる・・・。
なんだ、なにが起きている?
そのままエリザは地面にへたり込んだ。
「何をしているのです!!」
よく通る聞き覚えのある声が響いた、メイアリアだ、どうやら寮棟からこちらの様子を見ていたようで、つかつかとメイド服のまま歩いて来る。
昨日のあのミスりまくりメイドはもう居なかった・・・。
「戦闘訓練以外での魔法の使用は禁止の筈ではありませんでしたか?」
うわ、怖ええええ。台詞のわりにメイアリアさん足元、雷バチバチ出てるーー。
「しかしメイアリア様、この者が殿下を呼び捨てに・・・。」
「ハーク殿下がお許しに成ったのでしょう、そうですね殿下?」
うおう、話の矛先がこっちに来たぞ・・・(汗)
「そうだね、確かに許した。」
て、言うしか無くね?
「殿下がお許しに成ったのですから何ら問題無いかと思いますが・・・?」
丁寧な口調とは裏腹に鋭い眼差しで射すくめられた男子生徒はすごすごと引き下がった、途端にふっと軽くなったようでエリザをへたり込ませていた圧力が無くなった。メイアリアはエリザを優しく抱き起こし。
「医務室に行きましょう」と促した。
俺が所在無さげにしていると。
「殿下も一緒に来て下さい、殿下にも責任の一端が有るのですから。」
いやーまあ、そう言われたら確かにそうなんだけど。授業受けなくて良いのかなーて、まいっか、俺、元々まじめじゃ無いしでも、なんか嫌な予感がするなーと思いながらもとぼとぼ後を着いて行く。
んで医務室・・・。
「殿下。」
「はい。」
「お判りですね?」
えーと、まあ要するに気安くしすぎたのがいけなかったのかな?
「なんとなく。」
「なんとなくじゃ有りません、女子生徒と仲良くするなとは申しませんが、ご自分のご身分を、お考え下さい!!」
「はい、すいません。」
「まったく入学早々こんな事では先が思いやられます、騎士学院最初の授業を欠席などと、紅龍皇帝陛下になんとご報告すればよいやら・・・。」
「はい、すいません。」
いやーそう言われても俺、一昨日までただの高校生だったからなー身分って言われてもぴんと来ねーなー。日本は身近に身分ってあんまし無いし・・・。
「メイアリア様、ハーク殿下をあまり責めないで下さい。」
「エリザ、もう平気なのか?」
「そうですよまだ、横に成ってなさい。」
「大丈夫ですよ、実家のある村では農作業で鍛えてましたから・・・。」
と力なく微笑むエリザ。
「それに、一応、これでも龍族ですし普通の人間とはできが違いますよ。」
どうやらひとごこち着いたようだが・・・。
色々勉強しなくちゃいけないみたいだな、あの男子生徒が使った魔法とやらも。てか俺は元の世界に帰れるんだろうか?どんどんこっちの世界に染まって来てる気がする。
そんなこんなが有って昼休み、結局午前中の授業は全部ぶっちぎって休んでしまったが、午後からはちゃんと出るぞ、と意気込んで食堂にやってきた、エリザもすっかり良くなった様で正面でもくもくパンを食べている。
「エリザちゃん痛くなかった魔法?」
「うん、別にたいしたこと無かったわよ。」
「えー本当に?あんなに油汗かいてたじゃん。」
「平気だったわよカレン、ただ身体が信じられない位重くなって地面にめり込みそうだったけど。」
「それ、十分たいしたことある。」
「そうだよ、普通の人間だったら骨の二、三本折れててもおかしくないってメイアリアが言ってたぜ。」
どうやらあの男子生徒が使った魔法は重力操作の魔法だったようだ、エリザの周辺の重力だけ強くした青龍皇朝の血を引く者、独特の魔法らしい。
「まあ、何より無事で良かったよ、大怪我してたら俺がメイアリアに殺されちゃう所だよ。」
「えーそれは無い無い、有りえ無いよ、メイアリア様ハークにぞっこんだもん。」
