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サービス残業お断りダンジョン コロちゃんのクリアログ

『サービス残業お断りダンジョン』


 第一層


 闇の中に、淡い光が揺れていた。

 日差しのように温かく、帰る場所のように優しい。

 人魂のようなそれに触れた一人が、膝をついた。

 正体はソウルウィスプ。触れた瞬間、生命力を奪う。

 剣では斬れない。魔法も通りが浅い。

 正解は「無視」だ。

 視線を落とし、呼吸を整え、光を“見ない”。

 闇の中を、壁伝いに進む。

 残りは五人。


 第二層


 四人以上で進むと、通路が閉じる。

 最初はわからずに彷徨(さまよ)った。

 進むべき道が見つからず、試しに二手に分かれてみたら、片方のパーティが先へと進む道を見つけた。

 壁に残された書き置きで、その事実を知った。

 このダンジョンは、群れを嫌う。

 あるいは――選別している。

 迷宮そのものが、我々の「連帯」という武器を奪いにきている。


 第三層


 上階へと続く、回転する足場。

 規則正しく動いているように見える。

 一人が法則を見抜いたと登った。

 もう一人が、それに続いた。

 だが突然、全ての足場が回転する。

 悪夢のような光景だ。遠心力で二人が宙へ投げ出された。

 落ちた二人は下層へ。復帰不能。

 やがて回転が止まり、上層への道が現れる。

 間髪をいれず、全力で駆け抜けた。

 残り三人。


  第四層


 影から影へ。音もなく移動する漆黒の敵。

 視界に捉えた時には、もう背後だ。

 急所を打たれ、一人が倒れた。

 前を見れば、背後から爪が走る。

 振り向けば、今度は別の影へと消える。

 ならば、ともう一人に告げた。

 背中を預ける。

 互いに背を合わせ、円を描くように構える。

 死角を消す。


 影が伸びる。右だ。

 踏み込むと同時に、背後でも武器が唸る。

 影から現れた瞬間を、挟み込む。

 二方向からの一撃が重なり、黒い体躯(たいく)霧散(むさん)した。

 冥は孤立を好む。

 だが、背中合わせの二人までは奪えなかった。


 第五層


 背後で扉が閉じる。

 それと同時に、床から無数のスケルトンが立ち上がる。

 倒しても倒しても、再生する。

 無限だ。すぐに悟る。

 これは殲滅戦(せんめつせん)ではない。敵は“足止め”だ。

 最小限だけ崩す。進路を開ける分だけ倒す。

 このフロアは、勝利を望んでいない。

 到達を試している。

 倒すことに執着するな。前へ進め。

 骨に絡まれ、転び、立ち上がる。

 それでも、扉へ。手を伸ばす。

 触れた瞬間、(むくろ)は崩れ落ちた。


 第六層


 ()()()()()()

 幸い、最奥へのルートもすぐに見つかり、我らは揃って金色のコアへ到達した。

 おそらく、何かしらのギミックを発動させる条件があったのだろう。

 それを偶然、満たさなかったのだと思う。


 帰還後


 六人中、四人が脱落。

 冥は削り、選び、試す。

 この迷宮は強さを測らない。

 “残れるか”を問う。


 今回は残った。

 それも、運がよかっただけだ。

 特に、あの六層目。

 終始、誰かに見張られてるような不気味な気配があった。

 次に挑む時も、残れる保証はどこにもない。


 だが――

 それでも、また潜る。

 我々は『熟練者』なのだから。


 ダンジョン攻略成功 経験値1550

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