レベル3
あれから一週間がたった。
ダンジョンも大きくなり、二階建てになった。
ラビリミンの数もいつの間にか増えていて、今では三匹が暮らしている。
ダンジョン名:名無しのダンジョン
レベル:3
経験値:0
属性:冥
冒険ログ:まだありません
状態:健康を維持しています。
『ラビスコープ』で情報を読み取ると、まずまずであることが知れた。
あれからネットで調べてみたのだが、どうやら『冥』属性というのは、かなり珍しいようだ。
ダンジョンを形成するラビリミンが超自然の存在であるため、属性が何をもって確定するかは、まだよくわかってない。
だが通常、属性は自然界であれば周りの環境が、育成下であれば持ち主の影響を強く受ける。
主な属性は火・水・土・風。これに加えて、やや珍しい光と闇と雷。
さらにそれらを組み合わせた、多重属性ダンジョンが存在する。
冥というのは、歴史上に存在を確認されているが、ほとんど記録に残っていない幻の属性という話だ。
スマホで『冥』と言う字を調べてみる。
①くらい。光がない。「晦冥」「冥冥」
②道理にくらい。おろか。「頑冥」
③あの世。死者の行く世界。「冥土」「冥福」
④目に見えない神仏のはたらき。「冥加」「冥利」
「うーん……? 社畜でブラック企業勤めの俺の精神を反映して、くらい、光がない属性になったのか……? それとも、俺が愚かだから……? ゲーッ、それは絶対に嫌だぞ!」
それに、レベルが1に下がっているのも気になるな……。
あの日、ゴミ捨て場でラビスコープで読み取った情報は、確かレベル22で属性は水だったはずだ。冒険ログも読み取り不能だが、残っていたような気がする。
となれば、順当に考えるなら。
一度このミニチュア・ダンジョンスプラウトがあの世、つまりは死んで『冥府』に行って、帰ってきたから冥ダンジョンとなったのだろうか……?
「ま、なんでもいっか!」
俺は一生懸命にダンジョンの拡張に励むラビリミンたちを見ながら、そう口に出す。
なんでもいい。生きててくれただけで、俺は嬉しい。
夢だったミニチュア・ダンジョンが目の前にあるのだ。
なにはともあれ、まずはダンジョンに名前をつけなくてはならない。
なんにでも名前は必要だろう。とりあえず、希望を込めて。
俺はラビスコープの名前欄に、
『サービス残業お断りダンジョン』
と入力した。
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