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1回目のログ

『サービス残業お断りダンジョン』


 第一層


 そのダンジョンに足を踏み入れた瞬間、何か嫌な予感がした。

 何をバカな、嫌な予感など……。

 頭を振って、考えを追い払う。

 このダンジョンは浅くて小さい。

 我々はもっと大きなダンジョンを、幾つも乗り越えてきたではないか。


 前方に青白い光が見える。

 およそどのようなダンジョンであれ、光は必ず助けとなった。

 歩みゆく我々の前で、光は招くようにユラユラと揺れる。

 それを追って前に進むと、フッと光が掻き消えた。


 後ろで悲鳴が上がった。そちらを見たら、青白い手が一瞬だけ見えた。

 また、悲鳴が。いけない……。

 我々は、まんまと罠にはまってしまったようだ。

 前後も判らぬ暗闇の中で、敵の息遣いが聞こえる。

 道の向こうに陽炎が見える。顔を上げるな。

 あそこに揺れているのは景色じゃない、地獄の招き手だ。

 撤退しよう。後ろにゆっくりと、一歩ずつ刻め。


 ダンジョン攻略失敗 一層目 経験値25



陽炎花廊(かげろうかろう)


 第一層


 迷宮の入口は、白い石造りのアーチ。

 中へ一歩踏み入れた瞬間、壁に刻まれた紋様がふわりと発光した。

 通路そのものが淡く輝いている。

 けれど、床の隙間からは時折、火花が弾ける。

 ぼんやりしていると、足元が焦げる。

 最初に出会ったのは、小さな光の精霊。

 丸くて可愛らしい姿なのに、近づくと背筋がピリピリする。

 光の魔法は、ここではやけに強く感じる。

 我々は武器を取り出し、勇猛果敢(ゆうもうかかん)に向かっていった。


 第二層


 ファイアスライムの一撃を盾で受け、深呼吸して一撃を返す。

 散る火の粉が、まるで祝福みたいにきらめいた。

 炎に照らされた剣は、自分の腕前以上に頼もしく見えた。


 第三層


 光る床を踏むと、天井から火球が落ちる。

 でも、壁の紋様をよく観察すると、安全な足場だけ色が少し違うことに気づいた。

 この迷宮は、「力」よりも「気づき」を試している。


 第四層


 最後の部屋は、まるで小さな太陽があるみたいだった。

 中央で揺らめく大きな炎。

 けれど熱さよりも、温もりを感じた。

 ファイアゴーレム、守護者を倒すと、炎は消えずに形を変えた。

 それは、灯火のように静かで優しい光。

 胸の奥が、少しだけ熱い。

 怖さよりも、自信が残っている。

 我々はついに、ダンジョンを踏破したのだ!

 最奥部の金色に輝くコアにそっと触れた。


 帰還後


 火は燃える。

 光は眩しい。

 けれど、どちらも進むべき道を示してくれる。

 得た気づきは多かった。

 今日、自分たちは「駆け出し」から一歩進んだ。

(焦げたマントは、しばらく記念に取っておく)


 ダンジョン攻略成功 経験値290

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