資材と栄養剤
今朝はギリギリで遅刻を回避できたのだが、スーツが汚れて髪がボサボサということで、またもや課長の説教を受けてしまった……。
俺は営業職じゃなくてITエンジニアなんだから、それくらい多めに見てくれてもいいのに。
どうも、課長は俺に文句を言ってイジメることで、ストレス解消のはけ口にしている気がしてならない。
まあでも、今日はとびきり機嫌がいい!
課長の小言も気にならなかった。
必死に仕事をして珍しく残業を回避した俺は、園芸店でダンジョンスプラウト用の栄養剤や、その他もろもろ世話する品を買い集め、鼻歌交じりで帰宅した。
「ただいまーっ! おーい、生きてるか~!」
そんな風に声をかけるが、もちろん返事はない。あったとしても、聞こえない。
スイッチを入れるが、電気がつかない。ああ、そうだ。昨夜、雷が落ちたんだった!
ブレーカーを入れると、部屋に煌々と灯りがついた。
部屋が寒いので暖めようと思ったが、雷が落ちた時にスパークしたヒーターは、完全に焼け焦げて壊れてしまっていた。
鉢植えを見ると、昨日までのボロボロに朽ちたダンジョンはすっかり様変わりして、四方が五センチ、高さ三センチほどの、小さな建物へと変化していた。石造りの壁と天井に囲まれて、もうダンジョンコアは見えない。
生き残ったラビリミンが、壊れたダンジョンを撤去して、使える資材で作り直したのだろう。
瓦礫や砂利が、鉢植えの隅に積み上げられてる。
「感心、感心。働き者だな」
俺は園芸店のレジ袋から栄養剤のアンプルを取りだして、先を折って土に突き刺す。
次いで、ミニチュアサイズのレンガ、木材や釘、小さな石像などの装飾品を置く。
さっそく建物からラビリミンが出てきて、それらの資材を物色し始めた。
ラビリミンは(*´꒳`*)な顔で嬉しそうに資材を手で叩いたり、興奮して辺りを走り回ったりしてる……。
その姿を見ていると、仕事の疲れも吹っ飛ぶようだ。
ラビリミンが一生懸命に工事して建物を拡大する様子を、俺は飽きずに一時間近くも見続けたのだった。




