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ダンジョンコア

 スマホのライトを向けて、崩れた壁の奥の金色の種を観察する。

 どうやら、大きな傷はないようだ。ホッとした。

 こいつは、ダンジョンコアと呼ばれるもので、これが潰れたらダンジョンは完全に死んでしまう。


 だが、ダンジョンの外壁はボロボロに破壊されている。中に生息してるはずのミニチュアサイズのモンスターの姿もない。きっと、雨で流されてしまったのだろう。

 と、コアに寄り添うように、一匹のラビリミンの姿を見つけた。

 今にも消えそうな半透明の身体で、吹き付ける雨から必死にコアを守るよう、小さくてまん丸な体を広げている。

 その (TωT)な泣き顔を見た瞬間、俺はゴミ捨て場に傘を投げ捨て、鉢植えを持ち上げていた。


「うおおっ!」


 水を含んだ土が重い。

 重さは二十キロほどだろうか? 持って歩けない重さではなかった。

 だけど、寝不足と仕事でヘトヘトで。オマケに、カバンを脇に抱えながらで。何度も落としそうになって、そのたびに太ももで押し上げて。アパートの階段も上って……。

 家までの道のり、四十分。なんとか辿り着いた時には、スーツもシャツも土でドロドロだった。


 電気をつけて、汚れるのも構わず床に置き、まずは暖めようとヒーターのスイッチを『強』にして近づける。

 コアをスマホで照らしてみると、ラビリミンはグッタリして(;ω;)な顔で仰向けに倒れていた。


「お、おい……。大丈夫か!? 起き上がってくれよ……頼む、頼む。頼む……!」


 ラビリミンが俺を見る。

 そして、どこかホッとした顔をして、そのまま目をつぶり……動かなくなった。

 (´-ω-`)な顔のラビリミンの姿が、スゥっと消えていく。


「嘘だろ……? た、助けられなかったのか……?」


 ああっ。嫌だ、嫌だ。嫌だ……。

 死んでしまう。俺の目の前でダンジョンが死んでしまう!

 神でも悪魔でもなんでもいい!

 どうか、死にかけてるこいつを助けてやってくれ!


「やめろ。やめろ、やめろ、やめてくれ! 生き返ってくれよ、チックショーーーー!」


 そう俺が叫んだのと、雷がアパートに落ちたのは同時だった。

 強烈な光と共に、


 ドォオーーーーーーーーーーン!


 と轟音が鳴り響き、部屋の灯りが消えて電化製品からブツッと音がして、それから何も音がしなくなった。

 ややあって、隣や階下の部屋からドタバタと人が動く音と気配が。

 な、なんだか、今暗闇の中で、ヒーターから青白い稲妻が鉢植えに走った気がしたが……。


 失意の俺はしばらく呆然として、もそもそとスーツを脱ぐと、そのままベッドに倒れ込んだ。

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