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1-4.ツアー終了!?

タイトルは嘘です。

 僕に合せての演出なのか?

 現実味のなさに、一番最初に浮かんだのは何の感情も併せ持たない漠然とした感想だった。


 ザワワッ


 爆発後の、一瞬のざわめき。次の瞬間、周囲の下層民たちが一斉に走り出した。

 どうなってる?

 振り向いた僕の視界を、ガイド人形がマントで覆い隠す。


『緊急事態発生です。お客様の身の安全は、当社の保証区分となっておりますので、速やかに強制的にバスにお戻りいただきます』


「そんな勝手……」


 一瞬にして視界が暗転した。

 貧血に似ためまいに襲われながら、僕はバスの座席に設置されていた人形操作機ドロイドウォームから起き上がった。


「何なんだいったい……」


「ああ、あああ!」


 困惑した声からして、他の二人も強制的に接続を断たれたらしい。

 頭がグワングワンして、体がしびれて立ちきれず、椅子にどてっと転ぶ。


「爆発がありました」


 真剣な声。

 低く聞きやすくはっきりした低い声の主が運転席から立ち上がる。


「ご安心を、爆破されたのは私のガイド人形で、私ではありません。もちろん、私の横にいて被害を受けたのもお客さまではなく、ただの人形ドールです」


 僕らに背を向けたまま男は平然と言ってのけた。

 僕は耳を疑った。男が何を言っているのか、さっぱりわからない。


 男はすっと薄ピンク色のものを両手で持ち上げ……ウサギの被り物をかぶった。


 お前かっ!


「あ、あああ、」


「お客っ様! 恐ろしい体験をさせてしまい誠に申し訳ありません! 私めこの命をもって謝罪いたします!」


 真剣さの欠片もない、最初と同じうざい態度と口調でウサギ野郎は他の客に近づき膝まづいた。


「ほら、このとーり!」


 言うなり、ウサギはマジックのように空中からナイフを一本とりだし、次の瞬間自らの胸を貫いた!


「……!」


 その客は声にならない悲鳴をあげ、僕は絶句した。

 フラりと客が倒れかかり、ウサギがそれを受けとめる。


「おっとっと! 起きてくださいお客様。私が誠心誠意謝罪を体現しているというのに寝てしまわれるなんて」


 その不満がさらにウザい。肩をくすめて呆れたように首を振るウサギの心は絶対に無傷だ! あれで傷ついててたまるか!


「謝罪じゃない! ただの嫌がらせだ!」


「ジョークデスヨ?」


「冗談で済むか!」


「そんな些細なことはさておきまして」


「おい!」


「私のガイド人形が爆破されたのは事実です」


「……!」


「よって大変心苦しいのですが、今回のツアーはこれにて閉幕とさせていただきます。このたびはお客様にご迷惑をおかけしてしまったことを深くお詫び申し上げます」


 え、え、何?


「ちょ、ちょっと待て! それは勝手すぎないか! 最下層に来てまだ数時間しか経ってないぞ! なのに」


「勝手といわれてしまいますと、申し開きのしようもございませんが。お客様の身の安全が第一でございます。代金はもちろん返金させていただきます。ですが、代わりのツアーが組めるかは判り兼ねます。そこはご了承いただけないでしょうか?」


 ウサギの言っていることはもっともだ。理屈も筋も通ってる。でも、そんな、こんなにあっさりと一瞬で終わってしまう何てありなのか!?

 爆発に驚かなかったといえばウソになるが、別世界のことのようで、この時すでに僕は爆発を怖かったなんてほとんど思っていなかった。

 たぶん、そんな実感のなさもあいまって、僕は怖いなんてほとんど思わず、とにかくツアーを続けたかった。

 後々思い返せば、この危機感のなさが一番いけなかった。


「それは了承しかねる」


 僕が反論の言葉を探している間に、もう一人の客がウサギよりも低く太い声できっぱりと言い切った。

全体の描写がほとんどないことに自分でもびっくりです。

でも、僕っこからは他の客が見えない配置になってるから仕方ないのです。

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