「いやーカレン昨日からそのネタ振るね・・・。」
「だってそうですよ、ハークのお父上の紅龍皇帝陛下直々に命を救われてるんですよ、昨日ハークも一緒にメイアリア様の伝記書籍読んだじゃないですか?」
「自分の命を救ってくれた皇帝陛下の息子、それも同じ年に生まれて陛下に救って頂いたこの命で陛下の息子を守る、乙女なら当然そうでしょ。」
あはは・・・間違っていないだけ性質がわるいというかなんというか、まあ、確かに乙女だよねメイアリア・・・。
「あーその顔、絶対思い当たる節有るでしょハーク。」
鋭いな、怖いな女子って、つうかなんでカレンはこのネタ好きなんだ(汗。
「ハーク図星。」
「な、何を言ってるんだユリエ!つか、いきなりしゃべるなビックリするだろ」
「フフッ。」
完全におもちゃにされてるな俺、話題を逸らさないと。
「でも、本当、メイアリア様って竜騎士団長のみだった時よりかなり丸く成ったわよね。」
「あーエリザちゃんもそう思う??」
「おいおい、二人まで何を言い出すんだ。」
「だってーねーエリザちゃん、昔のメイアリア様ってなんか近寄りがたいっていうかなんか。」
「鬼気迫るって感じかしら。」
「そうそう、そのききなんとかってやつ。」
「なんか触ったら刺されちゃいそうな感じだったもん。」
「そうね、完全に一条の槍って感じだったわ、でもそこが格好良かったのよねー。」
「そうだねーエリザちゃん。」
二人ともなんかうっとりしてるぞ、これはもしや踏んではいけない所を踏んでしまったか。。
「フフッ」
「て、笑うなユリエ!!」
午後一時間目、俺にとっては騎士学院初めての授業に成る。どうやら周りを見渡すとエリザにリーナ、カレンとユリエも同じクラスの様だ、女子が多いからどうなることかと思ったが会話が出来る面子がいてよかった。
どうやら午後一時間目は歴史と魔法に関する授業らしい、どの時代にどういった魔法が生まれて消えていったかなどの授業だ。いまいち要領を得ないのだが取り合えず、紅龍皇朝の使う魔法属性は判った、どうやら火炎らしい。まあ、予想通りといえばそうだが。因みにメイアリアが使う雷は黒龍皇朝の高位の者のみが使えるらしい、残念ながら黒龍皇朝は滅んでいるようだがメイアリアの伝記書籍にも詳しい事は書いて無かった、今度それとなく聞いてみよう答えてくれるか判らないが。
午後二時間目、どうやら今日は午後二時間目で授業は終わりらしいのだが、校庭で騎攻兵装の授業だ、講師はもちろんというかなんと言うかメイアリア、うーんなんであの人はメイド服のままなんだろうか?
女子生徒からメイアリア様可愛いとかそこかしこから聞こえる。人気有るなー相変わらず。
「ではこれから騎攻兵装の授業を行います、皆さんひとりひとつづつワイヤードランスを取りに来て下さい。」
ん?ワイヤードランス?初めて聞くぞ、確かに衛兵さんもキレたメイアリアも槍持ってだが、ただの槍じゃないのか?
「ハーク殿下はこちらをお持ち下さい。」
促されるまま、肘まである手甲?みたいのを取り着ける。手甲の中ほどにワイヤーが巻かれたリールが有る、どうやら右にも左にも付けらそうだなこのリール。みんなはどうやら判ってるみたいで手甲を着けて槍を片手に持つ。
「皆さんいきわたりましたか?これがワイヤードランスです、皆さんのものは魔力に単純に反応する物なのでどのような属性の無い魔力にも反応します、その反面専用属性の物に比べると威力がかなり落ちます。」
「さて、では殿下はこちらをお持ち下さい。」
真っ赤な槍だった今にも燃え出しそうな赤赤とした槍だった。
なんか文句言われそうな特別待遇だなこれ、でも俺、殿下だから平気なのかな?
