二桁の領域へ
あれから何度もレイドしたが、俺のダンジョンスプラウトは連戦連勝で、あっという間にレベル9になってしまった。
今日も公民館でレイドの相手を探していると、若草色のカーディガンを着て、タレ目で胸が大きな女性に話しかけられた。
「あらあら、まあまあ! あなたが噂の新人君ねえ~」
「はい? えーっと、あなたは……?」
「あらま。申し遅れました~。わたくし、若宮みのりって言います~」
ゆったりとした喋り方をする人だった。
自己紹介によると、彼女の名前は若宮みのり。
四十二歳の主婦だそうだ。息子二人が成人し、毎日が暇になったのでダンジョンスプラウトを始めたのだとか。
「みのりさん、お若いですね。自分と同世代にしか見えませんよ」
お世辞ではなく、本心からの言葉を述べる。
みのりはデッカい胸の前で両手を合わせ、嬉しそうにニコニコと笑った。
「あらまあ、お上手なのね~。それじゃ玄君、本日のレイドのお相手は、わたくしでいいかしら~?」
「はい。よろしくお願いします」
二つの鉢植えに、木製の橋が掛けられる。
俺はラビスコープで、みのりのダンジョンの情報を読み取った。
ダンジョン名:そよそよ若草ダンジョン
レベル:10
経験値:4859
属性:風
冒険ログ:29
状態:健康を維持しています。
風属性か……。
レベル10は、今までレイドした中では最強だな。経験値を見ると、もうすぐ11に上がりそうだ。
ダンジョンスプラウトには、『レベル10までチュートリアル』という言葉がある。ということはこのダンジョンは、今までのダンジョンよりも一段上の難易度かもしれない。
チュートリアル後のボス戦は、手ごわいと相場が決まっている。もしかしたら今回は、初めて撤退することになるかもな……。
ダンジョンの高さは五階建てで、綺麗で凝った装飾が多い。
ひょっとして、特注品だろうか。既製品では出せない雰囲気があった。