するとエリザが手を挙げる。
「はいエリザさん。」
「ハーク殿下のだけなんでそんなのなんですか?」
いやいやお前がそれを言うか!!俺だって困ってるんだから。
「もっともな意見です、ですがハーク殿下の魔力総量があまりにも巨大なので通常の汎用ワイヤードランスですと粉々に吹き飛んでしまいます。」
「ですので仕方なく実戦配備用で最高クラスのワイヤードランスを用意しました。」
あ、仕方ないのね、つか俺って魔力総量巨大なんだ。
「私もワイヤードランスの使用経験が無い殿下にこんなものを持たせるのは非常に怖いのですが。」
もしもーし、メイアリアさん本音出てますよ本音、そこはもっとオブラートに包みましょうよ。
向こうの方でユリエがいつものごとく「フフッ」と笑ってるのが聞こえた、あーぜったい俺いじられきゃらだこれ、他のクラスメートもニタニタしている。
「それでは皆さん槍とワイヤーを繋げて下さい。」
ふんふん、これを繋げればいいのか、んで。
「ワイヤーリールに付いている魔石に魔力を出し入れすることでワイヤーの出し入れを行います、魔力を入れれば入れただけワイヤーが伸びて行きます、そして魔力を引き出せば引き出しただけワイヤーが縮みます。」
「そして、槍ですが、投げる際にワイヤーのロックを外すのを忘れないで下さい、槍も魔法道具なので魔力を込めないと発動しませんが、一度発動させれば何度でも投擲可能です。」
「では皆さん今日は槍の穂先の下半分に魔力を込めて発動状態にもって行きましょう、最初はかなりの集中力を要しますが慣れれば一瞬で発動出来ます。」
メイアリアがそうゆうと、体育館の時のようにメイアリアの右側に稲妻が落ちる。
カアアッドドン
いあ、前もって言って下さい耳がキーンてなってなんにも聞こえないから・・・。
見るとメイアリアのワイヤードランスは手甲が一緒に付いている、メイアリアはてきぱきと手甲を外すと両手に嵌めた、なんか明らかに高そうなんですけど、そのワイヤードランス。
「それでは魔力を込めてみます。」
メイアリアがそう言うやいなや、黒い槍に青白い光が燈るそして次の瞬間、槍の穂先の下半分がガバッと開いた、開いた槍の穴からは青白い燐光がすさまじい勢いで輪を描いて噴出している、放せば今にも何処かに飛んで行きそうだ。
「これが発動状態です、それでは折角なので投げてみましょう。」
オオオオオ、パチパチパチ生徒達から歓声が上がる。
「ちょうど校庭のはじの所にワイヤードランス専用の的が在ります。あの的はゴーレムなので頭を打ち抜かなければ自動で再生します。」
おいおい、あれ壁じゃなくてゴーレムかよ、何でも有りだな異世界。
「では、いきます。」
そういうとメイアリアはワイヤードランスを一瞬強く握りこんだ、ワイヤードランスの迸る輝きが一層増す!
メイアリアの投擲するその動きが不思議とゆっくりと見えた、次の瞬間世界が真っ白に変わる、音も無い。何も見えない何も聞こえないそんな無限とも思える一瞬が過ぎ白い世界に色が戻って来る。皆同じ様子だったようで何がなんだか判らない状態に放り込まれていた、景色が戻った瞬間、耳が、聴覚が、音を拒絶した、空気が引き裂かれた悲鳴がこだまする。
投げたメイアリアだけがケロッとしていた、その様子があまりにも滑稽だった。
メイアリアが投げたワイヤードランスが通ったであろう軌道に青白く燐光が残っている。そしてメイアリアが右手を引く多分、音を出しながらワイヤードランスが帰ってきた。メイアリアがなにか喋っているが誰も聞き取れない、しばらく喋っていた様子だったのだが、しばらくして俺はみた、メイアリアの口元が「やっちゃった。」て言っていたのを!!
放課後。
「あーまだ耳キンキンするー。」
「あたしもー。」
「リーナそんなに震えないで別に食べられないよ、フフッ。」
「おいおいユリエ余計なこと言うなって、本当に悪趣味だな。」
まあでも皆一様にガックリきているようである、自分と同い年のメイアリアの超ド級の戦闘能力を見せ付けられたのだ、さすがあの若さで竜騎士団長をやってるだけある、的にしていたゴーレム等は貫くどころか半ば蒸発していたと言うし、まあでもそこはそれ、きちんと頭は残したみたいでもこもこ再生してたけど。
後から聞いた話だが、あの時、誰も聞こえて無かったのだが、もう一回投げようかと言っていたらしい、なんてサービス精神旺盛な竜騎士団長なんだろう。やっぱしあんな役職着いていても15歳は15歳と言う事なんだろうか?
ますます怒らせられなく成って来たが気にしないようにしよう、考えるだけ損だ。
なんか暇なんで一話目加筆修正してみました相変わらずおかしなところばっかりかと思いますがよろしくお願いします。二話目め以降に登場予定だったオリジナル武器登場させてみました。